一年以上もお待たせして誠に申し訳ありません。
環境が突如激変というか社会の黒い荒波に押しつぶされていて執筆の時間がほとんど取れずに時間だけが過ぎてしまいました。
正直自分でも半ばモチベーションが維持できなかったりあきらめかけた時期もありましたが、こんなにも更新が止まってしまった作品を待っているという本当にありがたい言葉を見てこのまま消えるなんてしたくないと思いました。
今後もペースは以前のようにはいきませんが少しづつでも投稿を続けていきたいと思います。
それでは長らくお待たせしましたが本編をどうぞ。
錯綜する想い
現代 サッカー部部室
「折角ザナーク・ドメインを倒したのに円堂監督もサッカーも取り返せなかったな。」
「ザナーク・ドメインはエルドラドの正式なチームじゃなかったからね。こうなったらもう、エルドラドを倒すしかないよ。」
現代に帰還した俺たちは部室で幕末でのこととこれからのことについて話し合っていた。
ミキシマックスの力は手に入れたけど、本来の目的の円堂監督とサッカーは帰ってこなかった。言ってしまえば何も進展がなかった。
「エルドラドを倒すったっていつになったら戦いは終わるんだよ。」
「エルドラドの最強チームを倒すこと、それしかない。」
「最強チーム?」
フェイの言葉にみんな食いつく。
「うん。これまでの敵、プロトコル・オメガよりも、ザナーク・ドメインよりもはるかに強い相手。」
散々苦労したプロトコル・オメガややっとの思いで勝ったザナークたちより強いチーム。
そんなチームがいるのかよ。
「その名も「パーフェクト・カスケイドじゃ!!」アルノ博士!?」
いきなりアルノ博士が現れた。この感じ久しぶりだな、おい。
にしても
「パーフェクト・カスケイド?」
「うむ。エルドラドが誇る最強のエージェントたち。サカマキ・トグロウという優秀な指揮官が率いる全てにおいてパーフェクトな部隊。それがパーフェクト・カスケイドじゃ。してフェイ、まずいことになったぞ。」
「まずいこと?」
「エルドラドがサッカー禁止令のインタラプト地点にパーフェクト・カスケイドを配置したらしい。いよいよ奴らが動き出すということじゃな。」
「ということは、サッカーを取り戻すにはパーフェクト・カスケイドを倒すしかないってことか・・・って居ないし!」
あのじじい、大事なとこでいなくなるのほんとやめろ!
にしてもいよいよラスボスのご登場ってとこか。
タイムジャンプのためのアーティファクトが明日到着するということで今日は解散となった。
「今回のタイムジャンプも大変だったな。まさか大政奉還の場に出くわすなんてな!」
「ほんとほんと!俺たちもう歴史のテストで間違えられないよ。」
「確かに、申し訳ないどころじゃないな。」
他のメンバーと別れた天馬と翼は木枯らし荘への帰り道、今回のタイムジャンプについて話に花を咲かせていた。明日からに控える戦いから気を紛らわす意味もあったのだろう。二人とも努めて明るく見える。
今回は別行動も多かったため分かれていた時の事を含め話すことはいろいろあった。
坂本龍馬との出会いや近藤勇の顔が怖かっただの。
そんな話題をとりとめなく話しているとふと天馬が間をおいた。
「あ、あのさ翼・・・」
「ん?どうした?」
「俺たちと離れた時に会ってた女の「あ、おかえり。天馬、翼。」あ・・・」
「ただいま~秋ねぇ。」
「・・・ただいま。」
意を決して切り出そうとしたがちょうど木枯らし荘に到着し、門前を掃除していた秋のお帰りの声に遮られてしまったのだった。
「で、何言おうとしてたんだ?天馬。」
「あ、ううん。やっぱり何でもない。」
「?ならいいけど。」
「もうすぐご飯の時間だから荷物置いたら居間に来てね。」
「「は~い。」」
「「ごちそうさまでした!」」
「はい、お粗末さまでした。」
「やっぱ秋ねぇのご飯は最高だな~」
「もう翼ったら!そんなこと言ってもお小遣いは増えないわよ。」
「いやでも秋ねぇのご飯はほんとに美味しいよ。」
天馬の脳裏に円堂監督の家で食べた奥さんの夏美の料理がよぎる。
育ち盛りの男子中学生、食生活は大切である。
