ONE PIECEで四皇打倒RRTA 作:アカン
さあ続きやってくぞい!
モーガンが倒れると、イベント映像が始まりました。毎回ボスが倒れるとこうなるのでしょうか。
倒れ付すモーガン、血まみれの海兵、ベロローくんは息も絶え絶えになんとか立っています。
周りには他の海兵達。彼等は積極的にはモーガンに与せず、しかしベロローくんの味方にもならなかった人達です。彼等は心配そうに怪我人に近づこうとして、しかしベロロー君の姿を見ると恐怖に足が竦んでしまいます。
「お、おい。何やってんだよ。早く助けないと」
「で、でもよ。あの人が怒ってるように見えて……」
「あ、歩き出したぞ」
ベロロー君、斬られた箇所を押さえながら付近の海兵に近づきます。その海兵は、とても恐怖しながら、逃げませんでした。
「リッパー中佐、早く怪我人の救助をお願いします」
「あ、ああ。お前等、何をやっている! 早く怪我人を医務室に運ぶんだ!」
ベロローは少佐だったから、この人は上官かな。モーガンが倒れてベロローが一番偉くなるかなとも思ったが、そんなことなかったぜ。リッパー中佐は介抱を手伝おうとして、しかしその前にベロローの方を見ます。思いつめたような表情です。
「君の気持ちも分かる。自分にはできないことをやってのけたと賞賛したい気持ちもある。しかし、これはやりすぎだ。君ならもっと上手くやれると思っていた」
そう言うと目線を外し、介抱へ向かいます。
うむ、やはり海軍的にはモーガンはともかく他の海兵を攻撃するのはまずかったか。赤犬もけっこう批判されてるしな。でも経験値得られたから問題なしよ。
と、イベント終わりのようです。ベロロー視点に戻りました。
彼も体力ゲージが3分の1程に減っています。医務室で回復させましょう。途中で海兵とすれ違います。
「やったー! モーガンが倒れたー!」
「これで解放されたんだー!」
ワンピースっぽい、勝利の後の宴会的な雰囲気。いいなあこういうの。
さらに歩いているとヘルメッポが現れた。手に銃を持っている。しかしその手は激しく震えている。
「お、お、お前! 自分が何やったか分かってんだろうなぁ! ひぇっ、ひぇっ。い、今のお前なら、俺でも殺せるぞ!」
喋っているうちに、俺も銃を取り出し、一、二発撃った。当てていないが、ヘルメッポは白眼を剥いて倒れた。しかも漏らしている。まあ、この程度の男だわな。当ててもよかったかもしれないが、いずれガープ派閥に入る仲間だから生かした方がいいだろう。
医務室に付くと、ベロロー君が強制的に気絶しちゃった。一定以上のダメージを受けるとこうなるみたいだ。VR的には分かりにくいが本人は死に掛けだったのかな。体力ゲージ3分の1で死にかけか。
さて、画面の暗転が終わり、目覚めました。体力ゲージは半分くらいに増えています。医者、有能。
「ベロロー少佐、どうします? 本部への報告は」
「そりゃあもちろん、反逆者モーガンの罪状を包み隠さず報告すればよかろう」
「ですね!」
石造立てること自体おかしいし、それを傷つけた部下を斬るのも、ちょっと腹立っただけで部下を斬るのも、当然犯罪だ。やつは禁固刑になるだろう。俺は、たぶん無罪。いけるはず。無理っぽくてもガープに頼み込めば余裕でしょ。
「君、傷はいいかね?」
「リッパー中佐!」
リッパー中佐がベロローが寝ているベッドの横に立ちます。
「まずは改めて感謝しよう。ありがとう、この町を救ってくれて。そして謝罪させてくれ。私は中佐という立場でありながら何もできなかった。モーガン大佐の横暴を見てみぬふりするだけだった。結果、君に重荷を背負わせてしまった」
「いえ、大したことではありません。私も衝動的に戦ってしまったようなものですから。本来ならもっと穏当に解決しなければならかった」
「うむ。その件についてだが、今回はモーガン大佐討伐の功績で2階級昇進、しかし余計な害を出したことで1階級降格とする。結果として昇進階級は1つだ」
あっ、そういうマイナスが出るのか。……うーん、やっぱ味方の被害を減らした方がよかったか? TA的にも階級上げて自由度高くなるとありがたいしなあ。
しかもさ、2階級昇進だとちょうどこの基地で一番偉くなるから、やりたい放題になるじゃん。モーガンみたいなことはしないけど、いやモブ海兵にとったらもっと酷いかもしれないけど、経験値稼ぎのために海に出てさ。ルフィを追いかけてバギー、クロ、クリーク、アーロン等とも戦えるわけじゃん。急いで戻ればガープ到着には間に合うでしょ。もったいない。
でも、こんなに簡単に階級上がるんだったら、まだ取り返せるかな。コビーも2年くらいで准将になったわけだし、この世界腕っ節があれば大将もすぐだ。TA的には自由な中将が一番いいのだろうけどね。
「モーガン討伐は君の判断ではなく私の命令だったことにしてくれ。そうすれば少しでも君の責任を減らすことができる。では、これを」
リッパー中佐、部下の責任を被るなんて立派な上司! なんか紙を渡されたけど、始末書みたいだ。やっぱ悪いことしたら書かないといけないんだね。
始末書はベロロー君が勝手に書く仕様みたいだ。時間が削られてしまってTA的にはマイナス。体力も若干減っている。若干だけどね。やっぱ経験値目当てに被害を出すのはよくないのか?
