二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

78 / 83
今回は少し長めになります。


衝突と露見

翌朝、両陣営には険悪な空気が流れていた。

 

「カズとアミをどこにやったの!」

「お前ら正直に言えよ!」

 

昨晩フランが太陽たちのテントに隠したCCMをジェシカたちが発見しこれはどういうことかと問い詰めていた。

 

「俺たちは何も知らない!」

「変な言いがかりはやめろ!」

 

「でも君たちのテントからカズくんとアミくんのCCMが見つかった。

 

天馬や信助やヒロたちは別の役割を任されこの場にはおらず、霧野、狩屋、太陽、白竜、雪村、葵が待機していた中で口論に発展した。

実は喧嘩っ早い所がある霧野や雪村が身に覚えのない言いがかりをつけられ強く反論していた。

LBXプレイヤーたちも消された仲間のCCMが見つかったとあれば疑わざるおえない。

 

「俺たちが攫ったとでも言いたいのか?」

 

「もし違うというのなら納得の出来る説明をお願いしたい。」

 

霧野と雪村、ジェシカとアスカに比べて白竜とジンは冷静に務めようとはしていたが疑念は隠しきれていない。

 

「世界の混乱で普通に消えたんじゃないの~、っおっとっと。」

 

「ちょっとみんな!今は喧嘩してる場合じゃないでしょ!」

 

葵が仲裁に入る。普段から場をとりなすことの多い葵だったがこの場に限っては逆効果だった

 

「邪魔すんなよ!」

 

「きゃっ!?」

 

「・・・・おい!」

 

アスカが衝動的に葵をつき飛ばしてしまう。

白竜が受け止めたことで怪我は無かったが直接的な暴力に怒りをあらわにしていた。

アスカも思わず手を出してしまったことを後悔はしていたが引き下がれなくなっている。

 

「こっちは仲間が消えてるのよ!」

 

「それを言うなら俺たちの仲間だって消えてるんだ!それはどう説明するつもりだ!」

 

翼とメイアに対する信頼から表に出してはいなかったがイナズマジャパンとしても二人が消えているなかで一方的に糾弾されては無視できなかった。

目論見通りに事が進んでいるこの状況をフランは木陰から見守っていた。

 

「くっ・・・こいつらは、やっぱり敵だ!ヴァンパイアキャット!」

 

そして遂に互いに我慢の限界を迎えた。答えに窮したアスカがLBXを差し向けた。

LBXの危険性はスタジアムで身に染みて味わっている雪村たちも黙ってやられるのを待つわけには行かなかった。

 

「パンサーブリザード!!」

 

「くっ・・・!?」

 

放たれたパンサーブリザードをヴァンパイアキャットが紙一重で躱す。

直撃していれば破壊されていたであろう必殺シュートの威力にジェシカたちも危機感を覚え自分たちのLBXを取り出す。ジンもやむを得ず戦線に加わる。

 

「うっ・・・くっ!」

 

4機のLBXに囲まれボールも手元にない雪村の心に陰りが生まれる。

 

(今なら彼を消せる。目の前で彼が消えるのを見ればもう止まらない。)

 

『フラン、あなたはとても優しいのね。』

 

フランが光を放ち雪村を消そうとした瞬間、昨夜のメイアの言葉が脳裏をよぎった。

 

(くっ!これも世界を救うため。今彼を消せば一気に・・・)

 

「みんな!」

「やめるんだ!」

「何をしてる白竜!」

 

ほんの少し逡巡したところで天馬たちが戻ってきた。

全員が揃ったこの場で雪村を消すにはリスクが高いため中断せざるを得なくなった。

 

 

「みんなどうしたの!?」

「皆さん冷静になってください!」

 

天馬とヒロがそれぞれの陣営を事情を聞き落ち着かせようとする。

 

「あいつらのテントからカズとアミのCCMが見つかったのよ!」

「二人のCCMが!?」

 

「あいつらが二人を消したんだ!こうなったらやってやる!ヴァンパイアキャット!」

 

完全に冷静さを失っているアスカがヒロの静止を振り切り必殺ファンクションを放つ。

 

「いいだろう。みんなどいてろ!」

 

「やってやる!」」

 

明確な攻撃行為に白竜と太陽も受けて立つ。

もう止まらない。アスカにジンが加勢する

 

「「必殺ファンクション!」」

 

