やはり日常を描くのは難しいですね。けど楽しい。
温かく見守ってください。
それでは。
カーテンの隙間から朝日が差し込んでくる。
朝日に照らされて朧気に意識が目覚め始める。
♪♪♪
「ん・・んん~・・・」
耳元で携帯のアラームの音が聞える。
学校の日にいつもかけているアラームだ。
この音は朝練が無い日のものだ。
「んん~~・・・起きるか・・・」
まだ眠たいが今日も学校だ。昨日みたいに朝から大慌てはごめんだ。
「おはよ~秋ねえ~」
「おはよう。今日はちゃんと起きれたのね。」
あくび交じりの朝の挨拶に秋ねえが答えてくれる。木枯らし荘の朝の日常だ。
「試合が無い日でもちゃんと起きられるのね。」
「まぁね~」
昨日寝坊したとはいえ別に毎日って訳じゃない。
天馬もそろそろ起きてくるはずだし。
というか普段はちゃんと起きれるのは秋ねえも知っているはずじゃ。
それに今秋ねえとは別にもう一人声がしなかったか?
違和感を感じて声の方を見るとそこにはマグカップ片手に雷門中の制服を来たメイアがいた。
「おはよう、翼。」
メイアと雷門の制服と木枯らし荘。
本来同居するはずのない要素にまみれた風景に脳が少し遅れて昨日のことを思い出し現状に追いつく。
そうだ、昨日からしばらくこの木枯らし荘でメイアと一緒に過ごすんだった。
「おはようメイア。」
あの戦いの果てに掴み取ったメイアと生きていくこれからの人生。
その中で思い描いていたことが一つ叶った。
「寝ぐせすごいことになってるわよ。秋さんが朝ごはん作ってくれてるから直して来たら?」
「ん?あ、ほんとだ。」
俺の頭を見てクスクスと笑うメイア。
どうやらエキセントリックな寝ぐせがついてるようだ。
一方のメイアはもう制服を着てることからも分かるように粗方の身支度は済んでるようだ。
ひとまず洗面所で髪を濡らして寝ぐせを直すとするか。
「おはよ~秋ねえ。」
「おはよう天馬。」
「おはよう。もうすぐ朝ごはんが出来るから天馬も顔洗ってらっしゃい。」
寝ぐせを直して顔も洗ってようやく眠気も覚めて共用部の食卓に戻ると今度は天馬が起きてきていた。
秋ねえに続いてメイアに朝の挨拶を返されて呆然とした顔から昨日のことを思い出してとまんまさっきの俺と同じ流れを辿っている天馬。表情がコロコロ変わって面白い。
ちなみにメイアも天馬のことは天馬って呼んでる。毎回フルネームは長いということらしい。
それはさておき、これからこんな日常が木枯らし荘で繰り広げられるのかなと思うと心躍る。
「それじゃ行ってきま~す!」
「行ってきます秋ねえ。」
「行ってきます。」
朝食を終えて3人で登校の時間になった。
昨日は朝練でドタバタしたしメイアはいなかったからこの3人で登校するのは初めてだ。
「行ってきます、サスケ。」
「ワン!」
「ふふ、可愛い♪」
サスケと少し戯れて木枯らし荘を出る。
ちなみにサスケはやけにメイアに懐いていた。普段はあまり犬小屋から出てこないのに。
やはりお前もオスか、サスケ。まぁじゃれてるメイアが可愛かったから良いか。
「それにしても俺も一緒で良かったの?二人だけで先に行っても良かったんだよ?」
学校へ向かう途中天馬が遠慮がちに言い出す。
どうやら付き合ってる俺達に気を使ってくれてるらしい。
「気にしないで。私がこの時代に来たのは人類と一緒に歩んでいくために色んな経験を積むため。翼とばかり一緒にいても意味がないもの。」
「そうそう。それに天馬をないがしろにするわけないだろ?」
「ラグナロクでは機会が無かったけど私も天馬たちのこともっと知りたいと思ってるの。あなたたちの旅をずっと見てたから興味もあったし。」
