ミラージュボヤージュ   作:エリオット・ウィット

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オリンパス

 

 

 

 

 

『オリンパスとかけてサロンパスと解く!』

 

 ミラージュは地下のオアシスカフェでハボックを手に取りながら唐突に喋り出す。

 

『……その心は?』

 

 どうでも良さそうにジップラインに手をかけるレイス。

 

『その心は、そうだな、どちらも、そうだな……』

 

「行きましょう」

 

「待てよ、まだ言ってないだろ」

 

「時間はあまりない」

 

「みんなここに慣れてない、俺のなぞかけに慣れてないのも分かるが余裕は持てる、保証してやるよ」

 

 歩きながらなぞかけを披露してレイスに近づく。

 

 

『その心は、どちらもシップ(湿布)の降下(効果)が大切です』

 

 

 ドヤ顔とウインクと足音。

 

 

「なぞかけって意味を調べてきたらどう?」

 

 そう言い残してレイスはジップを昇っていく。ミラージュも急いで駆け上がる。

 

「こ、これはマジな話だ! 降下は大切だと俺は思ってる!」

 

「本当に?」

 

「大切すぎてどうでもいいくらいだ」

 

「どうでもいいじゃない」

 

「セオリーってのがある、みんなホロサイトが嫌いとかホロサイトが嫌いとか! 当然の事実は聞くまでもない」

 

 ジップラインを昇り終えるとレイスは建物の階段へ進もうとする。

 

「こっちだ」

 

「どうして?」

 

「時間に余裕がない」

 

「あなたが勝手に……」

 

 

「最初あれはデコイだと言ったが実は敵だったんだ」

 

 早く言いなさいよ。ミラージュは握り拳に肩をどつかれた。

 

 

「不安だからな、先にトライデントを取ってここから離脱するぜ」

 

「まだアイテムが足りない」

 

「俺はここのアイテムを求めて降りたんじゃない、トライデントを求めて降りたんだ」

 

「どういうこと?」

 

「後で分かる、その方が気になるだろ」

 

 二人はトライデントに乗り込むとミラージュの舵で進み出す。

 

 

 トライデントとは車輪がついていない車両。

 

 スイスイ進んで銃声より早く前へ横へ。

 

 

「心地よいドライブだと思わないか?」

 

「もしかして、それだけ?」

 

「違うぞ」

 

 しばらくして誰にも手をつけられていない地域を発見する。

 

「ここでアイテムを集めよう」

 

「もう範囲外よ、リングも来てる。負けたわ、あなたのせいで」

 

「そう思うか? そうだろうな、俺はそう思わないが」

 

 レイスはミラージュに従って虚空に入りながら精一杯の装備を整える。

 

 その頃には赤い世界に飲まれてしまっていた。

 

「外は赤だが俺達は紫色に染まってるんだ、勝てるに違いない」

 

『沈みゆく船に乗り込む気持ちってこんな感じなのね』

 

「勝てばいいんだ、勝てばな」

 

 

 トライデントはエリアを翔ける。

 

 道中で歩く部隊とすれ違った。

 

 

「撃ってもいい?」

 

「ダメならこんな道通るわけない」

 

 撃たれても気にしない。

 

「なんで、歩いてる人が多いのかしら」

 

「今までこんなのなかったからな、なくてもいいと思ってるんだ、それは間違いだけどな」

 

 ミラージュは不意に急ブレーキを掛ける。

 

「レイス船長! 俺は引き返すことにしたぜ!」

 

 クルンとスピンを決めてブーストを掛けながら引き返す。

 

「ど、どうして?」

 

「知らないのか? 範囲内は戦争中だからだ」

 

「倒せばいいじゃない」

 

「お前は何も分かってない」

 

 指を振ってチッチッと舌を鳴らすミラージュ。

 

「分かってないのはあなたよ。シルバー帯で逃げすぎてるわ」

 

「オリンパスは真ん中が高いポジションになってるんだぜ?」

 

「高い?」

 

「マップが外になるほど下り坂で拓けてて、マップの中心になるほど上り坂で建物が増える、高いと低いなら高い方が圧倒的に強い。強引に行っても良かったが、回復する時間がないみたいだしな」

 

 そう言ってミラージュは静かなところで範囲に入っていく。

 

「もうトライデントは用済みね……」

 

「何を言ってるんだ? 勝つまで乗るぞ?」

 

「は、はあ?」

 

「よし、回復したら横槍を入れてやろう」

 

 トライデントで接近した二人は奇襲を成功させ、ポイントを稼いで贅沢に整えた。

 

 

「さすがにもうトライデントは……」

 

「エリアに行くぞ、レイス」

 

 ミラージュはトライデントに乗り込むとレイスの隣に寄せていく。

 

「嘘でしょ?」

 

「騙されてると思ってるのか? 黙って乗っとけ」

 

 結果的に二人は勝つまでトライデントに乗っていた。

 

 次のリングに入れないならトライデントで入っていく。

 

 自家用車で仕事をするような、そんな感覚。

 

「苦しまないで勝てた気がする」

 

「そうだろ? トライデントがある場所にドロップシップから降下して、ずっと乗り続けることが大事なんだ」

 

「よくやったわ」

 

 

「言われてるぜ、トライデント」

 

 ミラージュはキュッキュとトライデントを撫でる。

 

 

 

『あなたに言ってるのよ、エリオット』

 

 

 

 




書くつもりはなかったんだが、トライデントは最後まで乗った方が勝てるってことを言いたかったんだ。それだけだぞ。

ランパートショッピングネットワーク!かっこいいな!俺がゲストとして招待されるかもしれない、されないって? 夢は本物が良いだろ?

  • 白羽の矢で止まりやがったのか、アミーゴ!
  • 私は大砲よ。シーラよりも優れているわ。
  • これだけは言える……誰かが死ぬ――
  • お! 飲み放題にしてくれるのかー?
  • どうしよう、私も出たい。
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