二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

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どうも。前回よりは早めに投稿できました。
これまでこの作品は翼視点、メイア視点、三人称(神)視点で主に描いてきましたが今回は他のキャラの視点も挟んでみました。うまくやれているといいのですが


それぞれの苦悩

「ひどい…」

俺たちは馬車でシノン城を目指す道中、戦場の跡を通っていた。

「戦争に巻き込まれたんだ…」

建物は壊れ、人々は傷ついている。

「早く戦争を終わらせないと…」

ジャンヌさんは十字架を握り締め祈る。

「…シャルル王子に援軍を出してもらえるといいな。」

「はい。それが神の御意志なのですから。」

霧野先輩がジャンヌさんを元気づけようと声をかける。

「歴史ではジャンヌはシャルル王子に援軍を出してもらえるんだよね?ならきっと大丈夫だよ!」

「そうとも限らないよ。歴史は不安定になってるからね。門前払いを喰らうことだってありえるかも知れない。」

信助の楽観的な考えにフェイが答える。

「とにもかくにもまずはシノン城についてからだ。まだつかないのか?」

「もうすぐだと思います。…あっ見えてきました!」

遠目に大きな建物が見え始めた。あれがシノン城か。

 

 

「少し待っててください。シャルル王子との謁見をお願いしてきます。」

シノン城につき、城門をくぐった広場に通されたあと、ジャンヌさんがシャルル王子に会わせてもらうよう交渉する間俺たちは待機していた。

「とりあえず城の中には入れてもらえたけど、王子に会えるのかな?」

「会えなかったら援軍を貰うどころじゃないやんね。」

「てか、シャルル王子ってどんな人なんだ?」

信介や黄名子と話していると少し離れたところで考え込む霧野先輩が見えた。

「霧野せ…天馬…」

霧野先輩に声を掛けようとすると天馬が霧野先輩のそばに行った。

「任せたぞ、キャプテン。」

 

 

俺たちが戻ってきてから霧野先輩の様子が少しおかしい。

いつも神童先輩と一緒にいて、練習の時もディフェンス陣をまとめあげていたのになんだか元気がない。

翼も言ってたけど何か悩みがあるんだと思う。キャプテンとしてなんとかしなきゃ。

「霧野先輩!」

「天馬か。どうかしたのか?」

「ジャンヌさん、大丈夫ですかね。」

「分からない。けど、俺はジャンヌを信じるよ。」

霧野先輩はこの時代に来てジャンヌさんと出会ってからよく話してるし、ずっと元気づけてる。自分にも悩みがあるのに、自信を持てないジャンヌさんを必死に励ましてる。

「あの…大丈夫ですか?」

「え?どうしたんだ急に。」

「いや、最近霧野先輩少し元気ないなって思って。それで何か悩みでもあるのかなと思って。」

「そうか…別にそんなつもりはなかったんだけどな。」

バツの悪そうに霧野先輩は言う。

「俺で良かったら聞きますよ。」

「いや、悩みってほどじゃないんだ。お前たちがエルドラドと戦ってる間、俺はなにも出来なかった。天馬や神童が成長してる間、俺はサッカーから逃げてた。そんな自分が情けなくて…」

「霧野先輩…」

あれはマインドコントロールのせいだ。けど、それえを理由に励ますのは違うと思う。

「そんなことないですよ!確かにあの時は一緒には居ませんでしたけど、それでも俺たちは雷門として霧野先輩やみんなと一緒に戦ってると思ってました!それに、普段どれだけみんなや先輩たちに支えられてるか改めて実感しました。」

みんながいなくなってから、チームっていうのは互いが互いを支え合ってるんだと思った。

一人一人の役割があって、長所があって、短所は補い合う。それが仲間なんだって。

「天馬…」

「大丈夫ですよ!霧野先輩には霧野先輩にしか出来ないことがありますよ。翼や狩屋や俺たちも頼りにしてます!だから霧野先輩も俺たちを頼ってください!一人で抱え込まないでください。」

