二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

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今回は前回から地続きです。



中学生は放課後が本番

放課後。今日も今日とてサッカー部の練習は続く。

基礎の反復練習から体力づくり、実践形式の練習。

別にいつも必殺技の特訓をしている訳ではない。

結局はサッカーの地力は必要不可欠なのである。

 

「一乃!」

「ナイスパス青山!」

「くっ、やるぜよ!」

「俺達だっていつまでも控えに甘んじるつもりは無いさ。狩屋!」

「俺もうかうかしてられないな~。」

「レギュラーの座は渡さないぞ、狩屋。」

「俺だって翼君に負けるつもりはないけどね!」

 

3年生の引退が近づいたのに加え、フィフスセクターによる管理サッカーが終わりサッカー部に戻りたいという者もいれば来年には新入生も入ってくる。

同じ雷門サッカー部の仲間であるのと同時にライバルでもある。

普段の練習から競争が繰り広げられるのは流石強豪校といったところ。

 

「こら錦!簡単に抜かれてんじゃねぇ!」

「みんなファイト!」

 

そんな部員たちをマネージャー陣もマネージャー業務の傍らエール(約一名は野次)を送っていた。

 

「ドリンクはこっち。変えのスパイクはあそこ。」

「このシートはここで良いの?」

「そうそう。」

 

今日から本格的にマネージャーとして雷門サッカー部に加わったメイアは茜や葵にマネージャー業務について教わっていた。ちなみに水鳥は天馬の私設応援団だからといってあまりマネージャーらしいことはしないが当初よりはマシになったほうである。

ラグナロクでは敵として対峙したがギルの試合前のことを知っている葵は元より、不思議ちゃんな茜や細かいことは気にしない水鳥の性格もあって4人はすっかり打ち解け合っていた。

 

「やっぱり選手だっただけあって覚えるの早いしよく気が付くね、メイアは。」

「フェーダにいた時は全部自分たちでやってたから何がどこにあると助かるかなんとなく分かるの。」

「優秀。」

「なるほどな。けど本当にマネージャーで良いのか?」

 

水鳥がメイアに問う。

メイア自身がマネージャーとして入部するといったものの本来は選手、しかもギルでキャプテンを務めていた選手だ。プレーする側に回りたいのではないかということだろう。

 

「ええ。私が試合に出たら歴史に与える影響が大きくなってしまうもの。それにこうして外から見てるのも楽しいわ。」

 

これまで選手としてしか関わってこなかったサッカーをこうしてベンチから見るのはメイアにとっても新しい体験であり、グラウンドで見えるものとはまた違った景色が広がっていた。

 

「それぞれの選手がチームとしてどう動いているのかとかギルとの作戦や考えの違いとか見れて楽しいの。」

「ふ~ん、そういうもんなのか。」

「私も実際にサッカーしたら見えることが増えるのかな?」

「もっとカッコいい神サマの写真取れるかも。」

「それじゃあ今度私たちだけでやってみましょう♪」

 

マネージャーたちも自分でやるサッカーに少し興味が出ていたのであった。

 

「よし!それじゃ一旦休憩だ!」

 

そうしていると円堂から休憩が告げられた。

円堂は基本的に指導は放任主義だった。

 

「やっと休憩だ~」

 

「はい、ドリンク。」

「お、ありがとう。」

 

ベンチに戻ってきた部員たちにタオルとドリンクがマネージャーたちから配られる。

 

「いや~最近の練習はハードだよな~。」

「分かる。それに青山先輩たちも凄いレベルアップしてる。俺たちがタイムジャンプしてる間に大介さんに言われた特訓メニューの成果かもな。」

 

翼と狩屋が水分補給しながら話していた。

クロノストームの面々だけでなく他の面々も以前より格段にレベルアップしていた。

ミキシマックスや化身の力が無くともレギュラー争いに食い込もうとしていた。

視線の先には神童を中心に青山や一乃、浜野たちが先程のプレーについて話し合っていた。

するとタオルとドリンクを渡しにメイアが輪に加わった。

 

「さっきの狩屋くんにパスを出したところ、一乃さんと青山さんのコンビプレーで攻め込んでも良かったんじゃないかしら?」

「俺と青山の二人で?」

「ええ。あそこでパスを出して翼と狩屋くんの1vs1の状況を作るより二人で攻めたほうがディフェンス側も対応が難しくなる。そうしたら結果的に剣城くんのマークが甘くなるしそうでないなら人数の面で有利になって攻撃のパターンも増えると思うわ。・・・ってごめんなさい、余計だったかしら?」