「ホワイトハリケーン!!!」

「サンシャインストーム!!」

 

それぞれ二つの必殺シュートと必殺ファンクションがぶつかりあい、強烈な衝撃と閃光がほとばしる。

両者とも相殺されるとは思っておらず次の必殺技を放とうとしたところで駆け寄ってくる者がもう一人。

 

「待って!みんなちょっと待って!」

 

間に割って入ったのは信助だった。

そして信助は切り出した。

 

「僕、見たんだ。テントから出てくる・・・フランの姿を。フラン、昨日の夜何をしてたの?」

 

信助の口から思わぬ名前が出たことで全員の注目がフランに集まる。

 

「君がCCMを置いたのか!」「一体何のために!」「答えろ!」

 

新たな犯人候補に皆がフランを問い詰める。

フランは沈黙を貫く。

 

「ま、待ってよ!それだけのことでフランを疑うの!?」

 

すかさず天馬がフランと皆の間に割って入る。

 

「信助もフランがCCMを置いたところを見たんじゃないんだよね?」

 

「それは、そうだけど・・・」

 

「だったら、「私よ。」・・・フラン?」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「どうやらここまでのようだな。」

 

「ああ。それじゃ僕たちも行こうか。」

 

フランが天馬たちの前で自分がCCMを隠した事を打ち明けるとアスタとサンも動き始めた。

もう隠しきることは出来ないから正体を明かすつもりだろう。

 

「行くのか?」

 

「ああ。言っておくが俺たちが留守にするからといって逃げられるとは思うなよ?」

 

「姉さんが許可しない限り君たちにこのフラウ・ア・ノートリアスを出入りすることは出来ないよ。」

 

恐らく少しの間だけとはいえこの場に俺たちだけを残して行くことになるが無駄だと二人に釘を刺される。

実際この場所には扉のようなものは見当たらないしフランたちはセブンスの力でワープして出入りしてる。今の俺とメイアだけでここを出ることは出来ないだろう。

 

「分かってるよ。別に逃げやしないって。結構居心地いいしな。」

 

「それよりも早くフランの元へ言ってあげたほうが良いんじゃない?」

 

「本当に君たちはお気楽だね。」

 

サンが溜息混じりに言う。なんというかこの二人も遠慮が無くなってきてる気がする。

 

「行くぞ、サン。」

 

「ああ。」

 

そう言い残しアスタとサンは姿を消した。

そして水晶玉に映し出されている湖畔の方に姿を表した。

 

 

「行ったか。・・・・・・よし。」

 

 

ここからは時間との勝負だ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

昨日の夜フランが一人で何かをしていたという証言でみんなの疑いが一斉にフランの方に向いてしまった。

あの花畑から帰ってきた時にはもう寝ていた人も何人かいたけど、葵のように俺たちが戻ってきたのを見届けてくれた人たちもいる。

確かに俺は眠りについてから朝になるまで途中で起きることは無かったから信助の言ってることを否定することは出来ない。

だけど信助もフランがCCMを太陽たちのテントに隠したところを見たわけではない。

だったらそれだけではフランが犯人だと決めつけられないはず。

 

「私よ。」

 

「・・・フラン?」

 

だけど俺の背後から聞こえたのは俺が一番聞きたくない言葉だった。

 

「私が置いたの。あなた達を仲間割れさせるためにね。」

 

そう答えるフランは昨日までとはまるで別人みたいだった。

 

「フラン・・・嘘、だよね?」

 

信じられなかった。いや、信じたくなかった。

 

「気付かれちゃったね。」

「別にどっちでもいいがな。」

 

「お前たちはスタジアムにいた!?」

 

けどそんな俺の縋るような希望もフランの両脇に現れた二人の男の子の姿が否定する。

一人はエキシビションマッチに乱入してきたドレッドヘアーの男の子だった。

 

「そう。スタジアムを襲ったのも私たち。」

 

「カズやアミもお前たちが!」

 

「消したが?」「それが何か?」

 

当然のことのように二人が答える。

どれだけ認めたくなくても認めるしかない。

スタジアムを襲って、世界の混乱を引き起こしているのはフランたちなんだ。

 

「世界中をこんなにして一体何がしたいの?!」

 

「・・・・・私たちはこの世界に不必要なものを消す。絶対に!」

 

