~???視点~
「私は何がしたかったんだろうな……」
自分が何を思ってこうなったか、どんな過程でこうなったか、そんな彼方へと忘れ去った記憶を思い出そうとしては諦める。
かつて人であり、自分を犠牲にして願いを叶えた。その筈だった。
だが、蓋を開けてみればどうだ。その願いは長い年月を経て思い出すことすらできない。要は、その程度だったということだ。
一時の感情で人であった時の生活を捨て、己の願望を優先した。
その末路が、この様だ。
渇望にすら届かない、矮小な願いを持った無知蒙昧だったころの私に言ってやりたい。何故、そんなことをしたんだと。
「……はぁ」
そして、今日も自分の役割を果たす。幾億年とやり続けた行動は、目を瞑ってでもできる。そして、そんな長い時間やっていた為か、この行動の意味すら分からなくなった。いや、やる意味はわかる。
だが、何故私がこんなことをしているのかが記憶になかった。
無機質な瞳を対象に向けながら、作業をしていた。
その時、有り得ない存在を見た。
私が今、居る場所は人間の魂が到達するには私の手助けが必要である。
そうでないと、辿り着くことが不可能な筈だった。
だが、そこに存在する魂は迷い込んできたのだ。
しかも自我を失うことなく。
「ねえ、そこの貴方」
「……」
話し掛けてみたが、何かを考えているのか返答はない。
その魂の心を覗いてみることにした。
あの塵を、人間に劣る、意思も持たない屑共を。惨たらしく殺して見せたあの感動を、永劫味わい尽くしていたい。
「……へぇ」
これはこれは……。彼の思考は自分を辱しめた魔女の手下を殺した記憶で止まっていた。いや、正確には殺した瞬間を壊れたビデオテープのように再生している。
そうやって、1つの願いを。いいや、死ぬ間際の願いを元に自我が消えるのを何とか防いでいた。この状況で、正気を取り戻したところでこいつは多分、何もかも忘れているだろう。ただ、1つの出来事以外は。
「……丁度いいな」
こいつの、
利用するには丁度いい。
多分、いまからやることは外道と言われても可笑しくないことだろう。
だが、私はもう耐えられないのだ。故に、使わせてもらうぞ。その執念。
私は誰に向けたのかも分からない言い訳を胸に、その魂へと手を伸ばした。
♢♢♢♢♢
あるものは普通であるがゆえに輝きを求めた。あるものは自己嫌悪により慈愛の心を羨んだ。またあるものは諦観からか飽くなき意志を妬んだ。
そうして様々な人の意志が混ざりあい、舞台は進み続ける。
だが、手掛けた脚本家の手から離れ、混沌とした舞台。
どうなるかは
さあ、開演の時間だ。