メイアと二人で過ごしたいという気持ちが無いわけじゃない。むしろ満載だけど、それ以上にメイアには色んな人たちと関わって色んな景色を見てほしいと思う。せっかく手に入れた未来がより良い彩られたものになるように。
「そっか、分かった。それじゃあ改めてよろしくね、メイア。」
「ええ。」
そうしている内に雷門中についていた。
3人で教室に入ると既に教室にいたクラスメイトの視線が刺さる。
「どうしたんだみんな?」
「いや赤峰と松風が一緒なのはいつものことだけど・・・」
「なんでメイアさんも一緒なの?」
編入二日目にして何で一緒に登校してきてるんだってことか。
そういえば昨日はクラスメイトの前では話していなかったか。
帰り際にいた子たちはまだいないみたいだし。
「私の下宿先が二人も住んでいる木枯らし荘なの。」
どう説明するか迷っていたらメイアがありのままを打ち明けた。
まぁこれくらいなら問題ないか。けど俺たちの関係をどこまで打ち明けたものか。
「留学するにあたって理事長がサッカー部と面識があるからってことで二人がいる木枯らし荘を手配してくれたの。」
「へ~」「なるほど~」「うらやましい。」
メイアが上手いこと説明してくれてみんな納得してくれたらしい。てか最後の誰だ。
「赤峰くんと仲良さそうだったもんね。」
「ま、まぁ、いろいろあってな。」
女子に急に話を振られて思いっきりどもってしまった。
付き合ってるって公言出来たらなと思いつつなんとか誤魔化す。
教室についたのでひとまずそれぞれの席につく。
分かれたところでメイアの周りには女子たちが集まってる。
葵の助けもあってクラスのみんなと上手くやれているらしい。
「おい赤峰。」
一方で俺は男子たちに絡まれている。
「何だよ。」
「下宿先が同じって本当か?」
「本当だよ。疑うなら天馬にも聞いてみたらいいだろ。」
嘘は言っていない。
「下宿先が同じだけの割にやけに仲が良いじゃないか。」
「昨日も言っただろ。サッカー部の関係で前から知り合いだったって。」
「昨日の放課後二人でどこかに行ったというタレコミがあったんだが?」
「校内を案内してたんだよ。あとサッカー部も。」
こいつら可愛い留学生が来たからって浮かれすぎだろ。
狩屋が転校してきたときはこんな感じじゃなかったのに。
「そろそろホームルーム始まるぞ。散った散った!」
これ以上追及されると面倒なことになりそうだ。
疑いの目を向ける男子たちを追い払う。
「朝から大変だね、翼。」
「信助。見てたなら助けてくれよ。」
「あはは。いっそ打ち明けちゃったらいいじゃん、付き合ってるって。」
「いやそれはその・・・」
サッカーで全国制覇しても人類の未来を救っても俺たちは普通の中学生だ。
中学生である以上学校の授業も受けないといけないわけで。
(俺本当に二回目の中学生だよな?全然分からないんだが・・・)
目の前に立ちはだかる化学式の壁に頭を抱えるしかなかった。
おかしい。前世の俺はどうやってこれを解いていたんだ。あ、解けてなかったのか。
部活一筋で授業中はほとんど寝てたからなぁ
「それじゃあこの問題を、赤峰。」
「は、はい!」
先生に当てられて立ち上がったはいいが答えは分からない。
時空最強イレブン探しで強くなっても頭の方は進歩していないらしい。
というかメイアと天馬には人生二回目だって打ち明けたけど二回目でこれってめちゃくちゃ恥ずかしいことなんじゃ。
横目でちらりとメイアの方を見ると
(ほら、早く答えて♪)
それはもう楽しそうにこちらを見ていた。
試合中に抜かれた時と同じ感覚を覚える。
「わ、分かりません・・・」
「おいおい。ちゃんと授業聞いていなかったのか?」
「す。すいません。」
聞いてたけど分からないんだよ!
