そしていよいよといったところで本編をどうぞ。
「よし。ここから巻き返していくぞ!」
獣の谷では雷門とパーフェクト・カスケイドの戦いが続いていた。
サカマキが仕向けたデスホーンや追加で洗脳された恐竜たちはビッグが抑え込んでいる。
フェイのミキシアームドによる初得点を皮切りに雷門は勢いに乗りはじめていた。
「フェイが突破口を作ってくれた。このまま化身アームドで攻め込もう!」
「なら俺たちDFはこぼれ球のフォローに集中しよう。」
「分かりました。」
天馬の指示でミキシマックスよりも消耗は激しいがパワーに優れる化身アームドで攻勢にでることに。
DF陣は化身アームドを習得していないためオーバーラップは控えオフェンス陣が攻撃に集中できるようにというのが霧野先輩の案だ。みんな異論はなかった。
試合再開のホイッスルとともに天馬、フェイ、剣城、神童先輩、錦先輩が一斉に化身アームドした。
フェイを中心とした攻撃は圧倒されっぱなしだった先ほどまでと違い互角かそれ以上に渡りあえていた。
やはりパーフェクト・カスケイド側もフェイをフリーにするわけにはいかないようでこれまで完璧だった連携に若干の乱れが出ているようだ。
だがさすがに甘い相手ではなくレイ・ルクのパスカットからセンタリングがあげられる。
「うは~ウホウホしてきたぞ。オラもやるぞ!ミキシトランス、トーチャン!」
みんなの勢いにのせられるようにトーブもトーチャンとのミキシトランスを発動する。
パーフェクト・カスケイドのFWのさらに上をとることでカットしてみせた。
「ナイスだトーブ!体力の消耗には気をつけろよ。試合中のそれはいつもよりも体力を消費するだろうからな。」
「任せとけ翼。」
俺はまだミキシマックスの経験はないがトーブに声を掛けておく。
トーブは特殊な経緯でミキシマックスを習得した。日ごろの特訓で使っているとはいえ実践でとなるといつも以上に消耗するはずだ。勝負所でガス欠になられても困るからな。
トーブのクリアしたボールは錦先輩へとつながる。
錦先輩は化身アームドで強化された持ち前のキープ力を活かし中盤を抜け神童先輩へパス。
「天馬、フェイ決めろ!」
「いくよ、天馬!」「ああ!」
神童先輩からフェイと天馬へのセンタリングが上がる。
化身アームドした二人が駆け上がる。
まさかあの二人の合体技か!
「「エクストリームラビット!!!」」
フェイのバウンサーラビットのような動きをフェイと天馬が同時に行い空中で手を取り合った二人がサーカスの空中ブランコのようにして放たれた必殺シュート。
強烈な威力で複雑な軌道を描きながらゴールへと迫り
「決まったぁぁ~~!フェイと松風の新必殺シュートで雷門追加点!!」
「「「「「やった~~~!」」」
初得点の勢いのままに追加点をあげ喜びの声をあげるベンチ陣
「よし。どんどん行くぞ!」
「そろそろいいだろう。レイ・ルク、ノーマルダイブモードへ移行しろ。」
「了解。」
フェイと天馬のおかげでみんな勢いに乗れている。
化身アームドの消耗が激しいことに変わりはないがこのままなら。
だが何だ?パーフェクト・カスケイドの様子がさっきまでと違うような。
「さぁ試合再開ぃ!」
違和感を感じたが試合再開のホイッスルが鳴り響きやつらの攻撃に備え集中する。
「なっ・・!?」
しかし奴らはあっと言う間に剣城や天馬たちを抜き去り目前まで迫っていた。
油断はなかった。集中していた。
にもかかわらずまったく反応できなかった。
「ち、違う。さっきまでと全然違う!?」
「動きが格段に早くなってる!?」
俺だけじゃなく全員が同じ反応だった。
まるで初めて戦った時のような感覚。
特訓して戦えるようになったはずなのに。
動きもパスも必殺タクティクスも数段早さとキレが増している。
「くそっ。ここからが本気だというのか。」
「本気。それが最大限の力を発揮するという意味なら答えはNOだ。」
「何?」
レイ・ルクがあっと言う間に剣城の前に立ち驚きのセリフを吐く。
「君たちのレベルに合わせて力をセーブしている。」
これでまだ本気じゃないっていうのか!?
