二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

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どうも。今回からとうとうザ・ラグーン戦です。
今作もここまで来たかと感慨深くなっていますが引き続きお付き合いいただければと思います。



人類の未来を賭けた最終戦争

「いくよみんな!ミキシマックスだ!」

 

 

「「「ミキシトランス!!」」」

 

キックオフ直前。試合前の打合せ通り全員がミキシマックスする。

フェーダの最強チームが相手である以上、最初から全力で戦うしかない。

俺のミキシマックスは消耗が激しいけどこの11人のチームで戦うならなんとかなる。そんな気がする。

 

 

「そうこなくっちゃ。おもしろい、遊んであげるよ。」

 

「そういうと思ったぜ。そっちこそ捻りつぶしてやるから覚悟するんだな。」

 

味方になったザナーク、こういうとこも頼もしいな。

 

「さぁ試合開始だよ。人類の命運を賭けた最終戦争だ!」

 

 

「ザ・ラグーンボールで試合開始だ~!」

 

「行くぞ!」

 

ついに最後の試合が始まった。

早速ザナークが相手のFWのイムスに突っ込んでいく。

 

「ふっ。」

「何!」

 

しかしあっさりと躱されてしまった。

あのザナークが簡単に抜かれるなんて。

イムスからパスを繋いでいく。

フェイがすかさずマークにつこうとするがスピードで振り切られる。

 

「さすがに早いな。」

 

フェーダの最強チームだけあってこれまでの3チームよりも全員のレベルが高い。

ミキシマックスしていなかったら太刀打ち出来なかった。

 

「させない!」

 

「赤峰がカット!」

 

「天馬!」

「ナイス翼!」

 

やられっぱなしでいるわけにはいかない。

ボールを奪って前線へ送る。

天馬から神童先輩へ。

しかし今度は相手の羊みたいな雰囲気のDFシープから。

中盤で一進一退のボールの奪い合いが繰り広げられる。

最初は面食らったがやり合えている。

 

「へぇ・・・」

「SARU・・・」

 

そんな攻防をSARUはやけに大人しく見ていた。

 

ここまでは目立た動きは見せてこないのが不気味だけど今は俺も中盤に参加するか。

そう思って動いた瞬間俺の横を何かが通りすぎた。

 

「なっ・・!?」

 

俺の横を通り過ぎたのはSARUだった。それどころかあっと言う間にザ・ラグーンのゴール前に迫っていた天馬からボールを奪ってみせた。

 

 

「クロノストームか。全員がミキシマックスしてこの程度とは・・・がっかりだよ!イムス!」

 

SARUからまたFWのイムスにボールが渡る。

状況としては試合開始直後と同じ。

けど試合開始直後と違うことが一つあった。

 

「は、速い!」

 

「さっきまでと全然違う。」

 

イムスのスピードが段違いに上がっていた。

いや、イムスだけじゃない。ザ・ラグーンのメンバー全員の動きがさっきまでと違う。

 

「まだ本気を出してなかったのか!」

 

「いかせるか!黄名子!」

 

神童先輩を抜き去ったイムスを霧野先輩と黄名子が止めにかからるが躱されてしまった

 

「そんな!?」

「SARU!」

 

二人を躱したイムスからパスを受けたSARUがシュート体勢に入った。

 

 

「シェルビットバースト!!」

 

カメの甲羅みたいなのから放たれたビームのようなシュートはあっと言う間にゴールに突き刺さった。

信助が全く反応できないほどのスピード。

これがSARUとザ・ラグーンの力・・・

 

 

「まだまだ1点だ!取り返していこう!」

 

 

「クロノストーム、ボールに触れることが出来ない!ボール支配率はザ・ラグーンが圧倒的だ~!」

 

試合再開後もザ・ラグーンの優勢は変わらなかった。

すぐさまボールを奪われてから全然ボールを取り返すことができない。

スピード、パスワークに翻弄されてほとんどボールに触れることが出来ない。

 

「気持ちで負けちゃダメだ!」

 

このまま防戦一方じゃこの試合勝ち目はない。

圧倒されてるけどみんな懸命に食らいついていく。

太陽がニケにプレスをかける。。

 

「いかせない!」

「ふふ♪はあっ!」

「そんな!?」

 

けどニケはしなやかな動きで軽く太陽をの頭上を飛び越えた。

あんな身のこなし見たことない。

 

「ミキシマックスの力が通用しない・・・!」

「こいつら本当に人間なのか・・・」

 

