二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

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なんか過去最長になりました。
今回で信長編は完結です。


うつけ祭りの決戦、決着。ありがとう戦国時代

 

後半戦開始

 

プロトコル・オメガのキックオフで後半戦の幕が上がる。

「行くぞお前ら!」

早速ベータが裏の顔を出しエイナムやレイザとともに攻め上がってくる。

しかし天馬やフェイ達もインターセプトは狙うものの積極的にプレッシャーをかけることはしない。

「ふん。前半動きすぎてバテちまったか?それとももう諦めたか。」

天馬たちの動きが少ないのを見て攻撃の手を更に強めるプロトコル・オメガ。

「このまま決めるぜ!」

シュート体勢に入るベータ。

「そうはさせるか!」

「何!?」

しかしシュートを放つ前に俺がボールを奪うことに成功する。

「誰がバテたって?生憎こっちは元気いっぱいだぜ。天馬!」

やっと出番が回ってきたんだ。前半戦休んだ分、みんなの倍は働かないとな。

 

すかさず天馬にボールを出し、オフェンス組が上がっていく。

「錦先輩!」

「任せるぜよ!来い、戦国武神ムサシ!」

錦先輩にボールが受け化身を呼び出す。

「武神連斬!!」

「キーパーコマンド03!」

しかしキーパーのザノウに止められる。

流石にそう簡単に点はもらえない。

「クォース!」

ザノウからクォースにボールが渡りドリブルで切り込んでくる。

「市正、プレッシャーをかけろ!五郎太と獅子丸はパスコースをカバーだ!」

自分もプレーしながら太助たちにも指示を出す。

前半まるまるベンチから見ていたこともあり、やけに視野が広く見える。

普段こういう役割は霧野先輩やキーパーがやってくれていたが霧野先輩はいないし信助は化身アームドのために体力を温存して欲しいので俺がこなす。

 

「これはしばらく動きそうにないわね。雷門は翼が入ったことで前半よりも守りが硬くなったし、向こうもリードしているから無理に攻めてカウンターは受けないようにしてくるだろうし。だとしたら試合が動くのは…」

メイアは観戦席から試合を見つめながら今後の展開について思考を巡らせていた。

 

彼女の想定通り両チーム攻めきれず膠着状態に陥る。

後半戦が半分を過ぎようとしたところでエイナムにボールが渡った。

「決める!シュートコマンド06!」

「そうはいくか!アスタリスクロック!!」

しかし引いて守っていた分、余裕を持ってシュートブロックに入れる。

「こっちだ!」

神童先輩がボールを要求してくる。俺も信じパスを出す。

「神童先輩!」

「このままでは時間切れになる。なら!奏者マエストロ!」

「アームド!!」

そして化身アームドを試みるが、

「うあ…」

前半同様失敗に終わる。

「もう一度だ!アームド!!」

しかし同じく失敗に終わり、ボールを奪われる。

 

そして攻守逆転、今度はプロトコル・オメガの攻撃。

「レイザ!」

「太助、獅子丸!」

「「おう!」」

太助と獅子丸がスライディングでボールを奪うことに成功する。

「えっと…」

ボールを奪った太助が誰にパスコースを探す。

「太助!」

そうしていると神童先輩がまたもボールを要求する。

「神童さん!」

ボールを受け取った神童先輩がドリブルで上がっていく。

けどあれじゃ…

 

「神童!ひとりで突っ走るな!一旦戻せ!」

ベンチの藤吉郎さんから指示が飛ぶ。

「行けえ!そのまま攻め込め!」

しかし真逆の指示をワンダバが出す。

「なぜ煽る!?あやつは頭に血が上っておる。一度落ち着いて…」

「訳があるのだ!神童は信長の力を受け継がねばならんのだ。」

 

その頃信長も目の前で起きている試合を穏やかではない気持ちで見ていた。

「お、押されておりますね…」

「神童拓人…か…」

これまで自分に見せてきた強い目と冷静な姿とは大違いの神童。

信長は立ち上がった。

 

 