ランさんの問いかけに対するフランの答えからは底知れない冷たさと怒りを感じた。

隣にいる信助が思わず怯えてしまうくらいだった。

昨日とはまるで別人のようなフランに言葉がでない。

 

「何故今まで消さなかった?」

「・・・消さなかったんじゃない。消せなかった・・・」

 

「なかなか賢いじゃない。そう、今は出来ない。でもあなた達が戦いに破れ絶望した時、私の力を拒むことは出来なくなる。」

 

「そうか。だからLBXを破壊されたカズとアミは・・・」

 

宝物であるLBXを破壊され深く傷ついていた二人はフランの力を拒むことが出来なくて消されてしまった。

 

「なら翼とメイアも君たちが?」

 

フェイが二人について聞く。そうだカズさんとアミさんを消したのがフランたちなら二人も。

 

「半分正解といった所かしら。あの二人は初日の夜に私の正体に気付いた。けれど消すことは出来なかったから今は私たちの城で大人しくしてもらってるわ。」

 

その答えを聞いて少しだけ安心した。翼とメイアは他の人たちと違って消された訳ではないらしい。

信じてはいたけど無事なのが分かってホッとした。

それでもフランがみんなを消してるのは変わらないんだ。

 

「どうしてだよフラン・・・こんなことしちゃだめだ!」

 

「・・・・・・」

 

小さい頃の大切な思い出を話してくれた昨日のことが忘れられない。あんなにも花が好きで優しい笑顔を見せてくれてたフランがどうしてこんなことをしているのか分からなかった。昨日のフランと今目の前にいるフラン、どっちが本当のフランなのか分からない。

けれどフランにこんなことをしてほしくない。

フランから答えは返ってこない。

 

「これ以上好きにはさせない!」

「みんなを返してもらおう!」

 

「いいわ。じゃあ特別にあなた達に付き合ってあげる。」

 

バンさんやジンさんはフランたちと戦うつもりみたいだ。

みんなを取り戻すにはそうするしかないのか。

 

「サッカーはアスタが、LBXはサンが相手をするわ。あなた達は思い知るのよ!自らの過ちを、戦いの醜さを!」

 

「明日座標G223で待っているよ。」

 

そう言い残してフランたちは姿を消した。

フランたちが立ち去ってから少し沈黙が流れた。

みんな状況を整理しきれていないんだ。

 

「な、何だよ。」

 

「俺たちは思い違いをしていたようだ。」

 

「ああ。疑ってすまなかった。」

 

「こちらこそすまなかった。」

 

白竜、アスカ、ジンさん。それに他のみんなも誤解が解けてお互いに集まってとりあえず俺たちの仲間割れは収まった。

けれど俺の胸には鈍い痛みが残ったままだった

 

(フラン・・・)

 

姿を消す瞬間、とても辛く、悲しい顔をしていたフランと目が合った。

 

 

アルノ博士や山野博士たちが合流したところでさっき起きたことを説明した。

 

「それじゃあ今起きているこの現象は全て彼女たちの仕業だというのか。」

 

「フランたちが指定した座標。俺たちがそこに行けば、消えた人たちも元に戻るはずです!」

 

そうだ。今この世界に起こっている混乱がフランたちを中心に起こっているなら止めなくちゃ。

それに翼とメイアもフランたちの所にいるならきっとそこに行けば二人も救えるはずだ。

 

「俺たちも一緒です!」

 

「それじゃあサッカーっぽくやってみませんか?」

 

ヒロくんとバンさんも協力してくれる。

この二つのチームが一緒に戦えばきっとなんとかなる。そんな気がする。

みんなで一致団結して戦う時にすることは一つ。

 

「それじゃあ頼んだぞ天馬。」

「バシッと決めてよ!」

 

囚われた翼とメイア、消された人たちを助ける。そしてフランたちを止めるために。

 

「みんな!勝利を信じて共に戦うぞ!!」

 

「「「おう!!!!」」」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「あ、戻ってきた。」

「お帰りなさい。」

 

「・・・はぁ。」

 

フラウ・ア・ノートリアスに戻ってきた私たちを出迎えたのはなんとも気の抜けた二人だった。

二人は互いに寄りかかるように身を寄せ合っていた。

確かに大人しくしておけとは言ったけれど、この二人に危機感というものはないのかしら?

