二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

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前回、執筆中のメモを削除せずに投稿してしまったため一部の人は展開を知ってしまったかもしれないので連日投稿。本当に恥ずかしい・・・
ついにメイアの正体を知った翼は何を思うのか。
本編をどうぞ。


これまで

「ラグナロクの開会セレモニーは楽しんでもらえたかな?」

「サッカーで勝負するんじゃなかったのか!?」

「もちろんこれからサッカーをやるよ。世界を変える最終戦争、ラグナロクをね。」

 

神童先輩とSARUとの会話もどこか遠くに聞える。

さっきまでのチームでやっていけるかの不安も何もかも。

頭が回らない。

 

「それじゃあ準備に移ろう。」

「準備?」

 

フェーダの面々が空を指さす。

オーラがあふれだすと積みあがった瓦礫が中に浮かびはじめた。

瓦礫は集まり、形を変え、新しい建造物に姿を変えていく。

数十秒ほどで瓦礫の山は立派なスタジアムに姿を変えた。

 

「さぁ出来たよ。決戦の舞台、ラグナロクスタジアム。ここが新たな世界の始まりとなる。」

「これが、セカンドステージ・チルドレンの能力・・・!」

 

エルドラド本部を破壊しただけにとどまらずスタジアムに作り変えてしまったセカンドステージ・チルドレンの力に皆ただただ圧倒されて戦う前から弱気になっている。

 

「このスタジアムの中に、君たちの居場所も用意しておいたよ。」

SARU曰く、このスタジアム内に俺たちが宿泊する場所や練習場も用意したらしい。

そうでもしてくれないとこっちは練習も出来ないから助かりはする。

元々エルドラドの施設だろとツッコミを入れた狩屋はSARUに睨まれていた。

 

「では第一試合は二日後。こちらからはチーム・ザンが出る。しっかり準備しておいてね。ま、無駄だろうけど。」

「はっ!二日後なんてタルいこと言ってねぇで今ここであいつらをぶっ倒しちまおうぜ。」

「ガロ、言ったはずよ。全ての決着はラグナロクでつけるって。」

「・・・チッ!」

「約束する。僕たちはラグナロクで、この力を使うことはない。この力を使わなくとも僕たちが君たちより優秀だと証明してみせる。」

 

そう言い残しセカンドステージ・チルドレンは引き上げていった。

去り際メイアと一瞬目が合った。

同時にフェイが急に気を失ってしまった。

 

 

その夜

 

あれからしばらくしてフェイは無事目を覚ましたようだった。

チーム01の面々から報告があった。

エルドラド組とも分かれ、みんなそれぞれ明日の練習に備え休んでいるだろう。

俺は一人でスタジアム内に用意された練習場にいた。

どうしてもじっとしてられなかった。

 

「破壊神デスロス!」

 

今は周りに誰もいないしサッカー禁止令もない。

存分に化身アームドの練習ができる。

ミキシマックスが出来るようになっても俺はまだ化身アームドを習得出来ていない。

 

「アームド!!」

 

剣城が初めて化身アームドに成功したとき、大介さんから化身を食ってしまえとアドバイスを受けていた。

自分なりのイメージで試してみる。

 

「・・・くそっダメか。」

 

しかし失敗する。

化身は完全にコントロール出来るようになった、ミキシマックスも出来た。

まだ俺の力が足りてないのか。

俺たちの試合は3日後に控えてるっていうのに。

 

「もう一度だ。」

「翼!」

「うわっと・・って天馬?」

 

もう一度試そうとしたときに背後から声をかけられた。

振り向くとそこには天馬がいた。

もうみんな各自割り振られた部屋で休んでいると思ったんだが。

 

「どうしたんだ?早く寝なくていいのか?」

「それは翼もでしょ。」

「俺はパーフェクト・カスケイドとの試合は途中からしか出てないから体力が余っててさ。天馬も特訓か?」

「ううん。実は翼に話が合ったんだ。そしたら部屋にいないからここかなって。」

「俺に話?」

一体何の用だろう。今は別々のチームだが。

 

「あのさ、さっきSARUの隣にいた女の子。あの子って翼が幕末で会ってた子だよね?」

「!?」

天馬からかけられた問いかけは思わぬもので思わず息を呑む。

そうだった。天馬には見られてたんだった。

 

 

