二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

22 / 69
更新が遅くなってしまい申し訳ありません。ここのところ私生活で少し問題というかストレスになることが多く執筆する精神的余裕がありませんでした。
できるだけ更新頻度を上げていけるよう頑張りたいと思います。


聖女

 

ヴォークルール 拠点

 

「何だか変なことになっちゃったね。」

俺たちはヴォークルールの拠点に連れてこられはしたものの見張りはついており自由には動けない、半分捕虜のようになっていた。

「せっかくジャンヌ・ダルクに会えたのに…」

「なんとかミキシマックスするチャンスを見つけてみせるよ。」

「でも、あのジャンヌさんとミキシマックスして強くなれるのかな?」

「確かに、あんまり力強さは感じなかったな…」

みんなの言うように大介さんの言うような力強さやカリスマ性は感じなかった。

 

「とりあえず、練習しませんか?なんとかなりますよ!」

「なんとかなる、か。」

「確かに悩んでるだけじゃ時間が勿体無い、やろうぜ天馬!」

考えてばっかってのは苦手だし、体動かしたいし天馬の提案に乗る。

「よし!では、ゴール前1vs1の想定だ!信助、準備はいいか?」

「うん!」

ワンダバがシチュエーションを設定する。

最初に剣城と黄名子の1vs1が始まった。

黄名子のプレーは初めて見るが攻撃も守備もどちらもハイレベルにこなしていた。

「黄名子って器用なんだな。」

「ウチ、ポジションいろいろできるやんね!」

最初はエースストライカーって言ってたし、今の動きを見ても人数が限られる今後の戦いではとても頼りになりそうだ。

 

 

「ん?何をされているんですか?」

しばらく続けていると塔の上からジャンヌが姿を現し聞いてきた。

「サッカーです!」

「サッカー?」

天馬の口から出た知らない単語にジャンヌは訪ね返す。

「サッカーは俺たちにとって一番大切なもので、それを守るためにここに来たんです。」

「大切なもの‥」

「はい!そうだ、こういうの知ってますか?」

そういって戦国時代で信長の前で見せたように。サッカーのさまざまな技を披露する俺たち。

「サッカーって、おもしろそう!」

ジャンヌさんもサッカーに興味を持ったらしく、俺たちの元に降りてくる。

 

 

ジャンヌさんが降りてきてから、攻守に分かれてより試合的な練習に移行する。

「行かせないぞ天馬!」

「負けるもんか!」

「天馬、こっちだ!」

「はい、神童先輩。」

「あ、逃げたな!」

天馬が神童先輩にパスをだし、神童先輩には霧野先輩がマークにつく。

「あっ!?」

マークについた霧野先輩が抜かれる。霧野先輩はどうしても浮かない表情だ。狩屋の言っていたことを思い出す。

あの二人は特に仲が良かった。けど、いつの間にか差が開いてしまったことを気にしてるのかもしれないな。

 

 

「みなさん、どうぞ。」

練習がひと段落つき、ジャンヌさんがキャンディを差し入れてくれた。

「いや~疲れた時は甘いもんが染み渡るぜよ!」

「あんた気が利くじゃん!」

「い、いえ。そんなことは・・・」

水鳥先輩に絡まれたじろぐジャンヌさん。

「ジャンヌさんの心配り、すっごくいいと思います。私たち、いい友達になれる気がしません?」

「友達、そうですね!」

葵につられジャンヌさんの表情も柔らかくなり、距離が縮まった気がする。

 

 

「今だ!」

話が盛り上がってる中、ワンダバがミキシマックスを試みる。

「あれ?」

「「うわああああああ」」

「バレたらどうするんだ!」

慌ててワンダバを組み伏せる。

「オ、オーラが取れない・・・」

「今のは一体・・・」

「彼女は儂らの知るジャンヌとは違うのかもしれん。」

大介さんが出てきて言う。

「彼女はまだ力が目覚める前のジャンヌなのだ。」

「信長の時と逆のパターンか・・・」

受け取る力が目覚めていないからか。

 

 

「サッカー好きになれた?」

サッカーボールを見つめていたジャンヌに黄名子が話しかける。

「その、まだよくわかりません。」

「そうだな~言ってみれば、サッカーは戦いやんね!みんながひとつになってゴールっていう城を守ったり、相手の守りを攻め崩すの!」

「戦い?」

「そう!実際にやってみるやんね!」

そう言って黄名子とジャンヌがパスを出し合う。

黄名子の人懐っこさは凄いと思う。

 