「いや、そんなことはないよ。これまでの雷門には無い視点だったから助かるよ。」

 

 

時空最強イレブン探しの時には太陽がいたことでチームに司令塔の役割をこなせる人間が二人いたが雷門のゲームメイクは神童に一任されている部分が大きい。

そんな中でギルでキャプテンを務めていたメイアがベンチから見た視点で戦術の提案をするのは大きなプラスかつ神童にとっても新しい発見だった。選手としての経験があるマネージャーならではだろう。

 

 

「なんかあっちは難しそうな話してるな。」

「だな。けどまぁ神童先輩とああいう話できる人が雷門には霧野先輩くらいだったし、特にオフェンス面では大きいかもな。」

 

メイアと神童先輩が戦術の話をしているのを遠巻きに見ながら狩屋と話していた。

今はマネージャーだけどやっぱりメイアはよくフィールドが見れてるなと思う。

ギルはフェーダのチームの中でも戦術面が秀でていたは身に染みて感じたしな。

 

「で、そこの二人!」

 

「「は、はい!!」」

 

なんて話しているとメイアがこっちにやってきた。

 

「翼はあっさりパスを通されすぎよ!もっと視野を広く持たなきゃ!」

「うぐっ・・・すいません。」

「狩屋くんも、あの状況でパスを受けたならワンタッチでマーク外してセンタリング出さなきゃ!」

「い、いや俺はその、本職じゃないっていうかその・・・」

「へぇ~・・・それじゃ部活が終わってもちゃんと練習しないとね。」

「ちょ、ちょっ!?それって一体どういう」

 

ダメだ。メイアがスパルタモードに入ってる。

旅の途中で何度かああなったメイアにしごかれた経験がある俺からすると嫉妬より巻き込まれなかった安堵が勝つ。ある意味マネージャーに向いてるのかもしれない。

それにしてももしかしたら

 

 

その後は恙無く練習を終え帰宅の途に就く。

その帰り道、木枯らし荘に住んでる俺とメイアと天馬は当然として今日は信助と狩屋と輝も一緒だ。

途中までは1年生組で一緒に帰ることも多い。今日は剣城は優一さんのお見舞いで先に分かれた。

メイアは昨日先に帰っていたから一緒に帰るのは今日が初めてだ。

 

「メイアさんは天馬君と翼君と同じ木枯らし荘に住んでるんですよね?」

「ええ。事情を知ってる秋さんが管理人をやってるからってエルドラドが手配してくれたの。」

「200年後の未来に比べたら色々不便なんじゃない?」

「確かに色々勝手が違うことも多いけどそれはそれで楽しいわよ?それにあなたたちの時空最強イレブン探しの旅の時にこの時代で遊んだりもしてたし。」

 

メイアは輝や狩屋とも問題なく打ち解けられてるみたいだ。

まだ二日目なのにこうしてサッカー部の輪の中にいるのが当たり前に感じる。

 

「今日一日マネージャーやってみてどうだった?」

 

昨日は事情の説明だけで諸々の手続きのために参加してなかったから今日が初めてのマネージャーとしての活動だったわけだ。

練習中はあまり気を配る余裕が無かったけど大丈夫だっただろうか。

 

「フェーダでは全員自分のことは自分でやってたからちょっと戸惑う事も多かったけど3人が丁寧に教えてくれたから大丈夫。それとみんながサッカーしてるのをベンチから見るのって初めてだったから新鮮だったし見え方も違ったかな。」

 

葵たち3人とも上手くやれてるらしい。水鳥さんがちゃんと教えてたかは怪しいけど。

 

「神童先輩と霧野先輩とも話してましたね。」

「ええ。ベンチから見てて気になったこととかを少しね。ギルとは戦術の考え方が違って興味深かったわ。」

「だってさ、キャプテン。」

「うっ・・。」

 

狩屋に刺され目を逸らす天馬だった。

アーサー王の世界でキャプテンとしての役割に気付く前だったら抱え込んでただろうけど吹っ切れた今だからこそ叩ける軽口だな。

 

「マネージャー兼コーチみたいだね~」

「それもスパルタコーチ!」

 

信助と狩屋がまた余計なことを。

 

「・・・そうね。それじゃあ明日の練習メニュー、楽しみにしててちょうだい♪」

「う、嘘嘘!冗談だって!」

 

やれやれ。みんなまだまだメイアのことを理解ってないな~。

なんてしたり顔してるとふとあるものが目に入る。

 

「なら明日とは言わず今からでどうだ?」

 

「「今から??」」

 

俺の提案にみんな頭にハテナを浮かべる。

 

「あれだよ。」

 