「…そうかもしれないな。ありがとう、天馬。少し気持ちが楽になったよ。」

そういって霧野先輩はさっきより少し表情が明るくなった気がする。

「良かった~」

「それにしても俺のほうが先輩なのに悪いな。天馬はいつもみんなと肩を並べてるよな。」

「そんなことないですよ、まだまだです。」

俺はキャプテンなんだ。みんなを引っ張っていかなきゃ。

 

 

「ジャンヌ・ダルクが謁見を求めてるだと?追い返しますか?」

「待て、余に考えがある。」

 

 

「あ、ジャンヌさん帰ってきたよ。」

しばらくするとジャンヌさんが戻ってきた。

「どうでした?」

「少し待てと言われました。」

用意でもするのか?なら会ってもらえるかもしれないな。

少し待っていると一人の騎士がやってきた。

「ジャンヌ・ダルク、シャルル王子がお会いになられるそうだ。来い。」

「は、はい!ありがとうございます。」

「良かった~それじゃあ」

ジャンヌさんに付いて行こうとすると騎士に遮られる。

「待て。王子に会うのはジャンヌ一人だ。」

「そんな・・・」

「俺たちはジャンヌの護衛としてきたんです。お願いします!」

霧野先輩が食い下がる

「・・・分かった。一人だけ許可する。」

なんとか一人だけ同行が許可された。

本人の申し出により霧野先輩が同行することになった。

 

 

「霧野先輩とジャンヌさん、ちゃんと援軍を出してもらえるかな?」

「今は信じて待つしかないさ。」

「援軍を出してもらえないとオルレアンの解放が難しくなるからね。」

俺たちは中庭で二人が戻って来るのを待っていた。

「シャルル王子ってどんな人やんね?」

「シャルル王子は疑り深い人だったらしいよ。」

「フェイは物知りやんね~」

「ちょ、黄名子やめてよ~」

なんか黄名子がフェイをなでなでしてる。

あの二人、というか黄名子のスキンシップ激しくない?あとなでなでされてるフェイがウサギみたいでなんか和む。

 

「とりあえず、待ってるだけってのもあれだから練習しておかない?」

「いいね」

天馬が袋からサッカーボールを取り出す。

「この鎧着ながらならいい訓練になるかもな。」

この重くて動きにくい鎧を着ながらなら普通の練習よりも負荷が掛かって良さそうだ。バトル漫画の修行でありそう。

 

 

そして俺たち5人はパス回しなど中庭でできることをこなしていた。

「ねえねえ、どうせなら試合しよ!」

「それじゃあ、あっちとこっちの壁をゴールにしよう。」

黄名子が切り出しフェイがルールを決める。

「いいけど、ひとり足りないぞ。」

5人ではバランスが悪い。

「確かに。それじゃあ一人足せばいいやんね!え~と…あっ!」

黄名子が辺りを見渡し一人の男性に目をつけ駆けていく。

「ねえねえ、お城の人?」

「うむ。余は一介の兵士である。」

きなこに話しかけられた銀髪の兵士が答えるがやけに偉そうである。

「ね、サッカーやろう!」

「サッカー?」

「大丈夫、サッカーは時代を越えて万国共通!やってみればわかるやんね!」

「ひ、暇だからやってやってもよいぞ。」

男は興味津々なのを隠しきれていない。

 

「サッカーは足だけでボールを操って相手のゴールを目指すスポーツやんね。」

「なるほど。ゴールとは敵の城のようなものだな。」

「そうそう、頭良いやんね。」

男はざっくりとした説明ではあるがサッカーのルールを理解したようだ。

チーム分けは俺、黄名子、兵士。向こうが天馬、信助、フェイになった。

「初めてだし最初は後ろで見てるといいやんね。」

「ならん!騎士として、遅れを取るなどあってはならん!」

「じゃあ、俺が後ろで守っとくよ。ディフェンスが本職だし。」

「ならウチも一緒に前に出るやんね。ポジションどこでもできるし。」

 