始末書を書いていると、モブ海兵が叫びながら走ってきた。
「た、大変だー!」
「なんだ一体」
書きながら聞き耳を立てる。
「な、何者かが! 海賊狩りのゾロを逃がそうとしています!」
「なにぃ!」
ほう、その時期なのか。やはり初プレイだけあって、海軍ルートもルフィの冒険と時間を合わせてるみたいだね。逆に意味もなくシェルズタウンスタートだったらおかしいわ。
となると、正規ルートだと海兵を医務室に届けた後に一端逃げて、ルフィと合流してモーガン倒すのかな? まあ、ルフィが来る前にモーガン倒しちゃった方が経験値的にいいだろうけどね。余計な被害を出さなかった場合は2階級昇進も狙えたわけだし。
「でもゾロって言やぁ坊ちゃんが……、あのバカ息子が勝手に捕まえただけだろ? 逃がせばいいじゃねえか」
「でも恨まれて逃がした途端攻撃されたら……」
モブ海兵はあれやこれや言い合う。
「私が向かおう」
リッパー中佐は立ち上がり、現場へ向かった。俺も行こう。もし戦闘になったら経験値おいしいし。
「君は休んでいればいい」
「大丈夫です。戦えます」
「戦いにはならんと思うが」
「万一のためです」
「そんなに信用ならんかね? 我々が」
「再度言いますが、万一のためです」
「もういい。そこまで言うなら勝手についてこい」
リッパーの評価が下がった気がするが、まあ階級に関わらない分ならいいだろう。俺は経験値が欲しいんだよ!
ゾロを磔にしている区画。そこにはルフィと小さな女の子がいた。区画の塀の外側にはひょっこり顔だけのぞかせているコビーもいる。
「あ、海兵さん! 目つきの悪いお兄ちゃんは何も悪くないんです!」
女の子の説明が始まる。ヘルメッポは凶暴な犬を飼っている。その犬が女の子を襲おうとした。ゾロは女の子を庇うために犬を斬った。それでヘルメッポに恨まれ罪を押し付けられ、何も食わず30日間生き抜いたら無罪にすると言われたらしい。原作通りだな。
「よし。君達、縄を外してやれ」
リッパー中佐が言う。モブ海兵はややビビッている。
「よ、よろしいのですか?」
「いいからやれ! いちいち恐れるな!」
「は、はひっ」
モブ海兵がいそいそと縄を外す。ゾロは解放された。ルフィは何もやることがなかった。
「本当にいいのか? あのバカ息子はモーガンとかいうやつのガキなんだろ? 逆らって大丈夫なのか? って、俺が心配することでもねえんだが」
ゾロが尋ねる。まだ俺が起こした事件については知らないらしい。
「モーガン大佐は、既に倒れた」
「驚いた。ここの海兵にもちったぁ骨のあるやつがいたんだな」
「謝罪の意を込めて食事といくらか金銭を渡してもいいが」
「ありがてえ。腹が減って困ってたところだ」
リッパーはルフィに顔を向ける。
「君は?」
「おれはルフィ。海賊王になる男だ!」
来たあああああああ! この発言!
海兵達はギョッとどよめく。せっかくゾロとの話し合いが穏当に進んでるのに、油断したところへ戦闘の流れになった。これは辛いだろう。幸いルフィは見た目弱そうだけどね。実際は強いから何も幸いじゃないが。
「き、君は海賊なのか?」
「ああ、今日なったばかりだけどな。仲間はそこのゾロだけだ」
また海兵達がギョッとする。ゾロもギョッとする。笑える所だよね。
「はあ!? さっき断っただろうが!」
「断る!」
「はあ!?」
「お前が断るのをおれは断る!」
「なんだそりゃ! 勝手過ぎるだろ!」
漫才が続けられる中、海兵は動けない。だが、俺は動くぞ。経験値を求めて。
「オラァ!」
「ぐっ、卑怯だぞ!」
ルフィに不意打ちで切りかかる。が、すんでの所でかわされ、致命傷にはならなかった。速い!