「もう、天馬まで。ほら、今ならお風呂空いてるはずだから早く入っちゃいなさい。」
「は~い。」
秋に言われ風呂に入るため居間から出て行く天馬。
居間に残ったのは翼と秋だけ。
「それじゃ俺も」
夕食も終え天馬も風呂に行ったため自分の番が来るまで自室で過ごそうと部屋に向かおうとしたとき
prrrr・・・prrrrr
居間の固定電話が着信を知らせる。
「あら、こんな時間に電話?誰からかしら?」
近くにいた秋が電話の子機をとり電話に出る。
「もしもし、木枯らし荘管理人の木野です。・・・あ!はい、お世話になってます。・・・はい、いつも元気ですよ。・・・はい、はい・・・あ、ちょうど今そこにいるので変わりますね。翼~。」
「ん?誰?」
「あなたのお母さんよ。」
秋の口から出た名前を聞いた瞬間、翼の体が固まり思考は停止した。
どうして急に。
秋ねぇから子機を受け取り急いで外に出た。
「もしもし、・・・さん。・・・はい。」
「はい。元気です。・・・はい、今は部活は禁じられてるけど基礎体力のための運動はちゃんと欠かしてないですよ。・・・あ~テストの方はその、ぼちぼち・・・」
電話の向こうの母親が近況のことを聞いてくる。サッカー禁止令が出てる以上サッカーしてるとは言えないしタイムジャンプについてなどもってのほかだ。学校の成績の方も気にかけてくれてる。この間帰省したとき、成績について叱られたばかりだ。
普通の親子がする普通の会話が続く。なのに息苦しさを感じる。
「はい、次のテストは大丈夫です。・・・多分。」
「・・・はい・・はい。・・・それじゃそろそろ切りますね。・・さんも体には気をつけて。・・さんにもよろしく。また次の長い休みには戻ります。・・・はい、それじゃあおやすみなさい。」
別れの言葉を最後に電話を切り中に戻る。
「ふぅ・・・上手く出来たかな・・・」
「はい、秋ねぇ。」
「どうだった?久しぶりのお母さんとの電話。」
「まぁ、普通かな。・・さんも元気そうだったよ。」
「そっか、なら良かった。・・・そういえば翼ってお母さんとお父さんのこと名前で呼ぶよね。どうして?」
「・・・なんとなくかな。」
秋ねぇが悪気なく痛いところをついてくる。
なんとか取り繕って答える。
「あ、翼。お風呂上がったよ~」
そうしてるとちょうど風呂から上がった天馬が呼びに来た。
「分かった。すぐ入る。」
そそくさと居間から出て入浴セットを取りに自室に向かう。
けどその途中もどうしても顔が下を向く。足が進まない。
「ねぇ、翼・・・」
「どうした?」
「いや、その・・・最近、悩みでもあるの?」
「・・・!」
天馬の言葉に思わず息を呑む。
「最近の翼、たまに暗いときあるからさ。その・・・俺で良かったら聞くよ?」
天馬は普段はあんな感じなのに時々驚く程鋭い。いや、人のことを、仲間のことをよく見てるんだろう。
「・・・いや、天馬に世話かけるほどのことじゃないさ。だから、大丈夫だ。」
そう。人に相談するようなことじゃない。
これは自分の問題。
「・・・そっか。もし何かあったらいつでも相談してよ。」
「ああ・・・。それじゃ。」
天馬と別れ自室に向かった。
俺が風呂から上がって居間に翼を呼びに行ったとき、翼の表情がさっきまでと全然違っていた。
なにかこう、もやもやしてるような、余裕がないような、そんな表情だった。
最近の翼はたまにああいう顔をする。
悩みなら聞くといったときも一瞬考えて、すぐ無理やり笑ってごまかしてきた。
翼はなんで俺に話してくれないんだろう。俺は翼が悩んでるなら力になりたい。キャプテンとして・・・いや、親友として。
ここはどこだ?雷門中じゃない。でも見覚えがある。
『○○!早く部活行こうぜ!』
『今度の日曜お前んち行っていいか?』
なんだ?誰かが俺のことを呼んでるような気がする。
『○、学校の課題はもう終わったの?サッカーも良いけど、ちゃんと勉強もしないとお母さん怒るわよ!』
この女の人は誰だ?見たことがある、とても長い時間一緒に過ごした気がする。
この人は俺に話しかけてるのか?
いや、そもそもこの人が呼んでる名前は俺なのか?
『そんじゃ、また明日な!』
これは部活からの帰り道か?
