今回から黄名子が登場しますが書いてて喋らせるのがとても楽しいですね。
フェイとの絡みとか増やしたいなぁとか思ってます。
それでは。
みんなが帰ってきた!
現代
「帰ってきたな。」
「うん。」
「みんな元に戻っていると良いんだけど。」
俺たちは現代の雷門中に帰ってきていた。
うつけ祭りの決戦でプロトコル・オメガを倒したことでみんなのマインドコントロールは解かれたはず。
けど、やっぱり自分達の目で確認しないと不安なものである。
みんな期待と不安を抱えながら部室の扉を開くと
「お、来たな。」
「遅いぞ。後輩が先輩より遅れてどうするんだ。」
「だド!」
「遅かったじゃないか、神童。」
そこには準備運動やリフティングをしているみんな、いつもの光景が広がっていた。
「戻ってる~!」
「みんな思い出したんですね!」
天馬と信助がすかさず声をかける。
「ああ、胸に引っかかってたものが取れたって感じだ。」
「ほんと、なんであんな暗い気分になってたんだろうな。」
「ちゅーか早く練習したいっしょ!」
「ですね!
どうやらマインドコントロールの影響は完全になくなっているようだ。
「良かった、みんなが帰ってきたんだ。」
今まで奪われていた当たり前の日常と仲間が帰ってきたことを実感していると部室の扉が開いた。部員の皆は揃ってるから音無先生かなと扉の方を見やると
「遅くなったやんね~。みなさんチーッス!」
見慣れない茶髪の元気そうな女の子が立っていた。
「誰だ?」
「さあ?」
神童先輩や信助たち戦国時代に行っていた組は俺と同じように初めて見る女の子に困惑していた。
「お、遅かったじゃないか菜花!」
「黄名子ちゃんまた補習?」
「懲りないな~」
「えへへ、恥ずかしいやんね~」
しかし他の皆は彼女のことを知っているらしく彼女も輪に溶け込んでいる。
すると彼女はこちらを見やると花が咲いたような笑顔を浮かべて駆け寄ってきた。
「キャプテン~!天馬キャプテン!お久しぶりやんね~」
そういって天馬の腕をぶんぶん振りながら挨拶をしており、やけに懐いている様子。
だが天馬の方は見ず知らずの女の子のスキンシップに困惑している。
「あ、あの~ごめん。君、誰だっけ?」
俺たちが気になっていたことを天馬が言ってくれた。
「ええ~キャプテンったら~冗談やめてよ~。ウチ、エースストライカーやんね?」
「そうだぞ天馬。いくら戦国時代に行ってたからって部員を忘れるなんて。」
彼女に続いて三国先輩からも声が飛ぶ。
「え~と…ごめん…」
そう言われても記憶にないものはない。
「もう~しょうがないな~。じゃ、改めて自己紹介するやんね!」
「チーッス!ウチ、菜花黄名子!よろしくないと!やんね。」
人懐っこそうな笑みと決めポーズで彼女、菜花黄名子は名乗りを上げた。
「フェイ、あの子って…」
「うん。タイムパラドックスの影響で生まれたんだと思う。」
やっぱりそうか。俺たちだけが黄名子を知らないこの感じ、サッカー禁止令の時と同じだ。
「このまえ剣城にストライカー勝負で勝ったから今のところウチがエースストライカーやんね。あ、でも流石に背番号はまずかったかも。返すやんね!」
「ってうわあああ」
そう言って男の前で遠慮なくユニフォームを脱ごうとする黄名子をマネージャー陣が止める。
なんか、凄い子だな。けど、剣城に勝ったというなら実力は折り紙つきだろう。
「よく分からんけど頼りにはなりそう。…多分。」
マネージャーに止められえへへと笑う黄名子を見て何とも言えなかった。
「よし、来い!」
「ミキシトランス、信長!」
ひと段落つき俺たちはみんなに神童先輩の、信長の力をお披露目していた。
キーパーに三国先輩、その前に霧野先輩、天城先輩、狩屋が守りを固めたゴール前を想定した形式だった。
「行くぞ!」