時間は日没にはまだ時間がある夕暮れ。

そして場所は河川敷。

俺が指さした先にはこの稲妻町名物の一つ、河川敷サッカーグラウンドだ。

いつだってサッカーゴールとボールが転がってる。

 

「せっかくだし、ちょっとミニゲームして帰ろうぜ。」

 

「いいね!やろうやろう!」

 

天馬が意気揚々と乗ってくる。流石サッカー馬鹿。

 

「けど僕たち5人ですよ?」

 

俺、天馬、信助、狩屋、輝。

5人だと2チームに分かれても人数が半端になると言いたいのだろう。

けど問題ない。

 

「いるじゃないか、6人目が。な、メイア!」

 

「え?」

 

「見てるのもいいけど、やっぱサッカーは実際にやらないとな。」

 

メイアを入れて6人なら3人チームが2つできる。

 

マネージャー業務を楽しいと言っていたメイア。

それは嘘じゃないだろう。

けど見てたらやっぱり分かる。メイアも本当は俺たちに混じってサッカーをやりたいのが伝わってくる。メイアもやっぱりサッカーが好きなんだ。

サッカー好きなやつが見てるだけなんて耐えられないって。

 

「試合には出れないかもしれないけどこれくらいなら何の問題もないだろ?」

「なるほど!」

「いいじゃん!やろうよ!」

 

輝や信助も俺の意図を理解してくれたらしい。

 

「こういうのも普通の人生ってやつだ。やろうぜ、メイア。」

「翼、みんな・・・ええ!」

 

そんなこんなで延長戦。

突発ミニサッカーバトル開幕。

チーム分けは俺、メイア、輝チームと天馬、狩屋、信助チームだ。

 

「負けたほうが極楽マートでジュースおごりな!」

「負けないぞ~~!」

「手加減しないからな!」

 

自分から言い出しておいてなんだけどみんな部活終わりだってのに元気なもんだ。

やっぱりみんなサッカーが好きなんだ。

 

「ねぇ翼。」

「ん?どうした?」

 

ポジションについたメイアが小声で話しかけてくる。

 

「ありがとう♪」

「気にしなくていいさ。せっかくこの時代に来てるんだし。それに彼女のためだしな。」

「カッコつけちゃって♪」

「けど無理はするなよ。もうセカンドステージ・チルドレンの力は手放したんだし。」

 

そう。メイアはワクチンを受けてセカンドステージ・チルドレンの力を手放して普通の女の子になったんだ。クラスの女子たちより断然運動が出来ると言っても以前のようにはいかないだろう。

それだけちょっと心配だ。

 

「ふふ、心配しないで♪」

 

「それじゃ行くよ!」

 

天馬が高くボールを蹴り上げる。

審判がいないミニゲームだからバスケの要領で蹴り上げたボールが頂点に達したのが開始の合図だ。

 

「まかせて!」

 

ボールが頂点に達したタイミングで信助が跳ぶ。

自慢のジャンプ力でボールを取ろうとしてるな。

けど俺だって時空最強イレブンのフライングディフェンダーだ。

 

「高さなら俺だって・・・え?」

 

負けないぞと俺が跳ぼうとする前にメイアが跳んだ。

それも今日の体育の時とは全然違う、ラグナロクを思い出すような動きだった。

 

「嘘っ!?」

「翼!」

 

そのままヘディングで打ち下ろしてパスを繋げてくれる。

 

「お、おう。」

 

味方なのに動揺しながらも体は動いてくれた。

 

「あっ!?」

「輝!」

 

狩屋を抜いて輝にパスを出す。

 

「よ~し!」

「させない!」

 

輝がシュートを決めようとしたところに天馬が回り込んでなんとかクリアしてプレーが止まる。

 

「助かったよ天馬。」

 

「すいません、チャンスだったのに。」

 

「気にするな。それより・・・」

 

みんなが気になってることは同じだろう。

5人の視線がメイアに集まる。

 

「セカンドステージ・チルドレンの力は手放したんじゃなかったの?」

 

信助が率直に聞いてくれた。

あの戦いでセカンドステージ・チルドレンはみんなSSCワクチンを受け入れて力を手放した。

その経過観察も終わって今こうしてこの時代に来てる。

そのはずなのに今の動きは・・・

 

「確かに私たちはワクチンを接種して力を手放すことで普通の寿命を手に入れた。」

「だったら・・・」

「けど私たちの寿命が短くなってた原因の大部分は念動波とかの特殊な能力だったの。だからワクチンを受けても身体能力や頭脳はそこまで大きな変化は無いの。といっても完全に前まで通りとはいかないけど。」

 