「あ、ごめん。強すぎたやんね。」

「いえいえ。」

黄名子が少し力加減を間違えジャンヌさんの頭を超え、霧野先輩の方にボールが転がっていき、拾いに行く。

「どう?サッカーは?」

霧野先輩がボールを拾い上げジャンヌさんに聞く。

「はい。とても楽しいです!」

「そう、それは良かった。」

明るく話す二人だがお互いにかすかに暗い表情が見え隠れする。

 

「なぁ天馬、ちょっといいか?」

天馬を呼び霧野先輩とジャンヌさんから離れた位置に移動する。

「霧野先輩の事なんだけど…」

「ああ、この間から少し様子が変だよね。」

「なんだ気づいてたのか。」

どうやら天馬も霧野先輩の変化には気づいていたらしい。

なんだかんだでチームメイトのことをよく見ているなと思う。

俺だって同じポジションでよく一緒にいることが他のメンバーより多いから気づけたところはあるのに。

「ううん。何だか悩んでるなってのは分かってたんだけど、理由が分からなくて…」

「多分、神童先輩のことじゃないかな。」

「神童先輩の?」

「うん。正確に言うと神童先輩のことではないんだけど、あの二人って親友だろ?霧野先輩が知らない間に神童先輩が凄く強くなってて焦ってるんだと思う。…って狩屋が言ってた。」

「なるほど…」

「ああ。てことで、頼んだぜ、キャプテン!」

そういって天馬の背中を強くたたく。

「ええ!?丸投げはずるいよ!」

「同じポジションの俺から何か言うのも難しいだろ?まぁ、俺からも出来ることはするけどキャプテンとして、頼むぜ!」

「ええ~…まぁ、チームメイトが悩んでるなら何とかしないとね。」

「そうそう!なんとかしてくれよ!んじゃ、戻ろうぜ!」

話を無理やり切り上げてみんなの元に戻る。

「あ、待ってよ翼!」

 

 

「この人たちを自由にさせてあげてください。」

みんなの元に戻るとジャンヌさんが見張りの人たちに俺たちの解放を申し出てくれた。

「いいのか?」

「はい。彼らと交流して分かりました。それに、あの時私は空に不思議な光を見ました。そして彼らが現れた…きっと彼らは神が遣わされたんです。フランスを救うために。」

「…分かった。」

見張りの人はジャンヌさんの言葉に完全には納得はしていないもののジャンヌさんを信じ、俺たちを自由にしてくれた。

 

 

自由になったとは言っても別に他の町に出かけるということはない。

戦争中に俺たちみたいな何の武器も持たない子供が出歩くのは死ににいくのもいいとこだ。

ただ拠点に居るだけっていうのも勿体無いなぁと思ってるとポケットの中のデバイスが震えた。

「ん?え…」

画面を見るとメイアから連絡が来ていたが今回はなんと着信が入っていた。

「どうしたの?」

「い、いや何でもない!ちょっと散歩に出てくる!」

近くにいたフェイに聞かれ慌てて誤魔化し拠点の外に出る。フェイには自分たちの時代のものを俺が持ってることに気づかれるとまずそうなので誤魔化せてると良いんだが…

 

「このボタンだよな...もしもし。」

拠点の外にある茂みの中で着信に出る。

『あ~やっと出た~も~遅いわよ~』

向こうから少し間延びしたようなメイアの声が聞こえてくる。

「ごめんごめん。みんなが居る前だったから人目につかないとこまで出てきたんだよ。それで、どうしたんだ?」

普段ならメッセージなのになぜ今日は電話なのかと思い聞いてみる。

『ん~なんだか声が聞きたくなったからかけちゃった~』

「うぇええ!?いきなり何言ってんだ!」

『えへへ~照れてる~かわいい~』

一体どうしたと。なんだか今日のメイアはおかしい。声もなんだかうわずってるしもしかして体調でも悪いのか?ただこの感じどこかで…

「ちょっと、大丈夫か!?なんか声がうわずってるけど、今何してるんだ?」

『そんなことないわよ~。え~とね~今はね~フランスの原っぱを歩いてる~。この時代のフランスも綺麗だし、美味しいものもいっぱいあるわね~』

なるほど、メイアもこの時代に来ているんだな。

「こっちに来て何してたんだ?」

『ん~とね~ちょっと前にこっちに来て~それから町並み眺めて~店先で果物とか食べて~あっそうだ!あのね~果物から作ったあの飲み物を飲んだの!この時代って大人じゃなくても飲めるのね。美味しくて気分良くなっちゃった~』