「くそっ!どうして化身アームド出来ないんだ!!」

その後も神童は焦燥に駆られ冷静さを失っていた。

「貰ってくよ。」

冷静を書いた神童はオルカにボールを奪われてしまった。

「よし!行くぞ、お前ら!」

ベータがメンバーに向け合図を出す。

「まさか!?」

「来るぞ!」

雷門の面々も相手の思惑に気づき前回のことを思い出す。

 

「ゴーストミキシマックス!!」

 

そしてついに奴らの切り札が発動した。

 

「ここが勝負どころね。さあ、見せてちょうだい。」

 

ベータの力を分け与えられた面々が猛烈なパワーを発揮し攻め上がってくる。

あまりのパワーに天馬たちも近づけずにいる。

「決めろ!」

そしてベータ、エイナム、レイザの三人がゴール前に切り込んできた。

「まずい!頼む翼!」

「お前一人に何ができる!」

三人が俺を強引に潰そうと突っ込んでくる。

 

「絶対に守るって約束したんだ、何人だろうが止めてみせる!破壊神デスロス!!」

ここで決められる訳にはいかない。

「パワー全開だ!破壊弾幕!!!

これまで以上に全開で化身必殺技を発動し3人まとめて吹き飛ばす。

「「「何!?」」」

3人まとめて弾き飛ばされボールが外に出て試合が止まる。

「ふぅ~」

「ナイス翼!すごい威力だったよ!」

天馬が笑顔で駆け寄ってくる。

「前半、みんなが頑張ってくれたおかげだよ!それに、これが俺の役目だって言ったろ?」

「うん!」

危機を一旦脱し一息つく。

ふとメイアの方を見やると満足げな笑顔を浮かべていた。

どうやら合格点をいただけたようだ。みんなにバレないようにグーサインを出しておく。

 

メイアの方を見ていると観客席の方から声が聞こえた。

「お、親方さま、お待ちください。」

人ごみをかき分け現れたのは信長だった。

 

「神童拓人!此れへ参れ!!!」

信長が神童先輩を自分のもとに呼び寄せる。凄まじい迫力である。

 

「神童!貴様の戦ぶりはなんじゃ!我が方が押されておるのは貴様のせいじゃ!!」

信長は先程からの神童先輩のプレーを咎める。

「このまま軍勢の足を引っ張るなら、控えに下がるが良い!!」

信長の迫力にみんな口を挟めずにいた。信長の言っていることは間違いではなかった。先程から神童先輩が起点になって攻め込まれる展開が続いている。しかし、ここで下がるわけにはいかないことも事実だった。

 

お怒りの信長をなだめるべく藤吉郎さんが口を開こうとしたとき

「お待ちください、信長様!」

お勝さんが飛び出してきた。

「お願いでございます、拓人様に試合を続けさせてあげてください。」

お勝さんは信長に膝を付き頭を下げて懇願する。

「娘、無礼であるぞ!」

「拓人様は一生懸命サッカーの修練に励んでおいでです。勝つために、昼も夜も。だから、拓人様に試合を続けさせて上げてくださいませ!!」

「お勝さん…」

お勝さんはまるで自分のことのように、いや、それ以上に必死になって信長を説得している。

 

「…ふん、案ずるな娘。」

「え?」

そんなお勝さんに信長は穏やかに応えた。

「神童、お前はなぜ動く必要のないところで動く?貴様は動きすぎじゃ。静と動の使い分けこそ戦術の極意!!」

「静と動…」

「貴様の役目は攻めと守りの間で用兵の要を担うことではないのか?」

信長は雷門のサッカーにおける神童先輩の役割、ゲームメーカーの本質を言い当ててみせた。たった一度の試合を見ただけで。

「お前のしていることは誤りではない。が、敵に読まれやすいのだ。」

そして神童先輩が陥っている状況も。これが織田信長、最強の戦国武将。時空最強イレブンの一の力を持つ人…

「お言葉、しかと承りました。」

神童先輩は自分が何をすべきかを悟った様子で答えた。

 

 

そして試合再開。

試合再開前に藤吉郎さんに伝えられた作戦通りに攻め込む。

 