「何を、ぐあっ!」
レイ・ルクが剣城に強烈なシュートを浴びせ剣城の化身アームドが解除されてしまう。
更に神童先輩、錦先輩も同様にパーフェクト・カスケイドの攻撃を受けアームドが維持できなくなってしまった。
「アームドの力を奪うためにこんな攻撃を・・・」
「動きについていけない・・・」
アームドを維持するための体力を削りに来ている。
アームドを習得してからの期間が一番長い天馬とフェイはかろうじて維持出来ているがいつまでもつか。
「みんな!敵の動きに惑わされてはいけない!ゾーンディフェンスを敷いて自分の持ち場を守ること
に全力を尽くそう。」
「太陽・・・分かった!」
たしかにゾーンデイフェンスなら相手の動きに左右されることなく、自分の持ち場に集中することでスピードで上回る相手にもなんとか太刀打ちできるだろう。
「そうか、太陽もキャプテンだったんだ。俺は・・・」
ゾーンディフェンスへ切り替えたには確かに効果はあった。
しかしそれも一時しのぎにしかならなかった。
パーフェクト・カスケイドのシュートを凌ぐのにも複数人がかりでやっと。
攻撃のたびにこちらの体力は著しく消耗していく。
にもかかわらずこちらが攻撃に移る隙もない。
天馬とフェイのアームドももう解除されてしまっていた。
「ふん。そろそろ仕上げに入るか。」
「はぁ・・・はぁ・・・」
「このままじゃ・・・」
みんなほとんど余力はない。特に化身アームド組の消耗は顕著だった。
「了解。」
そんななかレイ・ルクの抑揚のない声が聞こえ
「うわっ!」
「きゃっ!」
試合の大勢が決したところでパーフェクト・カスケイドによる攻撃が始まった。
強烈なシュートで天馬が、黄名子が、信助が傷つき倒れていく。
「やめろ!!ぐわっ・・」
止めに入ろうとするも今度は俺も弾き飛ばされる。
弾き飛ばされ地面に倒れ伏す。
すると地鳴りのような足音が響く。
「な、何だ?まだ何か来るのか?」
「ぴぃぃ!」
俺たちが戦っている間もビッグはずっと恐竜たちを制圧してくれていた。
ロックスターの力に目覚めたビッグは1匹でデスホーンを含む多数の恐竜を相手取っていたが一層の警戒の鳴き声を漏らす。
デスホーンより更に大きな足音が聞こえる先を思わずみんな見据える。
しかしトーブだけはその正体を理解していた。
「この足音は・・・ジョー!」
「ジョー?」
洞窟から姿を表した恐竜。
それはデスホーンをしのぐ巨体、それこそ生前のロックスターに迫るほど。
何より異様なのはその風貌。
口元まで裂けたような口からはよだれが垂れている。あごには無数の棘のようなものが生えている。
体も同じような棘で覆われており、ワニのような体表と大きなしっぽが生えた暗い緑色の見るからに凶暴そうな恐竜だった。
「ガアアアアアアアアアアア!!」
すさまじい咆哮に思わず全員が耳を塞ぐ。
「トーブ、何だよあいつは?」
「あいつはジョー。前に言った手の付けれねぇ暴れん坊だ。ロックスターと唯一まともに戦えたやつだ。」
「ロックスターと!?」
特訓の時に言ってたやつか。
確かにとんでもなく強そうだ。
思わず固唾を吞むとジョーが動き出した。
そしてビッグに襲い掛かると思えば周囲にいた恐竜たちをその巨大なしっぽで吹き飛ばしてしまった。
「な、何だあいつ!?」
「とんでもなく強えぇ!」
「けど洗脳されてる恐竜たちを攻撃したってことは味方やんね?」
思わぬ行動にみんな驚きの声をあげる。
「いや、あいつは本当に手が付けらんねぇだけだ。」
「目に映るやつはみんな敵って訳か。」
「ふん。洗脳したところで所詮獣は獣か。まぁ良い。せいぜい暴れて雷門を潰してくれれば良い。」
「ぴぃぃぃぃ」
「ビッグ!」
大暴れするジョーに向かってビッグが体当たりを仕掛ける。
体当たりを受けたジョーはビッグの方を見据えたかと思えばビッグの背後に映るロックスターの影を認識した途端目の色を変えた。
