二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

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今回は引き続き試練と異世界デート回です。



二人の主人公

 

「ねぇマスタードラゴン。あなた本当は良いドラゴンやんね。」

 

嘆きの洞窟にて捕らえられた黄名子は鳥かごの中からマスタードラゴンに語りかけていた。

黒い騎士の姿は見えない上鳥かごの中に一人では退屈で仕方ない。

それに攫われる寸前に一瞬見せた優しい目が忘れられずどうにかマスタードラゴンとコミュニケーションをとりたかった。

 

一方洗脳されたマスタードラゴンは眠る邪魔をするなとばかりに吠える。

「うひ~~。ふふん♪脅かしても無駄無駄~。あの優しい目を見れば分かるやんね。」

 

大音量の咆哮に耳を塞ぐも怯まない黄名子。

一人と一体の不思議な時間は続く。

 

 

アーサー王率いる天馬たち円卓の騎士は途中に茜が扮する妖精ヴィヴィアンの力で無事に聖剣エクスカリバーの力を復活させ嘆きの洞窟へと向かっていた。

嘆きの洞窟への道のりをよく知るアーサー王が先導しているため初見で別ルートをたどる翼とメイアをすでに追い抜いた形だ。

 

「洞窟まではまだ遠いんか?」

「もう足が動かなくなってきたぜ。」

 

森を抜けると山道に入り体力の消耗は激しくなるばかり。

マネージャーたちはもちろん選手たちも慣れない鎧を来ていることもあり疲労が隠せないでいた。

荒れた道に慣れっこなトーブも空腹には勝てないでいた。

 

「ダメだ。もう歩けないぜよ。」

「メシまだか~。」

 

少し開けた所に出て一行の足が完全に止まる。

 

「あ・・・」

「みんな、立ち止まってはダメだ。一度止まってしまうと歩けなくなるぞ!」

「もう少しの辛抱です。」

 

神童と太陽が皆に発破をかけ行進が再開される。

 

 

(やっぱり神童先輩や太陽のほうがリーダーらしいよな・・・)

 

行進は続き少し険しい崖。

崖の上から天馬が葵を引っ張りあげる。

 

「葵、大丈夫?」

「うん。ありがとう天馬。私よりも黄名子ちゃんが・・・」

 

葵は自分の身代わりになって攫われた黄名子のことをずっと気に病んでいた。

自分がもっと早く避難していれば黄名子が攫われることはなかった。

 

「あまり気にしないで。黄名子は仲間として当然のことをしただけだよ。葵だって同じ立場だったら同じことをしてただろ?」

「天馬・・・うん。」

「だから、今度は俺たちが黄名子を助けるんだ。さ、行こう。」

 

天馬が葵の手をとり少し開いた距離を埋めるべく歩みを再開する。

 

 

「うむ。」

 

谷を行く円卓の騎士たち

ふと茜が足を止め絵本を開く。

「もしかしてこれって試練。」

「試練?」

「『嘆きの森へ急ぐ騎士たちを毒蛇の群れが襲う』」

 

「ぎぃにゃああ~~~~!!!」

 

茜が絵本の内容を読み上げた直後狩屋が悲鳴を上げる。

 

「へ、へび!ヘビ!蛇~!お、俺、蛇だけは無理なんです~~!!」

 

アーサー王との間に毒蛇の群れが現れ行く手を阻む。

蛇が大の苦手である狩屋は爆速で後ずさり霧野の後ろに避難する。

後輩とは思えない行動である。

 

「な、何とかして~!?」

「な、なんともならないよ!?」

 

葵と天馬も同様であった。

 

「恐れるな!毒蛇ごときなんともない!」

 

そんな騎士たちをアーサー王が厳しく鼓舞する。

微塵の恐れも感じさせない。

 

「ここは俺に任せろ。サイドワインダー!」

「今だ!」

 

倉間が毒蛇の群れにサイドワインダーを放つ。

サイドワインダーが発するマムシのオーラに毒蛇たちが2つに分かれ細いが通り道ができ刺激しないように進む。

しかし狩屋と葵だけは足がすくんで動けないでいた。

 

「い、一緒に行こう!」

「天馬くん!?・・う、うん。」

 

