「帰ってきてないんですか!?」
ヒロ君とバンさんとフランが帰ってきてすぐに俺たちはアミさんたちがいなくなったことを聞かされた。
「まさか・・・」
「俺たちは森でキラードロイドに襲われて、その後二人が消えた・・・」
「僕たちの見ていないところで何かがあったということでしょうか?」
「ごめんなさい。私も気が付いたら二人がいなくなってて・・・」
森で敵に襲われた帰り道でいつの間にか二人はいなくなっていたらしい。
3人とも二人が消える瞬間は見てない。
翼とメイアの時みたいに手がかりが無い。
「断定はできない。捜索は明日行う。」
バンさんのお父さん、いやみんな二人がただ道に迷ったんじゃなく消されたって内心分かってる。
けれど誰も口にはしなかった。
ヒロ君たちLBXプレイヤーのみんなは仲間が消えてみんな動揺してる。
俺たちも朝に翼とメイアが消えたから気持ちはとても理解できる。
けど俺が弱気になっちゃダメだ。
みんなに声をかけようと顔をあげると朝と同じようにフランが目に入った。
昼間、葵に言われた通りなのかもしれない。
「フラン!大丈夫?」
「ごめんなさい・・・」
「また明日みんなで探せばきっと見つかるよ。」
二人が消えた時に一緒にいたのに消えたことに気付けなかったのを気にしているのかな。
フランは一人でこの世界に飛ばされてきてて、人が4人も消えてしまう事態に巻き込まれてる。
仲間が消えた俺たちとも違う、フランにしか分からない不安があるんじゃないかと思う。
俺たちは仲間同士で励まし合って頼り合うことが出来る。けどフランは一人なんだ。
フランの不安は少しでも取り除いてあげたい。
「何かあったらいつでも言ってね。一人でここに飛ばされてきて心細いかもしれないけど、今は俺たちが一緒にいるから。」
「・・・はい。・・・ありがとう。」
少しは表情が柔らかくなった気がしたけどやっぱりどこか淋しそう。
何か俺にできることは無いかな。
「お~い天馬!こっち手伝ってくれ!」
「はい!ごめん、俺行ってくるね。あまり思い詰めないで!」
なんとかしてあげたかったけど今はみんなそれぞれ夕食の準備にとりかかっている。俺も霧野先輩たちに呼ばれたからみんなの所に戻らないと。
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「流石に一筋縄ではいかないわね。」
「ああ。やっぱり心にほころびが出たらフランの力には抗えないみたいだな。」
「・・・い。」
部屋の中央に浮かぶ水晶玉のようなもので今日一日のフランの行動を俺たちは見ていた。
カズさんとアミさんを消すところも。
「ああ言ったはいいもののまさか二人消されるとはな。キラードロイドだっけ?凄い破壊力だったな。」
「ええ。エルドラドに攻撃を仕掛けていた時に欲しかったくらいだわ。」
「いやいやいや!フェーダのみんなに加えてあんなのが暴れたらどうしようもないって!」
「冗談よ♪」
「・・い!」
セカンドステージ・チルドレンジョークにツッコミつつも実際宝物であるLBXを破壊されたらそりゃ心の力も弱くなるか。赤と青のやつら以外にもあんなのがいるなんて思わなかったな。
「ここは空元気だとしても気を取り直さないとな。」
「あなたたちは慣れてるでしょ?」
「まぁな。ベータやパーフェクト・カスケイドに散々やられたからな。」
「私たちにもでしょ?」
「おい!!」「君たち!!」
メイアと話しているとアスタとサンが声を張り上げた。
「「どうかした?」」
ハモった。
アスタとサンがなんとも言えない表情で俺たちを見ていた。
「どうかした?」「じゃないよ!」
「仲間が消されたっていうのに何でそんな呑気なんだよ!」
「というか君たち、囚われている自覚あるのかい?」
「そりゃもちろん。」
「言われた通り大人しくしているわよ?」
俺たち、捕虜。大人しくする。
「なら何でそんなにリラックスしてるんだよ!?」
「いやいやリラックスなんて」
「その恰好でよく言えたね!?何でこの場で膝枕をしてるんだ!?」
サンがどこかの弁護士や検事みたいにビシッと俺たちを指さしてくる。
メイアは今、俺の膝に頭を乗せ横になっている。サンの言う通り膝枕だ。
「この椅子結構余裕あるし。」
「他に何もないんだしいいじゃない。」
初めて未来での研修を終えて帰って来た時にやってもらったメイアの膝枕はたまらなく心地良くて実は部活や勉強で疲れた時とかもやってもらってる。正直癖になってる。
逆にメイアも時々俺に膝枕をせがんでくることがある。正直男の膝枕なんて何が良いんだか分からないけどメイアが求めるならやってあげないと。膝枕しながら綺麗な髪を撫でると喜んでくれて俺も嬉しい。フランが用意してくれた椅子は二人用なだけあって一人なら横になれるくらいに余裕があるからやってるわけだけど。