珍しく太陽と剣城が弱音を吐いてる。

セカンドステージ・チルドレンが本当に人間なのか。

そんなの決まってる。

 

「人間だよ。」

 

俺と同じ答えを天馬は出していた。

 

「俺たちと同じ人間だよ。」

 

「そうだ。セカンドステージ・チルドレンがどれだけ強かろうと、特殊な力を持っていようと俺たちと同じだ。嬉しければ笑って、不安や悩みもあって、仲間を思いやることが出来る。俺たちと同じ人間だ。」

 

みんな目の前で凄い力を見せれてるから、いやきっとこの時代の人たち、エルドラドのお偉いさんたちもそうだったんだろう。セカンドステージ・チルドレンたちの運動能力や超能力ばかりを見て彼らを恐れて迫害してきた。自分たちには無い力を恐れて、セカンドステージ・チルドレンたちそのものを見てこなかった。

けど俺には分かる。メイアと出会って、彼女と触れ合って、彼女のことを知った。楽しかったら笑って、悩みに押しつぶされそうになる弱さもあって、そして通じ合うことが出来た。

ギリスだってそうだ。試合前、ほんの少しのやり取りだけどギリスからはメイアを大事に思う気持ちが伝わってきた。それは俺たちが仲間や友達、大切な人に向けるものと何も違わない。

セカンドステージ・チルドレンはこの時代の人たちのいうような存在じゃない。

俺たちと同じ人間なんだ。

 

「だから絶対に勝てる!」

「ふふ♪メイア!」

 

ニケからメイアにパスが通る。

なんて良い感じのこと言っても大変なのには変わりなくて。

 

「勝負よ、翼!情熱のラヴァーズ!!」

 

「化身か!なら俺も。破壊神デスロス!!」

 

メイアが化身を出して来たから俺も化身で対抗する。

メイアが化身アームドする素振りはない。

一昨日は化身同士の戦いでは勝てなかった。

けどミキシマックスしてる今なら。

 

「いくぞ!はああああっ!!」

「今日は負けないわよ!・・・それに試合前のアレのお仕置きもしなくちゃね。」

「ええっ!?」

化身同士での競り合いの最中、俺にしか聞えない声量でささやいてくる。いやあれは。

いや、そうじゃなくて。

 

「こ、この力・・・一昨日より・・・うあっ!!!」

 

一瞬怯みはしたけどメイアの化身の力が明らかに上がっている。

ミキシマックスした状態でも押し負けてしまった。

 

「たあああっっ!」

 

「ゴール!メイアの化身シュートが決まったぞ~~!ザ・ラグーン追加点!!」

 

 

そのままメイアは信助からゴールを奪ってみせた。

やっぱり明らかに強くなってる。

くっそ。俺だって強くなったと思ったのに。

メイアのほうを見るとそれはもう良い笑顔でこっちを見ていた。

 

「ん?」

 

俺がメイアの方を見るやいなやおもむろに人差し指をたてて

 

「上?いや・・・」

 

すっとそれを下に向けた。トントンと自分の足元を指さすように。

その瞬間、俺に電流走る。

昨日、別れ際の病室でのやり取り。

理解した瞬間、顔が赤くなるのを感じる。

 

「天馬っ!!!この試合、ぜっっっったい勝つぞ!!!!」

「う、うん。・・・・どうしたの翼?」

 

このままだと・・・いやダメだ。

絶対に勝つ!!

とにかく早く取り返さないと。

 

 

「ナイスシュート、メイア。」

「これくらい当然よ、ギリス。」

「それにしてもメイアの化身、この前よりも力が増してるね。」

「そうなの。私もここまでとは思ってなかったわ。」

 

情熱のラヴァーズ。熱烈な愛情を武器に戦いを挑む 風の化身。

愛情を向ける相手がいれば力を増す自身の化身の特性にメイアはこれまで気づく機会が無かったのであった。

 

 

「これではっきりしたろ。力の差は歴然。フェーダこそが新しい人間の形。僕たちを怪物扱いしたエルドラドの大人たちは古い人間。古い人間は淘汰されるべきなんだ。」

 

SARUが俺たちに向けて語る。

 

「僕は世界に新しい秩序をもたらす。僕たちは、僕たちの世界を作る。だからこの試合は容赦しないよ。僕たちの未来を勝ち取るために!」

 

