羽沢家の長女   作:Cross Alcanna

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どうも、Cross Alcannaです。

前回はコラボ回でしたが、今回からはまたシリアス全開の本編です。もうすぐ本編も完結しますので、次回作もお楽しみ下さい。

そして、お気に入り登録:ダイキ・リハヴァイン提督さん、お気に入り登録ありがとう
ございます。まだまだ未熟者ですが、日々精進していく所存です。

では、本編を開始します。



【本編】偽りのモノ

翌日

 

 

[治療室]

 

 

「う~ん…っはぁ~…目覚めは良いのになぁ…」アハハ

 

 

朝になって良い気分で起きたけど、景観があまりよろしくないせいで…良い寝起きとは言えないという何とも言えない事になった寝起き。一応、しっかり寝れたんだけどね?

 

 

「時間は…6:26かぁ。いつもならここまでは寝ないから、ちょっと新鮮だなぁ」

 

 

仕事なり店の手伝いなりで何だかんだ早起きをしていたから、この時間でも私的には少し遅く起きたなぁという認識なのだ。あんまりこういうタイプって周りにいないよね。

 

 

「…さて、少しストレッチでもしとこうかな」

 

 

恐らく今日から検査が続くと思う。一応、あれを置いてほしいとかの要望は可能な限り叶えてくれるから、キーボードでも置いてもらおうと思ってるけど、そうなると体を動かす機会が減ってしまう。それは嫌なので、朝にストレッチをして、運動の変わりにしようって思ってる。

 

多分、病院が始まる前にやると思うから…あまり時間がないなぁ。よし、今のうちに済ませよう。

 

 

 

 

 

 

 

「…っと、これで一通り終わったかな」

 

 

10分くらい経った頃、私はストレッチを一通り終え、ベッドに横たわっている。一日分の運動をカバーしようと思ったため、結構ハードなものにしてみたけど…キツいね。ま、これから微調整すれば良いかな。

 

そうして考えを巡らせていると、放送が入った。

 

 

〔夏さん、おはよう〕

 

 

「おはようございます」

 

 

顔こそ見えないけれど、しっかりと挨拶を交わす。昔も含めてかなりお世話になっているので、感謝と申し訳なさを忘れない、という意味でもこの挨拶は欠かさない。…東さんの方は特に何も思わず挨拶してるとは思うけど。

 

 

〔じゃあ早速だけど検査を始めるわよ〕

 

 

その一言を境に、私達は質疑応答式の検査を始める。病院側の立場として、患者の検査は決して欠かしてはならないらしい。でも、私はこんなだから、近くで検査していたら危ないことこの上ない。あ、ご飯はしっかり運んでくれるよ。

 

そんなこんなで、あっちの安全を考慮した結果、私に対する検査はこういった形に落ち着いている。

 

 

〔…じゃあ今日の検査はこれで終わりね。何か要望はあるかしら?〕

 

 

「あ、キーボードをお願いしたいんですけど…私の家のって…持ってこられますか?」

 

 

〔キーボードね。分かったわ、今日自宅から持ってきて貰うから、明日にはそっちに置いておくわね〕

 

 

東さんのその一言を聞いたところで、放送は切られた。…今更ながら、厚かましいことこの上ない頼みだった。それでも、何も無い状態で過ごすのは、それはそれでストレスになる。それを東さんも想定して了承している。

 

…とはいえ、今日は何も無い状態で過ごさないといけないんだけど。

 

 

「…そういえば、()()…ズレてないかな?」

 

 

そういえばと思い、左目の方を触って確認する。…実はというと、私の左目は前に一度この症状が出た時に()()()()()()()()()()。あの時はまだ麻酔もなかったため、狂人みたいになったままこの治療室に入れられた。そんな自我の無い状態で、私は左目を潰していたらしい。

 

東さんから聞いたことだから、恐らく事実なんだろうけど…私が覚えていないのと、その時に近くに誰もいなかったせいで、本当なのかどうかが証明できないのも、また事実。

 

 

「…ズレてはない、かな?」

 

 

あの時は、自我が戻ってそれを知ってからは、ずっと気が沈んでいたのを今でも覚えている。…今回で、もう片方を潰すとかは洒落にならないから、我ながら止めてほしいものだ。狂人状態(仮称)の時は、記憶が全く無いため、余計にたちが悪い。

 

 

「……やだなぁ、こんな状態のままだったら、一生誰かと結婚とか出来ないじゃん……」

 

 

ほとんどの人がしたいと思う結婚も、こんな体質を持っていると心配でしょうがないから、出来っこない。かといって、1人で暮らすとしても、症状が悪化した時に対処が遅れる心配もある。結局、こうした監禁状態が、私にとっても周りにとっても、最善な手段だと思う。

 

だから、正直なところ、私は何事も純粋に楽しめない。つぐを撫でるときでさえ、"いつかこれも出来なくなるんだろうなぁ"とか、"つぐともう会えない状態になったら…"なんて常々考えてしまう。残念ながら…バンドも、である。

 

 

「…ただただ楽しむことも、すっかり忘れちゃったもんなぁ…」

 

 

この病気は、解明はおろか、研究すらも進捗がままならないんだそうだ。そもそも、精神に関する病気は身体関連の病よりも難解…らしく、それに加え、事例も私1人なので検証実験も出来ずじまい。結果、進捗の停滞となっている。

 

ほら、鬱とかって完治出来るの?って思うでしょ?そんなイメージ。…まぁ、かく言う私もネガティブ思考寄りなんだけれども。

 

 

「…バンド、どうなるのかな。私だけ抜けて…皆で続投して貰おうかな…」

 

 

こうも症状が出てくるとなると、おちおちライブも練習も出来やしないだろう。そうなると、皆に迷惑がかかる。仮に、皆が「そんな事ない」と言ってくれたとしても、バンドである以上、時間は限られているし、至極当然ながら時間は待ってくれない。それを加味すると、その言葉に甘えるという事は、遅かれ早かれツケが回ってくる結果を招く事になるだろう。

 

 

「…それは、嫌だなぁ」

 

 

私のこの一言には、2つの意味を孕んでいた。私自身、バンドは楽しいし辞めたくないのが本音。仮にこの状態をどうにか出来ると言うのなら、問答無用で続けるだろう。それくらい、バンドは…というより、皆といるのは私にとって良いものになっていったのだ。

 

しかし、それと同時に、"皆に迷惑をかけたくない"という思いも持っている。よく、"迷惑をかけない事は出来ないからこそ、かけ合って生きるもの"みたいな事をよく耳にするけど、私がかけかねない迷惑は尋常じゃないレベルのもの。それを皆にかけろというのは、私にとっては酷な事だ。

 

 

「…もう、どれが本音なのか…わかんないや」

 

 

沢山の考えが巡り、脳がグチャグチャになっていく。考えることもままならなくなっている事を自覚できた時には、もう自分の本当の思いがどれかなんて、判別できなくなっていた。そんな惨状から目をそらさんとするかのように、私は静かに夢の世界へと逃亡していった。

 




ということで、第23話が終わりました。

突然ですが、次回作から進めるバンドリの小説を1つにしようか検討しています。理由ですが、別ジャンルの小説の制作を決定し、現在作成中だからです。どうも私の書き方は、バンドリの世界観に合わないと考え始めたのも、理由の1つです。今後どうするかにつきましては、活動報告を新しくあげて連絡しようと思います。

次回『1ピース欠けた未完成パズル』
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