どうやらワクチンを接種したからといって急に身体能力が下がったりお馬鹿になったりした訳ではないらしい。いや頭脳のほうは元々頭よさそうだったから違和感無かったけども。それじゃ体育の時は目立たないようにセーブしてたってことか。それにしても

 

「「「それを先に言ってよ!!!」」」

 

「あ、あはは。けどこれで分かったでしょ?遠慮はいらないわよ。続きをしましょう!」

 

全員が声を揃えて言ったことで若干たじろいだメイアであったが早くやりたいと言わんばかりにボールを広いに言った。完全に選手としてのスイッチが入ってる。

 

メイアがスローインで輝にボールを託す。

すかさず狩屋が仕掛ける。

 

「いただき!天馬くん!」

 

「ナイス狩屋!」

 

「勝負だ天馬!」

 

このミニゲームはキーパーがいない以上ここで抜かれたら負けだからな。

 

「負けないぞ!はあっ!」

 

「流石だな!けど、ここ!」

 

「あっ!?」

 

相変わらず天馬のドリブルのキレは凄い。

けど俺だって負けてられない。

帰り道や休みの日もこうして1vs1をすることも多い。

お互い手の内が分かってるからこそ、戦績は五分五分くらいだ。多分。

今日のところは俺の勝ちだった。

 

「僕だって元はDFだってこと忘れないでよね!」

 

「別に忘れてないさ。」

 

天馬からボールを奪った俺に信助が向かってくる。

 

「けど勝負はまた今度な!」

 

「ナイスパス、翼!」

 

フリーだったメイアにパスを出す。

なんとなく以前出かけた時のチンピラとのサッカーバトルを思い出す。

 

「やば!?信助くん!」

 

「行け!メイア!」

 

「信助!」

「させません!」

 

天馬がフォローに入ろうとしたのを輝が止める。

 

「たあっ!!」

 

「あっ!?」

 

そして1vs1でメイアが信助を抜いたことで決着。

無人のゴールにボールを軽く蹴り入れた。

 

 

「やった~~!勝ちましたよ!」

「二人ともアシストありがとう。」

 

「負けたか~」

「くっそ~」

 

ミニゲームでも勝ったら嬉しいし負けたら悔しい。

俺達はどこまで行ってもサッカープレイヤーなんだな。

 

「最後のドリブル凄かったです!」

「俺とも勝負しようよ!」

「僕も僕も!」

 

輝と信助と天馬に駆け寄られたメイアはタジタジだったが俺としては誇らしい限りだ。

 

「どうよ、狩屋?」

見なよ、俺の彼女を。

 

「いや何で翼くんがドヤ顔なんだよ。」

 

けどこうして一緒にサッカーをして俺と天馬以外とメイアとの距離を縮められたと思うし良かったな。

3人から解放されたメイアが戻ってきた。

 

「お疲れ!流石だな。」

「ありがとう。けどやっぱり力を手放した影響はあるわね。」

 

そう言ったメイアを見ると確かに少し息が上がってるようだ。

前は1試合通しても平然としていたのに。

出力はあまり変わってなくても今まで通りという訳にはいかないのだろう。

 

「後悔してる?」

「ううん。むしろこうして翼たちと肩を並べて生きていけるんだって実感できて嬉しいくらい。」

「そっか。なら良かった!」

 

なんの後悔もないと言ったメイアはサッカーが好きな普通の可愛い女の子だった。

 

「よし!それじゃ帰るか!もちろん極楽マート寄ってからな!」

 

日も暮れかけているし今日は解散となった。

人の金で飲むジュースは美味い。

 

 

「ただいま~!」「ただいま秋ねえ。」「ただいま。」

 

「遅いわよ3人とも!」

 

木枯らし荘に着いた頃にはもう日は暮れていて秋ねえから叱られてしまった。

そういえば連絡してなかった。

 

「ご、ごめん!翼が帰りにサッカーバトルしようって」

「おい!丸投げかよ!」

 

こいつ迷わず俺を売った!