SARUが形のないものを掴むように、強く拳を握りしめて宣言する。

SARUの目からは強く固い意志を感じる。

メイアたちザ・ラグーンのメンバーもだ。

ザ・ラグーンの意志にたじろいでしまう。

けど何だ?俺はSARUたちと似た意志の力を知っている気がする。

 

 

「考え直すなら今だよ、フェイ。元々君はこっちの人間なんだ。無理して劣った人間たちの

味方をする必要なんて無いんだ。」

「・・・SARU。戻らないよ。僕は天馬たちと戦うと決めたんだ。」

「・・・・・・」

 

今からでも遅くはないというSARUの言葉を一切の迷いもなく断るフェイ。

フェイの背中を見るSARUは2点リードしてるというのにどこか余裕がなさそうに見える。

 

 

 

「霧野先輩、次のオフェンス俺も上がります。ヘルプお願いします。」

「・・・分かった。なんとか流れを変えてくれ。」

 

 

試合再開の笛と同時にザナークがドリブルで上がっていく。

ザナークもこの流れを変えようとしてくれてるんだ。

 

「どけどけ!スーパーザナーク様が今、爆走する!」

 

「いかせるか、裏切り者め!」

 

「特別な力を持ってるのはお前らだけじゃねぇんだよ!」

 

「よし、抜いた!」

「ザナーク!

さっきはボールを奪われたイムスを突破したザナーク。

そのまま攻め上がっていくザナークにフェイが続く。

 

「上がれ!」

「この試合、必ず勝ってSARUたちにもわかってもらうんだ!」

 

ザナークとフェイの二人でボールを運んでいく。

あの二人もセカンドステージ・チルドレンだ。

ザ・ラグーンとも互角以上に戦えてる。

 

「ザナーク!」

「させない!」

 

フェイからザナークへのパスはクリアされる。

ここだ。

 

「任せろ!」

 

こぼれ球を抑える。

俺だってこの特別なミキシマックスの力、この試合を任せてくれたトーブのためにも負けてられない。

 

「いかせないわよ翼!」

 

すかさずメイアがマークについてくる。

俺がメイアにつくことは多かったけど逆のパターンは実は初めてか。

まぁポジション的には当然か。

 

「いつもとは逆だな!」

「翼に私を抜けるかしら?」

 

流石に中々隙がないディフェンスだ。

たしかに俺は普段ボールを持って上がることは少ない。

けど人生2周分の経験値。

それに恵まれたことに俺の近くには最高のお手本が二人もいるんだ。

一人はいつも一緒に練習してきた天馬。そしてもう一人は今、目の前にいる。

 

「ここだ!」

「そんな!?・・・やるじゃない!」

「いつもただやられてたわけじゃないってことさ!ザナーク、決めろ!」

 

二人を参考にした動き、それといつも目の前で見てきたからかなんとなくメイアの動きが分かる。

今回は俺の勝ちだ。

ゴール前でフリーのザナークにパスが通った。

 

 

「俺様の必殺技、受けてみやがれ!!」

 

「今ここに再誕する!グレートマックスなオレ!!!」

 

「スーーーーーパァーーーーーーー!!!」

 

ガル戦で見せたザナークの新必殺技。

同じフィールドで見るとより一層パワーを感じる。

 

「リバースワールド・・・ぐあっ!」

 

「ゴーーール!クロノストーム1点を返したぞ!」

 

相手のキーパーの必殺技で一瞬止まったかに見えたシュートはすぐに勢いを取り戻し貫いた。

 

「ザナーク!」「ナイスシュート!」

「ま、こんなもんだな。」

 

フェイとザナークとハイタッチを交わす。

ザナークは得意げだ。

圧倒されっぱなしになるところだったがこれならなんとか食らいついていける。

セカンドステージ・チルドレンの力を持ってるフェイとザナークに俺のこの力、十分渡り合える。

メイアの方を見るとふくれっ面でこっちを見ていた。かわいい。

1vs1で抜かれたことが悔しいんだろうな。

 

「ふふん♪」

「!!・・・むぅ」

 

さっきのお返しにドヤ顔をしといた。

 

 

天馬と神童先輩の案でひとまず俺たち3人を中心にゲームメイクしていくことになる。

まぁ現状だとそれが一番勝算が高いか。

 

 

「まだ僕らの力が分かってないみたいだね。」

 

ゲームプランが固まって巻き返していくぞとポジションについてホイッスルを待っているとザ・ラグーンのメンバーが何かを取り出して自分たちのユニフォームのベルトに刺した。

