属性マシマシ悪役TSっ子が頑張る話。   作:働かない段ボール

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7月23日はネオワイズ彗星が地球に最接近する日(どこの経度の日付基準かはソースを見つけられず)だったので、ノリで昨日投稿したかったんですけど間に合いませんでした。
次太陽とか地球のほうに接近するのが六千年以上先だそうなので、それから考えるとまあ一日は誤差ですよね!

五~六千年前はWikipediaさん曰く縄文時代とか文字の発明とかだったらしいのですが、今から六千年後人類はどうなっているのでしょうか。
その六千年も宇宙スケールで考えると一瞬だろうし、思考の行き着く果ては宇宙スゲー!やはり一日なんぞ誤差ですね!


■■i

 

【■.C. 9■9】

 

夏のある日。

とある光景を目の当たりにしたレドは顔をひきつらせていた。

 

「……おい、何してるんだ?」

「あ、レド。アイリスも寝ちゃったし、どうしようかなって思ったらこんな風になっちゃった」

「あのなぁ。…………だからって、扉壊すやつがいるかぁぁぁああ!」

 

第一課で預かることになった11、12歳ほどの少年と少女。本来ならばしかるべき施設で保護されるはずだったが、首都が未だに混乱状態であることや、彼らがアバドーンの重要人物であることから、扱いは難航してしまっていた。そのため一時的に第一課にいるのである。

 

そして少年の方こと、アコラスは兵舎で大人しく過ごすのは退屈で力があり余っているのか、時々扉を勢いよく開けて壊したり、あちこち歩き回ろうとしたりと、世話を任されたレドたちの分隊は近頃慌ただしかった。

 

「またここの扉か。そろそろ扉直しマスターって呼ばれてもいい気がしてきたぜ」

 

曲がってしまった蝶番を取り替えつつ、装備課の男、セージは言った。

 

「すみません、セージさん」

「そうだぞレド」

 

謝るレドの横で少年ことアコラスが煽る。その様子にレドはアコラスの頭をわしづかみした。

 

「お前も!謝るんだよ!このクソガキ!!!」

「いだだだだだっ、何すんだクソ野郎!離せーっ!身長伸びなかったらどうしてくれんだよ!だいたい今日のは事故だっつーの!!!」

 

ギャーギャーと騒ぐ二人の様子にセージは思わず吹き出した。

 

「はっはっは。なんだか兄弟みたいだな」

「「は?誰がこいつと」」

 

互いに指を指して嫌そうな顔をする。

 

「おいこら、アコラス。もっと礼儀正しくするんだぞ。特に目上の人とか、あと初対面の人とかには」

「えー?めんどくさ。そもそもそんなのどうすりゃいいのか知らねーよ。それに何のためなんだよ。ほらほら言ってみろ、バーカ」

「こんの、クソガキ……っ。まあ、あれだ。失礼がないようにするためとか色々だ」

「他は?それだけ?」

「え、えーと、そうだな、うん。て、敵対心持たれにくいとか?円滑に、かつ友好的に人間関係を回すためにだな……」

「へー」

「自分から質問したんだから真面目に聞けぃ」

 

楽しそうにしている少年にセージは話しかける。

 

「いいんだいいんだ。このくらい跳ね返りがある方が元気がある証拠さ」

 

するとアコラスはレドの後ろにサササッと隠れた。

 

「またお前は思い出したように人見知りして」

「うるせー……」

 

その様子を見ていたメイズは再び笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

「ここ基地内だし機密情報盛りだくさんだから、本当ならこんなにひょいひょい出歩かれるのは困るんだよなぁ」

「ふふん、オレに扉は通用しねぇぞ」

「だからだよ……」

 

アコラスを自由にさせると、遮るものなどないと言わんばかりに扉をこじ開けていくので、現在はなるべく誰か一緒にいるという解決方法がとられている。事情の知らない者からすれば、なぜこんなところに子供が?と思う光景だ。

 