 

「それじゃあ、行くやんね。」

黄名子のキックオフでミニゲームが始まった。

「おりゃあああああ」

「っておーい!」

いきなりシュートしやがった。もちろん止められる。

「いきなりシュート打ってもダメだ。もっと相手の陣地に攻め込んでから打つんだ。」

「む、そういうものなのか?」

「一緒にボール運ぶやんね。」

「うむ。」

それからもしっちゃかめっちゃかながらも男も一生懸命プレーし、時には攻め、時にはみんなで守る楽しいミニゲームが繰り広げられていた。

そんな俺たちの姿に惹かれたのか徐々に他の兵士たちも観戦に集まっていた。

 

「余が決める!」

「無茶やんね!こっちこっち!」

「余に不可能は無い!おりゃあああああ!」

「へぶっ!?」

「あ」

兵士が思いっきり蹴ったボールは観戦していた他の兵士にあたって跳ね返った結果

「入っちゃった。」

相手ゴールに入ったのだった。

「えっへん。狙い通り。」

「あ、あはは…」

「面白い、面白いぞ!これがサッカーか!」

兵士の人は盛り上がってるが俺たちは何とも言えない状態だった。

 

 

「気に入ったぞ、サッカー。」

「それは良かったやんね。」

俺たちはさっきの人に連れられ城の中を歩いていた。

「あの人、他の兵士に比べて随分偉そうだね。」

「ああ。ってそっちはまずいんじゃ…」

兵士は謁見の間に入ろうとして慌てて止めようとするが

「構わん。余が許す。」

構わず扉を開けてしまった。

 

「あ」

扉を開けた先には偉そうな人たちと一緒に霧野先輩とジャンヌさんがいた。

「ジャンヌさん?」

俺たちを見たジャンヌさんはこちらに駆け寄ってきて跪いた。

「お会いできて光栄です。シャルル様。」

「長旅ご苦労であったな、ジャンヌ・ダルクよ。」

「「「ええええええええ!?」」」

 

 

ことの顛末としてはシャルル皇太子の顔を知らないジャンヌを試すために替え玉を用意していたということだったらしい。

そして今俺たちは今回の旅の目的を説明していた。

「ふむ。この戦争に勝利した暁には余を即位させると。」

「はい。シャルル様は必ずや王になるお方です。」

「それも、神の声か?」

「はい。」

「だが、今我らはイングランド軍の前に手も足も出ない状態だ。この状況をどう打開する?」

「それは…」

自信がないのか言いよどむジャンヌさん。

「ジャンヌ、自分の思ってることを言うんだ。」

そんなジャンヌさんに霧野先輩が背中を押す。

「蘭丸…うん。敵は今、本体とオルレアンで兵力が分断されています。そこで援軍を含めた兵力をオルレアンに集めれば必ずオルレアンを奪還できます。そうすればこの戦争にも勝てるはずです!」

「ふむ…」

ジャンヌさんの言葉を受け考えるシャルル王子、まだ皇太子だけど。

「ライール、ジルドレ。」

「「はっ!」」

「手勢を率いてオルレアンへ迎え!」

「「はっ!!」」

シャルル王子の言葉に側近の二人が凛として答える。どうやら援軍を出してもらえるみたいだ。

「良かったな、ジャンヌ。」

「はい!これでオルレアンは救われます。」

 

 

それから俺たちは援軍を引き連れオルレアンを目指した。

他の皆にはフェイが連絡してくれ現地で合流することになった。

帰りの道のりは先行きの分からない往路と違い、援軍を得られたという好材料もあり、体感ではあっという間だった。

 

 

