二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

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どうも。実は前回と今回の話は1話にまとめるはずだったのですがいつのまにか2話に分かれてました。


最高のキャプテン

 

「マスタードラゴン。その目が本当のマスタードラゴンやんね。」

「お、おい大丈夫なのか!?」

「そっか、翼は会うの初めてやったやんね。大丈夫大丈夫!」

 

マスタードラゴンに歩み寄っていく黄名子を止めようとするも大丈夫だといって聞かない。

いくら様子が違っているとはいえ本当に大丈夫か?

そんな俺の心配を他所に黄名子とマスタードラゴンが光に包まれる。

優しくて温かい光だ。

 

『感謝します、菜花黄名子。貴方とアーサー王が私を救ってくれた。』

「へ?」

 

洞窟内にマスタードラゴンの穏やかな声か、はたまたテレパシーかが響き渡る。

黄名子とマスタードラゴンの姿は見えないがどうやら二人は会話してるようだ。

その場の全員が釘付けになる。

 

『貴方の想いとエクスカリバーの光が私の心を払ってくれたのです。』

「そうだったんだ。」

『貴方には守りたいものがある。そうですね。そしてそのために戦っている。それはとてつもなく深く、隠された愛情。』

 

黄名子の守りたいもの。それはサッカーのことだろうか。

けど愛情?サッカーが好きなのは分かるが愛情とは。

 

「あの気持ちが、愛情・・・」

『でも優しさや愛情だけでは愛するものを守ることは出来ません。愛するものを守るには強さと賢さを身につけなければなりません。愛するものに降りかかる大きな危険に立ち向かう強さ、そして愛するものを理解してあげられる賢さ。その両方を持つものこそ大切なものを守り愛情を育むことが出来るのです。』

 

守り、愛情を育む。

それはまるで子どもを持つ親を連想する。

けど黄名子が?

 

『貴方は最後までのことを信じ、救おうとしてくれました。今こそ貴方の想いに報いましょう。野獣の獰猛さと賢者の頭脳、この二つの力を貴方に授けます。』

「マスタードラゴン・・・」

 

光が一段と強くなる。

マスタードラゴンの力が黄名子に流れ込んでいるのが伝わってくる。

これはそうだ。太陽と孔明さんの時と似てる。

マスタードラゴンが自分から黄名子とミキシマックスしてるのか。

 

『思う存分力を振るいなさい。愛するものを守るために。』

 

光が収まると髪がマスタードラゴンのような色に変化した黄名子が立っていた。

顔だちも普段のやわらかさを感じるものから凛とした強い意思を感じるものになっていた。

 

「ミキシマックスコンプリート。」

「うむ。これぞ野獣の獰猛さと賢者の頭脳をあわせもつファンタジックリベロ。」

『頑張って、黄名子。』

言い残しマスタードラゴンは湖の中へ帰っていった。

 

「ありがとうマスタードラゴン。よし!ここからが本当の勝負!」

 

 

パーフェクト・カスケイドのスローインで試合再開。

黄名子がミキシマックスしたとは言え未だにスコアは3-0。

全員が化身アームドの相手に試合をひっくり返さなきゃいけない。

なんとか点を取らないと。俺がなんとかしないと。

それなのに翼とアーサー王に言われたことの答えはでないままだ。

キャプテンとリーダーは違う、キャプテンとは何か、みんなの声を聞け。

いくら考えても答えはでない。

考えることに意識が行ってるとまた自陣への侵入を許してしまった。

 

「止めるやんね!きらきらイリュージョン!!」

 

けどすかさず黄名子が必殺技で守ってくれた。マスタードラゴンの力を借りた花火のような技。

あれがミキシマックスした黄名子の必殺技。

 

「キャプテン!」

「えっ。」

 

ボールを奪った黄名子が俺にパスを出してくれる。

けどどうして俺に。

 

「ウチ、分かったやんね。一人で抱え込んじゃダメだって。だからキャプテンも元気だすやんね!」

「黄名子・・・」

 

一人で抱え込んじゃダメ。

 

「くっ・・」

「天馬!」

 

ドリブルで上がった先で3人相手にボールキープしていると逆サイドの錦先輩からこえがかかりパスを出す。

 

「ワシらはおまんを信頼しとるぜよ!」

「錦先輩・・・」

 