頭に入ってこないというか脳が拒否するというか。
「じゃあ分かるやついるか?」
「はい!」
「お、メイアさん。昨日からの留学生だったね。それじゃ答えは。」
「はい。~~~です。」
「うん、正解だ。」
「「「おお~~」」」
俺の代わりに手を上げたメイアはあっさりと答えた。
200年後とは色々違うこともありそうなもんだけど難なくこなしてる。
そういえばギルは頭脳派チームだったしメイアもフェーダの中でも頭が良いって言ってたな。
着席したメイアがこっちを見て笑いかけてくる。
やめてくれ、今の俺には効く。
「おやおや?見つめあっちゃって。随分と仲が良いんだね。」
「べ、別にそういうわけじゃないって。」
後ろの席の女子から声をかけられる。
女子はこういうのに敏感てやつなのか。
それにしてもこんな恥ずかしい所見られたくないな。勉強、頑張るか。
いつまで保つか分からない決心を胸に教科書に視線を落としたせいでメイアの視線に俺は気づけなかった。
「むぅ・・・」
4時限目 体育
昼飯前の体育、それすなわち男子の至福の時。
化学式や数式、英単語の壁に打ち砕かれて疲弊した心と体に活力を与えてくれる。
サッカーが世界的に見ても圧倒的人気スポーツなこの世界でも体育の時間は色んな種目をする。
マット運動、短距離走、球技。内容的には大きな違いはない。
球技の時は男女分かれてになる。今日はバスケットボールだ。
「こっちだ!」「止めろ!」
男子中学生、授業だとしても負けたくないからみんなボールを追いかけてる。
必殺技が飛び交うサッカーと違ってとてもまともな試合が繰り広げられている。
一回天馬がそよかぜステップをドリブルに組み込もうとしたがボールを置き去りにしてた。
サッカーの必殺技が使えなくて本当に良かったと思う。ちなみに信助は頭の上でパスを通されていた。
「いかせないぞ翼!」
「ふふん、甘いな。」
普段のサッカーとは逆で俺が天馬を抜く形になった。
サッカー以外の部分は前世でも友達と遊びでやってたから俺のほうが分がいい。
ありがとう、バスケ部。
「「すご~い!!」」
ネットを隔てた女子側のコートから声が上がる。
女子も種目はバスケだったか。見てるとメイアがシュートを決めたところらしい。
「メイアさん運動神経良いんだね!」「バスケ部に入らない?」
どうやら活躍してるらしいが驚くことはない。
ワクチンを打って力を手放したとはいえ普通の女子に比べると運動の強度が違いすぎるからな。
この時代で二人で出かけた時にスポーツ施設で色々な競技で遊んだ時のことを思い出す。
「頭も良くて運動もできるなんて」
「しかも超美人」
「眼福」
「あの子が翼くんと付き合ってるなんて今でも信じらんないなぁ。」
狩屋が揶揄ってくる。
彼女がほめられて嬉しくないわけはない。
けどあの様子じゃ。
お昼休み
「メイアさん、一緒にお昼食べよ~」
「私も~」
「おい、お前誘って来いよ!」
「お前がいけよ!」
俺の彼女が人気者すぎて困る。
この時代の人と触れ合って色々な価値観に触れることが目的だしクラスメイトと仲良くできてるのは大変喜ばしいことだ。
けどさ、言ってないとはいえ俺とメイアは付き合ってる訳で。
サッカー部の5人で食べるのも良いけどさ一緒にお昼食べたりってのに憧れていないかというと答えはNO。俺の中のアルファが顔を出す。
けどあの女子の輪の中に入る勇気はない。あと野郎どもは絶対にブロックする。
「ありがとう。けどごめんなさい。」
「え?」
声をかけるにかけれずにいると女子たちの輪からでてメイアがこちらにやってきた。
「今日は好きな人と食べたいの♪あと、部活はサッカー部に入るって決めてるの。」
言いながら左手に腕を絡ませてくるメイア。
男子からはヒュッと息をのむような声、女子からは黄色い声が湧き上がる。
俺はいきなりのことで呆然。
「ほら、いきましょ翼。」
「あ、ちょっとメイア!?」
メイアに腕を引かれ教室を後にする。
教室はまだざわついていた。
お弁当片手に人気の少ない中庭へやってきた俺たち。
「このあたりでいいかしら。風も心地いいし。」
「う、うん。そうだな。」
「ほら、隣座って。」
ベンチに腰掛けてポンポンと隣を叩くメイア。
いや俺はそれどころじゃないんだが。
「いや、さっきのあれ、良かったのか?」
「さっきの?」
「教室出るときのあれ。あんなの付き合ってるって言っちゃったようなもんじゃ。」
「ええ、そうよ。別に隠す必要ないじゃない?」
「必要ないって・・・俺は一応バレないように気をつけてたのに。」
「どうして?」
「いや編入してすぐだし。バレたらメイアが過ごしにくくなるかなって・・・」
留学してきて早々クラスに彼氏いるってツッコミどころ満載だし他の子たちが話しかけにくくなるかなと思って隠そうとしてたんだが。
「なんだそんなこと?大丈夫よ。クラスの子たちみんな良い人だし。私たちの時代と違って。」
「微妙にツッコミにくいなそれ。」
