田舎者には東京のこと分からないよ~
駅前
「ちょっと早いけどついたな。」
翼は約束の10分前に待ち合わせ場所の駅前の噴水についていた。
「正直、あんなにあっさりOKされるとは思わなかったな。一応考えては来たけどメイアのことをあんまり知らないんだよな、よく考えると。」
翼としては戦国時代での約束を果たそうと考えなしに誘ったはいいがプランが無いことに寝る前に気づいて軽く寝れなくなった。
「おはよう翼。待たせちゃってごめんなさい。」
そんなことを考えながら待っているとメイアがやってきた。
「そんなことないよ。俺もさっき着いたとこだ。それにタイムジャンプや慣れない時代なんだし仕方ないよ。」
「ふふ、そう言ってくれるとありがたいわ。」
「今日はいつもとは違う格好なんだな。その…とても似合ってるよ。」
メイアはいつものユニフォームにも見える服ではなくカジュアルでありつつも普段のように上品さを感じさせるあまりこの時代では見ないような服装だった。
「ありがと。いつものあの格好はユニフォームも兼ねてるの。だから出かける時はこうして自分の服なの。あなたも素敵よ。」
「そうかな?俺はあんまりおしゃれとかよく分からないんだけど…」
「それで、今日はどうしたの?何も聞かされてないんだけど。」
「ああ。この前また二人で出かけようって言ってただろ?明日からまたタイムジャンプするんだけど今日一日休みだったから誘ってみたんだ。」
「ちゃんと覚えてたのね、あの約束。」
「元はといえばそっちから言ってきたんだけどね。」
「あはは、そうだったわね♪それで、なにして過ごすの?」
メイアはこれからのプランを聞いてくる。
「そのことなんだけど、俺たちってなんだかんだでお互いのことあまり知らないだろ?だから今日はお互い好きなこととか休みの時に行くところとかに行くのはどうかなって。ついでに戦国時代でのこととかも話すよ。」
昨晩、誘ってみたはいいがプランもなにも考えていなかった翼は寝る前に必死で考えたが彼女のことをなにも知らないということに気づいた。だから、今日で少しでもお互いのことを知りたいと思ったというわけだ。
「それは良いわね。私も翼のこともっと知りたいと思っていたしね♪」
「うぐっ///」
面と向かって言われると気恥ずかしくなる。
「それじゃ、早く街に行きましょ。ほらほら!」
「ちょ、ちょっと待った。まずは電車だからこっちだって!」
「もう!なら先に言ってよ!
そういって翼の手を引き駅構内に入るメイア。
こういう時、男が引っ張っていくものだと思っていたのに気がついたら彼女のペースに乗せられているのがいつも通りの光景になりつつあることに少し複雑な心境の翼であった。
二人はとりあえず何でも揃っている都市部に来ていた。
「メイアは最近この時代に来たみたいだけど何して過ごしてるんだ?」
「そうね~この時代は私からしたら目新しいものばかりだからとりあえずブラブラしているだけでも楽しいわね。お洋服屋さんとかこの時代の本屋さんとかも見たりしてるわね。」
そう言いながら街を歩く二人。
「へ~それじゃ午前中はその類のお店に入ってみようか。」
「そうね。翼のおすすめのお店とか教えてもらえる?」
「いいけど服屋とかは期待しないでくれよ。」
「ここは色んなお店が入ってるし規模も大きいしよくくるんだ。」
翼とメイアは大型の商業施設に来ていた。ここならメイアも好きそうな本屋や洋服屋、昼食にも不便はなさそうということで連れてきた。
「200年後もこういうところはあるのか?」
「そうね、私はあまり行かないけどあるわよ。」
メイアはセカンドステージチルドレンとして大量の人が集まる場所は避けるようにしていたためこのような施設は知っていても来るのは初めてだった。
「そうか。4階に大きな本屋があるから行ってみよう。」
「ええ。」
「翼は本とか読むの?」
「俺は漫画しか読まないかな~。なんか真面目な本とか読むと眠くなるんだよ。難しい漢字多いし。」
「ふふ、なんとなく想像はつくわ♪そんなので勉強は大丈夫なの?これから色んな時代に行くんでしょ?」
「うぐっ…な、何とかなってるよ?」
嘘である。この男、二度目の中学生なのに天馬と同じかそれよりひどい点数を取ったりしている。
「そういうメイアはすごく頭良さそうだけど本とかよく読むのか?」
