「まだ時間は残ってる!取り返すぞ!」
「はい!」
「イエス。」
「今度は僕が決める!」
後半戦も残り少なくなってきた。
けどこのチームならまだ巻き返せるはず。
だからこそもう1点もやれない。
「ミキシトランス!」
「大丈夫だド、翼?」
「最後までもつの?」
「もう1点取られたら終わりだし取り返さないと。四の五の言ってられない。」
ここからはインプレー中はこのままいくしかない。
攻撃も守備も全開でいく。
ミキシマックス状態ならある程度攻撃に加わってもカウンターに対応出来るはずだ。
「オルカにパスだ。」
「任せなって!ベータ!」
「させない!」
オルカからベータへのパスはミドにカットされる。
単独でゴールを決めてる分マークが若干厳しいか。
「ギリス!」
「こっちだって。神童先輩!」
「いいぞ翼。」
ギリスへのパスをカットして神童先輩に戻す。
けど残り時間が少なくなってきてギルの守りも固くなってきてる。
アルファたちのオメガアタックも3人を一斉にフリーにはさせてくれそうにない。
神童先輩も攻めあぐねてる。
「ここは私が。神童!」
神童先輩がパスを出せず攻めあぐねている所にエイナムがライン際をかけあがる。
動きを見せたエイナムに反応してゼイクが動く。
「・・・今だ。ガンマ!」
すかさず神童先輩がガンマにパスを出す。
俺がオーバーラップしてエイナムが切り込んだ分マークが緩くなった形だ。
「シュートコマンド13!」
ガンマのロングシュート。けどこの距離では、と思ったらシュートがゴールに向かっていない。
「アルファ!」
「イエス。シュートコマンド01!」
「シュートチェイン!?」
シュートが放たれたことで一瞬ゆるんだところをアルファが振り切りシュートチェインに繋げた!
あのガンマが自分で決めにいかないなんて。
「決まってくれ!」
「「止める!」」
しかしシュートコースにギルのDFたちが割り込み威力が落ちてしまう。
「リジェクション!」
「キーパー、ブーフウ。がっちりキャッチ!」
「くそっダメか。」
せっかくのチャンスが実らず歯がみしてしまう。
しかしそんな視界の端で動く影。
「ブーフウ!こっちよ!」
「しまった!?」
振り向いたときには既にギリスとメイアがカウンターに走り出していた。
キーパーのロングスローに反応できなかった。
「くそっ!間に合え・・天城先輩、狩屋!」
ミキシマックスしてる今なら少しでも足止めしてくれれば間に合うはず。
全力で戻ろうとした瞬間、足に思うように力が入らない。
化身アームドとミキシマックスの疲労が足に来てる。
「はぁ・・くそっ!これくらい!」
ここで踏ん張らなくてどうする。
まだ足は動く!走れ!
「これで」「終わりよ!」
「「デッドフューチャー!」」
「ハンターズネットV2!」
「アトランティスウォールG2!!」
「「うわああっ!!」」
「キーパーコマンド07!があっ!?」
「なんとか弾いた!しかし無情にもボールはメイアとギリスの元へ~!・・・あっとキーパーのルジク、立ち上がることが出来ない!ゴールはがら空きだ!」
「「情熱のラヴァーズ!」」
「今度は化身だ~~!しかしここで赤峰が立ちふさがる!」
3人のおかげでなんとか間に合った。
けどもう二人はシュート態勢に入ってる。化身アームドは間に合わない!
「「はあああっ!」」
「二人同時の化身シュートだ~~!」
「アスタリスクロック!!」
なんとか必殺技でシュートブロックに入る。
けどシュートを受け止めた瞬間分かってしまった。
これは。
「止められない~~!赤峰のブロックを弾き飛ばしシュートは無人のゴールへ!」
「はあああっ!」
「神童先輩!?」
もうだめだと思った瞬間、神童先輩がブロックに入ってくれた。
けど2人同時の化身シュートは俺の必殺技が挟まっても止められるものではなく神童先輩も弾き飛ばされてしまう。
そしてこぼれ球はまたもメイアとギリスの元へ転がった。
「「デッドフューチャー!!」」
三度目の正直。
二人の必殺技が放たれた。
俺も神童先輩も天城先輩も狩屋もルジクも立ち上がれていない。
もうダメだ。
「ふん!!!」
「「「ザナーク!?」」」
全員があきらめたその時ザナークが体でデッドフューチャーを受け止める。
「ぬぅぅぅぅう・・・はあっ!!!」
デッドフューチャーに押し込まれながらもザナークはその身一つでブロックして見せた。
メイアとギリスも唖然としていた。
「見たか?見たよな?俺の力を!」
「頼むザナーク!」
「そういうと思ったぜ。うおおおお!」
「「させるか」」
「どけぇぇぇ!」
ザナークはメイアとギリスの間を抜けザットとチェルを吹き飛ばしゴールまで一直線に爆走する。
この試合で溜まりに溜まった鬱憤を発散するようにギルのメンバーを蹴散らしていく。
あっと言う間にキーパーと1vs1。
「その目に焼き付けろ、この俺の力を!・・・ぐあっ。」
シュートを放とうとしたザナークの動きが一瞬止まる。
「またか!?・・・うおおおおお!!」
そのまま放ったザナークの渾身のシュートはキーパーをなぎ倒しゴールに突き刺さった。
あいつ、本当に一人で決めやがった。やっぱりとんでもないパワーだ。
「ゴーーール!残り時間あとわずかの所でエルドラドチーム02またも追いついた~~~!」
「まだだ!まだ時間は残ってる!この試合引き分けでは終わらせない!勝つぞ!」
「まだよ!この試合、必ず勝つ!私たちの誇りにかけて!」
「「「「「おう!!」」」」」
引き分けでなんて終わらない。
俺たちは1試合目負けている。この試合の引き分けの価値は俺たちとギルで大きく違う。
引き分けだと3試合目は勝利以外許されない。勝って天馬たちに繋げるんだ!