「天馬は僕らの横にいる!」

「僕らだって天馬の横にいるんだ!」

「フェイ・・太陽。」

「みんなと支えあってるやんね!」

 

みんなの声が聞こえる。

俺を勇気づけてくれるみんなの声が。

いや、違う。本当はずっと聞えてたはずなんだ。

 

『天馬はいつも皆と肩を並べてるよな。』

『悩んでるやつと一緒に悩んで、色々大変だよな。』

『なんか知らねぇけど、オメーあったけぇぞ。』

『それが松風天馬!』

 

この世界だけじゃない。時空を越える旅に出てからかけられたみんなの声が走馬灯みたいに頭の中を駆け巡ってくる。

そうだ。みんなずっと俺と一緒にいて、信じてついて来てくれて、支えてくれてたんだ。

 

「俺たちがここまで来られたのは、強くなれたのは、天馬!お前がキャプテンだから、お前が隣にいてくれたからだ!神童先輩!」

「翼、みんな・・・」

「俺たちの想い、受け取れ!!」

神童先輩から受けたパス。

ボールからみんなの想いが伝わってくる。

 

 

「松風天馬。確かにお前はリーダーと呼ばれる、一種の指導者には向いていない。」

ベンチからアーサー王の声が聞える。

「だが人を率いるために本当に必要なのはそれではない。」

 

 

やっと分かった。

翼が、アーサー王が、倉間先輩が、みんなが言っていたこと。

キャプテンの役目、俺の役目はチームを率いることじゃない。

みんなと肩を並べて、どんな時も前を向いて一緒に強くなる。

「俺、先頭を走れないかもしれないけど。でも、いつもみんなと一緒に走り続ける、そんなキャプテンになって見せる!剣城!」

「ふっ。やっと気づいたか。」

 

もう迷わない。どんな敵が相手でもみんなと一緒なら立ち向かえる。

 

 

「今だ!ミキシマックス、10の力!絶対的な勇気と揺るぎない実行力で大地をも味方にするキングオブミッドフィールダー!」

 

ワンダバのミキシマックスガンが天馬とアーサー王に放たれる。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「ミキシマックス、コンプリート!!!!」

 

ミキシマックスは成功した。

アーサー王の髪色をしたかなり髪が伸びたような姿の天馬。

その顔にはもう迷いはなさそうだ。

 

「まったく。遅すぎだっての。」

これくらいじゃ天馬から受けた借りは返せないけど、すこしは返せたかな?

 

 

「行くぞ、みんな!!」

「「「「おう!」」」」

 

 

「排除する。」

「王の剣!」

天馬が生み出したエクスカリバーのような剣で3人まとめて薙ぎ払う。

 

「「天馬!」」

先ほどまでと打って変わってパーフェクト・カスケイドをものともしない天馬のプレーに全員が奮い立つ。

それだけではない。

 

「菊一文字!」

 

「決まったぁぁ!円卓の騎士団、一点を返した~~~!」

これまで通用しなかった剣城のシュートがパーフェクト・カスケイドの守りを打ち破った。

 

「この勢いにのって巻き返そう!」

「「「おう!」」」

天馬の声に全員が答える。

先ほどまでとは明らかに違う。全員が天馬に引き上げられるかのように、動きのキレ、技の威力が増していた。

 

「お前が持っている気質は私が求める理想の王の姿だ。」

 

「伝来宝刀!」

「さらに2点目を返す円卓の騎士団!」

 

 

「民の横にいてその声を聞くことが出来る。民の苦しみを自分のことのように分かち合うことができる、特別な才能だ。」

アーサー王が語る天馬の才能。

それは天馬が示し続けていた姿。

 

 

「やきもちスクリュー!!」

「同点!ついに追いついた~~~!!!」

 

 

「それによって民の力は国全体の力となり大きな敵に立ち向かう力となる。」

 

個々の能力が結集し高めあい更に大きな力となる。

今フィールドで起きていることそのものだった。

リーダーという先頭に立ち導く者ではない、松風天馬という最高のキャプテンだからこそ成せることだった。

 

「ミキシトランス、ビッグ!」

「王者の牙!!」

 

そして決着の時が訪れた。

フェイのシュートが突き刺さったのと同時に長い笛が鳴る。

 

「ここで試合終了!円卓の騎士団、奇跡の逆転勝利だ~~~!」

 

 

 