「それでは、これからの作戦を伝えるぞ。神童、お前はボールに触れるな。」

藤吉郎さんの作戦はここに来て神童先輩を攻撃から外すことだった。

「藤吉郎さん、それじゃダメなんです!」

信長のオーラを受け継ぐ必要があることを知る俺たちは当然意義を唱える。

「分かっておる。この試合、勝つだけでは足りんこともな。だからこそボールに触れるな。時が来るまでは。」

 

時が来るまで。その時が来るまでは神童先輩にボールを回さずに試合を組み立てる。

「今じゃ!炎のごとく攻め込め!」

藤吉郎さんの号令で天馬やフェイたちが一気に攻め上がる。

「五郎太、市正。お前たちも上がれ!後ろは俺たちで何とかするからみんなをフォローしてやってくれ。」

「「はい!」」

 

「お前ら、ぶっつぶせ!」

そしてプロトコル・オメガも全力でこちらを潰しに来る。

全力で攻撃と守備がぶつかり合い、試合の熱量は最高潮に達していた。

 

そんな白熱するグラウンドのなかで神童だけが一歩引いたところで全体を見ていた。

試合再開後、一度たりともボールに触れていない神童の存在はプロトコル・オメガの脳裏から完全に消えていた。

 

そして、天馬たちが完全に包囲された。

「進退極まったな。」

「くっ…」

 

「天馬こっちだ!」

その時ついに神童先輩が静寂を破り動き出した。

「神童君!」

フェイから完全にフリーになっていた神童先輩にボールが渡る。

「させるか!」

急いでDFが神童先輩に突っ込むが神童先輩は今度は急に動きを止める。勢い余ったウォードをそれだけで躱す。

 

「奏者マエストロ、アームド!!」

最後のDFを躱した神童先輩が化身アームドを試みる。そして

 

「出来た!」

「やったぜよ!」

ついに化身アームドが成功した。

「行くぞ!はああああああ!!」

「来い!キーパーコマンド03!」

化身アームドした神童先輩がシュートを放ち

「ぐあああああ」

そのシュートがザノウを破りゴールに突き刺さり同点に追いついた。

 

「見事なり!」

神童のプレーに信長も賞賛の声をあげる。

興奮したワンダバも体がピンクに染まる。

「ぬああああああ!今なら行ける!信長様、お願いがあります。」

「申してみよ。」

「はっ!信長様の力を神童に分け与えていただきたい。日本の未来のために。」

「儂の力を、神童に?」

 

ワンダバがミキシマックスのことを信長に説明する。

「ふむ、儂と神童をこの鉄砲で撃つと。」

「お館様を鉄砲で撃つなどと!やはりこやつらは不届きものです!って、うわわわ」

忠臣たちがワンダバの提案を却下しようとするもミキシマックスガンを向けられビビる。

「面白いではないか、やってみせろ!」

「お館様!?」

「この者たちの誠、目を見れば分かる。」

「感謝致します!神童、いいな!」

「はい!」

 

 

そして試合再開、残り時間もわずか。

 

「このまま終わるものか!」

残り時間もわずかというところで同点に追いつかれプロトコル・オメガももうなりふり構っていられない。FW3人が怒涛のごとく攻め上がってくる。

「リーダー!」

そしてついにベータにボールが渡る。

「来い!虚空の女神アテナ!アームド!!」

「信介、太助、獅子丸、五郎太!なんとしても止めるぞ!」

「「「「おう!」」」」

「まとめてたたきつぶす!シュートコマンド07!」

これまで何度もゴールを許してきたベータの必殺シュートが放たれる。

「止める!行くよ、獅子丸、五郎太!」

「「「一夜城!」」」

太助たちがシュートブロックに入る。しかし

「「「うわあああああ!」」」

流石に止めきることは出来ず吹き飛ばされる三人。だがこれなら俺が止められる。

そう思っているとシュートコース上にレイザが飛び出してきた。

「シュートコマンド03!」

「シュートチェイン!?」

ここにきてまさかのシュートチェインを挟んできた。

「うおおおお!アスタリスクロック!」

なんとか俺もシュートブロックに入る。

「ぐぬぬぬん…うああああ!?」

しかしベータの化身アームドの必殺技にシュートチェインが乗った威力を殺しきることは出来なかった。

「頼む、信助!」

最後の砦の信助に全てを託す。

「任せて!護星神タイタニアス、アームド!!」

信助が化身アームドでシュートを受け止める。

「絶対に止める!はああああ!」

そしてシュートの威力が弱まっていき完全に回転を止めた。

 