「これから何すんの?戦闘訓練?戦うのか?」

「そうそう、隅っこでおとなしくしてろよ」

「えぇー?オレも戦いたい」

「ダーメーだ。というか時間が押してるから急ぐぞ」

 

文句を言いながらべしべし腕を叩いてくるアコラスをあしらい、走って訓練場に向かう。

 

「ギリギリですね、レド。小隊長が知ったらまたガミガミ言われますよ」

「おー、危ない危ない。扉の修理依頼と再調整したMARGOT受け取りに、装備課行ってたから遅れるとこだった」

 

訓練場ではブレウが腕を組んで待っていた。他の何組かはすでに戦闘訓練を行っている。ただ、本来ならばいるはずの、時間に厳しい上官の姿はなかった。

 

ひょこひょことレドの後ろについてきていたアコラスの姿を見たブレウはため息をつく。

 

「また君か……。そろそろ力加減というものを覚えたらどうなんです」

「うるせー。こっちだって今日は壊したくて壊したわけじゃねーし」

()()()、ですか。なるほど」

 

アコラスは一瞬飛びかかろうとしたが、メガネがないことに気がついてピタリと動きを止めた。

 

「ふっ、残念でしたね。ご存じの通り戦闘中は視力強化できるので、普段君が割りたがっているメガネはかけてないんですよ」

「……そういえば、この前リーンがスッ転んでパンツ見えたとき、めちゃくちゃ動揺しててクソダサかったぞ」

「君は相変わらずっ、失礼なことを……!」

 

音もなく現れたリーンが二人の間に割って入る。

 

「アコラスくん、そこに椅子があるので座ってましょう?」

「ちっ。しかたねーな」

 

リーンから笑顔で言われたアコラスは、すごすごと下がっていった。

アコラスの前では素敵な年上のお姉さん、という感じで振る舞っているリーンだったが、距離がとれるとはあはあ息が荒くなる。

 

「ああ、かわいい……っ!」

 

周囲の人間は皆、深くは追求しまい、と心に固く誓った。

 

そうして彼らが訓練をしている間、アコラスはつまらなそうにその様子を眺めている。そんな少年の姿も、第一課の面々には見慣れた光景になりつつあった。小休憩に入った別の分隊がたまに声をかけると、ビクッとして椅子の後ろに隠れているのもである。

 

訓練中、ブレウは周りには聞こえないよう、小さな声で言った。

 

「どうですか、調子は」

「まあボチボチってところかな。ちょっと以前より出力上がんないくらい」

「はぁ、それはボチボチではないですからね。やはり相当重症じゃないですか」

「でも、そうは見えないだろう?」

「見えるか見えないかは問題ではないんですよ。全く君という人は無茶をする……」

 

レドはブレウの小言を聞きながらも模擬戦やその評価を行っていると、時刻を知らせるラッパが鳴った。訓練場から人が消えていく。

 

隣を歩くリーンを見上げて、アコラスは尋ねた。

 

「そういえばネロとかは?何で訓練にいないの?」

「今日ネロちゃんとヴァイスくんは、課長補佐、じゃなくて課長からの指令で首都の警備の方に回ってるんですよ」

 

去年の暮れの第12地区の壊滅的な被害は建物の復旧は進んでいるものの、首都の治安悪化に深刻な影響をもたらしていた。憲兵や通常兵力のみならず、国家魔術師もいつも以上に動員されており、レドたちは首都とその近郊を担当する分隊として割り振られていた。

 

「ただでさえ人手が足りてないからなぁ」

「じゃあオレ戦うのは!?そんじょそこらの奴より強いぞ!」

「ダメだ」

「なんでだよ……」

「戦うのは俺たちの仕事ってこと」

 

ふて腐れるアコラスの方を向き、その頭をポンポンと叩いたレドは衛生局員の発言を思い出していた。

 

『アイリス、アコラスといいましたか……。検査結果でわかったことは、あの子達は正反対の特性があります』

 