「海賊なら、捕らえるだけだ」
「チッ、分からず屋め」
ルフィはピョーンと飛んで距離を取る。ダメだ速すぎる。追いつく前に相手の攻撃が。
「ゴムゴムのー」
あっ、この構えはピストル!
「ピストル!」
やっぱピストルだった。自称弾丸より速い拳のピストル。本当に速いかは不明。だけど予備動作が大きいから、来ると分かってりゃあ避けられるんだよなあ。しかも手が伸びてるから、斬れる!
「ぎゃああああ!? 斬られたぁああああ!?」
「腕が伸びた!?」
「それを斬った!?」
ルフィがダメージに驚いて叫び、海兵達は伸びたことと斬ったこと両方に驚く。初見殺しのゴムゴムのピストル。ふつうは反応できないだろう。しかし俺にとっては初見ではなかったのだよ。
俺はさらに追撃。だが、ルフィは逃げた。すっごい跳躍と腕を伸ばしてターザンロープ、さらには長い腕の収縮で飛んでいく。いや、本当にガチで逃げてるな。画面の外へ消えやがった。
革命軍は海兵に挑む連中だが、海賊は自由に生きたいだけで海兵と戦うことが目的ではない。だから海兵に見つかると逃げる者も多い。ルフィ達は特にそうだ。逃げることが恥とかそういう概念はあまりないのだろう。たぶん。
うーん、この戦いで経験値もらえたのだろうか。もらえなかったら意味のないイベントになっちゃったな。いや、逆か。この逃げていくルフィを追いかけるという名目で、海に出られるかもしれない。
「リッパー中佐、どうします?」
「ふむ。見たところ危険な感じはしなかったが、堂々と海軍基地に入り海賊を名乗り、あの悪魔の実の力で逃げた実力は本物だ。町で悪さをしてないか、巡回しておいた方がいいだろう。よし、動ける者は捜索に当たれ」
よし、追いかけていいという命令が出たな。この隙に海に出るぞ。
「船を出せ。海賊を追いかける」
「ベロロー中佐。しかし、町を巡回するという話だったのでは?」
「海賊なら海に逃げるのが基本だ。昼間は隠れて夜に奇襲してくる可能性もある。我々は周辺の海を警戒に当たる」
「そういうことでしたら、了解です」
ほっ、よかった。若干強引だけど説得できた。あとはルフィが出てくるまで待つだけだ。体力が半分減ってるから休息しとこう。
軍艦に乗り、休息ボタンを押す。画面が暗転した。
「ベロロー中佐! ベロロー中佐! 例の男の小船が見つかりました。いかがしますか?」
俺は寝てるだけで部下が見つけてくれる。やっぱ権力はいいなあ。
「うむ、やはり海に出たか。いかがしますかって、そりゃ追いかけるに決まってんだろ?」
「それが、リッパー中佐からは見逃してもいいと。それに、船には麦わらの男だけではなく、ロロノア・ゾロも乗っています!」
海兵は絶望したような表情だ。ロロノアの名はそれだけ知られている。そして麦わらの男もえたいが知れない実力を持っている。俺達だけでは厳しい相手だろう。だが、こいつらの不安なぞ俺にとってはどうでもいい。
「追いかけろ」
「は、はっ!」
モブ海兵は涙目になって敬礼した。うむ、これが権力だ。
「中佐、大砲の準備整いました! いつでも撃てます!」
砲兵はやる気みたいだな。安全なところから一方的に攻撃できると思い込んでいるから強気にもなるのかな。
「ようし、そのまま待機だ! この距離を保ったまま、追いかけ続けろ!」
「えっ」
だが、この世界の一定以上の強者にそんな常識は通用しない。砲撃はルフィのゴムによって跳ね返される。万一それで被弾して船が沈没したり航海できなくなったらどうする? とんでもない時間ロスだ。かと言って接敵するのはなお悪い。ルフィ一人でも勝てる可能性低いのにゾロまでいたら絶対に負ける。ここはただ追いかけるのが正解なのだよ。さて、俺はまた休息を取ろう。
「ベロロー中佐、何を考えてらっしゃるのか」
「自分で戦いたいんじゃないか?」
「そうだな。モーガン大佐と戦うときも、わざわざ命令に従わざるをえなかった海兵を斬ったんだ。間違いねえよ。こんな戦闘狂だとは思わなかったが」
部下の評価が落ちている気がするが、関係ねえよ。階級さえ上ならこいつらは従うんだからな!