天馬も二人ほどまではいかずとも蛇は苦手だが意を決して前に進む。

二人は天馬にしがみついて目をつぶりながらなんとか渡り切った。

それを満足げに確認しアーサー王はまた歩み始める。

 

「な、なんとかなった。」

「あ、ありがとう天馬君。俺、お日様園にいたころに藪から飛び出してきた蛇に巻きつかれたことあってさ、どうしても無理なんだ。」

「気にしないで!誰にでも苦手なものくらいあるよ。俺だって狩屋と葵がいてくれたからなんとかなったよ。」

「天馬くんは凄いよな。悩んでるやつと一緒に悩んだり、自分も怖いのに助けてくれてさ。」

 

 

その後も燃え盛る炎の壁をアーサー王がエクスカリバーで道を切り開きなんとか突破する。

試練の連続に一度休憩をとることになる。

各自水分補給と回復につとめる。

 

「どうしたの?」

「葵。」

 

少し離れたところで座り込む天馬に葵が歩みよる。

 

「ここのところ天馬、ずっと考え込んでるよね。フェイも心配してたよ?」

「そうかな?」

「このまま自分がキャプテンで居続けていいんだろうか?って感じ?」

「え?」

 

悟られないようにしていたのに葵に言い当てられ思わずといった天馬。

そんなに顔にでていただろうか。

 

「幼馴染だもん、分かるよ。」

「うん・・・」

「ほんと、天馬って自分のこと見えてないんだから。」

「どういうこと?」

「それは天馬自身で気づくことだよ。急ぎましょ、黄名子ちゃんきっと心細い思いしてるわ。」

 

アーサー王の出発の号令がかかった。

 

 

一方そのころ翼とメイアもマスタードラゴンが飛び去った方向を目指し旅を続けていた。

 

 

「嘆きの洞窟ならここの森を進んで谷を越えた先にありますよ。」

「ありがとうございます!」

 

円卓の騎士の鎧が身分を保障してくれたのか。

立ち寄った村で嘆きの洞窟への道を尋ねた女性は非常に協力的だった

 

「嘆きの洞窟へはまだ少し距離があります。少し家で休んでいかれてはいかがですか?」

「いえ、自分には使命があるので・・」

「そんなこと言わずに。」

 

しかし困ったことに目の前の女性が家で休むように促してくる。

善意によるものなのは伝わるため無碍にもしにくくどう断るかと手をこまねいていると。

 

「いでっ!」

「すいません。私たち先を急ぐんです。」

 

手を引かれ中に引き込まれかけた翼の後ろからメイアが顔をだす。

翼の手を強く、猛烈に強く握りながら。

冷や汗が止まらない翼。

 

「そうでしたか。でしたらせめてこちらを。少しばかりの水と食料です。」

「あ、ありがとうございます。それでは。」

 

二人分の水と食料を受け取った翼は一刻も早くこの場から去らねばと足早に村を出た。

あの女性が引き下がってくれて助かった。もしも・・・いややめておこう。

 

 

「さっきは随分と楽しそうだったわね、翼。」

「い、いや。そんなことは。」

「そうかしら?あのままあの女の人の家で休みたそうにみえたけど。」

「そんなことはありません!早くみんなと合流しないといけないのに!」

「そうよね?それじゃあ、先を急ぎましょ?」

 

フランスであった時と同じかそれ以上の圧をメイアの笑顔から感じる。

何か気に障ることをしただろうか。

 

なんとか宥め、頂いた食料をサクッと食べて再開。

もらった地図に従って順調に旅を進めている。

ちなみに地図をて踏み出した第一歩目が真逆だった時は先ほどとは違った、少し腹立つ笑顔を向けられた。

今は村を出て森を歩いている。

 

「フランスの森とも雰囲気が違うな。なんというか自然をより感じるっていうか。」

「中世とはいえ戦争中だったのが原因かもしれないわね。」

「どっちかというと恐竜時代の方が近いかもしれないな。」

「私はその時代には行ってないから分からないけど、翼に聞いた話だと確かにそうかも」

 

人の手がほとんど入っていない自然。見たことない植物。

戦国、中世フランス、三国志、幕末、恐竜時代と色んな時代を見てきたけどそのどれとも違う世界観。

実際に目の当たりにはしていないが魔法もある世界らしいし何が起きても不思議じゃない。

大丈夫だとは思いつつも警戒は怠らないようにしよう。

 