「前言ってたよね。あの子は信頼出来るって。翼とあの子はどういう関係なの?」

こうして特訓に集中することで何とか頭から追い出そうとしてたのに。

こうなるともう誤魔化しようがない、もう隠す意味もないか。

俺は天馬に全てを話すことにした。

 

「分かった、話すよ。あの子の名前はメイア。どうやらセカンドステージ・チルドレンらしい。」

「翼は知ってたの?」

「いいや、俺も今日初めて知ったよ。メイアとはゴッドエデンで出会ったんだ。」

「ゴッドエデンで?」

「ああ。ゴッドエデンでの二日目、俺だけみんなと別行動してただろ?あの時に出会ったんだ。その時に化身のコントロールの仕方を教わったんだ。」

「そういえばあの後からコントロールできるようになってたね。」

「そう。その時にメイアは俺たちとは違う理由でエルドラドからサッカーを守ろうとしてるって言ってた。今日やっとその理由が分かったよ。」

 

セカンドステージ・チルドレンを消すためにエルドラドがサッカーを消そうとするなら放っておけるわけない。

 

「それから戦国時代に飛ぶ前にまた会って、その時にこの連絡用のデバイスをもらったんだ。エルドラドの監視のためもあったんだろうな。色んな時代でこっそり会ったり、俺たちの時代で出かけたりして仲良くなったんだ。幕末で天馬が見たのはその場面だと思う。実はアーサー王の世界にも来てて、あの洞窟まで一緒に旅してた。」

「何で秘密にしてたの?」

「メイアから他のみんなには内緒にしててくれって頼まれてたからだ。ごめん。けど、俺が化身をコントロール出来るようになったり強くなれたのはメイアのおかげでもある。だから信頼できるって言ったんだ。」

「そうだったんだ・・・メイアは、翼を利用してたのかな?」

「それは・・・」

 

結果的に言えばそうなる。俺たちはセカンドステージ・チルドレンにとって都合良くエルドラドの歴史改変を阻止した形になる。利用されたと言われても間違いじゃないだろう。

けど一緒に出かけた時に見せてくれたあの笑顔、フランスで酔っぱらってかけてきたあの電話、幕末で打ち明けてくれたメイア自身の悩み、そしてアーサー王の世界での別れ際の言葉。

自分の中で答えが出せない。いや、出したいけど出し切れずにいる。

そうしていると天馬に見せていた連絡用デバイスにメッセージが届いた。

天馬と一緒に覗き込む。

 

『今から会えない?』

 

紛れもないメイアからのメッセージだった。

正体を明かしたうえでのこの誘い。

決戦前に相手と会うなんて裏切りと捕らえられてもおかしくない。

けど、それでも

 

「行ってきていいか?俺はちゃんとメイアと話をしたい。」

行かなきゃいけない気がした。

聞きたいことがたくさんある。

それにこのままじゃ特訓にも身が入らないし眠れそうにない。

 

「行ってきなよ、翼。例え相手がセカンドステージ・チルドレンでも、翼が信頼できるっていうなら俺は何も言わない。」

「・・・ありがとう、天馬。行ってくる。」

 

 

メイアから指定された場所はスタジアムから少し離れた公園にある噴水前だった。

なんとか位置情報を頼りにたどり着くとメイアは既に到着していた

 

「メイア、遅くなってごめん。」

「翼・・・来てくれてありがとう。」

 

少し控え目な返事が帰ってくる。

いつもの感じとも、幕末の時とも違った雰囲気だ。

 

「先に謝っておくよ、ごめん。君のこと、ついさっき天馬に話した。」

「気にしないで。もう隠す意味もないわ。」

「メイア。君はセカンドステージ・チルドレンだったんだな。」

「ええ。」

「初めて会った時に言ってたことの意味がやっと分かったよ。」

「そう・・・。」

「俺に近づいたのは、エルドラドが歴史を改変してセカンドステージ・チルドレンが生まれるタイムルートを消そうとするのを防ぐため?」

 

率直に尋ねる。

俺たちの出会いは目的のためだったのか。

 

「最初はそうだったわ。休暇ついでにSARUの指示でエルドラドの動きを監視するためにタイムジャンプをした。翼がプロトコル・オメガと戦ってるのを見て、化身をコントロール出来るようになればエルドラドに対抗するための大きな力になると思ったわ。」