そしてオルレアンに到着した。

「ジャンヌだ!」

「これで我らは救われるぞ!」

ジャンヌを目にしたオルレアンの人たちは歓喜に震えていた。

「敵はこちらに援軍が来たことに気づいていません。今のうちに総攻撃を仕掛けましょう!」

ジャンヌさんは味方を鼓舞するように言う。

「待て、旅の疲れを癒すのが先だ。」

「ですが!?」

「戦いのことは我ら騎士たちの領分だ。我らに任せておけばいい。」

しかしライールたちはジャンヌさんの言葉を意にも介さず拠点に入っていった。

兵が出ないのではさすがに俺たちも動けないのでいったん休むことになった。

 

 

俺たちはジャンヌとオルレアンに到着し、他のみんなと合流した。

「お疲れ、霧野。」

拠点に入ると神童が迎えてくれた。

「援軍、連れてきてくれると信じてたよ。」

神童が労いの言葉をかけてくれる。

「俺は護衛として着いていっただけで何もしてないさ。ジャンヌがシャルル王子を説得してくれたおかげだよ。」

「それでもだよ。」

俺は本当に何もしていない。ジャンヌに寄り添っていただけだ。

そんな俺を肯定している神童の言葉に胸が少し締め付けられる。

「これからの予定は?」

「ジャンヌはこのまま攻撃を仕掛けようと行っていたんだが、援軍の騎士長がな…」

「なるほど。だが騎士長の言うことにも一理はある。今は少し体を休めよう。」

ジャンヌの言葉を意にも介さなかった騎士に思うところはあるが体を休める必要があるのもわかる。

「確かにそうかもしれないな。」

「ああ、それじゃあゆっくりするといい。」

そういって神童は去っていった。

 

「ジャンヌ、どこに行ったんだ。」

一人になった俺はジャンヌを探していた。

ジャンヌを探して歩いていると塔の上に上る階段を見つけた。

階段を上がっていくとそこには膝を抱えているジャンヌがいた。

「ここにいたんだね。」

「蘭丸…」

声をかけるとビクッとして顔を上げた。

「今攻め込まないとチャンスを失ってしまう…けど、私ではあの人たちを動かせない…」

「怖くないのかい?」

「私が逃げ出したらフランスの人々の苦しみは終わらない。私は、選ばれたんだから…」

ジャンヌはいつも自分に言い聞かせるように言う。

カリスマとしての力が目覚める前の少女だったはずなのに、神の声を聞く力を持っているから自分が導かないといけない。そんな使命感を持っている。

「私なんかにできるんでしょうか…」

「ジャンヌはすごいよ。」

「え?」

「苦しむ人たちを救うためにたった一人で立ち上がり、王太子の心を動かしたんだから。」

ただの女の子がこんなこと出来るはずがない。ジャンヌだからこそ出来た、そう思う。

「大丈夫、君には君にしか出来ないことがある筈だよ。」

城で天馬に言われたことを思い出す。

「俺にも俺にしか出来ないことが有ると良いんだけど…」

自分のことすら見いだせてないのにこんなこと言うなんておかしいのは分かってる。けど、彼女にそう言わずにはいられなかった。

「蘭丸…」

俺にしか出来ないこと、か。

 

 

霧野とジャンヌが話しているころ翼はオルレアンの街を歩いていた。

「せっかくフランスまで来たんだし、待機中くらいいいよな。それにしても…」

暇だからということで繰り出してきたがオルレアンの人たちはジャンヌさんが援軍を連れてきたおかげで活気づいているものの、みんな窶れている。長い間孤立していたんだ。無理もない。

「翼。」

そんなことを考えていると後ろから声をかけられた。

「よう、メイア。」

不思議と驚きは無かった。なんとなくそろそろ来るだろうなと思っていたし、彼女を待っている自分がいた気がする。

「無事に援軍を連れ帰れたみたいね。」

「俺はただついていっただけだけどな。」

「歴史に歪みが出ていないのはいいことね。今、時間あるの?」

「ああ。ジャンヌさんは攻勢に出ようとしたけど、お偉いさんの命令で待機中。」

「そう、じゃあ少し歩きましょうよ。」

「いいぜ。どうせやることないし。」

 