「まずいぞ。ジョーはロックスターと何度も戦ってたんだ。」
「まさかビッグがロックスターの息子だと分かって・・・」
闘争心全開ってわけか。
他の恐竜には目もくれずビッグに襲い掛かるジョーとそれを受け止めるビッグ。
だが
「危ない!」
「ぴゅい!」
背後からの攻撃に弾き飛ばされるビッグ。
「デスホーン!あいつまだ残ってたのか。」
他の恐竜たちはジョーにやられたかジョーにおびえて逃げ出したがデスホーンだけはこの場に残っていた。もともと凶暴な上に洗脳されていることでビッグへの敵対心が収まらないのだろう。
ジョーとデスホーン2体同時にはいくらなんでも無茶だ。
どんどん追い詰められていくビッグ。
「デスホーン、ジョー!やめろ・・うわっ!」
トーブがビッグの助太刀に行こうとしたところをそれまで静観していたレイ・ルクがシュートを浴びせ妨害した。
「何をするんだ!」
「試合はまだ終わっていない。インタラプト修正のため戦闘を再開する。」
その時代の存在を利用すれば歴史への影響は少ない。
奴らはあの2匹を利用して俺たちを抹消するつもりらしい。
パーフェクト・カスケイドによる俺たちへの攻撃が再開された。
「うわっ!」「ぐわっ」「うああああ!」
パーフェクト・カスケイドによる攻撃は激しさを増していく。
「ぴぃぃぃぃ!」
それに呼応するようにジョーとデスホーンによるビッグへの攻撃も。
葵たちは見てられないと目を背けてしまう。
「トーブ。ここは俺たちに任せろ。お前はビッグを助けに行ってやれ。」
「翼!?・・・けどオラが抜けたら」
「いいから行け!親友なんだろ!一人前になるまで守ってやるんだろ?ビッグはあとちょっとで立派なボスになれるはずだ。なのにこんなところでやられるのを見過ごすのか!?」
ここでトーブが抜けたら10人になる。狩屋が交代で入る隙をくれるやつらじゃないだろう。
残った俺たちへの攻撃はより厳しいものになるはずだ。
だとしてもトーブに親友を見殺しにさせるわけには行かない。
「早く!!」
「・・・分かった!」
意を決してビッグのもとに飛ぶトーブ。
「阻止する。」
「アスタリスクロック!!・・・くっ!」
逃がすまいとトーブの背後から襲いかかるのを何とか防ぐ。
「後ろからの攻撃や二人、いや二匹がかりなんで卑怯な真似するなよ。こっちは俺たちが相手だ。」
トーブがあいつらをなんとかして戻るまで持ちこたえるんだ。
「いい機会だ。今ここで奴を排除しろ。」
「了解。」
「何がだよ?・・・うわっ!」
何かしらの指示を受けたパーフェクト・カスケイドの攻撃が一層激しくなり俺に集中する。
絶え間なく四方八方からの攻撃に体力が削られていく。
けど奴らの攻撃が俺に向いている間はみんなは休めるんだ。
翼が集中攻撃を浴びる中トーブはビッグのもとに駆け付けることに成功する。
「大丈夫かビッグ!」
ジョーとデスホーンの攻撃に晒されながらなんとか立ち上がるビッグ。
その目は泣き虫だった頃とは違い強く前を見ていた。
「ビッグ・・・オメー立派になったな。ここからは2vs2だぞ!」
ミキシトランスしたトーブがデスホーンを抑えつける。
ようやくジョーと1vs1の勝負になったビッグの背後のロックスターの影が更に輝きを増す。
強烈な一撃をジョーに浴びせる。何度も戦った親のロックスターの一撃をジョーは思い出していた。
「デスホーン!オメーも男なら正々堂々勝負しろ!あんな奴らに洗脳されるなんてロックスターに笑われっぞ!」
他の恐竜たちと異なり元の性格もあってか凶暴さに拍車がかかったデスホーン。
背後に立つビッグの力が更に増すのを感じとったトーブの気が高まる。
「オラ、オメーのことも凶暴なやつだけど友達だと思ってんだ。オラは人間だけどトーチャンはオラを育ててくれてオメーらは一緒に遊んでくれる仲間だ。オメーらを操っちまうあいつらが許せねぇ!」