神童先輩がドリブルで瞬く間に狩屋と天城先輩を抜き去る。
「行かせない!」
最後に霧野先輩が止めに入るが
「何!?」
神童先輩は霧野先輩も躱した。
「刹那ブースト!!」
「うわああ」
そして必殺シュートで三国先輩も破った。
やっぱり信長の力は凄まじいの一言だった。
「すごい力だな神童!」
「これが織田信長の力か~」
「この力があればこれからの戦いもなんとかなるかもしれないですね。」
信長の力を目の当たりにしたメンバーは神童先輩を中心に輪を作り盛り上がっていた。
「ん?霧野先輩?」
しかしその輪の外で、普段なら最も神童先輩のそばにいそうな霧野先輩は暗い顔をしていた。
「あれ?」
葵のポケットが光り大介さんが出てきた。
「よ~しお前ら。そろそろ次の時空最強イレブンの力を発表するぞ~!」
「「「おおおおお」」」
大介さんの言葉にみんな期待の声をあげる。信長の力を見た直後だとやはり期待は大きくなる。
「時空最強イレブン二の力!仲間の勇気を奮い立たせ、鉄壁の守りに変えるカリスマディフェンダー!!」
「「「おおおおお」」」
ディフェンダー。俺もディフェンダーとしてこの力を授かりたい。けど、この力を聞いて俺の脳裏にはあの人が浮かんでいた。
「・・・・」
「・・・・・」
大介さんの次の言葉を待ち、沈黙が流れる。
「あの~・・・・」
「なんじゃ?ワシか?」
みんながコントみたいにずっこける。
「だから!例えるなら誰~みたいなのないんですか!?」
天馬が勢いよくツッコミを入れる。
「ああ~すまんすまん。そうじゃな二の力、例えるならそう・・・」
「ジャンヌ・ダルクだ!」
「「「ジャンヌ・ダルク!?」」」
恒例のごとく一同驚愕。
ジャンヌ・ダルク。名前は聞いたことある。女の人だっけ?
「ジャンヌ・ダルクは中世フランスにおいてイングランドとの戦争の中、仲間を導きイングランド軍を撃退した戦場のカリスマじゃ!ジャンヌなら儂の考える二の力にふさわしい。」
「ジャンヌには神の声を聞く力があったと言われている。」
はえ~神の声ね~。それにしても女性が戦争を勝利に導くなんてすげーな。
また一つ賢くなりました!
「はいは~い!女の子ならここはやっぱウチが適任やんね~」
黄名子が力を受け継ぐのに立候補する。
「うむ。では、菜花に任せる。」
「そんなんでいいんですか?」
あまりの雑な決め方に天馬が突っ込む。
「まあ大丈夫じゃろう!」
対する大介さんはあっけらかんとしていた。
「アーティファクトは既に手配しておる。手に入るのは2日後。明日は思い思いに過ごし英気を養っておくといい。以上!」
大介さんが〆たことで今日は解散ということになった。
ちなみにフェイの提案で今回からのタイムジャンプは歴史への影響を抑えるために11人ともしもの時のための一人を加えた12人で行くことになった。
「霧野先輩、どうしたんですか?」
「狩屋…何でもない。」
視界の端でじゃ霧野先輩と狩屋がなにやら話していた。
「う~ん明日は休みか~なにして過ごそっかな~」
俺は天馬とともに木枯らし荘への帰り道を歩いていた。
「久しぶりの休みだな。ここんところずっと戦い続きだったから助かるな。」
「うん。翼は明日何して過ごすの?」
「う~ん。まだ考えてないな~」
「そっか~。あ、葵からメールだ。」
明日のことを考えていると天馬の携帯に葵から連絡が入ったらしい。
「葵が二人で買い物に行かないかだって。」
「へ~いいじゃないか。行ってこいよ。たまには良いんじゃないか?」
「たしかに、スパイクとかも見たかったし。それにしても葵と二人で出かけるのなんて久しぶりだな~。」
幼馴染の二人はたまに二人で出かけることがあったらしい。羨ましいものである。
「それじゃあ天馬は明日一日お出かけか~。俺はどうしよっかな~。…あっ」
「どうしたの?」