「そんな馬鹿な!?」

ベータとレイザは信じられないといった様子だった。

「神童先輩!」

その隙をつき、神童先輩にパスを出す信助。

 

 

「よし、今だ!神童!!」

そして神童先輩がボールを受け取ったところでベンチのワンダバが叫び信長と神童をミキシマックスガンで打つ。

 

「ぬううううう!!」

「はあああああ!!」

二人に放たれた光は今度こそ弾かれることはなく神童先輩の体に収まった。

「ミキシマックス、コンプリーーート!!!」

信長とミキシマックスした神童先輩は髪色が少し赤みがかり、信長のまげと神童先輩のパーマが合わさった髪型に信長のような鋭い眼差しをした姿だった。

 

「ついに出来た!」

「シン様、ワイルド。」

「拓人様!」

「うむ、良き面構えだ。」

「かっこええ~」

俺含めみんなそれぞれ神童先輩の変貌に声を漏らす。

 

 

「行くぞ」

そうつぶやくと同時にドリブルで攻め上がる神童先輩。瞬時に四人を抜き去る。

「「早い!?」

敵陣に侵入するとDF陣が止めに来るが歯牙にもかけず吹っ飛ばしシュートモーションに入る。

「刹那ブースト!!」

一瞬で三度のけりを浴びせた強力なシュートが相手ゴールを襲う。

「俺が止める!」

そのシュートコースに化身アームドしたベータが飛び出してくる。

「まさか化身アームドのままゴール前まで戻ったのか!?」

そしてそのままベータが刹那ブーストを止めようとする。しかし

「うわあああああ!?」

シュートの勢いは止まることなくベータとキーパーともどもゴールに突き刺さった。

 

「ゴール!織田軍、ついに逆転!!そしてここで試合終了!!織田軍の勝利ぃぃ!」

 

「やったーーー!ついに勝ったーーー!!」

みんなついにプロトコル・オメガ2.0を倒し歓喜に震える。

「太助たちもありがとう!みんながいてくれたからだよ!」

 

「さあ、みんなを元に戻してもらうぞ!」

ひとしきり喜んだあと、プロトコル・オメガが退散する前に捕まえ、雷門のみんなの洗脳を解かせる。

スフィアデバイスにあの時発せられた光が収まっていく。

「全部戻しました~これでいいでしょ?」

ふくれっ面で拗ねたようにベータが言う。

「円堂監督も返せ!」

そうだ、洗脳は解かれたようだが封印された円堂監督の解放とサッカー禁止令の解除はまだだった。

「ここには居ないわ。別のところに移したの。調べてみれば?」

そう言ってスフィアデバイスをこちらに渡してくるベータ。フェイがデバイスを調べてくれる。

「確かにもうこの中に円堂さんの反応はないみたいだ。」

「そんな…」

せっかくプロトコル・オメガ2.0を倒したのに。

 

みんな円堂監督を取り戻せないとしり落胆していると奴らのUFOみたいなものが飛んできてその中から銀髪の男が現れた。

「やれやれ、情けないなベータ。それでもエルドラドに選ばれた管理者なのかい?」

「ガンマ…」

「マスターがお呼びだよ。行こうか。」

ガンマと呼ばれた少々ナルシストっぽい男に言われプロトコル・オメガは撤退していった。

奴らが撤退したあと俺たちは織田信長に自分の城に招待されたため祭りをあとにした。

ちなみに今川義元は悔しそうな表情を浮かべ去っていった。

 

「やっとベータを倒したと思ったのに次はガンマか。まだまだ戦いは続きそうね。」

両陣営が去ったのを見届けたメイアはまだ続きそうなエルドラドの介入にため息をついていた。

「まあでも、あの織田信長の力、あれは確かに中々のものだったわね。あんな力がこれからも集まっていくなら、プロトコル・オメガくらいならなんとかなりそうね。問題はあのアンドロイドたちかしら。」

