ミラージュボヤージュ   作:エリオット・ウィット

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逆転するかもしれないが、ディボーションとボルトは拮抗する形でディボーションの勝利だった。意外だった。
それを元にランパートはいいことを少しだけ教えてくれるらしい!


ランパート

 

 

 

 

『パリーク、いつもの前にいつものことをするぞ、何も持ってきてないよな、追われてない、よなあ?』

 

 ミラージュはカウンターでキュッキュとコップを拭きながら、前も見ないで足音に話しかける。

 

『トウゼン! シラフなのが見て分からないのかい?』

 

 ラムヤ・パリークはサイドテールを結った改造職人。

 

 借金と犯罪の数だけスキルを売り捌いてはミラージュの酒で自身をチューニングしていた。

 

「シラフに知らん振りってか? シーラを持ってきやがって」

 

「いいだろー? それくらい」

 

 シーラと呼んだ重火器を椅子に座らせるとカウンターテーブルに直接、腰を下ろして酒をねだる。

 

 

「武器の方が行儀が良いってどういうことなんだ?」

 

 

「払うからさ、頼む〜」

 

「まあなんでもいいが……」

 

「さっすがウィット! 最高に最高の最高!」

 

「へいへい」

 

 とはいえ収入源をムゲにはできない。

 

「まずコップ、そして酒だ、勝手に入れて飲んでくれ」

 

 さっきまで拭いていたコップを立てて人差し指で押し出す。

 

「じゃあアレ取って」

 

 パリークの指した酒瓶をドンッとカウンターに置く。

 

「楽しんでくれ」

 

「うわ、もうウィットが二人に見えてきた」

 

「それは本当の出来事だぞ」

 

 トクトク注いでゴクゴク流すパリークの飲みっぷり。

 

「お前も飲めよー」

 

「また始まったな……」

 

「どうせアタシが払うんだからさ!」

 

 ミラージュは適当にパリークの飲みかけに口を付ける。

 

「そう言えばギアヘッド、聞いてもいいか?」

 

「ギアヘッドじゃないけど、割引してくれるなら答えてもー」

 

「どうせ割り引いてもその分飲むだろうからな、割ってやる」

 

「よし! なんでも答えてやるよ!」

 

 

 パリークはコップの前にミラージュの質問に傾ける。

 

 

『ディボーションに勝つ方法って何がある? こういうのは大得意なやつに聞くのが正解だからな』

 

 

「あのLMGが強い? 正気?」

 

「強いだろ」

 

「正気だったのかー?」

 

 残念そうな声。

 

「チョベリグ・オブ・ザ・リグの大正解! 言わせてくれてセンキューベリベリまにまに!」

 

「狂ってるねー!」

 

「はっは、そうだろ? ディボーションみたいにな」

 

 ミラージュに頷いて質問にパリークは答える。

 

 

「アレの特徴は最初の弱さと後半の強さでメリハリをつけてる」

 

「そうだな」

 

「つまり、撃たせるほど相手は苦境に落ちちゃうんだよ」

 

「そうなのか?」

 

「残り20発しかないディボーションは誰も好まないだろー? アタシも使いたくないね」

 

 10発のフルレートで仕留めれるとはミラージュも思えなかった。

 

「それはそうだ」

 

「だから勝つなら最初に撃たせちゃえばいいんだよ、射撃を誘う。あれはLMGだけどスピットファイアじゃないからね」

 

「ターボチャージャーが付いてたらどうするんだ?」

 

「諦めなー、もし勝てたらデスボックスに銃痕つけたらいいよ」

 

「ああ、そうする。それに勝てうる武器も教えて欲しいな、相棒を起こすためにな」

 

 パリークの手がツマミに伸びる。

 

「自慢じゃないが、俺はプラウラーも得意なんだ」

 

「それよりもボルトかなー」

 

「ど、どうしてだ?」

 

「ボルトならディボーションを威嚇しつつ、リロードしないで倒す隙を探せるしリロード自体も快適、プラウラーはリロードした時にチャンスを逃しやすい」

 

 なるほど。ミラージュは静かに頷いた。

 

 

 

『そんなことより、ウィットはアタシのこと好き?』

 

 

 

「……えっ? あ、あぁ?」

 

「好きじゃないんだ、そうだったんだなあ、ウィット」

 

『す、好きさ! 大好きさ! 月とスッポンなら、月を愛する、そうだろ!? ギアヘッドとアジャイなら、そりゃギアヘッドだぜ!』

 

 パリークが喜びそうなことをシラフに並べ立てていく。

 

「そ、そうなのかウィット……? 突然の告白は泥酔でもキモがられるぞ?」

 

 

 

 髭に手を広げて周りをキョロキョロ見るミラージュ。頭の上に両手のひらを伸ばして長耳のように揺らす。

 

『う、ウッソピョーン! 俺が20代のギアヘッドを好きなわけがねえ! 本当に好きの合格ラインは三十代だからな! 泥酔でも過ちなんて犯すわけないだろ!』

 

 

 

『そうなのかウィット!?』

 

「え? まあ、酔ってるってのは嘘だが、三十代の方が好きだな」

 

「うおおおお!」

 

 パリークはシーラをテーブルに叩きつけた!

 

「ま、まてまてまて! 酔い過ぎだ!」

 

 

『風穴開けて綺麗な月でも拝もうよ?』

 

 

 直前でカウンターに3脚を杭打って自立したシーラはパリークの重みで銃口を上に向ける。

 

 

「頑張れシーラちゃん!」

 

 

 

「やめるんだ、パリーク! いや、シーラ!」

 

 

 

 キュインと回る音と共に、連続的に強い光が吹き出した。

 

 

 

 

 

 




俺がランパートと話す時に狂ってるように見えるのは正解だが、狂ってないかもしれない理由はこの中にあるのかもしれないんだぜ。

ランパートショッピングネットワーク!かっこいいな!俺がゲストとして招待されるかもしれない、されないって? 夢は本物が良いだろ?

  • 白羽の矢で止まりやがったのか、アミーゴ!
  • 私は大砲よ。シーラよりも優れているわ。
  • これだけは言える……誰かが死ぬ――
  • お! 飲み放題にしてくれるのかー?
  • どうしよう、私も出たい。
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