思わず溜息の一つもつきたくなる。

彼らのお仲間たちはあんなにも。

 

(・・・どうして松風天馬はあんなにも・・・悲しそうな顔をしていたの?)

 

私が彼らの仲間を消し、この二人を捕らえていると知ったのに松風天馬からは怒りや憎しみではなく悲しみが伝わってきた。正体を明かして尚縋るような目を向けてきた。

松風天馬のあの目が頭から離れない。それにこの胸を刺す痛みは何?

未来を救うためにこれまでずっと戦いを消してきた。その時には感じることが無かった痛み。

 

「大丈夫かフラン?」

「姉さん、無理はしないで。」

 

「アスタ、サン・・・大丈夫よ。もうすぐ全てが終わるわ。」

 

また二人に心配させてしまった。

二人は施設にいた頃からずっと私のことを元気づけてくれていた。

最も力が強い私が二人を守らないといけないのに。

私たちの願いが叶うまであと少し。ここで止まるわけにはいかない。

 

「それで天馬たちはあとどれくらいで来るんだ?」

「私たちは今、あなたたちが指定した座標にいるのよね?」

 

「ええ。おそらくあと一時間もすれば彼らはここ、ロストタワーへやって来るわ。」

 

「一時間、か。」

 

「彼らが怖気づいて逃げ出さなかったらの話だけどね。」

 

「それは何の心配もしてないよ。天馬たちは絶対に逃げ出したりしないさ。それはフランも分かってるんじゃないのか?」

 

楽観的に思える赤峰翼の返答だけれど反論する気は起きなかった。

ここで逃げ出すような人たちなら最初から私の力に抗うことなんて出来ない。

 

「そういうことだから、みんなが来るまでまだ時間はあるんなら休んでいた方が良いんじゃないか?」

 

「は?」

「君、僕たちが敵だって分かってるのかい?」

 

敵である私たちを気遣うような言葉に呆気に取られてしまう。

松風天馬とは違った形で彼は私の心を揺さぶる。彼のことが理解できない。

話が通じそうなメイアの方を見ても肩をすくめるだけ。

 

「別に俺はフランたちを敵だなんて思ってないぞ。」

 

「どういう意味かしら?」

「俺たちも舐められたもんだな。」

 

「いやいや!?そういう意味じゃないって!」

 

彼の言っていることの意味が分からない。

アスタも侮辱されたと感じたらしい。

 

「俺はフランたちがやってることを悪いとだなんてもう思えない。フランたちの事情を部分的にとは言え聞いてしまったからな。正直俺がフランの立場だったら同じことをしなかったなんて言い切れない。」

 

さっきまでの能天気な様子とは打って変わって真剣な眼差しで言葉を紡ぐ。

 

「今はお互いの考えや正義が違ってるだけ。だからこうして本気でぶつかり合おうとしてる。相手を打ち負かしてやろうとか傷つけてやろうっていうのとは全然違うんだ。だから俺にとってフランたちは敵っていう訳じゃないって思ってる。」

 

目の前にいる男はさっきまでの赤峰翼と本当に同一人物なの?

 

「ごめんなさいねフラン。こういう人なのよ、翼って♪お気楽でお人よしでお馬鹿。」

 

「ちょっとメイア!?」

 

「だけど何も考えてない訳じゃない。他の人とは違った考えをちゃんと持っていて私たちのような人間も受け入れてくれる。そんな翼に私はどうしようもなく惹かれてしまったの。」

 

「ちょ、メイア///」

 

胸に手を当て赤峰翼の腕を愛おしそうに抱き寄せるメイアは大切な思い出を語っているみたいだった。

彼女は私たちに近しい存在。松風天馬が言うには異なる時代に生まれたのにこうして二人寄り添っている。互いに対するきわめて強い信頼と想い。彼らを消すことが出来なかった理由が少し分かった。

 

「別に俺だけじゃないって。きっと天馬も同じことを言うさ。」

 

「松風天馬が?」

 

「ああ。俺たちは分かり合えるってあいつも信じてる。だからこそフランたちにも本気でぶつかって欲しいんだ。大人しくしておくからフランたちもゆっくりしておきなよ。」

 

「・・・後悔するわよ。」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

フランたちに指定された座標に向かってる間、俺はずっと考えていた。

どうしてフランはこんなことをしているのか、フランを止めるにはどうすればいいのか。

フランはこの世界に不必要なものを消すと言っていた。あの時のフランからは強い覚悟と怒りを感じた。ラグナロクでSARUと戦った時に感じたものと同じ、いやそれ以上かもしれない。