すると何かオーラのようなものが見えたような気がした。

 

「何だ?」

「何が起こったんだ?」

 

「ふふふ。さぁ、何が起こったか当ててみて?」

 

見た目には何も変化はない。

けど何かが起こってるはずだ。

試合再開の笛が鳴る。

またイムスがボールを持って上がる。

 

「なっ!?」

「またスピードが上がったぞ!?」

 

けどイムスのスピードはさっきよりも更に上がっていた。

それも爆発的に。

天馬と神童先輩が全く反応できなかった。

 

「アンプルを使ったんだ!」

「アンプル?」

 

フェイは何がフェーダとして一緒に過ごしていたから何が起きたか分かったらしい。

アンプルってのはさっきベルトに刺してたあれのことか。

 

「彼らは自分たちのオーラを保存していて、それを取り出すことで能力を上げることが出来るんだ。」

 

つまりあれに保存されていたのは彼ら自身の力で言うなれば貯金を下したって感じか。

いや、仕組み的にはミキシマックスみたいなものか。

自分自身の力とミキシマックスした状態に近いのかもしれない。

 

「守りを固めるんだ!」

 

「ふっ。SARU!」

「俺が止める!」

 

イムスからSARUにボールが渡る。

ここは俺が止めるしかない。

 

「やあ。今度は君が相手かい?赤峰翼くん。」

「こうして向かい合うのは初めてだな。」

 

アーサー王の世界で初めて出会ったがあの時はすぐにエルドラドに回収された。

メイアとはずっと会っていたしこの試合の前にギリスと話す機会があった。

けどSARUとは結局ほとんど話した事もなければここまでマッチアップすることも無かった。

 

「メイアが世話になったね。」

「世話になったのは俺の方さ。そういう意味ではお前には感謝してるよ。メイアと出会うきっかけを作ってくれたからな。」

 

メイアが俺たちの時代に来たのは休暇とフェイの様子見を兼ねてのことでSARUからの指示もあったと言っていた。

 

「ははっ。仲良くなったつもりみたいだけどまだ分かっていないようだね。僕たちセカンドステージ・チルドレンと君たち古い人間が分かり合うことなんてありえないってことを。」

 

「そんなことはない。俺たちとお前たちセカンドステージ・チルドレンに違いなんてない!」

 

「笑わせないでくれるかな。僕たちセカンドステージ・チルドレンは進化した人類。君たちとは違う存在なんだ。それを教えて上げるよ!」

 

吐き捨てるように、俺の言葉を否定するSARUの背中から黒い影が湧き出る。

ここでお出ましか。

 

 

「超魔神エヴァース!!!」

 

 

それは巨大で禍々しい大猿の姿をしたSARUの化身が現れた。

これまで戦ってきた色んな強力などの化身とも違った凄い力を感じる。

 

「僕たちセカンドステージ・チルドレンを迫害し否定してきたこの世界は間違ってる!この手で自由を、未来を勝ち取る!そのために僕は立ち上がった!僕たちフェーダは特別な力を持ち、共に戦う同志なんだ!君たちとは違う!分かり合うことなんてありえない!」

 

SARUが化身の力を高めてシュート体勢に入る。

 

 

「モータルスマッシュ!!」

 

「アスタリスクロック!!」

 

SARUのシュートを受け止めた瞬間に止められないことが分かった。

同時にSARUの強い怒りと憎しみが伝わってきた。

けどそれだけじゃない。自分たちの手で自由と未来を掴みとる強い意志。

そしてこれを俺はよく知ってる。

一昨日のメイアとの試合。いやもっとずっと前から。

そうか。SARU、お前は。

 

 

「ゴーーール!SARUの化身シュートでザ・ラグーンが突き放した~!」

 

 

SARUのシュートを止められず吹っ飛ばされたところに天馬が駆け寄ってきてくれる。

 

「翼、大丈夫?」

 

「ああ。これくらいどうってことないさ。」

 

天馬の手を借りて立ち上がる。

 

「SARUの化身、凄いパワーだね。・・・どうかした?顔になんかついてる?」

 

「いや、なんでもない。それよりなんとか取り返していこう。」




いかがだったでしょうか?
女の子の嫉妬は怖いですね。
前回の感想でニケについて好評のお声をいただけて嬉しかったです。
やっぱり好きな人多いですよね。分かります。

イムスとかいう強化判別要因

感想、コメントあれなお待ちしています。
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