世良真純の視点の話。
「ママ。それは本当なのか!?」
電撃に打たれたような衝撃にボクは襲われた。だってそうだろ。今まで行方不明だった弟が日本に来ていると知れば驚くのも無理もないと思う。
「私の言うことが信用できないと言うのか!」
ママも多分、焦っているんだろう。約10年間ぐらい会ってないから今すぐにでも会いたいと思う気持ちが大きいのかな。ママは優星にぞっこんだったからな。それは家族の全員に言えることだけどね。
「いいや、そういう訳じゃないけど….」
あり得ないとは思わないけど….。
「確かな情報だ。死ぬ気で探し出せ!!!」
「分かった!」
毎度のことながらボクのどこがいいんだろう。男っぽいし女らしさの欠片もないのに。
でも、弟の優星にお姉ちゃんは可愛いよ。何て言われた時は心臓がドキドキして止まらなかった。弟にそんなこと言われてドキドキしちゃうなんておかしいとは思うけどそれでも私はドキドキしてしまった。
でもこの感情を抱いているのは私だけじゃなくて家族全員だと思う。だからと言ってその感情は絶対に家族に抱いちゃいけない感情だということは分かっているけどそれでも溜まっている。だって10年も会っていないから会いたいという感情が溜まりに溜まってもう抑えられない。
そんなことを考えていると遠くからある男子が近づいてきた。
「こんなところに呼んでごめんね!」
「いいよ。それでボクに用って何?」
「うん。……あなたのことが好きです!僕と付き合ってください」
その人はボクに向かって頭を下げてこちらに手を伸ばしてきた。
「ごめんね!ボクには好きな人が居てね。だから君の想いには答えられない。悪い」
今でも行方不明の弟のことを待っているなんて言ったら笑われるかもしれないから言わないけどな。
「そう…..なんだ….」
それだけ言って男子はボクと反対方向に歩いて行った。
「本当に………ごめんな」
いつかはこの気持ちにも答えを見つけないといけないな。
それからしばらく考えた後、ボクも彼と同じように歩いて行った。
●ファストフード店 園子 世良side
「さっきは待たせて悪かったね」
「大丈夫だよ。それより今回も世良ちゃんは振ったの?」
「うん。気持ちがないのに付き合うのも悪いしな」
罪悪感がない訳じゃないけどそれでも……
「じゃあ、世良ちゃんには好きな人とかいないの?」
「いないかな」
心を騙すのはあまり気が進まないけど仕方ないことだからね。
「世良ちゃんは男女共に人気があるから告白を数えきれないほどありそうだけどそこら辺はどうなの?」
「確かに告白はあるけど別に多い訳じゃないと思うけどな」
一日に一回だけだから。
「いいな~~~~私なんか告白された経験なんかそんなにないのに…..」
「そんなにいいものじゃないよ。だって自分はその気持ちに答えられないのは分かっているからこそいつも罪悪感に押しつぶされそうだよ」
「確かにね。その感じだと好きな人いそうだしね」
「いないよ!!!」」
「必死に抵抗するその感じが好きな人がいるって教えているものだよ」
園子くんは少しニヤニヤしながら言っている。これは面白がっているな。
「別に///」
「世良ちゃんがこんな乙女の顔をするなんてその相手は一体どんな人なの?」
「だから好きな人なんかいないって!!!!!」
珍しく大きな声をあげてしまった。
「でも、その態度が好きな人がいるということは証明している!!!!」
園子くんは立ち上がりボクの方を指をさしながら言った。
「……………」
図星を付かれて否定する気も失せてしまった。人って適格につかれると固まってしまうんだと初めて知った。
「もう黙っちゃうとそれはいるよと言ってるようなものだよ」
「….いるよ……」
私は久しぶりに自分でも顔が赤くなっているのを感じた。認めるのがこんなに恥ずかしいことだとは思わなかった。今、思うとよくさっきの男子が私に告白してきた時、少しもじもじしていた理由が分かった気がする。
「やっぱりね。最近の世良ちゃんはなんか前の世良ちゃんと違ったんだよね。なんか恋する乙女な感じかな~」
「そんなに変わった?」
「うん。変わった。世良ちゃんと一緒にいることが多かったから分かりやすかったよ。なんかボーッとしている事が増えたしね」
園子くんには全て見破られていたとは……。
確かにママに優星が日本に帰ってきていると知ってからはずっと優星のことが頭から離れない。日本に帰ってきているのかさえ定かじゃないのに私は優星に会えることを楽しみにしている。
それからも園子くんに誰が好きなのと問い詰められた。