それに相手はメイアなんだ。絶対に勝ちたい!
引き分けでなんて終わらせないわ。
ラグナロクの勝敗以上に、誇りにかけて。
そしてこの翼との勝負。絶対に勝ちたい!
「時間は残りわずか!両チーム譲らないこの試合、いったいどうなるんだ~~!」
グラウンドの全員が全力でボールを追いかけてる。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
筋肉が針金で締め付けられるみたいだ。体が悲鳴を上げてる。
目がかすむ。
息が上がって、走るのをやめてしまいたい。
けど止まってられない。最後まで出し切るんだ。
「両チームの競り合いでボールがこぼれたぞ!」
誰かと誰かの競り合いでボールが弾かれたらしい。
もうユニフォームだけで辛うじて敵味方の区別がついてる状態だ。
俺のほうにボールが飛んでくる。
こぼれ球を抑えようと飛ぼうとしたところで先に誰かが抑える。
いや、誰かじゃない。どんなに限界でも俺が彼女を見間違える訳がない。
「こぼれ球を抑えたのはメイアだ!ゴール前、赤峰と1vs1だ~~!」
「・・・やっぱりこうなるんだな。」
「そうね。まるで運命で決まってたみたい。」
他のみんなは手出し出来る状況じゃない。
ルジクももう立ってるのがやっとでシュートは止められないだろう。
だから俺が止めるしかない。
俺とメイアの一騎打ちに全てがかかってる。
「こんな大変な試合だったのに本当に楽しかった。」
「私も。ずっと楽しみにしてたけど想像以上だったわ。」
「もっとずっとやっていたいよ。けど必ず試合終了の時は来る。だから。」
「ええ。」
「勝つのは俺だ!」「勝つのは私よ!」
「情熱のラヴァーズ、アームド!!!」
最後の勝負。メイアもフルパワーの化身アームドで向かってくる。
なら俺もやるしかない。出来るか分からないけど。一度だけ見たことはある。
「破壊神デスロス。・・・アームドッ!!!」
「「「ミキシマックスと化身アームドの同時使用!?」」」
恐竜時代でフェイが一度だけやってたミキシマックスと化身アームドの併用。
この試合で化身アームドを身に着けたばっかりの俺は当然初めての挑戦。
だけど一度目の当たりにしてるんだ。なら俺にも出来るはずだ。
化身アームドした時と同じようにデスロスが体に装着されてくるのが分かる。
さっきまであんなに重かった体に力があふれてくる。
きっとランナーズハイみたいに一時的に麻痺してるだけだろう。
けど今はそれでいい。この瞬間全力を出せるなら。
「ふぅ。なんとかなったみたいだな。」
「ふふ♪翼、あなたって本当に最高ね!いくわよ!」
「来い!」
「はああああっ!!!」
「うおおおおっ!!!」
メイアのシュートを正面から蹴り返す。
真っ向勝負だ。
「ぐぐぐ・・・」
試合中に受けた化身アームドのシュートより更に強力。
けど負けない。
メイアに勝ちたい。勝って未来を掴み取る!
「ぐぅぅおおおおおお!いっけぇ~~~~!!!」
「なんとメイアのシュートを赤峰がそのまま蹴り返しゴールを決めた~~~!エルドラドチーム02、ついに逆転!そしてここで試合終了~~!!」
「・・・・負けた。」
試合終了のホイッスルが遠くに聞える。
スコアボードは5-4で私たちの敗北を示してる。
ギリスもギルのみんなも信じられないというような顔をしてる。
敗北なんていつ以来だろう。セカンドステージ・チルドレンの力に目覚めてから記憶にはない。
「・・・悔しいな。」
この胸を刺す痛みは到底受け入れられそうにない。
けどそれと同時に晴れやかな感覚もある。
矛盾してるようなのにそれは確かなもので。
これはきっと相手が彼だったから。
その相手の方に向き直ると彼は。
「勝った・・・勝ったんだ。」
「やったド!」
「やりました♪」
長い笛がなり、センターサークル付近で神童先輩たちが揉みくちゃになってるのを見て試合に勝ったことを実感する。
そっか、勝ったんだ。これで天馬たちに繋げたんだな。
シュート決めたのなんていつ以来だ?なんて的外れな思考が浮かんでは消えていく。
そうだ、俺もみんなのところへいかなきゃ。
足を一歩ふみだそうとした瞬間
「あ、やば・・・」
限界を超えていた体は正直で。
足は全く動かずどんどん地面が近づいてきて。
目の前が真っ暗になっていって。
意識を失う直前、最後に見た光景は俺の名前を呼んで駆け寄ってくるメイアの心配そうな顔だった。
いかがだったでしょうか。
翼とメイアの決戦ということでかなりオリジナル展開となりました。
お互いの全力をぶつけあった戦いを描けていれば幸いです。
そして次回、一つの決着を迎えた二人がどうなるのか。
早めに更新できればなと思います。
ミキシアームドはやっぱりさせたかったです。
あとラストのカウンターシュートは完全に某少年探偵の映画のクライマックス。
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