一時は決定的とも言える差をつけられた試合。

だが松風天馬の復活から始まったすさまじい逆転劇をSARUとメイアは目の当たりにした。

 

「まさか本当にあそこからひっくり返すなんてね。」

「ええ。松風天馬がミキシマックスしてから見違えるように変わったわ。これが翼の言っていた松風天馬の不思議な力・・・」

「さすが僕たちセカンドステージチルドレンのルーツになっただけのことはあるね。」

「彼、やっぱりあなたに似てるわね。」

「そうかい?確かに僕のルーツは天馬君にあるかもしれないけど。」

僕の方がかっこよくない?というSARUのことは一旦無視するメイアであった。

 

「それじゃあ僕は彼らと話をしてくるよ。メイアは先に帰ってギリスと一緒に出撃の準備をしておいて。」

「了解。フェイのことは刺激しないようにね。」

「分かってるって。」

「本当かしら。」

 

 

嘆きの洞窟を出たところで俺たちはアーサー王に全てを打ち明けていた。

 

「では其方たちはこの地を立ち去るというのか?」

「俺たちはどうしてもやらなくちゃならないことがあるんです。」

「・・・・・よし、許す。旅に出て己の力を磨いてこそ本当の騎士だ。」

「アーサー王!」

 

以外にもあっさりとアーサー王は許してくれた。

 

「最早迷いは無いようだな。」

「はい!」

「それでこそ我が力を受け継ぎしものだ。お前には絶対的な勇気がある。揺るぎない実行力がある。そしてそんな人間のもとに人は集まる。」

「俺に?」

「私はお前の中に、私が求め続ける王の姿を見た。苦しむ仲間を力づける希望の風。それが松風天馬、お前だ。お前はなるのだ。皆が安心して身を任せられる、本当の王にな。」

「本当の王・・・」

 

そうだ。ミキシマックス出来たとしても俺はまだまだだ。

本当の王、最高のキャプテンになるにはこんなところで満足してちゃいけない。

 

「うむ。忘れるな!お前たちは円卓の騎士であることを。この先どのような困難にも、騎士の誇りと勇気を胸に、果敢に立ち向かうのだ!」

「「「はい!」」」

「円卓の騎士に栄光あれ!」

 

フェイに言われたあの言葉。俺がこの世界でやらなければいけないこと。

俺は成し遂げられたかな。いや、これから成し遂げていくんだ。

 

 

 

俺たちはアーサー王と別れ、TMキャラバンを探して森をさまよっていた。

少し開けた場所に出たところで一旦休憩となり、俺と天馬は川に水を汲みに来ていた。

向こうでは錦先輩が大介さんに怒られてるのが聞こえてくる。

 

「心配かけちゃったね。」

「別に心配しちゃいないさ。俺はずっと信頼してたぞ。タイムジャンプ前に言ったろ?別に追い抜いてないって。天馬は俺にとってはずっと隣にいて、一緒に成長できる親友でライバルだ。」

「翼・・・うん。」

「もう大丈夫だな。これからも頼むぜ、キャプテン。」

 

水を組み終え戻ろうとすると背後から声が聞えた。

「凄いよ。天馬君、翼君。」

 

後ろを振り向くとオレンジの服を来てゴーグルをかけた、俺たちと同い年くらいの男の子が立っていた。

「お前は誰だ?」

この世界にいる俺たちを知る存在。エルドラドか?

 

「ふふふ。」

笑いながらつけていたゴーグルを外す男。

 

「え?」

「天馬に、似てる?」

 

ゴーグルを外した顔は強い意志を感じる天馬によく似た顔だった。

兄弟といっても信じるくらいだ。

 

「それはそうかもね。僕の名前はサリュー・エヴァン。みんなは僕のことをSARUと呼ぶ。」

「SARU?」

「伝えたいことがあったんだ。とても大事なことだ。いいかい?僕たちは・・・」

 

その瞬間浮遊感に襲われると同時に視界が切り替わった。

 

 

「エルドラドに先を越されちゃったか。まぁいいや。」




いかがだったでしょうか。
天馬のミキシマックス回は全シリーズ中でもトップクラスに好きな回です。
天馬がみんなにかけられた言葉を作品中に盛り込めたらなという実はフランス編から構想としてはあったのですが難しいですね。
そして次回からいよいよ未来編です。

感想などあればお待ちしてます。励みになります。
あとクロノストーン編完結以降のルートをどうするか迷い中です。
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