ミラージュボヤージュ   作:エリオット・ウィット

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ドクタードローン

 

 

 

 

 

 

 

『ドクター? 大丈夫?』

 

『こいつがどうかしたのか? くたばった亀みたいにフラフラしてるぜ、大丈夫なわけがない』

 

『そんなに悪く言わないで、シルバ』

 

 ライフラインとオクタン。二人はドクターと呼ばれるヒールドローンの不安定感に首を傾げていた。

 

「元気はなさそうだぞ?」

 

 なんとなく緑を帯びた青い光量は少ない。なんとなく、回復力が低い。なんとなく。

 

 

「なんでー?」

 

「どうせ弟とか言ってドローンを二つ目用意したのが原因だ」

 

「よ、用意してないんだけど!?」

 

「じゃあ聞くぞ、こいつが俺を起こしてくれている間に別のこいつを出しただろ」

 

 言葉を詰まらせるライフライン。

 

 うるさいロビーの中で一際うるさい空間にミラージュは近づいた。

 

『弟が、できたのか?』

 

「らしいぞ、アミーゴ」

 

 顎髭を撫でつつ、聞き耳の内容を纏める。

 

 

「で、できてないってば」

 

「姉貴、嘘は良くないぞ」

 

 

 ミラージュはそうだぞとオクタンの片棒を担ぐ。

 

「隠し子を隠したがるのは分かるが、それがメタファーってもんだ」

 

 

「…………あー、何言ってるんだ?」

 

「今のはナシ、話だけにそれハ、ナシ。はは」

 

「そんなことより、調子が悪いのは問題しかない、俺の回復が遅くなる、俺は遅いのが嫌いなんだ」

 

 それぞれがドローンに触れても特に思い浮かぶことはない。

 

「このままは嫌だな、こいつは置いて弟を連れていこう」

 

「これしかないんだって!」

 

「姉貴は頑固だなあ」

 

 ふと思い出したことをミラージュは口に出す。

 

 

「クリプトがドローンのチューブに端末を刺してたぞ? 関係あるかは分からねえ」

 

「それだろアミーゴ……」

 

「それかもしれないな」

 

「違うのかアミーゴ?」

 

「違うかもしれないな」

 

 

「オーマイゴー」

 

 両手を広げて驚いた様子を作るオクタン。

 

「……ふう、よし、クリプトに話を聞きに行こう?」

 

 

「あいつは次の戦いでスタンバイ中だから、待たないと行けないはずだ」

 

「飛び入り参加だな! 姉貴はドローンを慰めとくんだぞ!」

 

 ミラージュの肩を掴んで前へ前へ押し進む。

 

「止まったらカツオみたいにくだばりそうなんだ、分かるだろ!」

 

「会いに行けるといいが……」

 

 それからクリプトのマッチに足を踏み込んだ二人。

 

 

『前回のチャンピオンです』

 

『奴らより先に、俺に見つかるよう望むんだな』

 

 

 二人もそれを望んでいる。

 

「全員倒せばクリプトに会えるな!」

 

「クリプトがくたばったらどうするんだ」

 

「俺は速い! だから殺しちまっても追いついて話しかけちまえば何も問題ない」

 

 手を引かれてミラージュはドロップシップを飛び降りた。

 

 

 ワールズエッジのハーベスターでアイテムを揃えた二人はクリプトを探しに向かう。

 

「そう言えば俺達は二人なのか」

 

「いても追いつけない」

 

「かもしれないが……不安だな」

 

 しばらくして仕分け工場にクリプトが居ることを突き止めた二人は大きな建物に入ってキルリーダーを見つける。

 

「おお、クリプトだな!」

 

「まずはデコイで予想した方がいい」

 

 ミラージュはデコイを送り込み、声を出す。

 

 

「クリプト! 後ろを見ろ!!」

 

 声に気づいたクリプトが振り返る。

 

「なんてな、変な顔するのは何回目だ? 正解は九回目」

 

 手を振るデコイに一発の弾丸が吹き抜けた。

 

「……あー、危なかったな、オクタン? あーなってたかもしれねえ」

 

「あのさ、言わせてもらうけどよ、俺でも撃つ」

 

「そうか?」

 

「本人が出てきても滅多打ちしてやりたくなる」

 

 クリプトもそういう状態だった。

 

 

「拳で押さえ込んで尋問でもするか?」

 

「それしかないぞ、ミラージュ」

 

「わ、悪かった、俺がクリプトを仕留める、そんな目で見るんじゃない」

 

 

 ミラージュはクリプトに真剣勝負を挑むことにした。

 

 

『デコイの出番だ!』

 

 

 

 

 

 




新シーズンが楽しみだ。

ランパートショッピングネットワーク!かっこいいな!俺がゲストとして招待されるかもしれない、されないって? 夢は本物が良いだろ?

  • 白羽の矢で止まりやがったのか、アミーゴ!
  • 私は大砲よ。シーラよりも優れているわ。
  • これだけは言える……誰かが死ぬ――
  • お! 飲み放題にしてくれるのかー?
  • どうしよう、私も出たい。

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