そんなロドスの幕間話   作:がりる

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※何でも許せる人向け
※キャラブレ、崩壊、解釈違い注意
※ギャグです
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シリアスの様でコミカルの様なシリアルです。


戦いの最中彼女はその名を叫び赤に沈んだ

戦いとは、残酷なものである

 

自身の為に、誰かの為に、何かの為に

 

立ち塞がり、襲い掛かる敵を倒さなければならない

 

それがどんなに苦しい物であっても、辛い未来が待ち受けていようとも

 

それでも、戦わねばならない

 

仲間を、友を、家族を、自分自身を___守る為に

 

だが、時として運命は牙を向く

 

守りたい者、愛する者

そう想っていた誰かを、自らの手で傷つけなければならない時もあるのだから___

 

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ロドス艦内、訓練場。

時刻は深夜。

オペレーター達が日々自身と皆を守る力を鍛えるこの場所も、この時間ともなると静かなものだった。

 

だが、その夜訓練場には天井からの光と、数人分の影が床へと映し出されていた。

 

訓練場中央、身体を真っ赤に濡らし、自身の武器であるハルバードを床に立てそれを支えにする様に片膝をついているのは現在ロドスに留学中であるロドスのオペレーターの一人、バニラの姿が。

 

「はぁっ...はぁっ......!」

 

ぽつぽつと身体から赤い液体を滴らせ、彼女は肩で息をしている。

 

「何をしている。立て」

 

そんな彼女の目の前、バニラを見下ろし怒気を混じらせた口調で話すのはオペレーター達の訓練を担当するドーベルマン教官だ。

 

「お前はこれまで何度敵の攻撃を受けた?何故回避を躊躇する。何故攻撃を躊躇う?お前の所為で、何人の仲間が犠牲になった?」

 

「で、ですが私はっ...」

 

「『ですが』ではないっ!」

 

バニラの言葉を押し潰すかの如く、ドーベルマンの怒声が訓練場内に響く。バニラはその怒声に怯み言葉を詰まらせ、次の言葉を失った彼女の口から微かな空気のみが吐き出された。

 

「いい加減覚悟を決めろ。戦いとは常に他者を傷つけるものだ。時にそれがお前にとって大切な者であっても。...そうしなければ、お前が死ぬ。お前だけでなく、お前の仲間もだ」

 

「......」

 

バニラは今日の出来事を思い出す。

 

そう、教官の言う通りだ。

 

私の所為で、私の心の弱さの所為で。

自身と何人もの仲間が、赤の海に沈む事となった。

謝っても謝りきれないだろう。

 

___だけど。

 

「何で...何でっ......!」

 

ぽつぽつと、先程から彼女を中心に広がる赤の液体とは違う透明な滴が彼女の頬を伝い流れ落ちていく。

 

「こんなの、残酷すぎますっ...!」

 

「何?」

 

絞り出す様に吐き出されたバニラの言葉に、ドーベルマンが怪訝な表情を浮かべる。

 

「もっと、別の方法がある筈です...!私達は戦わなくても済む筈なんです!」

 

バニラは嗚咽を漏らし、そう答える。

 

「腑抜けた事を抜かすな!」

 

再び怒声を上げたドーベルマンはバニラに近付き、彼女の胸倉を掴み無理矢理立ち上がらせる。

 

「何度説明すれば分かる!理解しろ!その武器は飾りか!