この光景にデジャヴを感じる。
なんか疲れでめまいがするな。
なんだ?向こうから光が・・・トラックが。
おい、運転手、おい、おっさん、おいおい
「うわあああああああ!!!!」
「ハァ・・・ハァ・・・夢か。」
目覚めるとそこは見慣れたいたって普通の木枯らし荘の俺の部屋だった。
けど今の夢、あの人たちの顔や道、そして最後の。やっぱり
「なんちゅう夢を見てんだよ・・・最近は見て無かったのに。」
こっちに生まれ変わって最初の方に見たことはあった。
それもしばらく収まっていたのに。なんでまた・・・
「・・・目、覚めちまったな。早めに出るか。」
予定より1時間くらい早く起きてしまった。
二度寝なんて出来るはずもなく朝の支度をする。
「おはよう翼。どうしたの?こんなに早く。」
歯磨きなどを済ませ共同スペースに顔を出すと秋ねぇがいた。
いつもよりかなり早く起きてきた俺に怪訝そうに聞いてくる。
「いや、なんか目覚めちゃってさ。今日は出発の日だし早めに行こうと思ってさ。」
「そう。天馬ならまだ寝てるけど起こしたら?」
「う~ん、いやいいよ。どうせ気持ちよさそうに寝てるだろうし悪いよ。それじゃ先に行くから天馬が起きたら伝えといて。」
「はいはいって、待って。これ、朝ごはんのおにぎり。持って行きなさい。」
「ありがとう秋ねぇ。それじゃ行ってきます。」
「はい、行ってらっしゃい。気をつけてね。」
そうして木枯らし荘を後にした。
木枯らし荘を出て学校に向かう途中の河川敷、おにぎりを食べながら考える。
(どうして今になってあんな夢を・・・)
最初の頃に見たことはあった。けど雷門サッカー部に入ってみんなと過ごしてるうちに見なくなった。今日まで。
(・・・まだどこかで未練があるのかな。それとも・・・)
頭の中をいろんなことがグルグル渦巻いてる。
朝方ということで周りに人はいない。
「・・・みんな、今頃どうしてるんだろうな。申し訳ないこと、しちゃったな。」
同じサッカー部の同期や友達、それに父さん母さん。
お別れの言葉も言えずじまい。それどころか・・・
どうしても気が滅入り俯いてしまう。
「あれ?」
地面とにらめっこしながら歩いていると不意に鼻にラベンダーの花のような香りが入ってくる。この香りは
つられるように顔を上げると
「おはよう、翼。」
メイアがそこにはいた。
「ってあら?お~い聞こえてる?」
「あ、ああ。おはよう。」
思いもよらぬ登場に思わず放心してたらしい俺の顔の前で手を振るメイア。
「どうしてここに?」
タイムジャンプ先でもなければ会う約束もしてない。
それなのに現れたメイアに思わずハテナマークが浮かぶ。
「う~んまぁ色々理由はあるけど・・・一番はやっぱり、翼と話したかったからかな。」
「話したかった?」
「そう。・・・ね、あそこで少し話しましょう。時間はあるでしょ?」
河川敷のグラウンドを指し、サッカーボールを手に持って言うメイア。
ボールを蹴りながらということだろうか。
「いや、サッカー禁止令が・・・」
サッカー禁止令がまだ発令されてる今、サッカーしてるのを見られたりしたら。
「この時間なら全然人はいないし大丈夫よ。それに、見つかったら逃げればいいだけよ。さ、行きましょ!」
「あ、ちょ、ちょっと待って。」
俺の手を引いて坂道を駆け下りるメイア。手、柔らかい。
「それで、話って?」
軽くパスを出しあいながら本題に入る。
「まぁいくつかあるけど、そうね。まずはタイムジャンプのことかしら。今度はどの時代に行くの?」
いくつか思い浮かべてるだろう中からまず切り出してくるメイア。
「ん~実はまだ聞いてないんだよ。」
「え~何それ。じゃあだれとミキシマックスするかも分かってないってこと?」
呆れたように行ってくるメイア。
しょうがないじゃん。
「ま、そうなるな。あぁでも取りに行く力?みたいなのは言ってたよ。」
「それって1の力~みたいなあれ?」
「そうそう。今回は7と8の力のダイナミックミッドフィールダーとフライングディフェンダーだってさ。」
「へ~。ディフェンダーなら今回こそ翼が選ばれるんじゃない?」
「さぁ、どうだか。正直自信ないね。」
正直俺が時空最強イレブンに選ばれるような器なのかな。
