二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

80 / 83
共闘

『さぁいよいよ後半戦。デストラクチャーズボールで試合再開!』

 

 

「多少の想定外はあったが、今更遅い。」

 

後半戦開始のホイッスルと共にデストラクチャーズの攻撃が始まる。

アスタとデュプリの連携で攻め込んでくる。

映像で見てはいたけどやっぱり連携がスムーズで無駄がない。

 

「お前たちが出てきたからといって何ができる!」

 

素早いパスワークで神童先輩たちを躱してくる。

前半戦を戦ってたみんなはかなり体力を削られている。

アスタと二人のデュプリがゴール前まで切り込んできた。

前半の途中からずっと防戦一方だった。まずはここから流れを変えないと。

 

「霧野先輩、錦先輩!アスタをお願いします!」

 

「分かった!」「任せるぜよ!」

 

「学ばないやつらだ。ジニアス、カモミ!」

 

二人がマークにつくとすぐにアスタがパスを出した。

このチームは本職のDFが俺と霧野先輩しかいない中で逆転のために前のめりになってる。

だからここは俺一人で何とか止めるしかない。

化身は間に合わない今、二人を一人で止めるにはアスタリスクロックよりこっちだ。

 

「グランドスイーパー!!」

 

「何っ!?」

「きゃっ!」

 

「あれはザ・ラグーンの技!?」

 

エルドラドの仕事の関係で未来に行く機会があった時にフェーダのみんなとサッカーしたりするときもあった。その時にザ・ラグーンのみんなから教えてもらった必殺技が役に立つときが来た。

 

「俺だってちゃんと強くなってるんだよ!」

 

ルートエージェントの仕事があるからってサッカーの練習を疎かになんてするわけない。

こんなに楽しくて夢中になれるんだから。

 

「メイア!」

 

「OK翼!」

 

前半から続いていたデストラクチャーズの攻撃を止めることが出来た。

このカウンターのチャンスを逃すわけにはいかない。

奪ったボールを前線のメイアに回す。

敵としても本気で戦って、今は部活終わりに天馬と3人でよく特訓してる。

メイアの実力は俺が一番よく知ってる。俺にとって天馬と並んで最も信頼できるMFなんだ。

 

「久しぶりの試合、本気でいくわよ!」

 

あっと言う間に二人を抜き去り敵陣に切り込んでいく。

普段はマネージャーとして俺たちを支えてくれているから特訓やミニゲームとは違う本物の試合でプレーできる楽しさが背中から伝わってくる。

ガタイのいいDFのデュプリがメイアの突っ込んでいく。

 

「風神の舞!」

 

けどメイアは必殺技で抜いて見せた。

ラグナロクの時は化身シュート以外はギリスとの連携技が強烈だったけれどメイア個人の必殺技だって当然ある。その威力は俺も身に染みて知ってる。

 

「SARU!決めちゃって!」

 

メイアからSARUにパスが繋がる。

あの二人も久しぶりのチームだっていうのにやっぱり息はぴったりだ。

これまで何度も潰されてきたチャンスとは違って今度は完全なフリーだ。

 

「シェルビットバースト!!!」

 

「シャイニングホール・・・があっっ!?」

 

ラグナロクで散々苦しめられたSARUの必殺シュートがキーパーの必殺技を正面から打ちぬいた。

 

 

「決まった~~~!イナズマジャパン、見事なカウンターで一点差に迫る!」

 

 

「ナイスシュートSARU!」

「さすがね。」

「当然だろ?僕を誰だと思ってるんだい?」

 

メイアと一緒に三人でハイタッチを交わす。

この不敵な感じがSARUらしいな。

 

「相変わらず凄いシュートぜよ。」

「セカンドステージ・チルドレンの力を手放したのが嘘みたいだな。」

「メイアのプレーもラグナロクの時と比べても全然遜色ない。」

「けど今はこんなにも頼もしい仲間じゃないですか。」

「ていうか翼ってあんな強かったか?」

 

先輩たちや太陽のようにあまり一緒にプレーすることの無かったみんなはちょっと驚いてる。

けど今のプレーで完全にSARUのことも信頼してくれたみたいだ。

ていうか最後の誰?酷くない?

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「みんな!この流れに乗って同点に追いつこう!」

 

翼とメイアとSARUが悪い流れを変えてくれた。

さっきまでは前半からの悪い流れもあってSARUが入ってもぎこちないところがあったけど完全にチームに溶け込んでる。

いつも一緒にプレーしてる翼はもちろん、メイアもマネージャーとしてみんなをよく見てくれてるからそれぞれの能力を完全に把握してるからパスも正確だ。

フェイと太陽もクロノストームとザ・ラグーンの試合の経験がSARUとメイアとの連携に活きてる。

それぞれが嚙み合ってチームとして機能しているのを感じる。

 

「天馬、あの3人を中心にゲームを組み立てるぞ。」

「神童先輩・・・分かりました!」

 

後半から入って体力に余裕のある翼たちを攻撃と守備の中心に据える作戦。

さっきの攻撃を見てもそれがベストなのは俺にも分かる。

だけど3人に頼りっきりになるわけにはいかない。サッカーは11人でするスポーツなんだ。

それに俺はまだこの試合に、フランたちに全てをぶつけられていない。

俺がフランたちに伝えたいこと、分かってほしいこと。

 

『アスタがボールを持って上がっていくぞ!』

 

アスタはこれまで以上に激しいプレーをしている。

すごいパワーとスピード。ラフプレーという訳ではないけどかなり強引なプレーになってる。

1点差に詰め寄られて試合の流れが変わったのを感じてさっきまでの余裕が無くなってる。

この試合はアスタ、フランたちにとっても負けられない試合なんだ。

フランは言っていた。戦いは憎しみを生み大切なものが失われてしまう。まだ俺にはフランたちがどうしてこんなことをするのか分からない。けど今のアスタは俺たちの戦いを否定することしか考えられないでいるように見える。