織田信長の力はメイアの目から見てもかなりの戦力に映ったらしく、今後の戦いもなんとかなりそうという評価だった。

「それに、翼の力も以前よりも更に高まっていたわね。もし彼がこれから強くなっていって信長のような力を受け継いだら……ふふっ、また楽しみが増えたわね♪」

ゴッドエデンで見たときよりも増していた翼の力、そして彼らの言う時空最強イレブンの力はメイアの興味を引いた。

まだ見ぬ10人の力を集めたときどれほどの力を彼らが得るのか、その力が自分たちフェーダにどれほど通用するのか、また少し楽しみになった。

「さて、一度今回のことをSARUに報告しに帰ろっと♪」

そう言う彼女の言葉尻は少し明るかった。

 

 

名古屋城 

 

「此度の戦、見事であった。」

「「「ありがとうございます!」」」

俺たちは信長に宴の席に招かれていた。

「それにしても、今川義元のあの悔しそうな顔ときたら。」

「胸のあたりがスゥーっとし申した!」

信長の家臣たちが笑いながら言う。

確かにあれは見ていてすごく気持ちが良かった。

「『覚えているでおじゃる!』なんて言ってな!」

「ははは!似ている似ている!」

去り際の今川義元のモノマネを披露してみると結構受けた。割とモノマネは好きだ。

 

「神童拓人!貴様には我が力を分け与えたのだ。蹴鞠戦、いや貴様達の時代ではサッカーと呼ぶのだったな。心して精進せよ!」

「はい!信長様から受けた御恩、忘れません。」

宴の折、信長が激励の言葉をかけてくれた。あの織田信長に精進しろと言われたんだ。しないわけがない。

「うむ。時に神童、お主は儂には天下は取れんと言ったな。」

信長が詮議の時のあのやり取りを掘り返してきた。

「親方様はこの者の言うことは信じるのですか?」

「おそらくこの者たちの言っていることは全て事実であろう。もしあの時言い逃れるつもりであれば、儂が天下を取れるというはずだ。この者の目は恐れを抱きながらも真実を伝えようとしていた。」

あの時のことを信長は思い返しながら言う。

あの時、既に信長は俺たちの言っていることを見抜いていたのか。

まさに人を見抜く力ってとこか。

「それにしてもこの信長に天下は取れぬと言い切るとは、大胆不敵な男よ。」

信長も今回の戦いを通じて神童先輩を評価しているようだ。

「・・・最後に一つだけ聞かせて欲しい。」

「はい。」

信長が改まって神童の目を見据える。

 

「歴史は変えられるのか?」

信長から出た言葉は意外ともやはりとも取れるものだった。

「俺には、わかりません。」

「分からぬ、か…」

「申し訳ありません。」

神童先輩は今度も正直に答える。神童先輩の言葉を受け、信長は遠くを見つめ話し出す。

「天下は儂の夢…儂はその夢を失う事になるのか。」

なんとも言えぬ様子で言葉を漏らす信長。

「ですが、信長様は歴史を大きく動かした…いや、動かすお方です。俺たちの時代に生きる日本人なら誰もが信長様の名と成されることを知っているほどに。信長様なら、人の運命すらも変えてしまわれるのかもしれません。」

「儂にはあるか?運命を変える力が。」

「はい。俺たちのような未熟者でも運命に立ち向かう力があるのです。信長様にも必ずあります。」

「ふっ…天下の夢しばし見るとしよう!貴様達の決して最後まで諦めぬ姿、しかと見せてもらった!」

そう言った信長は威風堂々とした、それこそ運命を自力で変えてしまうかもしれない、そう思わせる程だった。

 

「不思議な少年たちであった。」

「未だに信じられませぬ。」

宴を終え、神童たちが帰路についた後、信長は忠臣と月を見上げながら、不思議な出会いに思いを馳せていた。

そんな影に一人の男の姿。

「藤吉郎!」

「はっ!」

「貴様の采配、見事であった。」

「ははっ!」

「貴様を試してみたくなった。以後、儂に仕えるが良い。」

憧れの信長に仕えるよう言われた藤吉郎は感動に震える。

「信長様!」

織田信長と木下藤吉郎、後の豊臣秀吉。後世に名を残す二人の、運命を変えるかも知れない主従関係がここから始まった。

 