もちろん目指しはしてる、けど他にもっと適任はいるんじゃないかと思う。
「翼の実力なら大丈夫よ。自信持ちなさい。」
「だといいけど。」
「それで、メイアはまた俺たちの行き先に来るのか?」
気になってたことを聞く。
なんだかんだ毎回俺たちの行き先に来てくれてるメイアである。
行き先がまだ分からないけど今回も来るのだろうか。
「そうそう、2つ目はそのこと。今回は私はあなたたちとは一緒に行けないの。」
しかし帰ってきた答えは予想に反してNOだった。
「どうして?」
「それは・・・その・・・元の時代でやらなきゃいけないことがあるの・・・」
何の気になしに聞き返した俺の言葉に何故かとても答えにくそうにするメイア。
やらなきゃいけないこと・・・
まぁ彼女には彼女の事情があるか。
「・・・そっか。まぁ暇があれば連絡してよ。」
少し、いや結構寂しいなと思う。
なんだかんだ旅先で彼女の顔を見るたびに元気をもらっていた。
そんな彼女が来ないことに物足りなさを感じてしまう。
「ええ。・・・けど、とても大事なことで、もしかしたらそんな暇もないかも知れないわ。」
「・・・そうか。それは残念だ。ま、こっちも頑張るからメイアも頑張って。」
「ええ。」
「そう、それと、いよいよエルドラドの奥の手が動きだしたわ。」
「パーフェクト・カスケイドってやつらか。」
どうやらメイアはパーフェクト・カスケイドのことも知っているらしい。
アルノ博士と同じく忠告してくれる。
「なんだ、知ってたのね。・・・彼らはザナーク以上の力を持ってるわ。気をつけて。」
「やっぱりか・・・一体どれほどの・・・勝てるのかな・・・」
ザナーク・ドメインにやっとの思いで勝てたばっかだってのにすぐに更に強い奴らなんて。
「いつになく弱気じゃない、翼らしくもない。」
昨日からどうしてもネガティブになってしまう。
そんな俺にメイアも気づいたらしい。
「・・・何かあったの?」
何かあった。パーフェクト・カスケイドのこと、昨日のこと、今朝のこと。
いろいろあった。けど、こんなこと
「この間、翼は私のことを救ってくれたわ。もし今抱えてるものがあるなら話してみてくれない?」
「・・・・ごめん。今はまだ、話せない。」
「・・・そう。分かったわ。」
こんなこと彼女には、いや誰に話しても分からない。
だって、こんなこと誰も経験したこと無いに決まってるんだから。
「今はエルドラドとの戦いとミキシマックスのほうが先決だ。でも・・・」
最強のチーム、それに時空最強イレブンの力。
本当に上手くいくのか?今の俺じゃ・・・
「・・・ねぇ翼。」
「?」
しばらく沈黙の後、メイアが口を開いた。
「私と勝負しましょ。」
「へ?」
「私がオフェンスで翼がディフェンス、私が翼を抜いてシュートを決めたら私の勝ち。私からボールを奪うか私がシュートを外したら翼の勝ち。これでいいかしら?」
「いいかしらって」
俺が口を挟むまもなく話を進めるメイア。
急にどうしたってんだよ。
パス回しならともかく1vs1やってるのなんて見られたりしたら
「それじゃ行くわよ。」
「ちょっとは話聞いてくれませんかね!?」
俺の心の叫びを意に介さずおっぱじめるメイア。
そういえばメイアとサッカーで勝負するのは初めてだな。
前にスポーツ施設に行った時は周りの目があって出来なかったしその後のサッカーバトルは味方だったし。
そんなことを考えてると既に目の前まで迫って来た。
およそ一歩分の間合いを取って見合う。
流石に隙が無い。むしろこっちが動くのを待たれてる気分になる。なら
「・・・そこ!」
こっちから隙を作るために仕掛ける。
「ふっ!」
最初の俺の仕掛けは躱される。まぁこれでいけるとは思ってない。
「これなら、どうだ!」
右に仕掛けた俺を左から抜こうとしたメイアに、右手を軸に回転し方向転換してスライディング。位置的に想定外のはず。これなら
「ふふっ、甘いわ。」
「んなっ!?」
しかしそれは余裕を持ってジャンプで躱されてしまった。
完全に躱され地べたに寝転がる俺を尻目にボールをチョンとゴールに蹴り入れる。
「私の勝ちね♪」
そんな俺を勝ち誇った顔で見下ろして言うメイア。あ、やばいちょっと何かが目覚めそう。
「くそっもう一回だ!」
負けっぱなしで終われるか!
