二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

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どうも。少し間が空きましたが今回はあの衝撃の真実回です。
あるキャラが好きなキャラには少し辛い話になるかもしません。
お許しください。


親子と帰る場所

前回までのあらすじ フェイのお父さん登場

 

「支援者Xがフェイの父親だって!?」

 

みんな合流して30秒くらいで明かされる衝撃的すぎる事実に声をあげる。

メイアも正体を知らないって言ってたけど本当にこの人がフェイの父親?

たしかに髪の色は似てるけど。

 

「何故、ここにいるの?」

 

「お前を見守っていたかったからだ。だから私はフェーダに・・・」

 

「今更名乗ってどうなるの?」

 

歯切れの悪いフェイのお父さん、アスレイさんにフェイは敵意を隠さず問う。

 

「今日はたまたま僕を助けたい気分だった・・・そんな所?」

 

「ち、違う!」

 

「あなたは僕を捨てたんじゃなかったの?」

 

「「ええっ!?」」

 

捨てられたと聞いてみんな驚いているが俺は特に驚きは無かった。

メイアも言っていたようにフェーダはみんな迫害されたり親に捨てられた子どもたちの集まりだ。

フェイがフェーダの一員である以上、予想できたことではある。

 

「僕が怖くて、僕を捨てた!」

 

「違う!お前が怖かったからではない。」

 

「じゃあ何だよ!何で僕をひとりぼっちにしたんだ!!」

 

フェイの怒りをにじませた問いかけにアスレイさんは口をつぐんでしまうが少し間を置いて語り始めた。

 

「私はエルドラドの幹部として、その地位を失うことを恐れた。自分がこれまで築き上げてきた地位を。お前のことがエルドラドに知られればお前もタダではすまなかった。あれがお前と私自身を守る唯一の手段だったんだ。」

 

どうやらアスレイさんはエルドラドの幹部だったらしい。

エルドラドの幹部がセカンドステージ・チルドレンだと知られれば問題になってもおかしくないだろう。ワクチンも最近完成したばかりのようだしフェイがセカンドステージ・チルドレンの力に目覚めた時にはワクチンは無かったのだろう。

 

「・・・遅いよ。もう何もかも遅いんだ!」

 

「遅くはない!今からでもフェーダを出るんだ!・・・あ。」

 

自分に伸びたアスレイさんの手をフェイは明確に拒絶する。

正直俺はフェイの気持ちが分かる。

フェイはセカンドステージ・チルドレンの中でも特に孤独を抱えていたってメイアが言っていた。

自分の地位を失うことを恐れて小さいころに捨てられて、ずっと孤独に生きてきた。

人類に宣戦布告し最終戦争をしかけた今になって目の前に現れて心配していたと言われてそう簡単に受け入れられる訳がない。

俺もこの世界に来て、天馬に救われるまでずっと心のどこかで孤独を感じていた。

フェイが感じていた孤独を全て理解することは出来ないけどそれくらいは分かる。

 

「フェイ、ひとまずお父さんの話を聞いてみようよ。」

 

「天馬は黙ってて!!!」

 

「うっ・・」

 

「天馬、これはフェイたち親子の問題だ。ここは見守るしかないぞ。」

 

「翼・・・うん。」

 

そう。この問題は俺たちが易々と口を挟んでいいものじゃない。

フェイたち親子の答えはフェイたち自身で出すべきだ。

俺たちに出来ることは最後、背中を押してあげることだけだ。

フェイは涙を浮かべながらアスレイさんをにらみつけていた。

 

「フェイ!」

 

「黄名子?」

 

天馬も引き下がり生まれた沈黙を破ったのは黄名子だった。

けどなんで黄名子が。

 

「何聞き分けのないこと言ってるやんね!言うこと聞くやんね!」

 

「何だよ黄名子・・・」

 

「言うこと聞くやんね!」

 

「余計なお世話だ!そもそも黄名子には関係ないだろ!何で関わってくるんだ!」

 

