ミラージュボヤージュ 作:エリオット・ウィット
『壮絶になるぜ、壮絶に。そうだな、これから話すのはちょっと前のことだが』
『シェの姉貴! 俺のプッチンプリンがどこにあるか知らないか? 確かに隠して置いたのに……ないぞ?』
『知らないわ、薬物をキメすぎて物事も的外れに決め撃ちし始めちゃったの?』
ミラージュの言葉をちぎってジャンプパッドに捨てたのはオクタビオ・シルバ。
もう一人はライフラインのアジェイ・チェ。
『……』
APEXロビーに用意されている共用冷蔵庫の中身を眺めるオクタンとライフライン。
それを眺めるミラージュは何も言えないで居た。
「本当にないわ? どうしてだろ?」
「食いたかったのによ、悲しいぜ! うおおお!」
泣くように興奮剤を頭に突き刺すとヘッドバンキングを繰り出す。
「ま、待て待て? オクタン、お前に質問がある」
「なんだ、エリオット・エリオット」
「どうやってプリンを食うんだ、気になる」
オクタンは常日頃マスクを外さないで過ごしていた。
「ここに空の注射器があるだろ? これをプリンに突き刺すのさ、引くと黄色いブツが溜まってくる」
「それをどうする?」
「肩に刺して血液と一緒に流すのさ!」
ミラージュは生まれて初めて他人のプリンを食った奴を褒めたくなった。
「そ、そ、そうか……」
「全く、楽しみを奪いやがって、プッチンと来そうだ、すーーはーー、ふう」
息を吸って吐いて呼吸を整えるオクタン。
「誰が食べたのか、探したいけど」
「戦ってからだと証拠が消えちゃうな、ウィットも来てくれねえか?」
俺か? ミラージュは呼ばれると思って居なかった。
「そうだ、誰が一番キルできるか競走しようぜ!」
義足でカチカチ足踏みするとミラージュの手を引いた。
『戦場はすぐそこだアミーゴ!』
戦場。例えばスカルタウンとか?
ライフラインに背中を押されて飛び出た場所はスカルタウンだった。
真ん中の建物で誰よりも物資を取る。
ミラージュはウイングマンを手に取るとこっそりモザンビークを捨てた、少し開けた場所の砂混じりの空気が美味い場所で話し込む二人をよそに足音に気づく。
「アネキ! やっぱりプリンの犯人は女だ!」
「どうして?」
「なんとなくってやつ」
「もしかして、私が取ったって言いたいの?」
オクタンはコクコクと頷く。
『話し合いは後にしてくれないか?』
二人を狙う敵にウイングマンをぶっぱなすミラージュ。
デコイと合わせて二人がかりで三人の相手をしている。
「そんなわけないでしょ!」
「でも俺は食ってないし、本当になくなってる、アネキが新しいプリンを買ってくれるならその言い分も分かってやれるぞ?」
「食べられたくせに偉そうね? 本当は食べてて記憶が飛んでるんじゃない?」
ダンスパーティー用に取っておいたデコイを大量に展開してやり過ごすミラージュ。
『仲がいいのは良い事だが、目の前の光景が見えていないのか?』
言う猿が居ても、聞かざる見ざるでは意味がない。
「姉貴、怪しいぞ」
「じゃあその義足を今から返してもらえる? 毎日プリンをあげるから病院のベッドで過ごしな」
言い合うオクタンの後ろに敵が一人、なけなしのモザンビークを向けて近づいていた。
「な、おいっ!」
コケてしまったミラージュがウイングマンを投げる。
「ライフライン! ……ババア受け取りやがれ!」
「今なんて言った!?」
ウイングマンを受け取ったアジャイがオクタンに銃口を向ける。
「こ、殺されちまうー!」
「どいてシルバ」
オクタンがしゃがむと発砲音。
モザンビークの散弾は二人を避け、代わりに持ち主の命を奪い去った。
「なんだ? 敵が居たのか」
「危なかったわね」
「姉貴は優しいな、やっぱりプリンを食ったのは男だな!」
あー、その話なんだが。そう言って割り込んできたのはミラージュ。
『そのプリンを食ってしまったのは、俺なんだ』
ランパートショッピングネットワーク!かっこいいな!俺がゲストとして招待されるかもしれない、されないって? 夢は本物が良いだろ?
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白羽の矢で止まりやがったのか、アミーゴ!
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私は大砲よ。シーラよりも優れているわ。
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これだけは言える……誰かが死ぬ――
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お! 飲み放題にしてくれるのかー?
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どうしよう、私も出たい。