トーブのオーラが輝きを増しあふれ出たオーラを受けデスホーンの目に光が戻る。
「だからオラももっともっと強くなっぞ!」
どれだけ攻撃は続いただろう。
顔をあげれば相も変わらず無表情な坊主頭が立っていて俺に向けてボールを蹴りこもうとしている。
訪れるだろう衝撃に備え目をつぶる。
ボールが衝突する音が聞こえる。
しかしいつまで立っても俺の体には衝撃は訪れない。
目をあけるとそこには体でボールを受け止める天馬の姿があった。
「天馬!」
倒れこむ天馬をなんとか受け止める。
自分だってぼろぼろなのになんで。
「言っただろ。力になるって・・・」
トーブにあんなこと言っておきながら俺は何も、誰も守れていない。
俺の秘密を受け止めてくれた親友に今も・・・
神童先輩や太陽を見て不安そうにしている背中を見ているのに。
いつも天馬に支えられて、勇気づけられてるのに俺は何も返せていない。
自分にもっと力があれば。
「・・・強くなりたい。」
これまでずっとどこか引いて見ていた。自分はみんなとは違うんだって。
けど今は違う!この世界でも本当の仲間ができたんだ。
「だから、、みんなを守れるくらい強くなりたい!!!!」
強く心が叫んだ瞬間胸の奥から力があふれだす感覚。
「ぬぁにぃ!!!翼とトーブが!」
「「光ってる!?」」
翼とトーブ。二人が同時に仲間を守ると強く願い心がシンクロした。
翼がトーブの方を見やるとトーブがデスホーンを制圧しビッグがジョーを追い返していた。
「守れたんだな、トーブ。」
トーブが約束を果たしたのを見届けた翼。
この時代で出会って、トーブの生き方を知り、同じ願いを抱いた同士。
不思議と確信があった。
「ワンダバ、ミキシマックスだ!」
「ミキシマックスだって!?だがトーブはもうトーチャンと」
「俺にトーブのオーラを注ぎ込んでくれ!!」
「何!?ミキシマックスした選手のオーラと更にミキシマックスだって!そんなことしたら体がもたんぞ!」
「良いから!今はそうするしかない!俺を信じろ!」
「・・・そこまで言うなら」
「トーブ、トーチャン!力を借りるぞ!」
「なんだかよくわかんねぇけどウホ~」
そしてワンダバが二人にミキシマックスガンを向け
「しまった!止めろレイ・ルク!」
「ミキシ、マックス!!!」
トーチャンとミキシマックスしたトーブのオーラが翼に送りこまれる。
膨大な量のオーラが翼の体からあふれ出ている。
「うぐぅぅぅ・・・ああああ!」
体が悲鳴を上げているのが分かる。受けたダメージと注ぎこまれたとんでもないオーラの量。
空気をパンパンにいれた風船のように体が内側から破裂しそうだ。
けどみんなを守れるくらい強くなるためならこれくらい。
「ああああああ!」
徐々にあふれ出るオーラが収まり始める。
激しいオーラの中右手についたミサンガが淡い輝きを放つ。
(ああ。何だこれ。体が楽になっていく。力があふれてくる。右手から体全体に広がるこの力。そうか。ありがとう、力を貸してくれて。)
「はあぁぁぁぁ!!」
「コンプリーーーート!!!!」
激しいオーラの奔流が収まるとそこには元から赤かった髪が更に深い赤になり一回り筋肉質になったような翼が立っていた。
「翼、なの?」
目の前で見ていた天馬が思わずこぼす。
「ああ。紛れもなく赤峰翼だよ。あとは任せろ。」
天馬を背後にし守るようにパーフェクト・カスケイドに向き直る。
体が軽い。力がわいてくる。今なら空も飛べる気がする。
「目標の力の増大を確認。排除する。」
レイ・ルクが淡々と告げボールを高く蹴り上げると背後から二人の選手が飛び上がった。
「「シュートコマンド20」」
二人の動きを完全にシンクロさせて放つパーフェクト・カスケイドの必殺シュート。
「これまでと同じように行くと思うなよ。」