フェイのことを一喝する黄名子とムキになって言い返すフェイ。

たしかに何で黄名子が?と思うと同時にこの光景に見覚えがあるような。

まるで駄々をこねる子どもと言い聞かせる母親のような。

 

 

「関係あるやんね。フェイは・・・フェイは、ウチの子どもやんね!」

 

 

「「は?」」

 

思わず隣の天馬と目を合わせる。

 

「フェイが」

「黄名子の」

 

「「「子ども~~~~~~~~~~~!!??」」」

 

さっきの3倍くらいの声量で全員おったまげる。

 

は?フェイが黄名子の子ども?てことは黄名子はフェイの母親で、黄名子は母親でお母さんでママで黄名子ママのもちもちきな粉餅はおふくろの味でってダメだ!頭がついていかない!

 

 

 

「僕が黄名子の子ども?何を言い出すかと思えば。」

 

黄名子の衝撃の告白に面食らったフェイだったがあきれたように言う。

冷静に考えればそれもそう。ありえなさすぎる。

 

「黄名子の言っていることは本当だ。」

 

けどアスレイさんが黄名子の言葉を肯定する。

 

「けど黄名子ちゃんとフェイは同い年でしょ?」

「親子なんてありえないですよ。」

 

葵と信助の言うことももっともだ。

もしフェイが黄名子の母親だとしたら実は黄名子が俺たちのお母さんくらいの年で今まで年齢を誤魔化してたことになる。あ、黄名子さんそんなに睨まないでください。何も言ってません。

 

「いや、ありうる。」

 

「どういうこと?」

 

「黄名子は私がタイムジャンプによって、フェイと同年代の少女の時代から連れてきた紛れもないフェイの母親だ。私がフェーダにいる間、フェイを見守ってもらうよう頼んだのだ。」

 

アスレイさんが言うにはこうだ。

黄名子が俺たちの年齢の時代の黄名子に会いに行ってフェイを見守ってもらうよう頼んだ。

母と子として深い繋がりがあるからこそ可能であると。

そしてフェイの母親である黄名子さんのことも。

俺たちが聞かされたことを全て聞いた上で黄名子はフェイを守るために俺たちと一緒に戦ってくれていたことを。

 

 

「お父さんだってあなたと分かれて平気だったんじゃない。ずっと心配してたやんね。だから支援者Xになって私のもとまで頼み込みにきたやんね。だからあなたはひとりぼっちなんかじゃなかったんよ。お父さんとお母さんに見守られてたんよ。」

 

「そうだったんだ。だから黄名子は・・・」

 

これで全て合点がいった。

黄名子がフェイに対して他のみんなより積極的に絡みに行っていたこと

フェイをなにかと気にかけていたこと。

時折俺にも見せていた面倒見の良さやなんとなく逆らっちゃいけない感じ。

あれは黄名子の母親としての顔だったんだ。

 

 

「そうだったんだ。・・・けど今更そんなこと知らされたってもう後戻りは出来ない。僕は信じてくれたみんなを裏切ったんだ!僕はフェーダを抜けたところでもう僕には帰る場所が無いんだ!」

 

フェイも黄名子の言うことが本当だと理解したんだろう。

黄名子の思いは、愛情をずっと向けられてたフェイが一番感じていたから。

けどフェイはもう遅いと言う。俺たちを裏切ってフェーダのことも裏切っても自分には居場所は残されてないと。

もう遅い。フェイはずっとこの言葉を口にしてた。けど今回のはこれまでのものと込められてる思いは違う。きっとフェイの中では答えは出てるんだ。自分がどうしたいのか。

ならここからは俺たちの出番だ。

同じことを考えてたんだろう。天馬が一歩前に出る。本当にこういう時に頼りになるやつだ。

 

 

「あるよ、フェイ。」

「え?」

 

「フェイの帰る場所はここにある。」

「ここに?」

 

「当たり前じゃないか。俺たちはこれまでずっとサッカーやってきた仲間だろ。フェイがサッカーを言ってきた言葉は絶対に嘘じゃない!だから一緒にサッカーを守ろうとしてきたんだろ?」

