一般人の行くまどまぎ世界   作:エスカリボルグ

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ブラボでの犬はほんと糞だと思う(半ギレ)
でも脳喰らいの方がもっと糞だと思う(マジギレ)


第5話

~夏逢視点~

 

彼女の後を付いていくと、だんだん周りがおかしくなっていった。

まず天井が鉄筋コンクリートが剥き出しだったのが、巨大な網のようなものがかかった。それから、絵の具を塗るように暗くなっていく。灯りが一切なく夜のように室内のはずが星が見える。

……これが魔女の力か。

星明かりしかないから周りが何も見えない。

私はサングラスをポーチの中へしまい、M686を両手に持つ。

そして、警戒して初めて気が付いた。つけていた女性以外に人が増えていた。大人や子供、男女問わず沢山の人がいた。

こんなに、沢山の人を何に使うつもりだ?

簡単に思い付くなら捕食の為だと思うが……。結局のところ、見なければ話にならないか。

 

そう思案していると、動きがあった。暗闇から数多の怪物が出てくる。

そいつは、頭が星のように煌めいている真っ黒な犬のような姿をしていた。パッと見ただけでは周りと同化しており、凄まじく見えにくい。

 

こんな暗闇の中で背景と同化するような化け物……。つまり、この空間は魔女が作り出したテリトリーということか。

この空間が暗いことに納得しながらも、私は犬が何時襲いかかってきてもいいように回避する姿勢をとりながら、銃口を向ける。

 

その体勢で犬を観察していると、犬が人間を食べ始めた。

やはり捕食の為か。そう思っていたが、人間を食べた犬が段々と膨らみ始める。大きくなっていく犬は車程の大きさになると、動きを止めた。

そして、口から同じ形の犬を吐き出した。

 

「成長……。捕食……。いや、人間を化け物に作り替えた、が正しいか……?」

 

つまりは、この化け物は人間を化け物にするために操って捕まえていたと。……なるほど、なるほど。

 

「……死ね」

 

気付いた時にはもう撃っていた。化け物に対する嫌悪と憎悪で頭がいっぱいになり、引き金を引いていた。

銃弾は回避の暇を与えることなく、化け物の頭を貫通する。

そして、化け物が一匹死んだことにより、操られていない人間がいることに気づかれた。犬共は直ぐ様私に襲いかかってくる。

 

「……ちっ。思ったよりも強いな」

 

犬を基点に円を描くように回避しては銃を撃つを繰り返す。

こうすることにより武道の嗜みなどない私でも簡単に回避することができた。

ただ、犬は思ったよりも速く動き回り、なかなか銃弾を当てれずにいる。その現状がもどかしいが、ここで急いてはただの人間でしかない私では、簡単に食い殺されるのは明白。故に、焦らず、冷静に回避し続けなければならない。

 

こうなっては犬との根比べだな。

 

だが、一見して互角に見えるが辺りが暗いため犬のほうが有利である。そのせいか、ただでさえ当てにくい銃弾が尚更当てにくくなっている。

 

そういう不利な現状に苛立っていた為か、ミスを犯した。

 

「アッ?! ガアアアァァァッ!!??」

 

銃を持っていた筈の左腕から急激な痛みが襲い、思わず大声をあげる。

犬から目を離さずに痛んだ左腕を見ると、そこには肘から先の腕は()()()()()()()()()

それを確認した途端、自覚したことにより更なる痛みが私を襲う。

 

「ハァ、ハァ。くそがっ!」

 

悪態をつきながらも回避に徹する。

だが、片腕を押さえながらなので銃で撃ち返すことも出来ない。

このままでは死ぬ。間違いなく食われて死ぬ。

 

……どうする。どうすればいい。

体力は減り、片腕を食われ、銃を構える暇すらない。

 

いや、悲観しているだけでは私の未来は死しかない。

 

考えろ。考えろ。考えろ。

所詮、この身は物質創造なんて力を手にいれたことを覗けば凡人に過ぎない。怪物を力で捩じ伏せることも、話術で人を圧倒することもできない。この身にできることは思考することだけだ。

 

物質……。腕を創れるか? いや、できるはずだ。血を、骨を、肉を、細胞から細胞まで、私の腕を構成する物質を想像しろ。

私にはやれる。やれるはずだ。

 

そう考えると、左腕の切断面が発光した。眩い光で視線を遮られるが、止めることなく犬を見続ける。

だが、やつらは攻撃してこない。この光だって人の目を遮り回避が困難になる状況だ。そんな、絶好の機会を前にして奴等は動かない。

否、動けずにいた。犬共は光を見て苦しんでいるのか、呻き声をあげて後ろに思い切り退避する。

 

そこに勝機を見出だした私は笑いながら叫ぶ。

 

「貴様等は()()が苦手なのかっ!」

 

私は腕が再生している最中、ある一つの武器を造り出す。

それは、本来なら殺傷能力もなく、鎮圧用として使われる道具だ。

私はそれのピンを抜いて放り投げる。そして、サングラスを掛けて両手に銃を持ち、くるはずの衝撃に備える。

 

そしてフラッシュバンが爆発して、黒板を爪で引っ掻いた用な音の大音量と目を開くことすら許さない暴力的な光、更に殴られたかのような衝撃がこの空間全体を襲う。

 

「見えたっ」

 

私はサングラスをかけたことにより化け物よりも早く視力が回復した。

化け物共は光だけでも苦しいのに、近距離からの衝撃だ。

立ち上がることすらできずにいる。

 

素早く銃を構えた私は奴等に向かって弾丸を撃ち放つ。

衝撃と光に苦しんでいる奴等は回避行動をとれずに絶命していく。

先程は当たらなかった弾丸が今は撃てば必ず当たる事実が私に勝利を実感させた。

 

 

「ハハハ……。やったぞ、私は勝ったんだっ!!」

 

 

気が付くと無数の奴等の死体で辺りが埋め尽くされていた。

あまりにも簡単に屠れるものだから、時間を忘れる程に気分がハイになっていたらしい。憎き化け物を殺し尽くした今の私は、達成感で満ちていた。

 

「……ん?」

 

ふと違和感を感じた。減っている。先程いたはずの人の人数が少なすぎる。二十人近くいた人間が十人にまで減っていた。

 

……まだ、敵がいるのか? 否、いるはずだ。この空間の外に偶然で十人近くもでられるのか? あり得ない。そんな甘くない筈だ。絶対に敵がいる。

私は銃に弾を込めながら辺りを見渡す。だが、それらしい影も形も見えない。

それでも回りを観察していると、おかしな物が見えた。

一ヶ所だけ床が濡れているのだ。

水なんて、この辺に自然発生するわけがない。なら、あれはなんだ? 

 

そう考えながら水溜まりの上を見ると、そこには三本の手と二本の足のついた、巨大な毛玉のような化け物がいた。

 

 

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