それだ。絶対にそれだ。完全に酔ってる。

そんなもの飲んでまともでいられるはずがない。ソースは前世の俺。

「メイア、よく聞いてくれ。絶対に近づいてくる男とかについて行ったらダメだぞ!出来るだけ早くどこかの宿の一人部屋に入るんだ!」

『どうしたの~急に?』

「良いから!メイアのために言ってるんだぞ!」

『えへへ、私のためだなんて照れちゃうじゃない。』

これ、酔いが覚めたとき大丈夫か?

「分かった?」

『分かったわよも~』

「それじゃ、宿に入ったら早く横になって寝るんだぞ!」

『分かったわ~』

「よし、それじゃ切るからな。また連絡するから。」

『は~い。あ、翼。」

通話を切ろうとした時メイアに呼ばれる

「どうした?」

『声聞けて嬉しかったわ。またこうやって話したいな~♪』

「んなっ!?もう、切るからな!バイバイ!」

普段から手玉に取られてるけどこれはこれで大変だったな…

まぁ、寝て目が覚めた時に悶えればいいさ。

その時の反応を見れないのを少し残念に思う翼だった。

ただ、彼は失念していた。酒は時に本人すら無自覚な本音を引き出すことを。

 

 

「ん?霧野先輩たちとジャンヌさん?」

通話を終え、拠点に戻る途中霧野先輩と神童先輩とジャンヌさんを見かける。

「本当に聞いたんです!神の声を!…信じてくれないんですか…」

「…信じるよ。君のことを。俺たちも君を信じるから、君も俺たちを信じて力を貸してくれ。大切なものを守るために。」

 

「霧野先輩…」

 

 

その夜

俺たちに与えられた寝床にジャンヌさんがやってきた。

「私は明日、シャルル王子に援軍を頼みにシノン城に行かなければいけないんです。」

「援軍を?」

「はい。イングランド軍に包囲されたオルレアンを解放するために。それで、その…一緒に来てもらえませんか?護衛として。」

「え!?」

「護衛!?」

ジャンヌさんからの思わぬお願いに一同面食らう。

「はい。あなたたちのサッカーの戦術が敵中横断の役に立つはずです。」

「敵中横断!?」

「危険すぎるんじゃ…」

一歩間違えば戦争に巻き込まれる。なんの訓練も受けない子供の俺たちが。

「援軍を連れ帰り、オルレアンが無事に解放されれば、私はあなたたちの為に力を尽くしましょう。」

ジャンヌさんは芯の通った声でそういう。

けど、俺たちはいきなりの提案、それもかなりの危険を伴うことにみんな答えに窮する。

その時

「分かった。」

霧野先輩が立ち上がった。

「俺たちはジャンヌの力を必要としている。なら、俺たちもジャンヌのために力を尽くすべきだ。」

「霧野先輩!」

「そうだな。」

「助け合い、ですね。」

俺も天馬と神童先輩に続く。俺たちだけが協力してもらおうなんて虫が良すぎる。

「やりましょう!」

「ほいじゃあ、全員で行くぜよ!」

「剣とか鎧とか着ちゃうんですかね~」

みんな霧野先輩の言葉で踏ん切りがついたらしく、打って変わってワクワクしている。

「あ、すいません。馬車に乗れるのが7人までなんです。だから私を除いて、6人になるので全員という訳にはいかないんです。私としても出来るだけ大勢のほうが頼もしいんですけど…」

「分かった。それじゃあメンバーを選ばないとな。」

「それでは、明日の明け方にまた迎えにあがります。なのでそれまでに6人を選んでおいてください。それでは…」

そう言い残しジャンヌさんは帰っていった。

 

 

その後護衛としてついて行く6人を決める流れとなった。

ミキシマックスの機会を窺うためにフェイ、オーラを受け取る候補の黄名子がまず決まった。そこからキャプテンの天馬、仲のいい信助が決まり、オーラを受け取る候補は多いほうがいいということで俺、そして本人の強い意向もあり霧野先輩の6人に決まった。