 

「そうだぞフェイ。たとえ敵になったとしても必ず戻ってきてくれるってみんな信じてたんだ。」

「天馬・・・翼。」

 

「フェイの帰る場所はここなんだ。絶対、ここなんだ!」

 

「天馬の言う通りだ。フェイが誰よりも真剣にサッカーを守ろうとしてたことはみんな分かってる。」

「フェイ!」

「帰ってこい!」

「フェイ!」

 

ここにいる誰一人、フェイを拒む者なんていない。

この旅で築き上げてきた俺たちの絆はこんなことで途切れたりはしない。

みんなフェイのことが大好きで、信じてる。

 

「みんな・・・」

 

フェイは顔を伏せてしまった。

けどこれはきっと合わせる顔がないからじゃない。

今、顔を見られたくないからだろう。

 

「みんな、ありがとう。けどもう少し待ってて。僕はやり残したことがあるんだ。」

 

フェイは顔を伏せたまま、肩を震わせながら俺たちに背を向けてどこかに向かっていった。

 

「フェイ!」「待ってるからな!」

 

「うん・・・うん!」

 

 

「僕にはいたんだね・・・一緒にいてくれる仲間が。」

 

 

 

「フェイ、どこへ行ったんだろう?」

「分からない。けどフェイは必ず戻ってくるよ。」

 

フェイの言うやり残したことが何かは分からない。

けどもう大丈夫だろう。フェイは必ず俺たちのもとに戻ってくる。

 

「よし!それじゃあやるぞ!」

 

水鳥先輩が手を叩き切り出す。

 

「やるって何を?」

 

「決まってるだろ?フェイの歓迎会、いや、おかえりなさいの会だよ!」

「いいですねそれ!」

 

1回戦でフェイがいなくなってからずっとみんなどこか気持ちが沈んでいた。

けどフェイが戻ってくる。せっかくなら盛大にってことだろう。

普段はマネージャーの中ではガサツな所があるけど、こういう時に積極的にこういうことを切り出してくれる水鳥先輩は本当に良いマネージャーというか、姉御って感じだ。

 

「よし!それじゃ飾り付けするメンバーと買い出しメンバーに分かれるぞ!」

 

「未来のクラッカー、楽しみ。」

 

「それじゃあ買い出しの方はワンダバが案内してやってくれ。」

 

「手先器用なやつらは飾り付け組な。浜野、神童~!」

 

「俺もそっちを手伝うよ。絵でも書こうか?」

 

「いや!霧野は買い出し組で!」

 

みんなそれぞれの役割に分かれて動き出す。

なぜか霧野先輩が絵を書くと言った途端2年の先輩たちが慌てて別の仕事を与えてた。

 

「よし、それじゃ俺もやるか。トーブもいくぞ~」

 

みんなそれぞれの持ち場に分かれって残ったのは俺とトーブ。

こういうのは初めてであろうトーブに色々教えてやらないとと思い話かける。

 

「うほ~~。なんかあったかくてウホウホしてきたぞ!・・・っ痛てて」

 

「!・・・大丈夫か?まさかさっきの試合で。」

 

ガルとの試合の序盤で少し足を痛めてたように見えた。

その後も何度もシュートブロックしていた。悪化してても不思議じゃない。

 

「へへ。これくらいへっちゃらだぞ!」

 

俺の心配をよそに笑って見せるがそうは見えない。

 

「・・・分かった。あまり無理はするなよ。」

 

 

 

翼や天馬たちが飾り付けを終えたころ、フェイはラグナロクスタジアムに戻ってきていた。

フェーダアジトに保管されていた円堂守のクロノ・ストーンを回収して。

途中SARUにあったがSARUは止めなかった。

フェイも止まらなかった。フェイの気持ちは決まっていたから。

フェーダとして世界と戦うよりも天馬たちの仲間として戦い、セカンドステージ・チルドレンの仲間を救うと。

一方SARUはフェイが自分のもとを去ったことに言い知れぬ苛立ちと焦りを抱いていた。

 