「そういえば俺にも魔法って使えたりするのかな?」

「物語の中で使えたのなら使えても不思議じゃないかもしれないけど、今のところ必要ないんじゃない?」

「そうかもしれないけどさ。せっかくファンタジーの世界に来たんだし使ってみたいだろ?」

 

必要とか必要じゃないとかいう問題じゃない。これはロマンの問題だ。

男なら誰しも憧れるものだ。手からビームみたいなの出したり超能力で物を動かしたり空を飛んだり。

 

「ふ~ん。そういうものなのかしら?別にそんなに便利なものじゃないけどなぁ。」

 

そう言い道端にあった岩をなんか手から出した弾みたいなのでバラバラにするメイア。

 

「・・・メイアさん。今のは?」

「あ・・・。」

「・・・。」

 

 

しまった。すっかり気を抜いてしまっていた。

翼の仲間たちに見られる恐れがないこと、絵本の世界に入って少し浮かれていたりと色々な要因はあったにしてもセカンドステージチルドレンとしての力を何の気なしに使ってしまった。

エルドラドの洗脳を解除したり幕末で沖田総司の体を癒した時と翼の前で力を使ったのは初めてではないけど、こうも直接的な力を見せたことは無かったのに。

 

隣の翼に目をやると開いた口がふさがらないといった感じだ。

 

「そ、その・・・翼・・あの・・」

「まぁ今に始まったことじゃないし。チンピラとサッカーバトルしたときとか沖田さんの時とか。まぁメイアなら不思議じゃないか。」

 

なんとか自分の中で納得させたような様子だった。

以前もそうだったけどこういったことにやけに耐性があるような気がする。

けど今まで私たちに向けられてきた恐ろしいものをみるようなあの目。

それが私に向けられなかったことに安堵してしまう。

 

その後も他愛ない会話をしながら歩いていると森を抜けた。

なおも何もない殺風景な道を進んでいると大きな谷に出た。

 

「この谷を越えないと嘆きの洞窟にはたどり着けないみたいね。」

「ああ。どこかに橋があると思うけど・・・あ、あそこ!」

 

あたりを見渡していると翼が少し遠くに橋を見つけたみたい。

たしかにそれらしいものが見える。

しかし目標の橋に近づいてくるとその全貌が見えてくる。

 

「おいおい、マジかよ・・・」

「橋が・・・」

 

橋が落ちていた。

これじゃ渡れないじゃない。

それに周囲には他に橋は見当たらないし。

 

「う~ん。この谷に沿って歩いて他に橋を探してみる?」

「・・・いや。きっと天馬たちはアーサー王と一緒に向かってることを考えるともう嘆きの洞窟についてるかもしれない。いつエルドラドが介入してくるか分からないし早く合流しないと。」

「そうはいっても・・・」

「しょうがない。ここは俺に任せて。」

 

翼が一歩前に出る。

すると翼の体からオーラがあふれだす。これって

 

「ミキシトランス!!」

 

光が収まるとそこには髪が少し鋭くなり筋肉質になった翼が立っていた。心なしか少し背も高くなっているように見える。これが翼のミキシトランス。翼が言うにはミキシマックスした姿のトーブっていう子とミキシトランスした姿らしい。消耗が激しい分、出力も凄いらしい。

ふ、ふ~ん。その・・結構かっこいいわね。本人には言わないけど。

 

「よし。じゃあちょっと失礼して。しっかり捕まってろよ!」

「え・・ちょ、ちょっと翼!?」

「せーの、とうっ!!!」

 

翼のミキシマックスした姿を見つめてるといきなり体が持ち上がる。

背中と膝裏に感じる翼の手の感触。

これってもしかしてお姫様抱っこというやつなんじゃなんて頭が真っ白になっていると翼が駆け出して。そして跳んだ。

体を襲う浮遊感、胸を支配する高揚感。

あっけに取られていると谷を飛び越え着地の衝撃が訪れた。

 

「ふぅ。ショートカット成功!大丈夫か?メイア。」

「え?あ、うん。全然、大丈夫よ。」

 

お姫様抱っこの体勢から解放され自分の足で立つ。

谷と谷の距離は目測でサッカーグラウンド半分くらいあるかもしれない。

この距離を私を抱えたまま飛び越えたの?これがミキシマックスの力?