 

 

次の日 早朝

 

「これをこうして…」

「んぐぐぐ・・・」

「お、重い・・・」

俺たちは

ジャンヌさんに手伝ってもらいながら鎧を着込んでいた。鎧ってこんなに動きにくいのか・・・

「前が見えないよ~」

信助に至っては鎧に着られているといった様子だ。

「それはサイズが合ってないだろ・・・

「よくこんなものが振り回せますね。」

「えっと、実は私もうまく使いこなせてないんです。」

「え、そうなんですか?」

剣と鎧を使いこなせないのに戦場に立っているなんて思いもしなかった。

「はい。それでも、必要とあれば剣を振るわなければなりません。どれだけ怖くても…」

そういうジャンヌさんは強い意思を持ちながらも、自信を持てていないように見えた。

そんなジャンヌさんを霧野先輩が見つめていた。

 

 

「あなたが一緒に来てくれるんですね。えっと…」

「名前か、霧野蘭丸だ。」

「蘭丸。よろしくお願いします!」

 

「それじゃ行こうか。」

準備が整い外に集合の時間になった。

「ああ。…あ、そうだ。」

あることを思い出し。

「どうしたの翼?」

「すまん。ちょっとやっときたいことを思い出した。先に出ててくれ。」

「分かった。待ってるね。」

天馬に先に出ておくよう頼む。支度部屋には俺一人になる。

「さてと、まだ寝てるかな?」

だれもいないのを確認し、デバイスでメッセージを送信する。

「記憶残るタイプかな?起きて覚えてたらどんな反応するだろう。」

 

 

「みんな、ジャンヌを守るんだ。いつもの試合のように気を引き締めていこう!」

「「「はい!」」」

外に集合し、霧野先輩が俺たちのやるべきことを改めて確認する。

「霧野先輩、頼りにしてますよ!DF陣のリーダーなんですから。」

「こら、茶化すな翼!」

「茶化してませんって。」

「全く…」

そうしているとちょうどジャンヌさんが出てきた。

「お待たせしました。それでは、行きましょう。」

そして俺たちは馬車に乗り込みヴォークルールを後にし、シノン城に向かった。

 

「シャルル王子が援軍を出してくれるといいな。」

「はい。それが神のご意志なのですから。」

 

 

その頃ある街の宿屋

 

「う~ん・・・・」

朝日が差し込みメイアが目を覚ます。

「ん~あれ?私、何してたんだっけ?」

見慣れない部屋で目を覚まし、寝起きということもありなぜ自分がここにいるか思い出せない。

「ん~・・・あ、そうか。昨日あれを飲んでから・・・」

徐々に頭が動き出し、昨日のことを思い出す。

「あんまり覚えてないけど、セカンドステージチルドレンでもあれには勝てないのね。」

かすかに残っている記憶から自分が陥っていた状態をおぼろげに思い出し、軽く落ち込む。

「けど、なにか大事なことを忘れているような・・・あら?」

ふと机の上に置かれているデバイスが光っているのを確認する。

「翼から?」

差出人を確認し、内容に目を通すが

 

『おはよう。昨日の記憶は残ってるか?急に電話を寄越すから驚いたよ。それに、あんなことを言われてびっくりしたよ。まさかメイアの口からあんなことが聞けるとはね。

俺はシャルル王子に援軍を要請してオルレアンの解放に向かうことになった。もしかしたらどこかで会うかもしれないな。』

 

「・・・は?」

文面、特に前半部分の意味が理解できず通話履歴を確認すると確かにそこには翼との通話履歴があった。

「え・・・そういえば、あの時なんだかフワフワしてて・・・それに翼の声が聞こえてたような・・・はっ!」

急速に記憶が蘇ってくる。

たしかデバイスをいじってると名前が目に着いて無性にかけてみたくなって。それから…

「あ…あああ…はあああああ!!??」

思い出してしまった。

なんてことを言ってしまったんだ、あの時の自分。

自分の発してしまった顔が赤くなるような発言の数々を思い出した彼女がしばらく悶えたのは言うまでもない。

 




いかがでしたでしょうか。
フランスと聞いて真っ先にあのくだろをやろうと決心しました。
ふわふわした女の子はかわいい。
ちなみに私は弱いので飲んだことありません。
赤面する女の子、良い。
感想、ご指摘などあればお待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。