そして今、フェイは雷門の仲間が待つ部屋の前にいた。

しかし一度は皆を裏切り、酷いこともした。そんな自分にこの扉を明ける資格があるのかという不安を捨てきれてはいなかった。

けどフェイは最後の勇気をふり絞り扉を開いた。

 

 

「「「お帰り!フェイ!」」」

 

けたたましいクラッカーの音と共にみんながフェイを出迎えた。

 

「これって・・・」

 

「水鳥さんが考えたんだ!」

 

「せっかく出迎えるなら盛大にやるほうがいいだろ?」

 

発起人の水鳥を中心に迎えられてフェイは心から理解した。

 

「みんな・・・ありがとう。僕、ここにいて良いんだね。」

 

フェイを黄名子がとびきり優しい笑顔で見守っていた。

 

 

「フェイ、お前の本当の戦いはこれからだぞ?」

 

「フェーダの仲間たちを相手に戦うことになるんだぞ?」

 

「剣城、翼。大丈夫、戦えるよ。それに僕はSARUを救ってあげたいんだ。彼が閉じこもっている心の牢獄から。」

 

「救うためのサッカーか。やろうよみんな!フェイの思いをSARUたちに届けるために!」

 

救うためのサッカー。俺たちはこれまでフィフスセクターやエルドラドを相手にサッカーを取り戻すための戦いをしてきた。

けど今回は違う。セカンドステージ・チルドレンたちは世界を牛耳ろうとしているがある意味では被害者でもある。彼らを理解し寄り添ってあげられる人間がいたら違っていたのかもしれない。

俺たちとの旅を通じて孤独から抜け出したフェイ、俺との出会いを通じて価値観が変わり、分かり合うことが出来たメイア。

力を手放して普通の寿命を手に入れることが救いなのかは分からない。けれどセカンドステージ・チルドレンが抱えている孤独や悲しみ、怒りを振り払うことが出来れば答えは出るはず。

そのためにはやっぱり全力でぶつかり合うしかない。

そしれ何より俺はメイアとの未来を掴み取る。

 

 

「全員、注目!」

 

みんなひとしきりフェイの帰還を喜んだところで大介さんが場をしきる。

 

「どうしたんですか?急に。」

 

「お前たちまさか気づいてない訳ではあるまいな。長い道のりではあったが、これで時空最強イレブンはコンプリートだ!!!」

 

「コンプリート?」

 

そうか。ザナークが11人目に覚醒してフェイが帰ってきた。

 

「1の力は織田信長とミキシマックスした神童拓人!2の力はジャンヌ・ダルクとミキシマックスした霧野蘭丸!3の力は諸葛孔明とミキシマックスした雨宮太陽!!4の力は劉玄徳とミキシマックスした西園信助!5の力は坂本龍馬とミキシマックスした錦龍馬!6の力は沖田総司とミキシマックスした剣城京介!7の力はケツァルコアトルスとミキシマックスしたトーブ、そしてその二人の力を受け継いだ赤峰翼!」

 

大介さんに名前を呼ばれて自分が時空最強イレブンの一人になれたことを噛みしめる。

かなりイレギュラーな形ではあるけど。それに明日の試合は・・・

 

「8の力はビッグとミキシマックスしてフェイ・ルーン!9の力はマスタードラゴンとミキシマックスした菜花黄名子!10の力はアーサー王とミキシマックスした松風天馬!11の力は巨大台風クララジェーンとミキシマックスしたザナーク・アバロニク!」

 

まさかザナークと一緒に戦うことになるとは初めて出会ったときは思いもしなかった。

けど幕末でのあの戦いで俺たちの中に絆のようなものが生まれ始めていたのかも知れない。

 

「そしてこのチームの名は、時を越え吹き抜ける暴風、クロノストームだ!」

 

「クロノストームか~」

「かっこよくて良い名前じゃないか!」

 

「明日の最終戦はこのクロノストームで戦う!」

「そう言うと思ったぜ!」

 

