モンスターハンター ~碧空の証~   作:鷹幸

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 ユクモ村を発ってちょっと経ったあとの、レオンたちの様子です。






特別編 Go Next Hunting...

 ガタガタと揺れる荷車は、緩い下り坂を走っていた。

 荷台には、さきほどユクモ村を発ったばかりのレオン、ソラ、ナナと彼らの荷物が乗っている。

 荷車を()いているのはガーグァだ。そして、手綱(たづな)を引いているのはアイルーである。

 

 

「ねぇ、どこに行くの?」と、ソラが訊いた。

 

「そうだな……、とくに決まってはないんだけど」レオンはそう答える。

 

「え! 決まってなかったの?」

 

 ソラは少し目を丸くさせた。目的地は決まっているものだと、彼女は思い込んでいたからだ。

 

「まぁ、成り行きでなんとかなるかな、っていうのがあるな」

 

「うーん、そっかぁ……」ソラは、少しだけ残念そうな顔をする。

 

「レオンは、いつもそうだから」ソラの隣に座るナナが言う。「行き当たりばったりな旅なのよ」

 

「でも、先が見えないってのも、ある意味ではドキドキだよね」

 

「うん。でも、今回は行き先を考えてみようかな」

 

「そうだね」ソラはうなずいた。「でも、わたし、地理なんて全然詳しくないよ?」

 

「方向音痴だもんな」

 

「それは、ちょっと改善されつつあるよ! 渓流で迷子になることもなくなったし!」

 

「でも、初めての場所だと右も左もわからないだろう?」

 

「……」ソラはうつむいた。「はい、そうです……」

 

「でも、たぶん大丈夫だと思う」

 

「え?」レオンの言葉に、ソラは顔を上げる。

 

「大丈夫だよ。マシにはなってるはず」

 

「じゃあ、問題ないね!」ソラは、右手に握り拳をつくった。

 

「だけど……、注意はしないとな」

 

「はぁい」ソラは、唇の隙間から舌をちょろっと出す。

 

「それで?」ナナが、わずかに鋭い口調で切り出した。「どこに向かうの?」

 

「っと、そうだった。うん、そうだな……」レオンは唸る。「ここから一番近い場所っていうと……」

 

「っていうと……?」

 

 五秒ほど黙り込んでから、レオンは、ぽんと手を叩いた。

 

「そうそう、あそこがあった」

 

「どこどこー?」

 

「たぶん、ソラも聞いたことはあるはずだよ」

 

「え? うーん……、どこだろう」

 

「ヒント。ソラは、それをお父さんから聞いているはず」

 

「うぅん……」

 

 今度は、ソラが顎に人差し指を当てて唸った。

 三秒して、彼女は、ぱっと表情を明るくさせる。

 

「――あっ! わかった!……かもだけど」

 

「わかっただろ?」

 

「うん。えーと、ちょっとまえまでお父さんがいたところ、だよね?」

 

「あぁ、そうだ」レオンはゆっくりとうなずいた。「次の目的地は、――」

 

 そして、彼は、二つの青の境界線を指差した。

 

 

 




 そして、続編の第1話に続きます。

 
 
 

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