ジャンプ力なら私よりも、なんて色んな思考が湧いては消える。いつもはあんなに働く頭が正常に働いてないのを感じる。

目の前にいるこの男の子から目が話せない。

心臓の鼓動がうるさい。

私よりも凄い身体能力なら身近にSARUだっている。

なのにどうして。

 

「よし。それじゃ先を急ごうか。」

「あ。ちょっと待ってよ翼!」

 

「「あ///」」

 

お互いにほんの数秒、結ばれた手を見つめどちらともなく離して並んで歩き出す。

少しの心残りを感じながら。

 

 

さっきの谷でのトラブルはミキシトランスで切り抜けれた。

トーブとトーチャンの力を借りられる分あの距離のジャンプもいけるだろうと確信があったし実際出来た。けど俺のミキシトランスは負担が大きい。できれば試合以外では使うのは避けたい所だ。

たださっきのあれ。あの時は何も考えず勢いでお姫様抱っこしてしまったがあれはまずかっただろうか。谷を越えてしばらくメイアの様子が少し変で口数も少なかった。

やっぱりいきなり無断で女の子をお姫様抱っこするなって良くないよな。大いに反省。

 

 

「後は何事も無くたどり着ければいいけど。なんかこういう世界って試練みたいなのがいくつもあるイメージなんだけど。」

「さっきの谷ももしかするとその一部かもしれないわね。」

 

あの不自然に落ちていた橋。たしかに翼の言うように物語に設定された騎士に与えられた試練の可能性は十分にある。

私の答えにうげ~と苦虫を嚙みつぶしたような顔をする。

 

「どうする?毒蛇の群れに襲われたり、火の壁に囲まれたりなんてしたらさ。」

「その時はもちろん騎士様が何とかしてくれるんでしょ?」

「おまかせあれ~って少しは手伝ってくれよ!」

「ふふふ♪まだまだ余裕そうね♪それよりお仲間の方は大丈夫かしら。」

 

頼りになるんだかならないんだか分からない騎士様との楽しい旅路。

正直私と翼ならもし試練があったとしてもどうとでもなるだろう。

問題は他の雷門の子たちが無事にたどり着けるかだろう。今のところSARUからはなんの連絡もない。

彼らがちゃんと物語の結末に向かってもらわないと意味がない。

翼が抜けて大丈夫なのかしら?

そんな私の疑問に翼はあっけらかんと答えた。

 

「みんな?まぁあっちは心配ないだろ。」

「どうしてそう言い切れるの?」

「そりゃこれまで一緒に戦ってきた仲間たちを信じてるから。それに・・・」

「それに?」

「あっちには多分天馬がいるだろ。なら大丈夫さ。」

 

 

そのころ嘆きの洞窟ではアーサー王とマスタードラゴンが対峙していた。

ダークドラゴンナイトを名乗る騎士の命令でマスタードラゴンがアーサー王に襲い掛かる。

 

「賢者の知恵を持つマスタードラゴンよ。お前は民を愛し、慈しんできたはず。どうしてしまったのだ!?」

「いけ。アーサー王と愚かな騎士の肉を食らうのだ。」

 

アーサー王の声も今のマスタードラゴンには届かない。

その巨体をなびかせ尻尾を叩きつけアーサー王を攻撃する。

なんとか攻撃を躱しながらもアーサー王は呼びかけ続ける。

 

「思い出せ。お前は人よりも気高き魂を持っていたはずだ。」

「無駄だ。アーサー王を食らいつくすのだ。」

「・・・言葉は通じぬか。」

「ダメ!マスタードラゴンは本当は良いドラゴンやんね!」

 

それでも通じないと悟ったアーサー王は腰のエクスカリバーに手をかける。

マスタードラゴンを討つことを決心したのだろう。

マスタードラゴンにエクスカリバーを向けるアーサー王を止めようと黄名子が叫ぶ。

城で一瞬見せた優しい目、この洞窟で間近でマスタードラゴンを見ていた黄名子はこの後起きてしまうであろう悲劇をなんとか止めたかった。

 

「分かっている。だがマスタードラゴンが民の災いとなるならば、私は躊躇わずエクスカリバーを振るう。」

「そんな・・・おとなしくするやんね、マスタードラゴン!」

「グルルルルル・・・ガァッ!!」

 