「そうね。自分で言うのもなんだけど頭はとても良い方ね。本はよく読むけど暇な時にいろいろ読むの。」
常人よりも優れた知能を持つセカンドステージチルドレンの中でも随一の頭脳を誇るメイアである。ここは謙遜するでもなく答える。
「ふん。どうせ俺は漫画しか読めない馬鹿ですよ…」
「別に漫画は私も読むわよ。同じような本ばかり読んでいてもつまらないしね。」
「へえ。この時代の漫画で200年後も伝わってるようなのとかある?」
「あるにはあるわよ。そうね…あ、この作品とか私たちの時代でも売られてるわよ。作者は漫画の神様みたいな扱いになってるわ。」
メイアが手に取った作品は30年も前に連載していた少年漫画である。
「それはすごいな。確かにこの作品なら語り継がれていてもおかしくないかも知れないな!」
「ええ。だからこの時代の人たちの中にも凄い人達はいるのよ。あなたみたいに。」
「俺?俺はそんなことないよ。」
急に褒められた翼はどうせお世辞だろうと軽く流す。
「どうかしらね♪ねえ、何かこの時代のおすすめの作品を教えてよ。」
「う~んそうだな。この作品とかは最近すごく人気みたいだぜ。頭の良い男女がお互いに告白させようとするラブコメなんだけど恋愛のことになると馬鹿になるんだ。」
「聞いたことない作品ね。それじゃ、これ買ってこようかしら。」
「そういえばお金ってどうしてるんだ?この時代とは通貨も違うんじゃないか?」
「それなら大丈夫よ。タイムジャンプする時にその時代のものに合わせられるようになってるの。それじゃ、これ買ってくるから待っててちょうだい。」
そういって足取り軽くレジに向かうメイア。
「お待たせ。混んでてちょっと時間かかっちゃった。」
「気にすることないよ。時間も時間だし人も多くなってきたな。」
時間はお昼時となりモールの人も増えてきていた。
「いい時間だしそろそろお昼にしない?」
「そうだな。どこか行ってみたい店とかあるか?」
「そうね。戦国時代の話とかも聞きたいし落ち着いて話せるところがいいわね。」
「なら3階にあるこの店でいいか。」
メイアの要望もありある喫茶店に入っていた。この店は名古屋発祥の有名チェーン店で、デニッシュパンの上にソフトクリームを乗せた名物メニューが有名だがランチにちょうどいいメニューも多い。
「ふふっ、こういうお店もいいわね♪」
「もっと良い店紹介できたら格好も付いたんだけど、確かに200年後にはこういう雰囲気の店はなさそうだな。」
「そんなことないわよ。私たちもまだまだ子供なんだし。」
「そう言ってもらえると助かるよ。」
メイアの金銭事情は謎だが俺は中学生にしては仕送りなどもあり、割と余裕があるが大人が行きそうな店には流石に手を出せない。
「とりあえず注文してしまいましょ。何かおすすめはある?」
「そうだな、やっぱりこの辺のサンドイッチメニューはどれもオススメだから好きなのを頼んだらいいんじゃないかな。あとデザート系も結構おいしいよ。」
「それじゃ、これにして後でデザートも頼もうかな。」
メイアが決めたところで店員さんを呼び注文を終える。
「それじゃ、私がいなかった時のことも含めてこの前のタイムジャンプの話を聞かせて。」
「ああ。といってもこの前結構話したからそのへんは割愛しつつ話すよ。」
メイアに促され戦国時代での出来事を順に話していく。太助たちとの出会い、白鹿組との戦い。そして藤吉郎さんと信長との出会い。
途中で持ってこられたメニューを食べつつ花見の宴くらいまでのことを話す。
「いろいろあったのね。それにしても一歩間違えたら処刑されてたんじゃない?危なかったわね。」
メイアは俺たちが花見の宴でかなり危なかったことを笑いながら言ってきた。
「笑い事じゃないよ!あの時は正直ほんとに死んだかもって思ったよ。」
いや、ほんと。生まれ変わって数ヶ月。また死にましたなんて洒落にならん。
「まぁまぁ、こうして無事に帰ってきたんだからいいじゃない。」
「そうだけど…この年にしてまた死ぬなんて嫌だよ。」
「え?また?」
「あ、いやまだって言ったんだよ!?聞き間違い聞き間違い!!」
やばい、うっかり口走ってしまった。
「?…ま、そうよね。」
どうやらなんとか誤魔化せたみたいだ。
「そうそう!それで試合が決まって特訓してあの日を向かえたって訳!そういえばうつけ祭りはどうだったんだ?!」
