ミラージュボヤージュ 作:エリオット・ウィット
『やられてノックダウンシールドでごめんなさいしても殺そうしてくる奴がいる、レイスとかな。やり返そうとしたら、ヒュン、いつの間にか消えちまってる、レイスとかな』
ミラージュはブラッドハウンドで愚痴ることにしていた。
「それはお前が弱いからだろう?」
「きついこと言うぜ、そもそもの話、レイスは強すぎるんだ、その主神を超える強さってもはや神だろって話さ」
右手をウイングマンのように指を折ってバーンと小声。
「それはありえるようでありえもしないこと、主神は相手を称えることができる」
「さっき俺を弱いと言っただろ、それはどうなんだ」
「主神は価値を定める、相応の答えが降り
「意味わかんねえ、全く、これっぽっちもな」
ここはワールズエッジ。ブラッドハウンドの試練。
試練をこなすとミラージュよりもゴールデンな装備が主神より送られる場所。
最後のアイテムが金スコープという体たらくにミラージュは『おい! ここに主神とやらが居るぜ!』と煽るとチャージライフルの角で殴られていた過去がある。
「それより敵の気配が少ない、ファーザーの目が嘘を言っているとは到底思えない」
ブラッドハウンドのマスクが一瞬だけ赤く光る。
「いつもなら第4の試練が来てもおかしくねえ、例えば……おお、この文章を見てる奴がいるとはな、驚いてやろう」
「おかしいのはお前だ」
「そうか? そうかもしれないな? パッシブで90秒前にこっそり食べたパエリアの消化状況を見てくれよ」
「黙っていろ」
「またチャージライフルの角で殴るつもりか? 来いよ、受け止めてやるぜ」
「フンッ!」
振られたチャージライフルがミラージュを捻り潰す。
モワモワと青い光が漏れるだけだった。
「あぶねえことをする前に武器を大切にしたほうがいい、命を守るのは俺じゃなくて武器だからな!」
その光を透かすように現れる本人。
「あまり、私を、怒らせるな」
「敵がいないうちは余裕ぶりたいんだ、分かるだろ?」
口を聞いてくれなくなったミラージュは口を閉ざし、垂れているジップラインで試練を後にする。
「痕跡なし」
「了解、どっちを探索する?」
「まだ範囲内だ、動くべき時まで待つ必要がある」
「俺が手品を見せてやる、特別の取っておきに近い」
「痕跡でタネはバレてしまう、見る必要はない」
ブラッドハウンドはミラージュが開催する手品ショーに参加したことは一度しかない。
「まあ待てよ、最高に面白い手品だぜ」
「そこまで言うのなら」
ミラージュが手をパンと叩き、皿のように広げる。
「おてて絵本って知ってるか?」
「……少しは」
「最高に面白いエンターテインメントは常に頭の中にある、俺はそれを完璧に出すことができるんだ、凄いと思うだろ」
「戦いには向いていない」
ミラージュは「それは野暮だぜ」と続ける。
「まあ見とけ」
ブンと特殊な音と共にミラージュのホログラム装置が青く光る。
手の中に小さなミラージュとブラッドハウンドが現れた。
『俺達は試練中。プロウラーを2本のプラウラーでボコボコにしていた』
手の中にプロウラーが放たれる。
それを撃滅していく二人。
『そして俺は噛まれた、アーマーからでも痛くて仕方がなかったんだが、次のプロウラーが現れた』
これは第3の試練だぜ。ミラージュはブラッドハウンドにおどけて見せた。
『そのプロウラーをブラッドハウンドは全部倒しちまったんだ! すげえ事をしてくれた、回復もくれたしな、まあ試練の中身は金スコープだったんだが』
尻もちを着いたミラージュの前に立ったブラッドハウンドは迫り来るプロウラーを的確に撃ち抜いていた。
おてて絵本はパチンと閉じられ、ミラージュが次の範囲が分かったなと肩を叩く。
「……ああ、とても良い話だった」
「そうか? じゃあ行こうぜ、180秒前に食ったパエリアが消化されてるといいんだが」
ミラージュは歩きながらウイングマンを取り出す。
中指を軸にくるくる回している。
「ファーザーの目に聞いてやってもいい」
「聞いてみるか、へいファーザー、俺達の勝率を調べてくれ」
ピタリとグリップを握り直すとアイアンサイトに金スコープを滑らせていた。
ランパートショッピングネットワーク!かっこいいな!俺がゲストとして招待されるかもしれない、されないって? 夢は本物が良いだろ?
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白羽の矢で止まりやがったのか、アミーゴ!
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私は大砲よ。シーラよりも優れているわ。
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これだけは言える……誰かが死ぬ――
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お! 飲み放題にしてくれるのかー?
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どうしよう、私も出たい。