しかしその必殺技が放たれる前に更に上空をとった翼によって防がれた。
その跳躍力はミキシトランスしたトーブを更にしのぐものだった。
「これまでのお返しだ!トーブ、いくぞ!」
そしてそのまま急降下し地面にボールを叩きつけるように
「古代の翼!!!」
パーフェクト・カスケイドの面々を吹き飛ばした。
「す、すごい・・・」
「なんちゅうパワーぜよ・・・」
雷門イレブンからもあまりのパワーアップに驚嘆の声があがる。
「二人分、正確には一人と一匹分のオーラを引き継いだミキシマックス。言うなればデュアルミキシマックス。すさまじいパワーアップだ。しかしなぜあのようなことが・・・常人に耐えられるような代物ではないはず・・・」
「ちっ。厄介なことに・・・ム?トウドウか・・・どうした・・・何?奴らが?分かった。すぐに向かう。レイ・ルク、撤退だ。」
「了解。」
サカマキが何かしらの連絡を受けた直後、パーフェクト・カスケイドは撤退していった。
「お、追い払った、のか?」
「一旦はそういうことでいいだろう。力の差はまだ大きい。けど確かに近づいてはいる。それに翼のあの力は・・・」
残された雷門イレブンは力の差を実感しつつも前に進んでいるのを感じていた。
そして全員の注目を浴びる翼はというと。
「痛てててててて!うぎゃああああああ!」
ミキシマックスが解除され絶叫していた。
「やはり通常のミキシマックスよりもはるかに負担が大きいようだな。」
二人分のオーラを用いてのミキシマックスは体に多大な負荷がかかるようで化身アームド以上の消耗具合だった。
パーフェクト・カスケイドが去った夕暮れ
「ビッグ、お別れだね。」
「ぴゅ?」
恐竜時代との分かれの時間がやってきた。
ビッグとトーチャン、それに特訓に付き合ってくれたトロオドンや他の恐竜たちも見送りに来てくれている。
「よく頑張ったな。お前ならきっと立派な獣の谷のボスになれるはずだ。」
フェイがビッグに寄り添い撫でながら語りかける。
「僕もこれからはお前の力を借りて戦い抜くからな。この戦いが終わったらまた会いに来るよ。」
「ぴゅ!」
ひとりぼっちの孤独を乗り越えた一人と一匹。時代も種族も超えた友達。
言葉は分からなくても確かに二人は通じ合っていた。
「ビッグ・・・」
そんなビッグを見てトーブは決心していた。
「天馬、翼!」
「トーブ?」「どうしたんだ?」
ふいに声を掛けられた二人がトーブに向き直る。
「オラ決めた。オメーたちについていく!」
「「「「ええええええええええええええ!!!」」」」
トーブが発した衝撃の内容に一同驚愕。
「ついてくるって・・・それじゃビッグが・・・」
葵たちが心配そうに言う。
確かにまたジョーとデスホーンが組んだりしたら大変なんじゃと思うが。
「大丈夫だ。ビッグなら立派な獣の谷のボスになれるって一緒に戦って分かったぞ。」
「それにオメーらがやってること面白くてウホウホくっぞ!」
「けど、いいの?俺たちと来たらトーチャンや友達と離れ離れになっちゃうんじゃ?」
天馬の言う通りだ。トーブは今の生活が気に入ってるといっていたのに。
「クワアアアア!」
天馬の言葉を聞いてトーチャンが吠える。
ミキシマックスを通じてなんとなく言っていることが分かるようになった気がする俺はみんなより一足早く理解した。そういうことか。
「トーチャンも言ってるんだ。男なら旅して強くなって来いって!」
本当にスパルタな父親のようだ。
けどそれがトーブにはあってるのかもしれない。
こうなったらもう答えは決まっている。
「一緒に行こうぜ、トーブ!良いですよね?大介さん。」
「うむ!儂も誘おうと思っておったのだ!」
「ということは時空最強イレブンの7の力はトーブってことですか?」
「それについてじゃが7の力は翼とトーブ、二人に任せることとする。」
「二人?」