「そういう問題じゃなくて・・・はぁ。もういいよ。」
呆れたように溜息をついた二人の追及はそこで終わった。
解せぬと思っていると気配がした。
「戻ったわ、二人とも。」
「フラン。」「姉さん。」
どうやら夕食を終えてそれぞれが思い思いに過ごす時間になったところで皆の目をかいくぐってフランが戻ってきたようだ。
「あの二人は・・・」
俺たちの様子を確認するために部屋の中を見わたすフランの視線が俺たちを捉えた瞬間固まった。
フランもまた呆れたように俺たちを見てくる。
ま、フランも戻ってきたしシャンとするか。
メイアも同じことを思っていたようで身を起こした。ちゃんとメリハリはつけてます。
「戻ってきて良かったのか?みんなに怪しまれるかも知れないぞ?」
「問題無いわ。今の彼らに私一人を気にかける余裕なんて無いもの。」
日が暮れて街灯もない湖畔。仲間が消えていっぱいいっぱいになっている現状フラン一人が少しの間姿が見えなくても誰も怪しまないってことか。
「それで、見ていたのでしょう?あの二人が消える所を。」
「ああ。」「ええ。」
みんなの前とは違い勝気な笑みを浮かべながら言うフラン。
狙い通り二人を消せたからだろう。
「私の言った通りでしょう?戦いは人の心に恐怖と絶望を生む。心の力が弱まれば彼らも抗うことは出来ないわ。」
「たしかに一日で二人が消されるとは思わなかったよ。やられた。」
フランの言っていることは間違いではない。実際それで今日二人は消された。
だけど
「けどな、これまでも絶望するような戦いは何度もあった。けど乗り越えて俺たちは強くなってきた。体も、心も。」
「翼の言う通りね。彼らは私たちとの戦いでも決して諦めなかった。」
「フランも感じてるんじゃないか?みんなの心の強さを。特に、天馬のな。」
「・・・松風天馬。」
昨日出会った時、そして今日ここから天馬がフランを気にかけているのを見ていた。
短い間かも知れないけどあれで十分伝わるんだよなぁ。
どこまでも真っすぐで温かくて、心を動かしてくるそよ風みたいな気持ちが。
フランも無意識なのか胸に手を当て考え込んでいる。
「俺たちは例え離れていても消されても同じ空の下にいて心が繋がってる。その繋がりがある限り絶望したりなんてしない。だから絶対に俺たちは負けない。」
「・・・そう言っていられるのも今だけよ。」
そう言い残しフランはみんなの所に戻ろうとする。
けれど俺たちに背を向けた所でフランの足が止まる。
「フラン?」
「姉さん大丈夫?」
アスタとサンが心配そうに覗き込む。
「・・・大丈夫よ。心配ないわ。」
二人を制するがフランの様子がどこかおかしい。
俺でも気付くくらいだから当然アスタとサンも気付いてる。
「少し休んだ方がいいんじゃないか?」
「あまり無理はしないで。」
フランと心配する二人のは世界を消そうとしているとは思えないごく普通の女の子と男の子のようだった。
「気になってたんだけどさ、三人は姉弟なのか?」
ずっと気になっていたことが俺の口をついて出た。
サンはフランのことを姉さんと呼んでとても慕っているのが分かる。
けどあまり似てはいない。特にアスタ。
この三人からはとても固い絆を感じる。
この三人のことをちゃんと知りたいと思った。
「私たちは血の繋がった家族では無いわ。」
「姉さん・・・」
聞いておいてなんだけど答えが返ってくるとは思っていなかったから少し驚いた。
サンとアスタもフランが答えたことに驚いていた。
「私たちはある研究施設で出会った。」
「研究施設?フラン。君たちは一体何者なんだ?」
世界を作り変えるほどの力を持つフラン。
スタジアムで円堂監督からゴールを奪って見せるほどの実力のアスタ。
数えるのも馬鹿らしくなる程のLBXを同時に操るサン。
目的が分かった今もその正体は分からないままだ。
「私たちは人の新たな力に目覚めた存在。施設の研究者たちは私たちのことをセブンスと呼んでいたわ。」
「セブンス・・・」
「力に目覚めた子どもたちを力をコントロールできるようにする施設、能力開発研究所で私たちは出会った。・・・親に捨てられてね。」
「!!」
「・・・・・・」
人の新しい力に目覚めて親に捨てられた存在。
心当たりがあるなんてもんじゃない。思わず隣にいる大切な女の子の手を握った。
メイアもその手を強く握り返してきた。
「僕らの両親は僕たちを恐れたんだ。」
「そして施設の奴らも俺たちを親の元に返すつもりなんて無かった。俺たちは様々な能力開発の実験を受けさせられた。戦争の兵器として利用するために。」