世界の運命を賭けた最後の戦いに遂に揃ったこのチームで戦う。

アルファたちも共に戦いたいと天馬や天城先輩からも意見が上がった。

するとタイミング良くアルファ、ベータ、ガンマがやってきた。

 

「私たちからも議長に進言したのだ。」

 

「お前たちが?」

「アルファがあんまりにもしつこいから、根負けって感じです。」

「仕方ないから今回は譲ってあげようと思ってね。」

 

「全く、変わらないな。お前たち3人は。」

 

「松風天馬、赤峰翼。私たちのサッカーも、守ってほしい。」

 

「私たち・・・」

 

アルファの口からこんなことを聞くなんて。

と昨日までの俺なら思ったただろうけど、一緒に戦った今なら分かる。

プロトコル・オメガのみんなもサッカーが好きだってことが。

じゃないとあんな凄いプレーが出来るはずがない。

 

「みんな!明日の試合はアルファたちのためにも絶対勝つぞ!」

 

「「「おう!!」」」

 

「それでは各自、明日の試合に備えるように!解散!」

 

大介さんの号令で今日は解散となった。

各々が自室に戻っていく中、俺はまだ戻らない。

明日の試合の前にどうしてもやっておかないといけないことがある。

 

「アルファ、ベータ、ガンマ。少しいいか?」

 

 

 

夜 セントエルダ市内

 

「一緒に来てくれてありがとう、ギリス。」

「気にすることはないよ。僕としても負けたままでは終われないと思っていたところさ。」

 

翼と分かれてアジトに帰ってすぐにギリスに明日の試合のことを話した。

決着をつけるために明日の試合に出してくれるようSARUに頼むつもりだと話すとギリスは自分も出ると言ってくれた。

私としても決着をつけるにあたってギリスがいてくれる方が全力で戦える。

それからニケにSARUがどこにいるのか聞いたところ支援者Xに呼び出されたと聞いて今こうして探している。

 

「いたわ。SARUに、支援者X・・・」

 

エルドラドに宣戦布告した日の夜に翼と待ち合わせたあの噴水の前にSARUはいた。

この近くで待ち合わせるならここが一番分かりやすいと考えるのはみんな同じみたいね。

私たちがいることには気づいていないのかSARUと支援者X、フェイの父親は話し込んでいる。

 

「変だとは思っていたけど、まさかこんなことだったとはね。」

「身分を隠していたことは謝る。だが私がこのような活動をしていたのは我々とセカンドステージ・チルドレンがこの社会で共に生きていく道を模索していたからだ。もしそれが出来れば、一度は手放した息子を取り戻すことができる。自ら手放しておきながらも親の身勝手な思いだ。」

 

支援者Xが語るフェーダにいた目的。一度捨てたフェイを取り戻したいから。

なんて身勝手なんだろう。ならなぜフェイを捨てたの?エルドラドの幹部として私たちを迫害したの?

この人の言葉からは何も伝わってこない。

翼と出会って、彼らのタイムジャンプ先で織田信長や諸葛孔明、沖田総司の力や生き方を見てきて古い人類にも優れた人たちがいることを知った。

けれど私たちを迫害してきた者たちへの怒りは消えてはない。

翼と共に生きていきたいのは本当。

けれど世界に私たちの力を示して世界を変える。SARUが立ち上がって始まったフェーダの革命。

私たちは負けるわけにはいかない。

 

「私は信じている。君たちが普通の人間と生きていく道は必ずあると。」

「何が言いたいの?」

「明日の試合は中止してほしい。」

「!」

 

私たちが普通の人間と生きる道。

たしかにその道はあるかもしれない。そう思えるのは私には翼がいるから。

けれどそれを決めるのは、決めていいのは大人たちじゃない。私たちだけ。

 