「そうか・・・・」

「けど、それだけ。」

「え?」

「翼を初めて見た時、プロトコル・オメガとの初めての戦いなのに他の子たちより目に見えて順応するのが早くておもしろそうな子がいるなと思った。初めて化身を見た時もそう。だんだん翼に興味が出てきて、それでゴッドエデンで接触した。」

 

胸に手を当てこれまでのことを話すメイア。

 

「織田信長の時代に行く前にあなた達の町で会えたのは偶然だった。もっと翼を知りたいと思ったからそのデバイスを預けた。もちろんエルドラドの監視目的もあったけど。お出かけも楽しかったし、私の迷いを晴らしてくれたのは本当に感謝してるわ。これは嘘じゃない。」

アーサー王の世界での別れ際の言葉を思い出す。

あの時も今も、メイアは俺の目をまっすぐに見て伝えようとしてくれてる。

メイアが語ってくれたこと。それはそのまま俺も抱いていたものだ。

充分だ。

 

「そっか。良かった・・・」

 

俺たちの出会いとこれまで。それが偽物なんかじゃなくて。

けどそうなると別の問題も出てくる。

 

「エルドラドのトウドウ議長から聞いたよ。セカンドステージ・チルドレンの力のことや目的について、それから寿命のこと。」

「!・・・そう。・・・失望した?」

 

全て聞いたことを伝えると今度はとても不安そうにメイアは言う。

セカンドステージ・チルドレンが行ってる攻撃。

彼らには明確な目的がある。議長は復讐だと言っていた。

 

「・・・俺はメイアたちが受けた仕打ちを知らないから気持ちは分かるなんて言えない。けど前にフランスで言ったろ?戦争は善悪で片づけられることじゃないって誰かが言ってたって。エルドラドにはエルドラドの正義が、メイアたちにはメイアたちの正義があるんだろ?」

「翼・・・」

出かけた時に俺に聞いてきたこと、フランスで戦争を目の当たりにしたときに言っていたこと、幕府のために残り少ない命を燃やしていた沖田さんにかけた言葉。今なら分かる。あれはメイア自身が自分に言い聞かせていた言葉だったんだ。

 

「なら俺はメイアたちを否定することなんて出来ない。」

「・・・ありがとう。」

「けど、やっぱり寿命は・・」

「ええ。私たちは大人になれない。あと数年の命。だからこそ、この戦いで認めさせてみせる。私たちセカンドステージ・チルドレンの存在を。」

「本当にそれでいいのか?多分知ってるんだろ?エルドラドは今ワクチンを開発してるって。完成すれば力を失う代わりに普通の寿命を手に入れられるって。」

「知ってるわ。いかにも彼らが考えそうなことだもの。けど私たちの考えは変わらない。私たちはこの命を賭けて私たちの力を認めさせて世界を変える。」

 

「戦うしかないのか・・・」

「ええ。私のチーム、ギルは2試合目に出場するわ。」

「俺のチームも、2試合目だ。」

なんの因果か。

俺たちはラグナロクで直接対決することになるようだ。

 

「なんとなくそんな気がしてたわ。私と翼はラグナロクで戦うことになるって。この試合が私たちの初めての、そして最後の真剣勝負。」

「真剣勝負・・・」

これまでも何度か勝負したことはある。

けどそれは全部真剣勝負ではなかった。

初めて試合の場でメイアと戦うのが世界の運命がかかった試合になるなんて。

 

「前に言ったでしょ?リベンジは試合で受けてあげるって。そして勝つのは私だって。楽しみにしてるわ。試合で会いましょう。」

 

そう言い残してメイアは去っていった。

やっぱり、ラグナロクに勝つしかないのか。

 

 

翌日 ラグナロクスタジアム内練習場

 

「倉間、オルカに繋げ!」

「はい!」

 

ラグナロク第一戦を控えて今日も各チームに分かれての練習が行われていた。

昨日の練習の時点でかなりの不安があったけど不安は的中した。

 

「オルカ、倉間へパスだ!」

「ふん、ベータ!」

「いただき!」

「おい狩屋!?」

「てめぇ!邪魔してんじゃねぇ!」

「お互い好きにするんだろ?」

「当てつけかよ!」

 

案の定プロトコル・オメガのメンバーとの連携は全くとれていない。

なんならプロトコル・オメガ同士でもアルファ派、ベータ派、ガンマ派に分かれていた。

全くチームの形を成していない。

たしかに以前戦った時より強くなってる。けどこのままじゃ勝てっこない。

絶対に負けられない戦いなのに。

サカマキ監督は何も言わず神童先輩に任せっきりだし。

あと二日で何とかなるのか?