「シチュエーションに応じて使いわける。最大パワーに優れる翼とより長く力を扱うことに長けたトーブ、どちらも時空最強イレブンにふさわしいということじゃ。」
なるほど。確かに俺のミキシマックスは他のみんなよりパワーがある分消耗が激しい。
それにチームには控えも必要不可欠だ。
「やったね翼!時空最強イレブン入りおめでとう!」
天馬が肩をつかんで揺すりながら満面の笑みで言ってくる。
天馬さん、祝ってくれるのは嬉しいんだけどまだ回復しきってないんだからお手やらかに。
「ああ。次は天馬の番だぞ!」
「え・・・う、うん。けど俺もなれるのかな・・・」
「はぁ~あ。いいか、よく聞け。他の誰が何を言おうと、天馬自身が自信無くても俺は天馬が時空最強イレブンの一員だって100%信じ切ってるんだ。だからそんなに思いつめるなよな。」
「翼・・・うん。俺も早く追いついて見せるよ!」
「別に追い抜いてもいないって。」
こうして俺たちの恐竜時代での大冒険は終わった。
「トウドウ、そちらの様子はどうだ?」
「サカマキか。今は攻撃が止んでいるがまたいつ再開されるか分からん。」
ルートクラフトで200年後の未来へのタイムジャンプ中にトウドウとサカマキは連絡をとっていた。
「分かった。こちらが到着するまで持ちこたえろ。今回の戦いでパーフェクト・カスケイドもレベルアップしたはずだ。」
「分かっている。それで、例の件はどうなった?」
「赤峰翼か。すまない、そちらは失敗した。完全に覚醒してしまったようだ。」
「そうか・・・」
サカマキの報告を受け思考を巡らせるトウドウ。
トウドウがサカマキに指示していた赤峰翼の抹消。
それはエルドラドにとって脅威になることが判明したから。
「奴はプロトコル・オメガが初めて介入した戦いの時から松風天馬たちと比べて力が秀でていた。我々は当初は些細なことだと見逃していた。」
「しかしそうではなかった。もっと早くに気づくべきだったのだ。奴の特異性に。」
「うむ。松風天馬がパラレルワールド間の共鳴現象によって力を増幅させたように奴にも同じような現象が起きていた。しかし我々は当初その現象を観測できなかった。」
「プロトコル・オメガやザナーク・ドメインとの戦いを観測するに連れてようやく判明した。
やつにはパラレルワールドとも異なる別次元の存在との間に共鳴現象が起きている。パラレルワールドとの共鳴現象がX軸の繋がりだとすれば、やつの場合はY軸との繋がりのように。だからこそ我々は早期に気づくことが出来なかった。」
「そして厄介なことに奴の共鳴現象は恐らく収まることはない。だからこそあのようなミキシマックスが可能となってしまった。」
トウドウとサカマキが語る翼の真相。
異なる次元との共鳴現象。
パラレルワールド間のような二次元上の繋がりとは異なる三次元上の繋がりによって生まれたもの。
この世界に元より存在した赤峰翼という存在と現在の赤峰翼という存在。
翼が自分自身を受け入れることが出来たことで二人分の器を有することになり、本来は不可能とも思われたデュアルミキシマックスが実現した。
パラレルワールド間の共鳴現象と異なりエルドラド側でも介入できない以上完全に覚醒する前に手を打つ必要があった。
しかし前日の天馬とのやり取りによって完全にこの世界における自己を確立したことで覚醒の準備が整ってしまった。本人の力がまだ未完成な今でも大きな脅威となってしまったのだった。
「まぁ良い。いざとなれば逆にその力を利用させてもらうまでだ。もうじき到着する。」
「分かった。む・・ちょうど攻撃が再開された。早めに合流してくれ。」
木枯らし荘 夜
「それでね!谷の間を渡るためにアラモサウルスが~~~」
現代の木枯らし荘に帰還した天馬と翼は秋ねぇに恐竜時代での土産話を聞かせていた。
信助ほどではないがキラキラと目を輝かせながら語る天馬に若干圧倒される秋ねぇ。