「いや、何でもない。俺も明日の予定を思いついただけ。」
「何して過ごすの?」
「それは内緒だ。」
「え~教えてよ~」
「やーだよ。ほら、着いたぞ。」
そんな会話を交わしながら歩いていると木枯らし荘についた。
200年後の未来 フェーダのアジト
「ただいま~」
「お帰り、メイア。」
「お帰り。」
メイアは自分の時代に帰ってきていた。そんなメイアをSARUとギリスが出迎える。
「今回は少し長めのタイムジャンプだったね。」
「ええ。彼らの時代で遊んでたのもあるし、あと彼らにも動きがあったからそっちにもついて行ってたからね。おかげで随分と楽しめたわよ♪」
「それは良かった。土産話でも聞かせえてくれるかい?彼らの時代のこととか、彼らのこととか。」
「ええ。その前にお茶の準備でもしましょう。少し落ち着きたいわ。」
帰ってきてすぐに催促されて流石に一息つきたいメイアが言う。
会議室のような場所に移動した三人はギリスの入れた紅茶を飲みながら話を再開していた。
「それで、過去の時代はどうだい?前にも聞いた気もするけどゆっくりは聞けなかったからね。」
「そうね。やっぱり文明は進んでないから不便なこともあるけど、それはそれで楽しめてるわね。あと、景色とかも今とは全然違って見てて飽きないわよ。」
「不便なことが良いなんて僕には考えられないなぁ。人も文明も進化してこそだよ。」
SARUはあまり共感できていないらしい。彼は進化した人類、セカンドステージチルドレンの皇帝とてはあまり古い時代のものには関心がないようだ。
「ま、SARUはそう言うかもとは思ってたわ。けど、河川敷で小さい子達が駆け回ってるのとか、今では全然見られないから、そういうのを見ると昔のことを思い出すわ。」
「僕とメイアもよく遊んだよね。あの頃は。」
「ええ。」
まだ彼らが親の元にいた頃、無邪気に過ごしていた頃を思い出す。
「ふん。僕はその中にはいないけどね。」
そんな二人だけの思い出を聞かされ少し拗ねるSARU。
「ごめんごめん。他にもこの時代と彼らの時代で過去の人物の認知度とかにも差があったわね。そのへんは時代の流れを感じたなぁ。」
「たしかに、時代が変われば評価される人物や歴史も変わるだろうね。」
「で、フェイたちの調子はどうだい?」
過去の話に花を咲かせているとSARUが本題とばかりに切り出した。
「もう!まだ話したいことがあるのに…まあいいわ。」
そういって彼女が過去に飛んだ時に翼から聞いた話の内容を話す。
「へ~時空最強イレブンね。よくそんなこと考えるね。」
「本当よね。それで彼らは織田信長の力を求めて戦国時代に飛んだってわけ。」
「織田信長といえば昔の日本という国を収めようとした人だよね。」
「そんな昔の人間がそんなすごい力を持ってるとは思えないな。」
SARUは半信半疑といった様子だった。
「それがそうでもないのよ。フェイは恐竜とミキシマックスしているんだけど信長の力はこの時代のミキシマックスガンに収まらないほどだったみたい。」
「あのミキシマックスガンに?それは確かにすごいね。」
「ええ。雷門の神童って人がオーラを受け取るつもりだったんだけど彼の器に収まりきらなかったらしいわ。まぁ最後は成功したけど。」
「その口ぶりだと見ていたのかい?」
ギリスが言葉尻を捕らえる。
「ええ。エルドラドと戦国時代で決着を付けるみたいだったから見に行ったの。中々の力だったわよ。」
「それは僕らにとってはありがたいね。」
「そういえば、どうして彼らの動向をそんな詳しく知っているんだい?」
ふいにギリスが疑問を投げかけてきた。
「確かに、やけに彼らの事情に詳しいね。ずっと見ていたわけじゃないんだろう?」
「あら、言ってなかったかしら?翼に連絡用のデバイスをあげたからそれでやり取りをしてたの。」