 

 

「おっ。お疲れ、剣城。」

「翼・・・」

「浮かない顔してるな。」

 

今日の練習を終え自室に戻る途中、ミーティングを終えたチーム01のメンバーと鉢合わせた。

このチームのキャプテンは剣城だったな。キャプテンに使命されたときは意外そうにしてた。

 

「チームの調子はどうだ?」

「正直、良いとは言えない。どうしても雷門の時に比べて連携に粗が目立つ。」

「そっちもか。昨日の夜、天馬とも話したけど天馬のチームも上手くいってないみたいだ。指示は聞いてくれるけどパスのタイミングが合わなかったり、連携を確認しようと誘っても乗り気じゃないらしい。ラグナロクはもう明日からだってのに。」

「鬼道さんは何故俺をキャプテンに選んだんだ・・・」

 

剣城のチームは一応指示には従ってくれるがどうしても噛みあいきらないようだ。

剣城は一応黒の騎士団でキャプテンだったとはいえ天馬と神童先輩に比べるとブランクがある。

性格的にも言葉で引っ張るっていうよりはプレイで引っ張るタイプだ。

 

「あの3人の考えは俺には分からない。けどフェーダはこれまで戦ったどのチームよりも強いはず。そんな相手に突破口を開いてくれるのは剣城だと思ってる。頼りにしてるぜ、エースストライカー。」

「・・・ああ、任せろ。」

 

 

そして次の日。

ついにラグナロクが始まった。

スタジアムは満員の観客で埋め尽くされている。

俺たち選手側は専用の観戦スペースが各チームに用意されていてそこで観戦することになった。

グラウンドにはチーム01のみんなとローブに身を包んだフェーダ側の11人。

フェイも大丈夫そうだ。

たしかチーム名はザンだったか。あの時うるさかったガロってやつがキャプテンなのだろうか。

スタジアム内が暗転すると上空にホログラムが投影された。

小さな剣士が大人の剣士を倒す演出。

 

「今のは?」

「小さな子どもがセカンドステージ・チルドレンで、大人であるエルドラドを倒すっていうことだろう。挑発だ。」

「ふん。生意気ですこと。」

 

セレモニーが終わるといつものおじさんが呼び出された。

あれはエルドラド側が呼んでるのか、はたまたフェーダが呼んでるのか。

とにかくラグナロクが終わったらちゃんと解放して上げてほしいものだ。

 

 

 

「さぁ!人類の運命を賭けたサッカー大会、ラグナロクの開始だ~~~!第一回戦はエルドラドチーム01vsチーム・ザンの試合だ!」

 

いよいよ試合開始といったところでザンがまとっていたローブを脱ぎ捨てた。

その中には雷門イレブンも見慣れたある男の姿があった。

 

「ザナーク!?」

「おまん、どうしてここに!?」

「そういうと思ったぜ。俺はもともとエルドラドの人間じゃない、今はフェーダの一員。チーム・ザンのキャプテンって訳だ。」

 

「ふん。行方不明になったかと思えば、フェーダに転がり込んでいたとはな。」

「ザナークが相手になるとはまた厄介だな。エルドラドのほうでちゃんと監督しておいてくれよ。」

エルドラド側の監督不行き届きに悪態をつく翼であった。なおガンマはめちゃくちゃ不機嫌そうだった。

 

「雷門を倒す。俺は今そのためだけにここにいる。特に錦、お前には大きな借りがある。」

「ザナーク、おまんとまたやれるとは燃えて来たぜよ。」

 

幕末の戦いでザナークと雷門の間に出来た奇妙なつながり。

雷門と戦うためだけにザナークはフェーダに入った。

待ちに待った再戦に胸の高鳴りが隠せない様子だ。

 

そしてついに戦いの火ぶたが切って落とされた。




いかがだったでしょうか。
これまでの物語でお互いが向き合ってきたからこその関係を描けていたらいいなと思います。
けどそれとこれとは別で戦いは避けられないですね。
ラグナロクはどうしても二人に焦点が当たって他のメンバーが影が薄くなりそうですがなんとか頑張ります。

感想、コメントお待ちしてます。

ちなみにクロノストーン完結後はギャラクシールートは考えていないです。
どのルートかは未定。
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