「ええ、いいわよ。」
笑顔で賽銭の要求に答えてくれる。
その顔は分かってましたよというような表情だった。
「このっ!・・・ああっ!?」
「フンッ!・・・んがっ!」
「もう一回!」
けどその後も何回挑んでもボールに触れることも出来ずやられっぱなし。
何度も転んだし、転ばされた。
いいようにされ息も上がってきた。
「はぁっ・・・はぁっ・・・勝てない・・・」
「どうする?まだ続ける?」
なのに目の前の女の子は涼しい顔をしてる。
正直全然本気じゃないのだろう。
「あ、当たり前だ!」
「ふふっ♪そう来なくちゃ♪」
絶対に一本取ってやる!
それから何度目の勝負か最早数えるのも辞めたころ。
「でりゃっ!!」
「あっ・・・!」
夢中でボールを、彼女を追い続けやっとの思いでボールを奪うことに成功した。
「よっしゃーー!」
「ふふふっ、やられちゃったわね。」
バカみたいに喜ぶ俺に優しく微笑むメイア。
その笑顔を見て冷静になる。
「・・・いや、何回中の一回だよ。結局全然敵わなかったし・・・」
正直ここまで差があるとは思わなかった。
今もこっちはヘトヘトなのに向こうは平然としてる。
こんなの勝ったなんて言えない。
「そうね、途中から数えるのもやめちゃった♪」
「うぐっ!・・・」
分かっていても面と向かって言われると傷つく。
「けど、それでいいじゃない。」
「え?」
「何回負けても、何回転んでも、諦めずに向かっていく。そうでしょ?」
俺の目を見て、でも彼女の目はここではないどこか、まるで過去のことを見つめるように言う。
その言葉に思わず聞き入る。
「これまでのエルドラドとの戦いだってそう。最初は全然敵わなかったけど、負けるたびに強くなって最後には打ち勝ってきたじゃない。」
「そうだけど・・・」
「だから今度も大丈夫。最初は打ちのめされると思う。けど、あなたたちなら・・・翼なら必ず乗り越えられるはずよ。」
彼女の手が俺の頬に触れ前を向かせる。
メイアの綺麗な目と俺の目が合う。
吸い込まれるような、それと同時に俺の中に飛び込んでくるような、そんな不思議な感覚。
「・・・そうだよな。勝てないなら、強くなればいいだけだよな。」
こんな当たり前のことを忘れてたなんて。どうかしてたんじゃないか?俺。
「元気出たみたいね。」
「ああ、体の方はへとへとだけど。・・・ありがとう。」
「気にしなくていいわ。私の為でもあるし、それにこの間のお返しよ。」
この間、幕末のことか。それこそ俺は何もしてないのに。
「それじゃ、そろそろ人も増えてきたしお開きにしましょうか。」
言われて周囲を見てみると徐々に人の数が増え始めてきていた。
道行く人がこちらを見ているのも見受けられる。
「そうだな。サッカーしてたってバレたらめんどくさいし。・・・それじゃ、俺は学校に向かうよ。」
「ええ。その前に、ちょっと待ってね。」
「え、もう行かなきゃ「いいから!」あ、はい。」
そういい俺の右手をとり手首に手をかざすメイア。
それから彼女の手から優しい紫の光のようなものが俺の手首の周りで輪の形を作っていく
「これは?」
やがてそれは彼女の髪の色と同じ色のミサンガのように俺の手首にまとわれた。
「お守りみたいなものよ。一緒に行けないけど、応援してるから。どうしても苦しい時があったら心の中で私を思い出してみて。きっと力になるわ。」
ミサンガに手をやると何だか力が湧いてくるような気がする。
「ありがとう、もしもの時はそうするよ!・・・それじゃ。」
「ええ。しばらくの間、さよなら。頑張ってね。」
「ああ、頑張る!メイアの方も頑張って!」
「ええ。・・・あ、最後に」
「ん?何?」
「リベンジはいつか試合で受けてあげる♪」
「んなっ!!その言葉忘れるなよ!絶対に勝ってやるからな!!」
「楽しみにしてるわ♪」
いつか絶対見返す!
負け犬っぽいセリフを残して俺は雷門中に向かって走り出したのだった 丸
「ふふっ♪・・・ラグナロクで待ってるわよ、翼。さ、そろそろ戻らなきゃね。」
いかがでしたでしょうか?
帰ってきてそうそうなんだか思い空気が流れていますが・・・
各キャラの抱えている心情をかけているとうれしいのですが・・・
投稿頻度がどうなるかはわかりませんが今後ともよろしくお願いいたします。