それから他愛ない世間話や俺がこの時代に来てからのことを話しながら歩いているとふとあることを思い出す。

「そういえばあれから大丈夫だった?」

言った途端メイアの体がビクッと強張る。

「…何のことかしら。」

「いや、ふらふらになって俺に電話かけ「何のことかしら。」」

言葉を遮られる。

「いや、結構やばそうだったし、あんなこと「な・ん・の・こ・と・か・し・ら」ヒェッ!?」

メイアの顔を見ると笑顔なのに目は笑って無く、凄い圧力を感じた。

これはあのことには触れるなということか。

「い、いや、何でもないです。俺の記憶違いでした。」

「そうよね。全く翼ったら~しっかりしてよね~」

そう言って俺の肩に手を置くメイア。

絶対怒らせないようにしよう、うん。

 

 

全く、翼ったら。せっかく触れないようにしてたのに。男の子ってデリカシーってものが無いのかしら!

「それにしても…」

隣の翼が口を開く。

「この時代ってシノン城みたいに華やかなところもあるけどやっぱり市民の人たちは戦争のせいで傷ついて、苦しんでるんだよな…」

周囲の人達を見て翼は言う。

ここに来る前に戦争に巻き込まれた町を見た。

私が最初に降り立った街は戦争とは離れたところでそんなことはあまり感じなかったけど、巻き込まれた町はひどい有様だった。

「ええ。これが長く続いてるのね。優雅な暮らしをしている人もいれば、生きていくのに必死な人も。」

「戦い、戦争、か。」

彼の言葉を聞いて少し胸が締め付けられる。

私たちフェーダも近いうちにエルドラドに、古い人類に攻撃を開始する。私たちセカンドステージチルドレンがいかに優れた存在かを知らしめるために。私たちの存在を世界に認めさせるために。

SARUはエルドラドのような古い人類は淘汰されるべきだと日頃から言ってる。私たちセカンドステージチルドレンが自由に生きられる世界を作るためならそれも必要なことだと私も思ってた。

けどこの時代に来て、戦争が生むものをみて少し、心に引っかかるものが出来た気がする。

「酷いものよね、戦いも、人間も。」

誰に向けた言葉だろうか。

「ああ。けど、お互いに自分たちのゆずれないものや正義のために戦ってるって誰かが言ってた。だから、戦いが始まればどちらも正義だし、どちらも悪だって。なら、自分たちを信じるしかないのかもな。」

「自分たちを信じる、正義…」

翼は時々別人のように思える時がある。基本的に馬鹿だし、彼の時代で教わるようなことなのに私の方が詳しかったりする。まぁ、私が賢いのもあるけど。

けど、ふとしたときに私と同じくらいの年の男の子とは思えないことがある。

今だって、戦争とは縁遠い時代と国の中学生なのに随分と大人びた、私も考えもしなかったことを言う。

そんな彼の言葉は不思議と私の背中を押してくれる。

迷いは無いはず。けど彼の言葉を聞くと思いが強くなる気がする。あの時もそう。

メイアはこの間のお出かけの時の昼食の会話を思い返していた。

 

 

前世で聞いたことがあった。戦いに善も悪もない、互いの正義のために戦うんだって。

フランスの人々が傷ついているようにイングランドにも傷ついている人々がいるんだろう。

俺たちは今、フランス側についているからこうしてフランスの人たちに寄り添っているが逆も有り得たかもしれない。

「自分たちを信じる、正義…」

隣にいるメイアが言葉を漏らす。

メイアは時々、決意を秘めたような、そして少し悲しい顔をする。

以前出かけたときにも見た顔だ。

俺は彼女について知らないことばかりだ。

未来から来た、みんなには内緒で力を貸してくれる、すごく強い、不思議な女の子。

彼女について分かることはこのくらいで彼女がどうやって生きてきて、なぜ力を貸してくれるのか、彼女の力も何も分からない。そんなメイアのことをもっと知りたいと思う自分がいる。

