ミラージュボヤージュ 作:エリオット・ウィット
『赤と青の関係性は信号が誰よりも教えてくれてるんだな、渡れる青と渡れない赤、優しいロボと怖くて仕方がないロボ、この差はなんなんだ?』
『僕も青信号が好き!』
『赤は血の色に似ているが、私は血ではない、故に血に飢えている』
最悪だぜとミラージュがレヴナントを見る。
「何を見ている?」
「み、見るくらいは許してくれ、後ろを取られて殺されるなんて嫌なんだ、頼むから殺さないでくれ」
「そんなに私が怖いのか?」
「はは、いや、そんな、はっはっは」
こいつ俺を食ったりしないよな? そんな小言がスカルタウンの隅っこから聞こえてくる。
「ミラージュが怖がってるよ! もっと笑おうよ!」
パスファインダーお得意のディスプレイ笑顔。
黄色く笑う丸いアイコン。
「私はロボットではない」
「そうなの? 残念、仲間だと思ったのに。でも今からお友達だ!」
「そうかもしれない……ロボットを殺しても何もならない、人間で引くピアノは楽しいぞ、鉄クズ……」
「人の手が引くピアノを聞いたことがあるんだ? 僕もパラダイスラウンジで聞いたことがあるよ、強弱がテープとは全然違ってたなあ、録音もしちゃった、聞きたい?」
ミラージュがレヴナントより先に聞きたいと割り込む。
「ここは戦場だから、ボリュームを下げて再生するね」
パスファインダーの口元から流れ始めたピアノの音は誰が聞いても上手いと言うだろう。
弾かれた音に安らぎが生まれるのは間違いない。
「最高だな」
『黙れ……』
このサイレンス悪魔を除いては。
『黙れ黙れ!』
レヴナントの手の中に太陽のようなデバイスアビリティが顔を出す。
『やめやがれ!』
カシンと解き放たれたデバイスを寸前でミラージュのデコイが防ぎ切る。
バチバチと音を立てて残留するデバイス。
「なぜ機械を庇う?」
「友達だからな、当然だろ? 当たり前だがお前のことは庇ってやらねえ」
パスファインダーは『ダウンした時は起こし合わないと負けちゃうよ』と二人の間に立つ。
「期待などしていない、皮付き」
「されたら困る悪魔め、起こすときに叩き込む薬を増やしてやったらどんな顔してくれるんだ? こんな顔か?」
ミラージュは目を見開くと強気におどけてみせる。
「目尻から涙を流す方法を、教えてやっても良いんだぞ……」
「喧嘩はダメだよ、楽しくない!」
「戦うことが楽しいのか?」
「うーん、勝つことは楽しいから、僕は負けたくないかな?」
「勝つことが楽しいとほざけるお前は私に良く似ているな」
はあはあと乾いた笑いを作る人口の悪夢。
「パスファインダーとお前は似てねえさ、似てるところは素材だけだ」
「やったあ、仲間だね!」
意外と嬉しそうに親指を立てる笑顔の悪夢。
「い、良いのか? 攻撃しようとしてきた悪魔だぜ?」
「仲間は多い方が嬉しいからね」
レヴナントが細く尖らせていた手を戻す。
「……エリオット、お前の心臓をニンニクと塩で頂くのは勝ってからにしてやる」
「俺の名前を知っているのは理解し難いが、それでいいぜ、友達が増えてお前も嬉しいんだろうな? 友達の友達は友達って言うからには、俺も手を回してやらなくもない、例えば自殺の手助けとか」
「勝ったら食ってやる」
「冗談だ、ははは……お前も冗談だよな?」
冗談ではなさそうだった。
ランパートショッピングネットワーク!かっこいいな!俺がゲストとして招待されるかもしれない、されないって? 夢は本物が良いだろ?
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白羽の矢で止まりやがったのか、アミーゴ!
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私は大砲よ。シーラよりも優れているわ。
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これだけは言える……誰かが死ぬ――
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お! 飲み放題にしてくれるのかー?
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どうしよう、私も出たい。