お前が武器を振るわねば何も守れない、何も始まらないのだぞ!」

 

「私は...私はっ......」

 

バニラの脳裏に、彼等彼女等の姿が浮かぶ。

出会いは何気ない、ロドスでの作戦中偶々訪れた故郷付近でだった。

仲良くなるのに多少時間は掛かったが、心を通わせてからはいつも私と共にいてくれた。

今はもう、大切な同僚、仲間、友人、家族の様なものだ。

 

だが、武器を振るわねばならない。

その身体を砕かねばならない。

そうしなければ___

 

あぁ、何て...世界は残酷なのだろう。

 

「......出来ません」

 

バニラの言葉に、ドーベルマンの胸倉を掴む力が強くなる。

 

「私は!あの子を傷付ける事が出来ません!」

 

ぶちっ、っと。何かが切れた音がした。

 

「...そうか。それがお前の選択なんだな」

 

ドーベルマンは空いた左腕を持ち上げ。

 

「こういう事は、したく無かったのだがな...」

 

そして___

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、二人共そんな所で何見ているの?」

 

訓練場の出入り口付近、休憩用のベンチに座る二人にブレイズが話し掛ける。

 

「ブレイズさんお疲れ様です。......えーっと、何と言いますか」

 

「何と言ったものかしらね」

 

ベンチに座るリスカムは何とも言えない様な苦笑いを浮かべ、同じくリスカムの隣に座るフランカは少し離れた位置に見える光景を笑って見ていた。

 

「?」

 

ブレイズは頭に疑問符を浮かべ、二人が見ている目線の方へ顔を向ける。

 

「......うわぁ」

 

その光景には、エリートオペレーターであるブレイズもリスカムと同じ様な苦笑いを浮かべざるを得なかった。

 

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『___い・い・加・減・に・し・ろ!何・度・言った・ら・分・か・る・ん・だ・お・前・はぁ!』

 

『いいいひゃい(いい痛い)、いひゎいへふどーえるまんきょうふぁんーーー!(痛いですドーベルマン教官ーーー!)』

 

そこにはバニラの頬を摘むブチ切れ上げたドーベルマン教官と、涙目のまま頬を摘まみ上げられ何とも間の抜けた顔にされたバニラ___という漫才の様なコミカルな姿があった。

 

「言うなれば『愛する家族を傷付けられない私達の後輩 vs 早いとこ訓練を進めたいけど強情な私達の後輩についにお切れ散らかしたドーベルマン教官』って所かしら」

 

「何そのニェンさんが好きそうな変なZ級映画でありそうな言い回し...」

 

「......"愛する家族"って言うけどさ」

 

ブレイズは離れた場所にいる二人の方、その側の床にちょこんと置かれたとある物を指差す。

 

「アレ、少し前にライン生命とこの子が作ってたアシッドムシっぽいメカじゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

『___どう見たらお前のペットのアシッドムシを想起するんだ!見ろ!思いっきり機械の部分が見えてるだろうが!』

 

『どふひゃかひゃんふぉほはひようひあふほふぉさふをふぁふとひかふぁをふぁふはにふふんへふ!(ドスアカちゃんと同じ様にあの子も酸を出す時殻を微かに振るんです!)まふぁふぁふふぃへはいとひのどふひゃかひゃんふぉおふぉいはひてそへへ...(まだ懐いてない時のドスアカちゃんを思い出してそれで...)』

 

『百万歩譲って攻撃を躊躇するのはまぁお前の事情を考慮して大目の大目に見るとしてもだ!何で敵を庇うんだ!それで味方の陣形総崩れになって全員仲良くペンキ塗れになっただろうが!』

 

「「「......」」」

 

更にヒートアップしていくドーベルマン教官の怒声。

上手く言葉を発せない口で泣きながらも言い訳か懇願かを続けるバニラ。

出入り口付近の彼女達はどうする事も出来ず、ただ可愛い後輩の頬がなす術なく伸ばされていくのを見守るしかない。

何時から彼女はあそこまでのムシ狂いになってしまったのだろうか。

 

「......そのライン生命のメイヤーさんが対アシッドムシの訓練にバニラから最近飼い慣らしたアシッドムシαをお借りして観察したみたいでして。精巧なロボット___仮想敵としてメカアシッドムシを作ったんです」

 

「え、バニラちゃんアレ飼いならしたの?ちょっと近寄っただけで防具やら溶かしてくる酸吐く厄介な奴等なのに」

 