 

翌朝

 

「お別れだね。」

俺たちは太助たちと最後の別れの挨拶をしていた。

「俺、天馬達とサッカー出来て良かった。」

「俺たちもだよ!」

「俺、旅に出る!」

そう切り出す太助。

「俺、この国には知らない世界がいっぱいある。俺、尾張国しか知らないから、そんな知らない世界をいっぱい見て歩きたいって思ったんだ。天馬たちのおかげでこの世界にはドキドキすることがいっぱいあるって知った。いろいろ見て帰ってきてそれでも豆腐屋を継ぎたいと思ったら世界一の豆腐屋になれる気がするんだ!」

「太助…」

俺たちよりも年下なのに太助はこんなにもこれからのことを考えている。一生懸命に生きようとしている。そんな姿が、俺には眩しく映る。

「それに、他の国の奴らともサッカーやりたいし!」

「その時は俺たちも一緒だぜ!」

獅子丸たちも続く。

「そうだ、俺たちと一緒に戦ったんだ!他の奴らなんかに負けるなよ!」

俺も五人に激励の言葉を返す。俺たちは時代は違えど一緒に戦った仲間だ。

「はい!翼さんに教わった守りでどんな奴らでも止めてみせます!」

「この時代最強のサッカーチームとしてそっちの時代にも伝わるくらい頑張ります!」

「お前ら…」

「その意気ぜよ!」

「うん、絶対にまた一緒にサッカーをしよう!」

サッカーが繋いでくれた歴史を超えた絆がここはあった。

 

「もう、会えないんですね…」

天馬たちとは離れた、桜の木の下で神童とお勝さんは話していた。

「ああ。俺はこの時代の人間じゃないからな。」

「はい。思いが決して届かぬことも分かっていました。」

寂しげに言うお勝さんの言葉に驚く神童。

「・・・ごめん。」

彼女になんと返していいか分からずただ謝る神童。

「これ、受け取ってください。」

選別とばかりにあの時のようにお弁当を渡す。

「ありがとう。…それじゃあ、行こうか。」

「私も!…」

気まずい空気が流れ二人で皆の所に戻ろうとする神童を引き止めるようにお勝さんが声をかけるが

「何でもありません。」

告げようとした言葉を飲み込みなんとか笑顔を浮かべる。

「お勝さん。俺、絶対に取り戻してみせるよ。失ってはならない、大切なものを。」

「はい!・・・」

神童の言葉にうっすらと涙を浮かべて答える。

「そして、取り戻したら必ず報告しにこの時代に戻ってくるよ。その時は今度は一緒にサッカーをしたり踊りを踊ったりお豆腐を一緒に作ろう。」

「はい、はい!あの、これを持って行ってください。」

お勝さんは髪を結んでいた組紐を神童に渡す。

「ああ。必ずこれを返しに戻ってくる。だからその時まで待っていてください。」

そして二人はみんなの元に戻っていた。

 

 

「本当にありがとう!また会おうね!みんなバイバイ!」

天馬が最後に別れを告げTMキャラバンは発進した。

窓の外を見渡すと獅子丸たちが笑顔で手をふり見送ってくれていた。お勝さんは涙を堪えきれず太助に支えられながら泣いていた。

「神童先輩、負けられませんね。」

通路を挟んだ席の神童先輩に話しかける

「ああ。彼らに報いるためにももっともっと強くならないとな。」

「はい。」

ありがとう尾張国のみんな。

この時代に生きる人たちへの感謝を胸に現代へ戻った。

 

 




いかがだったでしょうか。
今回はところどころ試合展開を変えてオリジナル要素を増やしてみました。
最後の神童とお勝さんのやりとりは原作でも切なすぎて泣きそうになりました。少しでも希望を持てるようなのがあってもいいかなと思いました。
次はジャンヌ編ですがその前に日常パートでも少し挟むかも。

あのキャラとかも出るし楽しみ~

感想、ご指摘あればお待ちしています。
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