「力の優劣を決めることに何の意味がある?今ならまだ間に合う。共に生きる道を一緒に考えよう。」

「あはは!意味ならあるさ。どちらが世界を支配する人間であるかはっきりする。そのためにここまでやってきたんだ。明日の試合で世界はセカンドステージ・チルドレンの本当の力を知ることになる。・・・そしてあんたの息子はフェーダを裏切ったことを後悔することになる。」

 

SARUの答えは分かりきっていた。そう。明日の試合で全てが決まる。

勝手な、何も背負っていない理想論で試合を中止しろですって?ありえない。

 

「どうしてもやるのか?・・・分かった。残念だ。」

 

説得は無駄だと悟って支援者Xは去っていった。ようやくSARUと話せる。

 

「SARU。」

「メイア、ギリス。なんの用だい?」

 

名前を呼ばれ私たちに気づいて振り向くSARU。

けどどこか違和感を感じる。イラついてるようにも焦っているようにも見える。いつものSARUらしくない。

けど今は置いておく。ここに来た目的を伝えなきゃ。

 

「明日の試合、私たちも出場したいの。お願い。」

「僕らかも頼む。このままじゃ終われないんだ!」

 

「・・・・ダメだ。」

 

「!・・・どうして」

 

 

「君たちギルはもう負けたじゃないか。明日の試合は僕たちザ・ラグーンで戦う。」

 

「そんな・・・」

 

冷たく吐き捨てるように言われギリスは返す言葉もないみたい。

もう話しは済んだとばかりにSARUは立ち去ろうとする。

ここで折れるわけにはいかない。

SARUの手をとり待ったをかける。

 

「メイア、しつこいよ。」

 

「・・・お願い。もう一度だけチャンスをちょうだい。私は明日の試合、絶対に出なきゃいけないの。」

 

「・・・それは赤峰翼が出てくるからかい?」

 

「!・・・ええ。」

 

「・・・ダメだ。どうやら君は彼と深く関わりすぎたみたいだね。それで本当に全力で戦えるのかい?」

 

「っ!」

 

SARUの冷たい目が私を射貫く。

以前もSARUは入れ込みすぎないよう釘を刺してきた。私たちと彼らは違う存在なんだと。

たしかにSARUから見れば今の私は翼に絆されているように見えるだろう。

実際彼のことを私たちを迫害してきた人間たちと同じように見ることはできない。

けれど

 

「・・・ええ、戦えるわ。翼相手でも・・・いえ、翼相手だからこそ力の全てを使って私は戦う。」

 

そう。翼が相手だからこそ誰よりも本気で戦う。

私と翼の未来を賭けた戦いを外で見てるだけなんて絶対に許せない。

勝って私にとっての未来を勝ち取って見せる。

 

「・・・・・けど君は彼に負けた。」

 

「今度は必ず勝つわ。だからお願い!」

 

昨日翼の想いを受け入れて、想いを打ち明けてから自分の中の力が高まっているのを感じる。

湧き出るオーラを解放するとSARUも感じたのか少し驚いたように目を見開いた。

 

「・・・分かった、認めるよ。明日の試合、君たち二人にも出てもらう。」

 

「!ありがとう、SARU!」

 

なんとか認めてもらえた。

これでまたあなたと戦えるわ、翼。

世界の命運と私たちの未来を賭けた本当の最後の戦い。

絶対に負けない。

 

 

 

 

「議長、お連れしました。」

 

「入りたまえ。」

 

ラグナロクスタジアム内に用意された議長室にトウドウ議長とサカマキはいた。

もしもの事態に備えた最後の打合せをしていた二人はアルファたちから報告を受けた。

そして報告から数分後この議長室を尋ねてきた男が一人。

 

「それで一体何の用かね?・・・・赤峰翼くん。」

 

 

「お願いがあって来ました。トウドウ議長。」

 

 

 




いかがだったでしょうか。
アスレイさんが好きな人には少し酷な書き方になってしまったかもしれません。
ただセカンドステージ・チルドレンの視点から見るとどうしてもこうなってしまうんですよね。

そんなこんなでいよいよ最終決戦が近づいてきましたがもう1話挟まります。
それではまた次回をお待ちいただければと思います。

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