ミラージュボヤージュ 作:エリオット・ウィット
『この場所には俺が溢れすぎてる、あの草も捨てられた興奮剤もそしてクナイも、本当は俺かもしれないんだぜ、相手は怖いだろうなあ、間違いない』
『頭がイカれたのかしら……元々ね』
『その言い方は酷いんじゃねえか、レイス』
ここはリパルサーから最寄りの蘇生ビーコン近くの物件。
「ポータルを設置する」
キュンッと展開された青いオーラがレイスを取り囲む。
「ああ、ちゃんと戸締まりして待ってるからな」
ドアを開けて飛び出たレイスの後を塞ぐ。
フシューと投げられたガストラップが膨らむ。
『独立変数を設置する、あまりデコイを近づけない方がいい』
「流れ弾で起動なんて最悪だ、マスクをしてるやつには分からないだろうがこの匂いはマジでヤバい」
「オクタビオの御曹司が興奮剤とやらを撃ち込んで逃げ惑うように、私のマスク越しでもこれは効いている」
「な、な、なんだとっ!?」
「どうした? 敵が居たのか」
ミラージュは驚いていた。
「ガス浴びてピンピンしてるっていうのかよ!」
「私は戦う前に完璧な抗生物質を摂取している。科学者が実験の前に対策を用意するのは、賢さに拍車をかけたいためだ」
「待て待て、俺達にはそれをくれねえのか」
ミラージュはコースティック――アレクサンダー・ノックスが服用している薬と貰う薬の差に気づいていた。
「APEXゲームは被験者と科学者の関係にある、私より知能指数が劣る時点でお前もレイスもただの被験者に過ぎないだろう」
「じゃあ最近、お前のガスの中でも運動会が開けるのは……」
「薬のランクを上げてやったという、教える必要もない話だ」
そう言って頭を搔くコースティック。
「なんで俺はこんな奴と組んでるんだ、しかも仲間が被験者だって?」
「今日会ったばかりの下等生命体に、仲間という称号を与えるのは早計だと言わざるを得ない」
ミラージュがコースティックの首元を掴んで巨体を引き寄せる。
「チームはいつでも仲間だろ! 下等とかそんな単純に話を進めるんじゃねえ、お前の世界はどう見えているんだ? 茶色の煙で笑ったことしかないのか」
「下等は下等、それ故にお前のようにうるさいやつがいる」
『俺はここに来るまでに大量の仲間を失ってきたんだ、ぼっちには分からねえか? グッチで買った財布で仲間とフラつけなくなった時の悲しさなんてな』
『仲間とやらが、下等で残念で無念な生き物だったのだろう。死んでも変わらない存在を不活性物質とでも言おうか』
「黙れ」
コースティックを押し飛ばすとウイングマンがチャキンと抜かれる。
「そうやって殺してきた仲間の数はいくつになる?」
コースティックは手を上げるでもなく、淡々と質問を述べる。
「あいにく1になるかもしれないな」
「お前は賢い被験者だ、不活性物質と違い、変数になることができている」
「本当に殺してやってもいいんだぜ、ちょうど目の前にビーコンもある」
「どちらにせよ、賢いというのは本当のようだな」
ポータルが開き、そこからレイスが戻ってくる。
『行きましょう』
「ああ、あぁ、そうだな、くそっ」
ガストラップの根元を撃ち抜くとミラージュはレイスより先にポータルへ入っていく。
「何の話をしてたの?」
「仲間とはなんなのか、彼に説かれていた」
「あなたが話を聞くなんて珍しいわね」
「実験の退屈しのぎに過ぎない」
二人は後を追うようにポータルへ足を踏み入れた。
ランパートショッピングネットワーク!かっこいいな!俺がゲストとして招待されるかもしれない、されないって? 夢は本物が良いだろ?
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白羽の矢で止まりやがったのか、アミーゴ!
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私は大砲よ。シーラよりも優れているわ。
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これだけは言える……誰かが死ぬ――
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お! 飲み放題にしてくれるのかー?
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どうしよう、私も出たい。