黄名子の呼びかけに一瞬マスタードラゴンの目に光が戻ったのも束の間。

やはりマスタードラゴンはアーサー王へおそいかかる。

まさに絵本の中の勇者とドラゴンとの戦いのようにアーサー王とマスタードラゴンとの戦いが繰り広げられる。

円卓の騎士たちも圧倒され見ているしか出来なかった。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

そして決着の時は訪れた。

エクスカリバーの一撃がマスタードラゴンに刻まれ、マスタードラゴンは力なく洞窟の湖に沈んでいった。

マスタードラゴンが湖に沈んだのと同時に黄名子を捕らえていた魔法が解除された。

 

「これがアーサー王・・・絶対的な勇気、揺るぎない実行力。」

「本物の英雄ぜよ!」

 

強大なドラゴンに微塵も臆せず立ち向かう勇気、絆を育み共に歩んだ存在が相手でも民の災いならば迷わず討つ実行力。

時空最強イレブンにふさわしい人物であることを証明してみせた。

一方で黄名子は湖に沈んだマスタードラゴンに誰よりも胸を痛めていた。

 

「マスタードラゴン・・・こんなのかわいそうすぎるやんね・・」

「マスタードラゴンを操ってこんなことをするなんて、許せない!」

「何が目的だ!」

 

戦いを見守るだけだったダークドラゴンナイトが天馬とフェイの呼びかけに応じる。

 

「知りたいか?」

 

そして兜をとり表した素顔は

 

「レイ・ルク!?」

「お前たちも物語に組み込まれていたのか。」

 

騎士の正体はレイ・ルクだった。

素顔を表したのと同時に他のパーフェクト・カスケイドの面々も姿を表した。

 

「我々は対戦を要求する。」

「良かろう。円卓の騎士が受けて立つ。」

 

かくして物語の結末は雷門とパーフェクト・カスケイドの対決に託された。

 

 

試合開始直前

天馬は本当にこれでいいのかと自問自答を繰り返していた。

この試合はこの絵本の世界の結末がかかっている。

今までも負けていい試合などなかった。

しかし今回は自分たちが負けてしまうとこの世界そのものが消えてしまい、それと同時に自分たちの存在そのものも消えてしまう。

そんな絶対に負けられない試合のキャプテンが自分でいいのか。

 

「やっぱりだめだ。」

「天馬?」

「・・・本当に、キャプテンは俺でいいんですか?」

「「え?」」

 

この土壇場で天馬が口走った内容に全員が驚く。

恐竜時代から、エルドラドとの戦いが始まってからずっと抱いていた不安と疑問。

口にすると止まらなかった。

 

「馬鹿なことをいうな。このチームのキャプテンはお前だ。」

 

「でも俺なんかより神童先輩のほうがリーダーにふさわしいです!」

「誰が見たってそうです。俺がリーダーじゃこのチームは本当の力が出せない!そうじゃないですか!」

 

「天馬、こんな時に何を言い出すぜよ。」

 

「こんな時だからこそ言うんです!」

 

自分がキャプテンではダメだと言う天馬、説得しようとする面々。

そんな中、倉間が口を開く。

 

「俺はお前に、”リーダー”なんて求めてないぜ。」

 

「俺にリーダーを、求めてない?」

 

「リーダーなら、確かに神童のほうが向いてるしな。」

 

倉間にリーダーを求めていないと突きつけられた天馬は言葉を失ってしまう。

 

 

「聞け、天馬。だれがどう言おうとこのチームのキャプテンは天馬、お前だ。お前がキャプテンなんだ。」

「どうしてなんですか!どうして俺がキャプテンなんですか!?」

 

神童から答えは帰ってこない。

そんな天馬と神童を尻目にパーフェクト・カスケイドが動く。

 

「仲間割れか。モードチェンジ、ハイパーダイブモード」

 

レイ・ルクの号令でパーフェクト・カスケイドの目元が二つに割れ、機械的なパーツが表に出る。

声もエコーがかかったような質に変わる。

パーフェクト・カスケイドがアンドロイドだったことに驚愕する雷門。

 

「ミッションに従いお前たちを排除する。」

 




いかがだったでしょうか。
自分たちが毒蛇や炎の壁に襲われてる間に女の子とキャッキャウフフしてる仲間がいたなんて知ったらどうなってしまうのでしょうか。
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