 

「ねぇ天馬。」

 

「葵・・・ごめん、ちょっと考え事してた。」

 

隣の席の葵に声をかけられたことに気付い顔をあげると葵は心配そうに俺の方を見ていた。

 

「それってフランのこと?」

 

「・・・うん。どうすればフランを止められるんだろうって。」

 

「あの時のフラン、正直怖かった。目的は分からないけど並大抵のことじゃないって感じだよね。」

 

「うん。けど俺にはあれが本当のフランだとは思えないんだ。」

 

今思うとスタジアムで見かけた気がしたのもフランだったんだと分かる。

あの時の寂しそうで何かに祈るようなフラン。俺たちと出会ってぎこちないけど溶け込もうとしていたフラン。サッカーをしている時のフラン。そして昨日見せてくれた花のような笑顔のフラン。

出会ってほんの数日で、触れ合った時間はとても短い時間だけど色々なフランを見てきた。

さっきの少し怖い一面もフランなのかもしれないけど、これまで見てきた優しさもフランなんだって俺は思いたい。

 

「・・・天馬はどうしたいの?」

 

「フランがどうしてこんなことをしてるか分からないけど、どうしても俺はフランのことを敵だって思えないんだ。だからなんとかしてフランを止めたい。フランと分かりあいたい。」

 

「そっか。それじゃあちゃんとフランとぶつからないとね。」

 

「ぶつかる?」

 

「これまでも色んな相手と戦ってきた。ドラゴンリンクやゼロ。エルドラドにフェーダ。最初は敵だったけど最後は分かりあうことができたよね。」

 

「うん。」

 

「それはお互いが全力でぶつかり合ったからだと思うんだ。きっと中途半端な気持ちじゃダメだった。真剣な気持ちをぶつけ合ったからなんだって思う。翼君とメイアもそうじゃない!」

 

翼とメイア。今ここにはいない俺の仲間。木枯らし荘で一緒に暮らすようになってからあの二人の絆の強さがよく分かるようになった。

けどあの二人のこれまでも平坦なものじゃなかったてことを俺は知ってる。

それまで色んな時代で出会って仲良くなっていたメイアがセカンドステージ・チルドレンで戦わないといけない相手だと知って翼は揺れていた。

メイアは翼を利用していた訳じゃなかったけど、それでもあの二人はお互いのことを想い合いながらもラグナロクで全力でぶつかり合った。

想いを伝え合った後のザ・ラグーン戦でもそうだった。お互いが譲れない未来のために限界を超えて戦った。あの戦いがあったからこそ今の二人がある。

なら俺もフランを止めるには、フランのことを知って分かり合うには全力で想いをぶつけないといけないんだ。

 

「葵の言う通りだ。俺、フランに俺の全力をぶつけるよ。」

 

「うん!その意気だよ!」

 

 

「着いたぞ。ここが座標G223。カトンナディア諸島だ。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「姉さん。奴らが来たよ。」

 

「・・・・・・行きましょう。」

 

「俺たちは・・・お留守番か。」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

TMキャラバンから降りるとそこは高い塔の上だった。

 

「あれか・・・」

 

俺たちの目の前にはスタジアムに通じる道。

ここを越えればもう後戻りは出来ないことはみんな分かっていた。

 

「フランさんたちは本当に悪い人たちなんでしょうか?」

 

隣にいるヒロ君が誰に向けるでもなくつぶやく。

ヒロ君もフランたちが敵だとは思いたくないみたいだ。

 

「俺はフランを信じたい。」

 

他のみんなが信じられなくても俺はフランと分かりあえると信じるって決めたんだ。

 

「ヒロ、天馬。だけど世界は消され続けている。だから今はこの戦いに立ち向わなければならないんだ。」

 

バンさんはきっと誰かが言わないといけないことを自分から言ってくれたんだ。

みんなそれぞれ心が揺れている。けど消された人たちと世界を救わないといけないのも間違いない。

きっとバンさんも辛い戦いを乗り越えてきたんだ。だからこうして前を向いていられるんだ。

キャプテンとして見習わないと。

 

 

「む?」「ジンくんどうしたの?」

 

