羽沢家の長女   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannnaです。

そろそろこの小説も佳境に入ったかなといったところです。この小説が完結し次第、次の作品を投稿する予定です(時間はかかりますが)。本編完結後は、思いついたネタやアンケートを中心にやろうかと思っています。今のアンケートは8/31いっぱいで締め切ります。その後すぐに、新しいアンケートを新設します。そちらも、回答お願いします。

そして、larkspurさん、グルーブロッソさん、お気に入り登録ありがとうございます。もうすぐ完結するこの作品が、未だに愛されていることが、何より嬉しいです。

では、本編を開始します。



【本編】夏狂殷辛(かきいんしん)

「…っ!速いな…っ!」

 

 

女性相手にこんなことを言う日が来るなんてな……なんて考えてはいるが、実際問題余裕なんて無いに等しい。戦闘経験でもあるかのような立ち回り。…アスリートでも相手にしてる感覚だ。

 

 

「あハハはハははは!!」バッ!

 

 

ただ、動きは単純だ。俺めがけて掴みに来る。時々顔だったり関節を狙う回し蹴りや拳が飛んでくるくらいしかパターンはない。ただ……

 

 

「一発でも喰らったら終わりな上にッ!周りに注意が行かないように立ち回らないといけないなんてッ!ジリ貧もいいところだろうなッ!!」

 

 

そう、読んで字の如くの状況なのだ。世間では、人間の脳が20%覚醒すると身体能力の著しい向上及び痛覚をはじめとした感覚の制限・遮断が可能になるとも言われている。それが果たして正しいのか、そんな実験例がある…なんてことはない。それ故、下手に攻撃に当たったり、腕を掴まれたりした暁には、無事に生きているかの保障なんて無いに等しい。

 

そして、こんな力を持っている(と考えられる)夏を、他の人に狙わせる事はつまり、ターゲットになった人の死を意味する。つまるところ、援軍なしで且つ攻撃に当たらず、自身にターゲットが行くように立ち回る必要がある。…はっきり言って、無謀にも程がある。俺もよくこんな依頼を受けたものだ。

 

 

「…おい!聞こえてるのか!?」

 

 

「あハははハはハハは!!」

 

 

…俺の声が聞こえていないのは、不幸中の幸いなのかもしれない。仮に聞こえているとしたら、ポッと言ってしまったことから墓穴を掘る、なんてことにはなりかねない。だが、そんなものはあまり足しにもならないような気もするが。

 

 

「ッ!来る!!」

 

 

「あハハハははハ!!」

 

 

足関節を狙った回し蹴り。いなす…ことは難しい。ここは片足は地面につけながら……もう片方の足まで来たらそっちを浮かして回避!両足を浮かせて飛ぶと、飛んでいるところに攻撃されかねないし、着地後の隙も多い。片足さえ地面についていれば、最悪どうとでもなる。

 

 

「次は……っと!」

 

 

顔面を狙ったフック。遠心力を利用した通常のパンチより幾分か威力の高いパンチ。これは横に避けて……!!…っていうか夏、こんな本格的に格闘技出来るのか…!?技1つを見ても、隙がほとんどなく、次に繋げる事を意識しているかのようだ。この状態でそれが出来るってのが怖いが……素面の時がどうなのかの方が考えただけでも怖いところだ……なッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あハハははははハハ!!」

 

 

「少しは…疲れても…おかしくないだろうにッ!!」

 

 

あれから5分近く経っただろうか。あれだけの狂人であろうとも、女性の体であり、そもそも人間である以上あれ程動いたのならば、疲れの1つを見せても良い頃合いだ。しかし、夏(狂人)はその素振りを見せない。それにだ、()()()()()()()()()()()()()()()ときた。

 

一方、こちらは疲弊を隠せないほどである。これが何を表すかというと……

 

 

「戦況が変わりそうにない…なッ!!」

 

 

疲弊による有利不利の変化は望めない、ということだ。行動パターンが特に変わらなさそうだということのみが、幸いと言わざるを得ない。…ただ、限界が来るのも時間の問題でもあるが。

 

 

「アははハはははハ!!」

 

 

そんなことなどお構いなしに、夏は攻撃をかましてくる。一発で気絶でもさせれる技でも習得していれば話は変わるのだが、生憎とそんな技は習得していない。

 

