さて、今話をもって本編は終わりとなります。感謝の意は後書きに書くとしまして、この小説に関わりませんが、完結後もコラボ等は受け付けますので、したいと思って下さった方は、是非お声をかけて下さると嬉しいです。
そして、☆10評価:心太とお団子さん、お気に入り登録:心太とお団子さん、評価及びお気に入り登録ありがとうございます。最終回ですが、こうして評価して下さる事が大変うれしかったです。最後までありがとうございます。
では、本編を開始します。
[羽沢珈琲店]
「躑躅!これ持っていって!」
「わかった!」
某日、ある1軒の珈琲店にて。店員が忙しなく動いている中でも、一際浮いた存在がいた。
そう、躑躅だった。あれから大学を中退し、この店を継ぐ事に決めたらしい。親の説得には、さほど時間を要した訳でもないらしく、寧ろ応援されたとの事。
「お待たせしました、日替わりランチです。ごゆっくりお楽しみ下さい」
「ありがとうね〜」
躑躅を初めて見た常連客は、初めこそ驚いていたものの、今では看板娘…的なものとして話題になっているのだとか。
「夏、他にやる事は無いか?」
「じゃあこれ作ってくれない?厨房も人が足りなくて……」
「わかった、早速取り掛かるよ」
2人のこの阿吽の呼吸も、密かにこの店の名物となっている。ここに来る客の大半以上は、2人を温かく見守っている。
と、2人がせっせと作業をしていると、店の扉が開き、ガヤガヤと擬音が付きそうな会話と共に姿を現したのは…
「夏さん!躑躅さん!今日も来ちゃいました!」
「お〜、繁盛してますな〜」
「…大丈夫なの?」
「夏さん!躑躅さん!調子はどうですか?」
「わっ!お姉ちゃん、躑躅さん、私も手伝うね!」
「つぐ、大丈夫だよ!私達に任せて、皆とゆっくりしてて!」
「うん、僕も頑張るから、つぐみちゃんはゆっくり皆と過ごしててね」
優しさの権化でもある2人に阻まれる結果に。つぐみは人の優しさを無下に出来ない性格なので、渋々そうする事に。
「もしホントに大変だったら、私に声掛けてね!」
『うん!/わかったよ』
そう言葉を残し、幼馴染の元へかけていく。残された2人は少し互いをじっと見ると、再び作業に戻った。こうして、今日も羽沢珈琲店は、夏と躑躅という歯車によって、活力を増していく。
[CiRCLE 1番スタジオ]
「……っと!」
「少し休憩にしましょうか」
またある日。ライブハウスで合わせをしているバンドが1つ。桜の一言によって、休憩の許可が出る。各々休憩をし始める中、復習をしている者が1人。
「…夏、大丈夫なの?」
「うん!適度に休んでるし、皆に追いつかないと!」
「相変わらずだな」
夏は、件の事で皆に迷惑をかけた上に、自身の音楽のクオリティが落ちていると思っているのか、今までより一層練習に励むように。
それ自体は良い事なのだが、如何せん周りはまたいつ倒れないかが心配で、それどころでは無い様子。
「…夏?無理はしないでね?」
「うん!私も、またああやって皆に迷惑かけるのは嫌だからね!」ピース!
等と言いながら、彼女は笑顔とピースサインを皆に向ける。ただ、そんな事で心配が拭える訳が無いのだが。
「……やっぱダメ、休憩して」
「えぇぇ!?何でぇ!!」
やはり心配になったのか、休憩するよう促す躑躅と、それに若干の反発を口にする夏。2人の言い合いは、いつの間にか痴話喧嘩に発展していた。
「…やっぱり変わったわね、2人共」
「だな」
「…良い意味で、です?」
「……どうかしらね」
そうお茶を濁し濁され、彼彼女らは再び痴話喧嘩を見守る。優しい目と、祝いの気持ちを持ちながら。今日もTTDWは、2人の喧しいBGMのような会話によって、活力を増していく。
数年後
[???]
「…あっ、動いたかも」
「ホントに?大丈夫?」
「うん、私は大丈夫だよ」
某日某所にて、そんなのほほんとした会話が交わされている。方やパートナーを心配しており、方や落ち着いた雰囲気を醸している。
そんな会話が再び紡がれるかと思いきや、それはなされなかった。何故かというと……
「お姉ちゃん!調子はどう!?」
「大丈夫だよ、
彼女の妹であるつぐみと、両親の訪問によってだった。声に出る程に心配するつぐみとは裏腹に、両親の方はさほど心配していない……訳でもないらしく…
「夏、大丈夫なのか?吐いたりとかは……」
「ないよ、体調も問題ないし」
やはり心配で仕方ない様子。母の方も顔色を見れば、心配していると分かる。
「いつ頃産まれるんだ?」
「10月中頃ですよ」
「私よりしっかり覚えてるんだね、躑躅」
「当然だろ?何せめでたい日になるかもなんだし」
こうして、和気藹々とした会話が交わされている辺り、夏の病気も現在は落ち着いているようだ。そして、第一子がお腹にいるようで、時にはお腹を摩っている。
「……名前、どうしようかな?」
「せっかく皆がいるんだし、皆で考えないか、夏?」
「…そうだね、そうしようか」
こうして、夏らは今ある幸せを謳歌する。これからどうなっていくかは誰にも分からないが、彼女らは今を謳歌する。
──それが、より良いこれからを紡いでいくと信じて──
ということで、本編完結です。
個人的には、長いようで短かったです。今のご時世も相まって、こうした小説を読む方も増えたのではないかと思います。私もそうでした。ですが、こうして皆様に小説を提供する側になり、大変さと楽しさを実感する日々です。
この小説を読んで、少しでも多くの方々が楽しく思って下さったのなら、私としてもこの小説を執筆した甲斐があります。尚、この小説は残ります故、まだまだお楽しみいただけるかと思います。気まぐれで日常回を投稿するかもしれませんので、その時は、どうか皆様が楽しんでいただければと願うばかりです。
それでは、ここまで『羽沢家の長女』を読んで下さった皆様、ご愛読ありがとうございました。また他の小説にてお会いしましょう。