フィリップ・来人は検索したい~魔少年の高校生活~ 作:ディルオン
0話【プロローグ/会長と副会長は秘密にしたい】
私立秀知院学園
古くから貴族・士族を養成する機関として創立された、由緒正しい名門校である。
貴族制が廃止された今でもなお、富豪名家に生まれ、将来国を背負って立つ人材が多く通う。
そんな彼らをまとめ上げる者が、凡人であるなど許される筈も無い!
「まあ見て!」
「生徒会のお二人よ!」
生徒たちが注目する二人の人物。
生徒会副会長にして、四大財閥の一角・四宮家の長女、四宮かぐや。
そんな彼女が支える男…学園随一の成績を誇る秀才、白銀御行。
全校生徒の尊敬と畏怖を集める、正に学園の花形にして顔役である。
そして!
「おはよう。会長、副会長」
「ああ、おはよう」
「あら、ごきげんよう」
彼等が率いる生徒会に、また一人……超天才が現れた!
「あら、あの人は誰?」
「白銀会長や、四宮副会長と親しげに話しているなんて……」
「羨ましいわ。でも、あんな人ウチの学園にいたかしら?」
「まあ、ご存じないの?」
全校生徒が注目する中、その視線を一切気にせずに、白銀・四宮両名に歩み寄る一人の少年がいた。
彼こそ、この物語の主軸である。
「前回の報告書だ。後で目を通しておいてくれたまえ」
「ああ。ありがとう」
「ご苦労様です、フィリップ君」
その名は、フィリップ! フィリップ・来人!!
「どなたですの?」
「先月からきた、編入生の一年坊さ」
「四宮副会長の推薦で、生徒会に抜擢された逸材ですって」
「何でもカレ、編入試験を満点でパスしたんだそうよ」
「まさかそんな!」
ざわつく生徒たち。
しかし、この噂は紛れもなく真実である。
風都に住まう彼は、一名のみの外部入学枠を見事に勝ち取り、白銀御行の信頼を瞬く間に獲得した。
その優秀さを見込まれ、生徒会へスカウトされた前代未聞の天才児……それがフィリップ・来人である。
「凄い……まるで小説の主人公みたい」
「会長や副会長と並んでも、少しも見劣りしませんわ」
しかし……
「……フフッ」
「なんだ? えらく楽しそうだな」
「何か、面白いことでも?」
「会長……それに四宮副会長……その様子だと、君達は知らないようだね?」
「え」
「あ」
彼には一つ、重大な秘密があった!
「四宮!」
「ええ、分かってます。フィリップ君、ちょっとあっちへ行きましょう」
「ハンバーグという食べ物を! 君達は知らないだろう!?」
それは、常識の無さ!
「昼に会長や藤原さんが食べているのを見て検索したのさハンバーグとはドイツ発祥の肉料理のことでその語源はハンブルグと言う都市に由来するがそもそも大元は韃靼人が生肉を加工して食べやすい形にしたミンチ肉であり大きく食感や味わいが異なっていたそれを今のカタチに直したのは18世紀以降そしてアメリカではジェームズ・ソールズベリーと言う医者が健康の増進のために……」
「はいはい分かりました分かりました」
「凄い凄い、正に世紀の大発見だな」
「そうだろうそうだろう。他にも様々なバリエーションが……」
白銀は真っ先にフィリップの首根っこを掴み、目の前の生徒会室へと全力ダッシュ!
一方、四宮は即座に彼を隠すように背後に立ち、全校生徒へ無言のスマイル!
「うふふ、皆さん今日も一日、頑張りましょうね」
「きゃー、かぐや様に微笑まれたわ!」
「もう俺、死んでもいい!」
「ナイスだ四宮!」
かぐやのフォローを受け、白銀は一気に生徒会室へと駆けこんだ。
「では皆さん、ごきげんよう」
生徒会室へと消えていく二人を見送って、改めて四宮も生徒会室への門をくぐる。
後には、何も知らない生徒だけが残されたのだった。
「……そしてソールズベリー・ステーキは現在のハンバーグステーキとして名を残しつつ、色々な調理法が今も更新され続けている。代表的なのはチーズ、グレービーソース、マスタード、或いは例外的にレモン果汁をかける等のトッピングで、最も一般的なのは……」
「「………」」
生徒会室で、お互いに顔を見合わせる白銀と四宮。
お互いの顔を見た後、白銀はフィリップを見ると、持っていた手帳でフィリップの頭を叩く。
「フィリップ」
「……はっ!?」
「目が覚めましたか、フィリップ君?」
二人に見つめられて、フィリップは辺りをキョロキョロと見渡す。
此処が生徒会室であるという事に気付くと、フィリップは今までの行動を思い出すことに成功。
「もしかして、僕はまた?」
「ええ、そうですよ」
淑やかな顔を残したまま、フィリップに微笑みかける四宮かぐや。
しかし、顔は笑っていない。
困惑しつつ、フィリップは二人を交互に見やった。
「何回めだ、四宮?」
「……5回目ですね。フルカウントです」
「そうか」
深い溜め息と共に、白銀はいそいそと自分の作業机である、生徒会長席へと向かう。
そこで取り出した頑丈ハリセンを、四宮に手渡した。
「心は痛むが、これも君の為だ。フィリップ・来人」
「分かっている。遠慮なくやってくれ、四宮さん」
「ええ。では遠慮なく」
そうして四宮かぐやは大きく振りかぶって、ハリセンをフィリップの脳天へと叩きつけた!
「おばかッ!!」
甲高く、生徒会室に、響く音。
今日もこうして一日が始まる。
知識はあっても、常識が無く!
知性が閃き、理性が飛ぶ!
天才の二人を以ってしても手を焼く奇才? 鬼才? それとも危才か!?
秀知院に舞い降りた『魔少年』が、今まさに、旋風を吹き起こそうとしていた!!
よろしければ、他の拙作『龍姫絶唱シンフォギアXDS』も御覧ください。
こちらはサブですが、継続していきたいと思います。
バトル描写を入れずに、あくまでコメディでやっていきたいと思います。