セカンドステージ・チルドレン流ブラックジョークってやつか。
「ふふ♪そ・れ・に・・・」
「ん?」
「公言した方が翼に近寄る子もいなくなるしね。」
「いやそんな子はいないだろ。」
「どうかしら?結構翼のこと気にして見てる子もいたわよ?」
そりゃクラスメイトとして仲のいい女子もいるけど俺はモテるわけでもないし。
むしろメイアみたいな子が俺のこと好きでいてくれることが嬉しくてたまらない。
「気のせいだよ。それをいうならメイアの方が」
「私がどうしたの?」
メイアの方がモテるって言おうとしたところでいたずらな笑みで覗き込まれる。
まるで早くその先の言葉を言ってくれと言わんばかりに。
「メ、メイアの方がその、モテるから・・・クラスの男子みんな夢中だし・・・メイアも強くは断らないし・・・」
「もしかして嫉妬しちゃった?」
「・・・うん。メイアがこの時代のみんなと仲良くするのは嬉しいし必要だって分かってる。サッカー部のみんなとも仲を深めてほしい。けど、やっぱりモヤモヤした。」
ラグナロクの時にギリスとの関係を聞いた時にも抱いた嫉妬心。
ギリスは幼馴染だって聞いたしそれどころじゃないところもあったけど、俺の知ってるクラスメイトの男子と話してて昨日今日と中々二人で話すことが出来なかったせいでモヤモヤしてしまった。
「それ、ニケやクラスの子たちと翼が話してるのを見た時の私と同じね。」
「うう・・・ごめん。」
「気にしないで。それだけ私のこと、好きでいてくれてるってことでしょ?」
「・・・うん。」
「それじゃお互い様ね♪それにこれでクラスの人たちも私たちの関係を理解してくれたでしょうし、きっと大丈夫よ。さ、早く食べましょ。」
全くこういうところは敵わないな。
どっちが大人なんだか。いや、どっちもまだ子どもだな。
もう隠さなくていいんだなと思うとスッキリした。
今日の秋ねえのお弁当はより一層おいしく感じた。
「で、これはどういう状況だ?」
「さあ?」
弁当を食べ終えて教室に戻った途端に俺達二人はクラスメイトに取り囲まれ並んで着席させられていた。
天馬や葵たちはその輪の外で苦笑いしながらこちらを見てる。
「さぁて」「吐いてもらおうか」
「さぁ」「聞かせてもらおうかしら?」
「「二人の馴れ初めを!」」
なんかみんなの目が怖い。
男子は目が血走ってるし女子はキラキラしてる。
つまりはさっきメイアの投下した爆弾が爆発して事情聴取というわけだろう。
「答えないとだめか?」
「「当然!!」」
どうやら話さないと許してもらえなさそうだ。
タイムジャンプやセカンドステージ・チルドレンのことは伏せつつ話すしかないか。
メイアのほうを見ると俺の言いたいことを理解したようでうなずいてくれた。
「分かったよ。答えれる範囲でな。」
a few moment later・・・
「それで私は悩みを振り払うことが出来たの。今思うとあの時から私の中で翼の存在が一段と大きくなったのかも知れないわ。」
「それを言うなら俺だってメイアのおかげで一歩踏み出すことが出来たしあの頃にはもう惹かれてたんだと思う。」
「いいえ私のほうが・・」
キーンコーンカーンコーン
翼とメイアがタイムジャンプのことなどは伏せつつお互いのことを話していると昼休み終わりのチャイムがなった。
「っともう時間か・・・ってどうしたんだ?」
「みんなどうしたの?」
話し始めるとお互いの思い出や想いが自然と口をついて出て、時にはあの時は自分のほうがなどと言い合いを挟みつつ夢中になって話していた。
チャイムに釣られて二人が周囲を見わたすと皆机に這いつくばっていた。主に女子たちはサムズアップしながら笑顔を浮かべ、男子と一部の女子は今にも血涙を流しそうだった。
「私もこんな恋がしたい。」
「守護らねば。」
女子たちは一度は夢見るようなラブロマンスを目の当たりにしてご満悦だった。
「ちくしょう・・・勝てねぇ・・・」
「こんなのってありかよ・・・」
「俺の初恋はここで終わりか・・・」
「私ももっと早く勇気を出してれば・・・」
「シテ・・・コロシテ・・・」
一方で男子や一部女子たちは二人の濃密なこれまでと絆に魂が敗北を認めていた。
突然クラスにやってきた美少女留学生とのラブコメという幻想や密かに抱いていた恋心は完全に打ち砕かれていたのだった。
「お前らが話せって言ったのに。」
「ふふ♪退屈しなそうね♪」
この日以降、翼とメイアはクラスにとって生暖かく見守られるようになり、一部のクラスメイトは心に深い傷を負ったのだった。
いかがだったでしょうか。
本作品ではNTRなどの要素は一切ございません。ご安心ください。お互いの矢印が大きすぎる。
ちょっかい出す子たちはいるかもね。
投稿頻度は不定期でこうして緩くやっていこうと思いますが書いてみたい展開はたくさんあるので引き続きお楽しみいただければと思います。
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