一般人の行くまどまぎ世界   作:エスカリボルグ

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第2話

~???視点~

 

「……ん? ここは一体……」

 

気が付くと私は不思議な空間にいた。先程まで何かを思い続けていた気がするが、それも思い出せないでいる。

まあ、思い出せないならば仕方ない。私は辺りを観察する。

 

周りには何もなく、何処までいっても白い場所で、私はテーブルの前にある椅子に座っていた。向かいにも一つだけ椅子があり空席で誰もすわっていないが、その席の前にネームプレートが置いてある。

ネームプレートの文字を見てみたが、見知った日本語に見える筈なのだが何故か読むことが出来なかった。

 

「やぁ」

 

私がネームプレートを凝視していると後ろから声をかけられた。

振り向くとそこには、綺麗な……。いや、綺麗ではあるのだが、どこか人形めいた女性がいた。

女性はネームプレートのある席に座り、話し出す。

 

「さてと、何から話そうかね」

「……なら、自己紹介でもしますか?」

 

私がそう言うと彼女は笑いながら否定してくる。

 

「自己紹介ね。それはお互いに名前が聞ける状態ではないから不可能だと思うがね。言ってる意味が分からないなら名前を言えるか試してみたまえ」

 

私は彼女の言う通り名前を言おうとすると、喉から声が出なかった。

いや、正確には頭の中に私自身の名前が浮かんでこなかった。

これはどういうことなのかと困惑していると、彼女が説明し出す。

 

「名前が出なかっただろう? それは、仕方ないのだ。何故なら君の記憶は根こそぎ消去したからな」

 

……その言葉を聞いて、私を背筋が凍るような感覚がおそった。

確かに彼女に言われた通り思い出そうとするが、親の名前所か自分の名前すら思い出せないのだ。

 

「それに私の名前だって聞き取れないぞ。なんなら聞いてみるか?

私の名前は○○○○だ」

 

彼女が発した名前は、何故かノイズがかかり聞こえなかった。

 

「ふぅむ。まあいいか。とりあえず本題に入るとしよう」

「……本題ですか?」

「ああ、そうだ。少し痛いかもしれないが我慢してほしい」

 

そういって彼女は自らの服のなかに手を突っ込んで、発光している謎の塊を取り出した。そして、それを泥団子のように捏ねて丸めると私に向かって投げてくる。

いきなりのことで咄嗟に、腕で頭を防御したが腕に当たった瞬間、私の腕に吸い込まれてしまった。

 

「私の持つ力で物質想像がある。それをお前にくれてやる」

 

力とは何だという疑問があるが、それよりも自分に物質創造なんて普通はない超常の力が手に入ったと聞いて、喜びの感情に埋め尽くされた。

 

「まあ、これで引き継ぎの準備も終わったな。では、そろそろ始めるとしよう」

「始めるって何をです?」

「ん? 言ってなかったか。いわゆる、神様転生ってやつだ」

「転生というと仏教の?」

「まあ、元々はヒンドゥー教の考えだが、概ねその認識で違いはない」

「はぁ……。話の流れから察するに私が転生するのですよね。何故、私なんですか?」

 

そう言うと彼女はにっこりと笑い、そしてこう言った。

 

「それはもちろん私の生を終わらせるためだ

「……は?」

 

いきなり何を言っているんだ、この女は。

 

「理解していないようだな。言い直そうか、私を殺してほしい」

 

……つまり、彼女は私に殺されたいと言っているのか?

 

「ふざけるな、死にたければ、勝手にくたばれ」

 

私はあまりの彼女の身勝手さに怒り、敬語を外したが、彼女は笑顔のまま続けた。

 

「それじゃあ駄目なんだ。ただ、無駄死にするなんて御免なんだよ」

「私が何でそんなことをしなくちゃならない」

 

彼女の台詞に対して睨みながら返答すると急に背筋が凍るような感覚を襲った。それは、多分、殺気と言われるものなのだろう。

 

「ならこうしよう。私を殺せ。さもなくばお前を殺す」

「……」

 

そのあまりにも身勝手な言葉に腸が煮えくり返る。

 

「じゃあ今度こそ始めるぞ。お前をこれから、ある世界へと送る。そこでは魔女と呼ばれる化け物が人を襲い食らう世界だ。お前はそこで、ある期間まで鍛え続けろ。私と同等の強さになったと判断したら呼ぶ。その時こそ、楽しい楽しい殺しあいの時間だ」

 

そう言って彼女が、私の下に魔方陣を作った。

その魔方陣は、段々と上へと上がり私の体を飲み込んでいく。

 

「……その首洗って待ってろ。綺麗に切り落としてやる」

「ふふふ、待ってるよ」

 

そうして、魔方陣に飲み込まれていく私が最後に見たのは、彼女の笑顔だった。

 

 

♢♢♢♢♢

 

~女神視点~

 

「……行ったか」

 

やっとだ、やっと死ねる。消え去っていく魔方陣を見ながら、私はそう思う。ここまで来るのに長い年月をかけた。

長い生を続ける中で、この結論を出すのに随分時間をかけた。

 

「死にたい。なのに無駄死には嫌だか……。ふふっ」

 

なんとも身勝手なこの様に自嘲する。

 

「結局のところ、私はそういう人間でしかないのだ。一人で死ぬことすらできない。弱い弱い、小さな人間でしかない」

 

それでもだ、私はもう生きることに希望を見出だせない。

だからこそ、お前には期待しているぞ。次代の神よ。

 

 

 

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