「あの子でも大分苦労したみたいよ。懐くまで偶に私が様子見に行ったら部屋のあちこちに酸で溶けた跡を作ってたし。___で、出来たはいいけど余りにも精巧すぎちゃったみたいでね。いざ訓練開始したら...『ドスアカちゃん』だったかと同じ動きや仕草も完璧に再現してたみたいであの子完全に怯んじゃって」

 

「バニラの動きが目に見えて鈍くなり、突如『ドスアカちゃん!』と叫んで無防備に飛び出しペイント弾の攻撃を全身に受け全身真っ赤のペンキ塗れ。更には味方の攻撃からメカアシッドムシを庇い始める始末でした」

 

今日その時の訓練を見学していたフランカはクスクスと笑みをこぼす。

 

「こう言っちゃ悪いけど、あの時ばかりはあの子と同じ編成じゃなくて良かったわ。参加した皆も真っ赤っかになってたし」

 

流石に訓練とはいえ本物の酸を使う訳にはいかず、攻撃の被弾箇所を分かりやすく判別する為赤のペイント弾が使用された。

 

結果、突然のバニラの異常な状態と行動に味方は大混乱。攻撃を避けたつもりが__というオペレーター達の回避の練度を確認する為のペイント弾も逆に濡れていない箇所を探した方が早い状態に参加した者達全員がなってしまった訳だ。

 

「それでこうしてドーベルマン教官直々の居残り授業が続いてる訳か。バニラちゃんも強情ね...」

 

『ほうひはへあひはへふ!(申し訳ありません!)へふはからははかっへにふほいはんへふ!(ですが身体が勝手に動いたんです!)』

 

『ほぅ、お前は身体が勝手に動くと味方の遠距離オペレーターの射撃を全弾打ち落とせる様になるのか。あれだけの動きを是・非・と・も普段からしてもらいたいものだな!』

 

『あふあふぁ...(あうあうぁ...)』

 

「...フランカも見たと思うけどアレ凄かったよね」

 

「グレースロートの弾まで弾いてたものね。あの時は撃ってた本人含めその場にいた全員空いた口が塞がってなかったわ」

 

「えっ、何それあの子も訓練に来てたの!?空いてたら絶対見に行ってたのに!後から詳しく聞かないと」

 

ブレイズは何処となくニヤついた顔を見せる。

 

「下手にグレースロートさんを茶化すとまた暫く口聞いて貰えなくなりますよ...」

 

「大丈夫大丈夫。ちょーっとペンキ塗れになった感触がどんな物だったか聞くだけだから」

 

『だからアレはあくまでお前のペットをモデルにした訓練用の仮想敵だと何度___』

 

「...ね、ブレイズさん。この説教がいつまで続くか賭けてみません?」

 

「ふむ、面白そうね。んー...朝まで、かな?」

 

「あっ、先に言うのはズルいですよ。私も朝までって言おうとしたのに」

 

「......」

 

ブレイズとフランカのそんな会話にリスカムがため息を漏らす。

果たして、朝までに終わるのだろうか...。

そう考えながら___

 

 

 

 

 

 

 

 

『むりひぇす(無理です!)!あへはどふひゃかひゃんとまっひゃくおひゃじしふはやふひょひなんへす!(あれはドスアカちゃんと全く同じ仕草や動きなんです!)』

『かふぁいふてこうへひでひはへん!(可愛くて攻撃出来ません!)』

 

『貴様は "聞き取り不可能なボリバルスラング" ーッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

___その後。様々なバリエーションの罵詈雑言怒声叫声が幾度にも幾度にも訓練場内に響き渡る事となり、後にロドスの歴史で最もドーベルマン教官を怒らせた事件としてオペレーター達の間で密かに語られる事となる。

 

余談だが、翌日の昼まで説教を続け喉を痛めたドーベルマン教官は午後の休日申請を出す羽目になるのであった。




同訓練に参加したメイの証言
「あのバニラってオペレーター気が狂っておるのだ」
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