 

「この程度で俺が止められるものか!」

「くっ・・・やるね!」

 

SARUとアスタがボールをめぐって体の寄せて競り合ってる。

あのアスタに食らいついているSARUは流石だ。

 

「けど君たちがどれだけ強くても僕たちは負けないよ!そんなんじゃあ何も守れないし何も変えられない!」

 

「お前に何が分かる!」

 

「分かるさ!君を見てると少し前の僕を思い出すよっ!自分たちの正しさを証明するために躍起になって、憎しみという心の牢獄に囚われている。本当に大切なものも見えていない!」

 

ラグナロクの試合中俺の中にSARUの意識が流れ込んできた。あの時のSARUはセカンドステージ・チルドレンと俺たちは違う存在で分かりあうことは出来ない、フェーダが世界を導く存在だってことを証明するんだっていう強い意志。確かにあの時のSARUに似ている。

けどSARUはあの試合でフェーダが同士ではなく友達だって気付いた。友達という大切ものを得てSARUは変わった。こうして肩を並べて戦えるようになった。ならアスタも。

 

「知った風な口を利くな!ディメンションストーム!!」

 

SARUを振り切りアスタが必殺シュートを放った。

エキシビションマッチと前半戦で見せた強力な必殺シュート。

 

「ミキシトランス!!」

 

けど強引にシュートしたから万全じゃない。

それに今は翼がいる。

 

「アスタリスクロック!!」

 

「何っ!?」

 

ミキシトランスした翼がアスタのシュートをブロックしてくれた。

遂にアスタを止められた。

 

「カウンターだ!天馬!」

 

「みんな上がれ!」

 

アスタが止められたことでデストラクチャーズが動揺してる。

目の前に二人迫ってきてる。俺が抜いてみせる。

 

「ミキシトランス、アーサー!」

 

翼たちが作ってくれた流れを切るわけにはいかない。

 

「王の剣!!」

 

アーサー王の力を借りて二人を抜いた。

まだまだ遠いけれど俺が目指す理想。アーサー王に教わったことは今も俺の心の中に根付いている。

 

「太陽!」

 

「ミキシトランス、孔明!」

 

さっきのゴールがあったからSARUのマークが厳しくなっているから太陽にボールを託す。

 

「天地雷鳴!!!」

 

太陽がミキシトランスしての必殺シュート。あの旅が終わってから太陽も力を磨いてたんだ。

 

「デスティニークラウド!!」

 

相手のキーパーもさっきとは違う必殺技を出してきた。

さっきよりも遥かに大きなエネルギーを感じる必殺技。この太陽のシュートをも食い止めてしまうのが分かった。だけど大丈夫だ。

 

『なんとゴール前に赤峰とメイアが走りこんでいる!!』

 

「二人とも!これでシュートチェインだ!」

 

「決めるわよ、翼!」

「特訓の成果を見せてやろうぜ、メイア!」

 

太陽は最初からゴールを狙ってはいなかった。

シュートを警戒されていない翼とメイアへのパス。

部活終わりに二人が特訓しているのをいつも見ていたあの必殺シュート。

 

「「デッドフューチャー!!!」」

 

 

『ゴーール!!イナズマジャパン同点に追いついた~~~!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「どうして彼らは・・・!」

 

フラウ・ア・ノートリアスの下で行われる二つの戦いはさっきまでと大きく戦況が変わってしまった。

アスタとサンによって完全に仲間割れを起こされ心の力が大きく弱まっていた。

それなのに今は二人が押されている。

あのSARUという男の子が連れてきた大量のLBX。

一機の力は大したことはないけれどサンの操るLBXとキラードロイドに反応して攻撃をしかけるようになっていたからレッドソルとブルーノーグの大半とキラードロイドが相打ちの形で機能停止してしまった。そのせいで当初の2vs7の状況にまで押し戻されてしまった。

セカンドステージ・チルドレン。メイア曰く私たちのように人の新たな可能性に目覚めた存在。

けれど今はその力を手放したという。なのに彼女たちは今アスタを追い詰めようとしている。

SARUが現れてから戦況は変わったように見えるけれどその直前から動き始めていた。

松風天馬と大空ヒロ。彼らの心はこの戦いでも一度も陰ることはなかった。

私たちの力を前にしても怯まず、仲間を信じぬいている。

 

『どうしてだよフラン・・・こんなことしちゃだめだ!』

 

「くっ・・・・!?」

 

あの時の松風天馬の言葉が、目がずっと私の心を刺し貫いてくる。

松風天馬は仲間だけじゃなく私のことも最後まで信じようとしてきた。

赤峰翼もメイアも彼らにとっての敵であるはずの私を否定せず気遣ってきた。

どうして戦いに溺れているはずの彼らの心から憎しみの炎を感じないの?

彼らの言うように戦いによって生まれるものがあるというの?

 

「そんなはずはない。・・・彼らは何も知らないだけ。」

 

彼らは何も分かっていない。彼らが楽しんでいる戦いの先にある未来がどうなるか。戦いが生む悲劇を。彼らは知る必要がある。

そうすれば彼らもきっと理解する。なら教えるしかない。あの結末を。

 

 




いかがだったでしょうか?
展開的に信助たちの出番が少なくなってしまって難しい。
元ラスボスが味方になった時に格を保ってくれると嬉しい派閥です。
主人公とヒロインの必殺技で見た目も最高なのにこの試合においては技名がなんとも・・・

感想、コメントいただけると大変励みになります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。