ジンさんが何かに気付いた。

門の方を見るとそこにはLBXが2機いた。

 

『やあ。よく来たね。』

 

これまで見てきた赤と青のLBXとは明らかに違う機体からサンの声がした。

 

『でもここから先はサッカープレイヤーとLBXプレイヤーのみだ!』

 

LBXから発せられた不思議な光が俺たちを包んだと思ったら目の前が真っ白になって浮遊感が襲ってきた。

そして光が晴れて目を開けるとそこはサッカーグラウンドだった。

多分スタジアムの中にワープしたんだ。

ホーリーロードスタジアムよりもずっと立派な客席とスコアボードとゴールの間にある女神像のようなものが特徴的なスタジアムだ。霧野先輩は古代ローマのコロシアムみたいだと言っていた。

頭上に気配を感じるとそこにはスタジアムの上空に現れた飛行ユニットが浮かんでいた。

 

「あれはあいつらの飛行ユニット!?」

 

俺たちは存在に気が付くと飛行ユニットが変形した。その様はまるで

 

「花・・・」

 

閉じた蕾のような形から咲いた花のような形になった。

きっとあれもフランの力によるものなんだ。

 

「ようこそ。私たちの神殿へ。」

 

背後から声がした。振り向くとスタジアムのオブジェの上にフランたちが立っていた。

 

「カズとアミはどこだ!」

「翼とメイアもだ!」

 

「慌てないで。この戦いにあなた達が勝てば、望み通り返します。」

 

バンさんと神童先輩にフランは淡々と答える。

 

「どうして世界を消そうとするんだ!」

 

神童先輩はこの場にいる全員が気になっていたことを口にした。

フランたちの目的。俺たちはそれを知らない。

 

「それは・・・世界を救うためよ!」

 

フランから返ってきたのはこの場の誰も想像していなかった答えだった。

世界をこんなことにしている目的が世界を救うこと?

 

「何?」「救うだと?世界を破壊しているのはお前たちだ!」

 

「私は世界に不必要な部分を削除して繋ぎ合わせた。世界には存在してはならないものがある。」

 

「何だそれは!」

 

「・・・戦いよ。憎しみを生み出す戦いという概念。戦いを消さなければ大切なものが消えてしまうから。」

 

フランの目的は戦いを消し去ること。戦いを消さないと大切なものが消えてしまう。

フランの言う大切なもの。それがフランが戦いを消そうとしている理由。俺が知らなきゃならないもの。

 

「今日ここで全ての戦いを消し去る!さぁ多くの者たちに戦いの醜さを見せてあげましょう!」

 

フランが光を放つと客席にたくさんの観客が現れた。きっとこの人たちはフランがこれまでに消してきた人たち。

 

「フラン!翼とメイアはどこ?」

 

「あの二人はあそこ、フラウ・ア・ノートリアスの中にいるわ。この戦いであなた達を消すところを見てもらうためにね。」

 

翼とメイアはあの飛行ユニットの中に囚われているらしい。今の俺たちじゃ二人を助け出すことは出来ない。このまま戦うしかないのか。

 

「お前たちの相手は俺のイレブン。名付けてデストラクチャーズ!」

 

いつの間にかアスタがグラウンドに降りてきていた。

光と一緒にアスタの後ろに選手たちが現れる。

みんなアスタと似た髪色をしている。

 

 

「ねぇフェイ。」

「うん。あれはデュプリだね。」

 

「俺のはハイデュプリだ。手ごわいぜ!」

 

 

「天馬!サッカーの方は任せたぞ!」

 

「はい!バンさんたちも頑張ってください!」

 

バンさんたちはスタジアムの上に浮かんでいる岩盤で戦うらしい。

浮かぶ足場のようなもので飛んで行った。

いよいよ始まるんだ。世界の命運を賭けた試合が。

この戦いで俺の思いをフランたちにぶつけるんだ!

 

「よし、みんな!いこう!」

 

「「「おう!!!」」」

 

 

 

「・・・これで戦いは消える。」

 




いかがだったでしょうか?
雪村生存!雪村生存!
今回の話は書きながら自分で胸が痛くなってしまってました。
次回から試合パートになります。果たして翼とメイア、天馬とフランはどうなるのか。
LBXとの同時進行になるのが不安ですが頑張ります。

感想、コメントいただければ大変励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。