「ツバサ?って以前言っていたすごい力を秘めてる人だっけ?」
「ええ。一回彼の時代に戻ったときに町で出会ったからその時に渡したの。あのデバイスを持っていればその反応を辿ってタイムジャンプしやすいし。それに彼と連絡取れるのは私にとっても嬉しいし。」
「おいおい、あんまり僕らの技術を流さないでくれるかな?フェイやエルドラドにバレたら面倒なことになるんだから…」
勘弁してくれといった様子のSARU。
「口止めしてるから大丈夫よ。それに、あれを作ったのも私なんだから文句言われる筋合いは無いわ。」
「よっぽどその翼って人を気に入ってるんだね、メイア。」
「もしかして好きになっちゃったとか?」
ギリスとSARUが茶化すように言う。
「別にそういうのじゃないわよ、彼の力は興味深いし見てて面白いだけよ。…まぁ他の人たちに比べたら話してても楽しいし魅力的だと思うけど…」
茶化されたメイアは否定する。彼女自身、他の人間に比べると魅力的ではあるが‘そういう’対象としては意識していない。フェーダ内でもガロなどのザンのメンバーよりはよっぽど好感は持てるが単純に気になる人間というだけ。多分。
「ふふ、今日のところは君の言い分を信じるよ。ね、ギリス。」
「ああ。それでその彼の力はどうなんだい?以前は化身を使いこなせてなかったって言ってたけど。」
ふと気になったギリスが翼の話題をメイアに振る。
「そうね。彼はプロトコル・オメガとの戦いは作戦の関係で後半戦からの出場だったの。前半体力温存してた分、後半は凄かったわよ!ベータの力を分け与えた3、4人まとめて吹き飛ばしたり、化身アームドとシュートチェインをシュートブロックしたりで彼が入った後半は1点も与えなかったの!それでね……」
話題を振られたメイアは生き生きと話し始める。そんなメイアに呆れと困りが混ざったように笑うSARUとギリスであった。
「~~~~~~・・・あら?」
話し込んでいると不意にメイアのポケットの中でデバイスが震えた。
「誰かから連絡かい?」
「今ってギルの誰か出かけてたっけ?」
二人には連絡の相手が全く検討もつかずメイアの方を見やると
「ふふ♪あの時の約束、ちゃんと守ってくれるんだ♪」
そこにはとても嬉しそうな可愛らしい笑顔を浮かべたメイアがいた。
「あ、二人共、また明日から過去に飛ぶことにしたわ。フェイたちのことは引き続き任せてちょうだい。それじゃ♪」
そう言い残してメイアは去っていった。
「ねえ、ギリス。」
「なんだいSARU。」
「すごく楽しみそうな顔してたね、メイア。」
「うん。あんなメイアなかなか見れないね。」
「あの連絡、多分そういうことだよね。」
「だろうね…」
「「はぁ…」」
『俺たちの時代で、明日会えないかな?』
翼は自室でデバイスと一時間ほどにらめっこした末にメッセージを送信した。
不意に訪れた丸一日の休み。どう過ごすか考えていると戦国時代でのメイアとのやり取りを思い出した。
「けどメイアがどの時代にいるかも分かんないし、そもそもOKしてくれるかな…からかってるだけだったりして…」
前世でも女性を誘ったことなどなかった翼にとって女性に出かけようと誘う、それもメイアのような魅力的で不思議な子を誘うなどかなりの勇気が必要なことだった。
なんとかメッセージは送ったものの返信が帰ってくるまで不安と悶々とした気持ちに飲まれながら待っているとデバイスが震えた。
『もちろんOKよ。それじゃ明日の10時にこの前あったところの駅前に集合しましょ。楽しみにしてるわね♪』
「まじか…どうしよ」
いかがでしたでしょうか。
ということで少し日常回という名のほぼデート回を少しはさみます。
デートしたこともないような人間がどうやってデートを描くんだといった感じですが頑張ります。
二人の距離感、むずい。