話を振ってもみ消そうとする。
「お祭りも結構楽しかったわよ。あの時代にもいろんなお店があったし、違う国から来たと思った店の人がご馳走してくれたりもしたの。」
「へ~。まぁメイアみたいな女の子がよそから一人で来たと思ったら俺もおごっちゃうかもな。」
こんな美少女が一人でお祭りに来てるんだ。気の大きくなったおっちゃん達は財布の紐も緩くなるだろう。ここに来るまでも道行く男たちの視線を感じた。
「もう!調子いいこと言うんだから!」
一方のメイアは唐突に褒められて照れてる。
「?ま、楽しめてたんなら良かったよ。こっちはそれどころじゃ無かったけどな。」
俺も戦国時代の祭り、楽しみたかったな~
「それは今度また一緒に行きましょ♪それに、お祭りも楽しかったけど、試合の方も
見てて楽しかったわよ。」
「俺は半分しか出てないけどな。」
「その分後半は凄かったじゃない!前見た時より化身の力も上がってたし!」
「前半体力温存出来たからだよ。まぁ確かに以前よりも力はついた気もするよ。」
エルドラドとの戦いやみんなとの特訓をへて自分自身の力が増して来ている実感はある。
「けど、化身アームドにはまだ足りないし、いつか俺の番が来た時、ミキシマックスも出来るのかなぁ。」
みんな着々と化身アームドを身に付けつつあるが最近になってようやく化身をコントロール出来るようになった俺じゃ化身アームドはまだ先の話かな。
「翼ならきっとどっちも出来るわ。私の目に狂いは無い!」
そう自信満々に言うメイア。
「はは、期待を裏切らないよう頑張るよ。」
「それにしても織田信長と豊臣秀吉は大した人たちよね。」
「ああ。ああいう優れた人たち世をいい方向に導いてきたから今があるんだろうな。」
「・・・ねぇ、やっぱり優れた人間が上に立って世界を動かしていくべきだと思う?」
不意に神妙な面持ちでメイアが聞いてきた。
「え?う~ん、優れた人がいい方向に導くとは限らないけど、やっぱそういう人の方が上に立ったほうがいいことが多いんじゃないか?」
あまり意図が分からずなんとなくそう答える。
「そう・・・そうよね・・・うん、ありがと。」
そう呟く彼女の表情は普段とは見ないような、強い決意のようなものを感じ、やけに頭に残った。
「そういえば次のタイムジャンプは誰に会いにいくの?」
後から注文したパフェを食べながら聞いてくるメイア。
前も思ったがやっぱり女の子って甘いものが好きなんだな。美味しそうに食べ進めていて見てるこちらとしては暖かい気持ちになる。
「ああ。次は中世フランスに飛ぶらしい。2の力のカリスマディフェンダーの力を取りに行くみたいだ。」
「へ~ディフェンダーかぁ。もしかしたら翼が選ばれるかもね。相手は誰なの?」
「ジャンヌ・ダルクだってさ。」
「ジャンヌ・ダルクって戦争を勝利に導いたっていう女性の?」
「多分、その人だ。」
「・・・他に適任そうなメンバーはいないの?」
急に少ししかめっ面でメイアは聞いてくる。
「どうしたんだ急に?」
「別に」
メイア自身も胸のうちのモヤモヤの正体は分からない。
「ま、いいか。正直ディフェンダーとしては選ばれたい気持ちが無いわけじゃないけど、俺としてはこの役目は霧野先輩が良いと思ってるんだ。雷門の守りの要はあの人だし。」
「ならその人が良いんじゃない!うん!」
一転して明るくなるメイアだった。
「?」
「それにしてもフランスか~。今回は私も早い段階から行こうかしら♪」
「ええ!?大丈夫?エルドラドとかみんなにバレないか?」
「安心して。観光がメインだしバレないようには気をつけるから。」
そういう問題か?
「そういう問題よ。」
「ナチュラルに心を読まないでくれるか!?」
「ふふ。それじゃデザートも食べ終わったし、次に行きましょ。今度は翼が行きたい所に連れてってよ♪」
「いいのか?それじゃあ食後の運動と行くか。」
俺たちは支払いを済ませ店を出て、目的地へ向かった。
いかがでしたでしょうか。
一部、特定の店や作品がちらついた方もいるかも知れません。おそらくその想像は正しいです。
デートもしたことないやつがどうやって書くんだと思ってましたが、これはデートではないと主張することで解決とさせていただきます。
感想、ご指摘あればお待ちしています。