「もう四月だけど寒いな…」
俺は無事三年に進級し小町も総武に入ることが出来た。そして今日は入学式。つまり小町の高校デビューの晴れ舞台。俺は調子に乗っていつもより早く家を出ていた。いつも通りの道をいつも通り通り過ぎていると丁度青信号が点滅しはじめたので俺は横断歩道の前で止まり、また青になるのを待っていた。その時
「待っていっちゃダメ!」
女性の声が後ろから響き後ろを振り返ると女性が転んでおり手には犬用リードを巻きつけているがその先には何もいなかった。
(…?犬がいない…?)
その先にいたはずの犬を探しているとその犬は俺の真横を通り過ぎ道路へ飛び出していた。歩行者用の信号は未だに点滅して車用の信号もまだ赤だから大丈夫。大丈夫のはずなんだが
(なんか胸騒ぎがする…)
その予感が的中したのかトラックが止まる気配もなく犬に向かって進んでいた。
(っ!?まずい!間に合え…!)
俺は走り出し、なんとか間に合い犬を抱きかかえる。
(…あれ…デジャブ?)
そんなことを思っていると衝撃が俺を襲い俺は目蓋を閉じた。
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「知らない天井だ」
人生で一度は言ってみたいセリフを言えたことを噛みしめながら周りを見渡した。真っ白の部屋に俺が転がってるベッドそして点滴やら心電図やらが置いてあった。どうやら病院にいるらしい。いるらしいのだが
(どう考えても普通の病室じゃねえな)
あまりの高級感にちょっとびびりながら、なんでこうなったのか思い出していた。
(確か…いつもより早く家を出て…それで…そうだ犬が飛び出て俺も飛び出したんだ。それでトラックにはねられたのか…学習しないな俺)
一年の時の入学式のことを思い出し少し自分に呆れる。
(けどあの犬はどうなったんだ…?無事ならいいが)
その時病室の扉が開き、
「目が覚めたかね比企谷君」
白衣を纏った男の人とナースらしき人が入ってくる。おそらく俺の担当医なんだろう。
(担当医の人か…)
「では早速容態だけどトラックに轢かれたにしては軽傷だ。腕と足が折れているがそれ以外は特には異常はなかったよ」
先生が容態を話していく中でその時に初めて自分の怪我に気付く。
(やべえ犬のことで頭いっぱいで全然気付かなかったどんだけ馬鹿なんだ俺)
「あ、あの俺と一緒に犬といたも思うんですけどその犬は…?」
「…ああ…わんちゃんなら無事だよ気にしなくていい」
(良かった…とりあえず安心だな。だけどこの怪我なら3、4週間は学校に行けねえなぁ…せっかく小町の晴れ舞台なのに…)
「…それじゃあ安静にしてるんだよお大事に」
そう告げると病室から出ていった。けど気になることがあった。
(一瞬…一瞬だけどナースの人と担当医の顔が歪んだ…?)
気になり考えてみたが眠気が襲ってきたのでそのまま身を任せ深い眠りに入った。
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「…先生」
「ああ、彼は決まりだ。…彼の家族と友人に事情を説明する。確か妹さんがいたはずだ。その妹さんに近しい人を集めるよう言っといてくれ。」
「わかりました」
了承の意を告げ、ナースは走っていった。
「…しかし…後天的なサトラレとは…」
この日なんともない日常の中で物語の歯車が回り始める。