秋ねえが怒ると怖いからって親友を売るにはあまりにもスムーズすぎる。

 

「ごめんなさい。翼は私のことを気遣ってくれたんです。だから・・・」

 

「・・・今度から寄り道する時はちゃんと連絡すること!分かった?」

 

「「はい!!」」

 

「よろしい。それじゃ3人とも手洗ってきなさい。夕飯にしましょう。」

 

「「「は~い!」」」

 

なんとか許してもらえたみたいだ。けど報連相ってのが大事なんだなと改めて認識。

こうしてると家族みたいだな。

 

 

「うん。うん。練習はちゃんと頑張ってるよ。エキシビションマッチや日本代表選考も控えてるし。え?勉強?・・・勉強はその、が、頑張ってます、よ?」

 

夕飯を終えてお風呂の番を待つ間俺は自室で母親と電話していた。

最近あったこと。部活のこと。勉強のこと。

旅を経てこの世界の自分を受け入れられたことで両親ともちゃんと話せるようになった。

 

「あ、そういえば今度の休みに紹介したい子がいるんだ。」

 

色々話している内にメイアのことを話していなかったことに気付く。

今度実家に戻る時には両親にも紹介したいな。

恋人であり、これからの人生一緒に生きていきたい大切な女の子を。

一体どういう子かと母が聞いてきたところでコンコンとノックが鳴り響く。

 

「ごめん!誰か来たみたいだからもう切るね。その子のことはまた今度説明するよ。それじゃ。」

 

話したいことは粗方話せていたので電話を置く。

俺が電話を切ったのを察したのかドアが開く。

入って来たのはメイアだった。

 

「翼~お風呂空いたわよ。」

「お、グッドタイミング。・・・って」

「どうかした?」

 

風呂を済ませて俺の番を呼びに来てくれたらしいが惚けてしまった。

お風呂上がりで少し火照った顔といつものカチューシャを外し、微かに水気を含んだ髪を下しているパジャマ姿のメイアは少し大人っぽく見えた。

昨日は激動すぎて見ることは無かったそんなメイアの姿に思わず見とれてしまった。

 

「いや、なんかいつもと違うメイアもその、良いなって///」

「そ、そう?///」

 

少し変な沈黙が流れるが俺の手元の携帯を見やるメイア。

 

「今の電話は?」

 

「ああ、親と話してたんだ。」

 

「そう。・・・親、か。」

 

「どうかした?」

 

「ううん。それで、何の話をしてたの?」

 

「最近あったこととか部活のこととか。あと、今度帰るときメイアのことを紹介したいとか。」

 

「勉強のことは良いのかしら?」

 

「うぐっ・・問題ないとは言っておいたよ。」

 

「あら、本当かしら?」

 

痛いところを突かれた俺の反応を見てクスクスと笑うメイア。

いや頑張るって決めたし。

 

「それじゃ俺は風呂入ってくるよ。」

 

「ええ。あ、そうだ!翼、明日って予定ある?」

 

「明日?明日と明後日は部活は無いから空いてるはずだけど。」

 

「それじゃ前みたいにお出かけしない?」

 

メイアが来てから初めての週末。

今週はちょうど部活も無いからフリーだ。

 

「オッケーだ。それじゃ、って何だ?」

 

俺としても願ってもないことだから軽く予定を決めようとしたところ机の上で何かが震えた。

携帯は手元にある。となると。

 

「エルドラドからの連絡?」

 

音の発生源はエルドラドから支給された連絡端末兼タイムジャンプ装置だった。

エルドラドからの連絡はここに来るしこの端末の反応を辿ってルートクラフトで回収してタイムジャンプをするらしい。

 

「げっ・・・嘘だろ。」

 

文面を見て思わず声が出てしまった。

 

「何て書いてたの。」

 

「明日から向こうでルートエージェントとしての研修だって。」

 

「ええ~そんな~!」

 

書かれていた内容はある程度落ち着いたから週末を利用してルートエージェントとしての研修をすること。その間メイアは不測の事態に備えて俺たちの時代で待機するようにとのこと。

メイアも一緒なら向こうで過ごすことも出来たのにどうしてだよ。

 

「うう・・・ごめん。」

 

「はぁ・・・まぁしょうがないわね。一緒に生きていくためだものね。」

 

「うん。この埋め合わせはするから!」

 

「約束よ!」

 

楽しみは先延ばしになってしまうがこれもメイアと一緒に未来を歩むためだ。

一足先に社会の辛さを味わうとするか。

 




いかがだったでしょうか?
部活終わりの寄り道、憧れる。メイアの髪のあれはカチューシャであってるんですかね?こういうのに疎い。見た目は各々で補完いただければ・・・
セカンドステージ・チルドレンについてはワクチンを打ったからといって極端に身体能力や頭脳が衰えるのは違和感があるなと思ったのでこういう設定にしました。頭脳は据え置き、出力が9割くらいで体力の消耗も増えたイメージです。

イナダンはパラレルだしギャラクシーの具体的な時期が分かっていないのでサザエさん時空にするか迷い中です。やりたい展開も色々ありますし。
あとメイアからの1年生組の呼び方どうしよ。
次回、一泊二日出張編。なお出張先は未来とする。

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