「メイア。」

「あ、あはは。少し暗くなっちゃったわね。そろそろ戻りましょう。」

「…そうだな。…ってあれはジャンヌさん?」

視界の端にジャンヌさんとその後ろに続く兵士たちが見えた。まさか。

「ごめん、メイア。急いで戻らなきゃ。」

「…分かったわ。頑張ってね。あと、エルドラドがそろそろ介入してくるかもしれない。気をつけて。」

「ああ。絶対歴史は守ってみせるよ。それとミキシマックスも。」

「今回は翼の番じゃないんでしょう。」

「多分な。けど、時空最強イレブンを目指すために、必ず力を手に入れてみせるよ。それじゃあ、またそのうち!」

「ええ!」

別れを済ませ急いでみんなの元に戻る。

 

「あ、脱獄犯のこと伝えるの忘れちゃった。…まぁなんとかなるわよね。さて、私も見に行こうかしら。」

 

 

拠点に戻るとみんなジャンヌさんが兵士たちを連れ飛び出したことを知らされていた。

すぐに応援に向かうことになった。

 

「いた!ジャンヌだ!」

急いで駆けつけると橋の上でイングランド軍との戦いが既に始まっていた。

「ジャンヌを助けるんだ!」

「おっと待ちな。」

そこに色黒の男が立ちはだかる。

「誰だ!」

「そういうと思ったぜ。俺はザナーク・アバロニク、名も無き小市民だ。」

名前あるじゃん。

「どけ!俺たちはジャンヌを助けなきゃいけないんだ!」

霧野先輩が声を荒らげ言う。

「そうつれないことを言うな。俺のおもちゃたちと遊んでくれよ。」

ザナークがそういうとザナークの後ろに11人の男女が現れた。

「あれはプロトコル・オメガ!?」

そこに現れたのはプロトコル・オメガの面々だったが少し雰囲気が違う。まるで洗脳されているような。

「お前たちには二つの選択肢がある。こいつらとサッカーで戦うって勝つか。それとも向こうまで泳いでいくかだ。ま、泳いだら邪魔するがな。そらそら、早くしないと歴史が変わっちまうぜ。」

一択じゃねえか。

「やるしかないか。」

「ふん、そういうと思ったぜ。」

 

「皆の者、ジャンヌに続け!騎士の誇りを見せるのだ。」

ザナークとひと悶着挟んでいると後ろから援軍が来た。てか、シャルル王子来てたのか。

『フィールドメイクモード』

しかしザナークのもつスフィアデバイスが結界のようなものでサッカーコートを作ったことで向こうに行けなくなってしまった。ついでにシャルル王子だけ中に入ってきてしまった。

「さぁ、始めようぜ。」

「いいだろうザナークとやら!この大監督、クラーク・ワンダバット様が相手だ!」

「監督とは何だ?」

「みんなに指示を出す人。」

「つまり王のようなものか。ならば!この余が務める!」

「だああああああああ!!??」

 

 

そうしてシャルル王子監督の下、試合が始まった。

早く勝ってジャンヌさんに加勢しないと。

 




いかがでしたでしょうか。
今回は天馬と霧野視点を挟んでみました。
章の主役の霧野の悩み、そしてキャプテンとしての天馬の悩みや思いを描けていれば幸いです。
今後こういった描写を増やすなら視点切り替えの時に〇〇視点みたいに挟んだほうがいいかな?ご意見待ってます。
メイン章が終わった神童さんには申し訳ないと思ってます…

翼は絶対にメイアに尻に敷かれると思います(断言)
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