やっぱり恐竜は男のロマン。女性にはいまいち感動が伝わりづらいのだろうか。
なんて考えているとポケットの携帯(現代の方)がなった。
画面を見るとそこにはこの世界の母親の名前が表示されていた。
その名前を見て一瞬心臓が止まりそうになる。けどもう大丈夫だ。
「秋ねぇごめん。ちょっと電話がかかってきたから出てくる。」
「は~い。まだ外は冷えるから早く戻ってくるのよ。」
「もしもし。今は大丈夫。・・・うん。」
電話の向こうから聞こえてくる。
恐竜時代へのタイムジャンプの前にもこうして話していた。
あの時は両親がどうしても他人にしか思えず、なのに本当の息子のように心配してくれることが心苦しくて。けど今なら受け入れられる。
「うん。これからも頑張るよ。それじゃあそろそろ切るね。・・・おやすみ、お母さん。」
200年後の未来
発達した未来世界の中央都市エルドラドの本拠地は今セカンドステージ・チルドレンの襲撃を受けていた。ギルの開発したアンプルバズーカーが実践投入されたことでついに本格的な攻撃が始まった。
トウドウ議長らは四方をセカンドステージ・チルドレンたちに囲まれ脱出しようにも出来ない状態にた陥っていた。
そこにSARU、メイア、ギリス、支援者Xが姿を見せた。
「やぁ、おじさんたち。」
「SARU、セカンドステージ・チルドレンを率いるリーダーの少年です。」
「覚えていてくれるなんて光栄だね。」
これまで各地で破壊活動は行われてはいたがこうして両者が直接対峙するのは初めてだった。
そこでちょうどパーフェクト・カスケイドが到着した。
「お待たせしました、議長。これより任務を開始します。」
到着してそうそう臨戦態勢に入るパーフェクト・カスケイドだったがSARU側はいたって平静だった。
「いやいや。今日は別に争いに来たわけじゃないんだ。あくまで忠告と提案をしに来ただけだよ?」
「忠告と提案だと?」
「過去に行って僕たちの発生因子を消そうとしているようだけどそれは無駄だよ。」
「何?」
「君たちは松風天馬たちには勝てない。」
「我々と彼らの力の差は明白だ。我々の敗北はありえない。」
SARUの言葉にすかさずレイ・ルクが反論する。
「あら?その割には苦戦してるんじゃないかしら?現にこうしてあなたたちの到着も随分遅かったし。」
「ふん。イレギュラーが発生しただけだ。勝敗は揺るがん。」
「ま、僕たちは忠告したよ。で、もう一つの提案のほうが本題だよ。」
「提案だと?」
「そう。人類の存亡を賭けた聖戦、ラグナロクについてさ。」
いかがだったでしょうか?
ということでようやく主人公がミキシマックスしました。長かった・・・
ミキシマックスの見た目としては剣城とミキシマックスした優一さんをイメージしてもらえると分かりやすいかと思います。
今回は少し長めのあとがきになります。興味なければ飛ばして大丈夫です。
この構想自体は当初からありました。
この作品を書くにあたってオリジナルオーラも考えましたが時空最強イレブンの設定は崩したくないなというのがありました。
その中で個人的には似た境遇にあたるトーブとのミキシマックスを考えた結果こうなりました。実は翼という名前もこの構想を考えた後にミキシ技から+天馬(そよ風)の親友といったところから連想しました。
本編でもあったように翼という存在は転生した現在の赤峰翼とこの世界に元居た赤峰翼という2つの存在でなりたっているためオーラの器も二人分という訳です。本人の実力がまだ未完成ですが特殊な共鳴現象とヒロインのパワーでなんとかなったという訳です。
色々な感想あると思いますが引き続き楽しんでいただけると嬉しいです。
ちなみにジョーのモデルはお察しの方も多いと思いますがモ〇〇ンのイビ〇ジョーです。コメントで余裕で当てられて笑いました。
次回から幻想世界編です。ようやくヒロインがまた登場するぞ~~