『一方は異常な魔力子総量なものの、魔術として操作する才能がない。まるで、水の量が限界水位に達しているにも関わらず、放流する川を失ったダムのようです。もう一方は魔力子皆無な状態であるのに、その操作性を示す数値は桁外れでした。こちらも例えるなら、水が完全に枯れてしまった大きな川、といったところでしょうか』

 

『そして体に手を加えられたことが原因と見られる、アイリスの虚弱体質と、その反対のアコラスの尋常ではない身体能力』

 

『彼らの数少ない共通点はやや発育不良の外見と、それから……』

 

『これは仮説ですが、アイリスは魔力子を取り込めば取り込むほど、アコラスは戦うことで、特に再生能力を行使すればするほど、今よりもさらに縮まっていくと考えられます』

 

 

 

§ § §

 

 

 

夕食後の自由時間。リーンやブレウは用事があるらしく、どこかへと立ち去った。そのため、再びレドとアコラス二人になったのだが、宿舎までの道中に突然アコラスは立ち止まった。

 

「どうしたー?宿舎に帰るぞ」

 

声をかけたにも関わらず止まったままなのに首をかしげていると、アコラスは口を開いた。

 

「クソババアにやられたところ、治らないのか。魔力子の循環がどーたらってやつ」

 

その言葉にレドは苦笑する。

 

「さっきブレウと話してたこと、聞こえてたのか」

「だってっ!」

「お前はそんな気に病む必要はないぞ。まだ治療中だし」

 

本当はもう治らないと言われていた。右肩の魔力子の移動経路と魔術行使の命令を送るための神経を損傷し、以前よりもうまく魔術を扱えない。

だが、レドはその事実をアコラスに伝えることはできなかった。

 

「だったら……、裏切り者、まだ見つかってないんだろ……?オレ、見つけるからさ!」

「……それで出歩こうとしてたんだな」

「そいつのせいで国家魔術師も偉い人もいっぱい死んで、お前らが大変なんだよな!?オレも役に立つから、役に立たないといけないから……!」

 

強迫観念にかられるように話す少年に、レドは静かに諭す。

 

「お前がアバドーンのことで教えてくれた話は十分役立ってる。今はもう頑張らなくていいんだ。……本当はお前も、アイリスも、こんな基地よりかは別の、もっとのんびりできるところにいた方がいいんだろうけど」

 

アコラスは納得いかない表情ながらも頷く。

 

「わかったよ……」

「あと、扉は壊すなよ?」

「……ちっ」

 

 

 

アイリスとアコラスが暮らす部屋までつれていくと、先客がいた。

 

「やあ、アコラスくん」

「さっき、ちょうどアイリスが起きてた」

 

ニコニコと笑うヴァイスと眠そうなネロである。

 

「え、ほんとか!?」

 

ネロの言葉にぱぁっと顔を明るくして駆け寄るも、直後ヴァイスに警戒した様子を見せた。

 

「お前アイリスと何話してたんだよ」

「何って、うーん、雑談?特別なことは話していないと思うよ」

「ネロは聞いてたよな!」

「覚えてない」

 

レドはニヤニヤと言う。

 

「ほほう、嫉妬か~。実際どうなんですかねヴァイスくん、アイリスのことは」

「僕は胸のある女の子が好みだから、それはないかな」

「冗談に対して突然反応に困るマジな発言をぶち込まないでほしいんだけど」

 

このあとアコラスが喧嘩を売るもどこ吹く風といったヴァイスに、ひとしきり笑っていたレドだが、気がつくと消灯時間になっていた。

 

「早く寝ないと身長伸びないぞー」

「う、うるせー!……ちっ、嫌いだ、お前らなんて!」

「はいはいおやすみ」

 

怒っているものの、先程と比べて元気そうなアコラスを見てレドは思った。

 

せめて、この少年にとって楽しく賑やかな日々が続きますように、と。

 




私はTSとおっぱいとパンツ(パンチラはNG、シュレディンガーの猫、あるいは雨夜の月派)が好きなんですが、ショタは別に性癖じゃないんですよね。おかしいなぁ。
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