サンとアスタも語り始めた。
俺たちは黙って聞くしか出来なかった。
「過酷な実験が繰り返される日々の中、俺たち3人は同じ部屋に割り当てられて一緒に過ごした。」
「どんなに辛い時もフランは僕を勇気づけてくれた。親に捨てられた僕にとってフランはいつしか本当の家族以上の存在になった。だから僕は姉さんのためなら何だってする。」
「戦いは人の欲望を刺激し憎しみを生む。そしていずれ取り返しのつかない過ちを犯してしまう。だから私たちは必ず戦いを消し去る。誰にも理解されなくとも。」
これがフランたちがここまでのことをする理由。
きっと普通はこんなこと聞かされても信じられないだろう。
けど俺は、俺たちには分かる。三人の言ってることが本当のことだってことが。
「あなたたちのこと、少し理解出来た気がするわ。」
沈黙を破ったのはメイアだった。
「あなたたちに何が分かるっていうの?」
「分かるわよ、やっぱりあなたは私と似ているもの。」
「私とあなたが似ている?」
「私は元はセカンドステージ・チルドレン。あなたたちと同じように人間の新しい力に目覚めた存在だった。私も幼いころに力に目覚めて、親に捨てられたわ。」
「・・・!」
そう。メイアたちセカンドステージ・チルドレンとフランたちセブンスは境遇が似ている。
周りとは違う力に目覚め恐れられ、それまで共にいた人たちが離れていった。
「私たちセカンドステージ・チルドレンは異分子として世界からも迫害されて生きてきた。やがてフェーダという組織の元、身を寄せ合って生きてきた。」
セカンドステージ・チルドレンとセブンスに違いがあるとすればセブンスたちが大人に利用されたのに対してセカンドステージ・チルドレンは世界と戦ったこと。
「フラン。あなたはとても優しいのね。」
「どういうことかしら?」
メイアはとても穏やかにフランに語りかける。
「私たちセカンドステージ・チルドレンは私たちを認めなかった世界に戦いを挑んだ。私たちこそが優れた存在であり、世界の覇権を握るべき存在だと知らしめるために。けれどあなたたちはこれだけの力がありながら、決してそれを大人たちに向けることはしなかった。今こうして世界を作り変えてるのもあなたたちのような思いをする人を生まないためでしょう?それって本当は優しい心を持ってる証拠。」
俺も勘違いしていたのかもしれない。
この任務についた当初、相手は世界を好き勝手に消している敵だと思っていた。
けれどフランたちにも正義があって、フランたちなりに世界のためを思っての行動だった。
そりゃサッカーで痛めつけたり、LBXを破壊して心を弱らせたりっていうやり方はどうかと思うけど、今の俺はこの3人をただの敵だとは思えなくなってしまってる。
「けれど全ての戦いを消してしまうことに私は賛同できないわ。」
「それはどうして?」
「確かに戦いは憎しみを生んで間違った方向に人類を進ませてしまうかもしれない。私たちセカンドステージ・チルドレンがしたこともあなた達が憎む戦いそのものかもしれない。けれど戦いがあるからこそ出会って繋がりが生まれることもあるの。私と翼のように。だから私はその可能性を無くしたいとは思わないわ。」
セカンドステージ・チルドレンが立ちあがった。未来を守るためにエルドラドはサッカーを消そうとした。それを防ぐためにメイアは俺たちの時代にやってきて俺と出会った。
そしてラグナロクで思いをぶつけ合ったから今がある。
全ての戦いが消えた世界では俺とメイアは出会っていなかったかもしれない。いや、俺たちだけじゃない。SARUやアルファたち、太陽や白竜も戦いを通じて友達になった。サッカーが無かったら天馬たち雷門のみんなとも出会ってなかったかもしれない。
「俺もだ。フランたちは間違ってないのかもしれない。けれどフランたちにも分かってほしい。それだけが戦いじゃないって。」
「・・・そんなもの私は認めない。戦いは必ず消し去る。明日で全てが終わるわ。それまでここで大人しくしていて。」
そう言い残しフランは湖畔に戻っていった。
「フラン・・・」「姉さん・・・」
いかがだったでしょうか?
メイアとフラン、セカンドステージ・チルドレンとセブンスの二人の絡みはどうしても描きたいと思っていました。
蚊帳の外にも見える翼もかなり特殊だし超次元耐性も折り紙付き。
その結果アスタとサンがツッコミに回ることに。
今回は2話を1話に分割した形になるので早めに次回投稿できるかと思います。
よろしくお願いします。
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