そんな一瞬の煩悩を脳内で払い除け、再び回避に専念する。こちらは疲弊の一途を辿っているが、あっちはまだピンピンしている。先程よりも、気が抜けなくなっているのが、現状だ。

 

 

「ここでッ!一生分動くことになりそうだなぁッ!!」

 

 

そんなことをしない方が集中出来るのだろうが、こんな状況に愚痴でも零さないとやってられなかった。…東さんに頼んだ人らが来る時間はまだなのだろうか?応援といっても、格闘とは無縁の一般人。今の夏には近づけれない。…支援は期待しないほうが、良いのだろうか。

 

 

「──伏せてください!」

 

 

刹那、誰とも知らない者の声がした。が、俺は自分の直感に従い、その場で伏せた。ちょうど、夏に隙ができていた瞬間だった。伏せた数刻後、俺の頭上を何かが素早く横切った。そして、小さくプスリと音を立てた後、人が倒れる音がした。指示に従ったはいいものの、隙を作ってしまったと焦り、すぐに体勢を立て直し、夏の方へと向き直る。

 

が、俺の視界に入ってきた情景は、俺の予想を裏切るものであった。一瞬自身の目を疑い、頬を叩く。痛みが頬に来る。…現実のようだ。

 

 

「夏が、倒れてる?」

 

 

そうして呆けている俺のもとに、数人の担架を持った人らが近づいてきた。東さんの応援が、この無謀とも言える攻防に終止符を打ったことに、たった今気付かされた。

 

 

「遅れてすみません…助かりました」

 

 

「いえ、こちらこそ助かりました。正直、あれ以上は凌ぎきれる自信がなかったので…」

 

 

ふと、担架の上にいる夏を見る。…成る程、あの時言ってた麻酔を吹き矢で首に当てたわけか。…狙って首に当てたのなら、相当な腕前だ。夏相手には、それ程の人員が必要だと踏んでの人選だろうか。

 

そんな考察を1人で繰り広げていると、さっきの人とは違う人が、俺に対して質問してきた。

 

 

「私達はこれから病院に向かいますが…白金さんも一緒に来られますか?」

 

 

「…行けるのであれば、行きます」

 

 

知り合いだからというのもあるが、俺個人として心配なのもある。関わるだけ関わって途中で去るのは、どうも歯切れが悪い。一度関わったのなら、せめて見届けるべきだろうと、俺は思っている。

 

その旨を伝えると、わかりました、と言い俺を救急車に乗せてくれた。その時に隊員が電話しているのが見えたが、恐らく病院か東さんだろう。そう思っていると、夏を救急車に運び終えたらしく、救急車は発進しだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[花咲川病院 ???]

 

 

「助かったよ、ありがとう」

 

 

「正直、ずっとヒヤヒヤしてましたけど…どうにかなってよかったです」

 

 

ところ変わって、俺と東さんは放送室らしき部屋に来ている。俺がこんな関係者しか入れないような場所にに来て良いのだろうかと聞いたところ、貴方は当事者で立派な貢献をしてくれたから問題ない、と言われた。ありがたい話ではあるが、それでいいのかとも思ってしまう。

 

 

「…それにしても、ここは何なんですか?それに、どうしてモニターが…」

 

 

そう、この部屋やここまでの道は、とても病院の中とは言えないほど暗く、頑丈なつくりになっている。夜になれば、幽霊の類が出てきてもおかしくはないだろうし、寧ろ出てきた方がっぽいまである。扉から感じた雰囲気をそのまま具現化した、といえばいいだろうか。

 

 

「…前も話した通り、あの扉の先は夏さん専用の治療室。…でも、それだけじゃないの」

 

 

もうあんな狂人を相手にしたから、もう並大抵の事では驚くまいと意気込んでいた俺は、次の一言で意気込みを崩されることになった。

 

 

「この地下エリアは…夏さん専用の治療施設もとい…研究施設なのよ」

 




ということで、第21話が終わりました。

今回はバチバチのシリアス回でした。恐らくこのままシリアスが続くかと思います。後、活動報告と前回辺りから言っていたアンケートも前書きの通り継続中です。活動報告につきましては、結構重要なので、目を通していただけるとありがたいです。

次回『望まぬ過去をもう一度』
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