二度目の人生とフェーダの姫   作:プライムハーツ

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この小説を書き出して細部や忘れてるとこも多々あるのでクロノストーン見返してるんですがやっぱり面白いですね。

はい、ということでやっとです。

今回の誤変換ネタ 化身アームドの→化身アーム殿。
主にシュウとフェイのセリフでおきます。別にシリーズ化するつもりはありません。

はい。


邂逅

 

翌日

 

「それじゃあ、始めようか。」

シュウに連れられ特訓の場所に連れられていくみんな。

「俺はこっちだからまた後でな。」

「あれ?翼は一緒に特訓しないの?」

「うん。彼には一人で集中して化身の制御に取り組んでもらおうと思うんだ。」

「なるほど。お互い頑張ろう!」

「ああ!」

 

 

みんなと別れシュウに教えられた場所につく。

「なるほど。確かにここなら誰もいないし、プロトコル・オメガの連中の目にも止まらなさそうだ。」

森の中に少しだけ開けた場所で人目に付きにくく自然も感じられる心地いい場所だった。

ここなら集中して特訓ができそうだ。

「よし、やるか。」

まずは化身を制御できるような力加減を体に覚えこませる。

「破壊神デスロス!」

化身を自分の手で動かすイメージを持ちながら化身を呼びだそうとする。

だが

「くそ、加減しすぎたか。」

化身の呼び出しそのものに失敗する。

「もっと力を高まる必要があるか…」

今度はもっと力を高める。

「うおおおおおお!」

再度化身を呼び出す。

「破壊神デスロス!!」

今度は化身を呼び出すことに成功する。

「よし、このまま……ぐっ…」

しかし今度は化身に意識を持っていかれるような感覚に陥る。

まずいと感じ慌てて解除する。

「危なかった、あのままいくと間違いなく暴走していた…」

先日のプロトコル・オメガ2.0との戦いが頭によぎる。

「やっぱり俺自身の実力が足りてないのかな…けど、なんであの時はコントロール出来たんだ?」

初めて化身を呼び出した時のことを思い返し、一度思考に耽る。

そんな翼を木陰から見つめる人影があった。

 

「やっぱり、まだ化身を制御できていないみたいね。ただ、彼のあのプレーを見たところ実力自体は問題なさそうだしあとは力の出し方といったところかしら。」

翼が化身をコントロールしようと試行錯誤している様を見ていたメイアは、以前からの翼のプレーを思い返していた。

メイアは豪炎寺が天馬たちと別れた後、彼に接触した。

目的は彼らの目的地を聞き出すこと。詳しくは素性は明かさなかったが、彼らに敵対しているわけではないと判断した豪炎寺はメイアに彼らの目的地とゴッドエデンについてを話した。

その話を聞き、自分たちのルーツに関係ある場所ということもあり足を運んだのだった。

今朝ゴッドエデンについてからは遠目から雷門の様子を伺っていた。

すると翼一人が別行動を始めたのを見てこうして見に来たというわけだ。(それにしてもあの黒服の男の子。彼はなんとなくだけど私の存在に気づいていた気もするわね。…彼は一体何ものなのかしら…)

そんなことを考えていると翼が化身を呼び出すのをやめ思考の海に沈み始めたことに気づく。

(まあ、私の邪魔をしてこなかったしとりあえず問題はないわね。それより、いいタイミングだし、彼に接触しようかしら♪)

 

 

(思い出すんだ、初めてデスロスを出した時の感覚を)

唯一化身をコントロールできた、あのホーリーロード決勝のことを思い返す。

(あの時、俺は天馬たちとのドラゴンリンクとの戦いで初めて化身を呼び出した。あの時は自分の意志でデスロスを動かすことができていた。けど、)

「けど、いろいろありすぎてあの感覚を思い出せねえよ~~!」

どうしても感覚がつかめず声をあげた。

 

「何が思い出せないのかしら?」

「誰だ!?っっ!」

突如として背後から声をかけられ驚いてそちらを向くと一人の少女がいた。

「なかなか苦労してるみたいね。」

少女が笑いながら話しかけてくるが翼はから返答の言葉は出なかった。

外部の人間は知らないこの島に自分たちともA5とも違う存在がいる。

そんなありえないはずの状況にも関わらず、翼は思わず少女に目を奪われていた。

長いラベンダー色の髪に整った顔立ち。透き通るような綺麗な緑の瞳。貴族の着るような服にもなにかのユニフォームのようにも見える少女に見惚れ固まってしまう。

 

「て、あら?聞いてる?」

反応がない翼に少女が目の前で手を振り呼びかける。

「あ、ああ。ごめん、つい見惚れてて…じゃなくて!君は?」

何を言っているんだ俺は!

「ふふ、嬉しいこと言ってくれるわね♪初めまして、私はメイア。」

「メイアさんか。俺は赤峰翼だ。」

「メイアでいいわよ。それにしても、随分苦戦しているようね。化身の制御。」

「!? メイア、君は一体何者なんだ?なぜ俺の化身のことを知っている?」

初対面のはずの女の子がなぜ俺のことを知っている。この子は一体何者だ。

 

「私は200年後の未来からやってきたの。あなたの仲間の子やエルドラドのようにね。」

「エルドラドのことを知っているのか!?」

思いもよらぬ答えが帰ってきて驚く翼。

「ええ。これまでのあなたたちとエルドラドの戦いも見させてもらっていたわ。結構厳しい状況ね。」

どうやらメイアはこれまでの俺たちの戦いを見ていたらしい。

「あなたの化身、すごい力を持っているようだけど全然制御ができていない。暴走しないように加減すると呼び出せず、加減を間違えると暴走する。といったところかしら?」

「っっ!?」

自分の現状を言い当てられ思わず息を呑む。

「ああ。初めて化身を呼び出して以降、思うようにコントロール出来ないんだ。次に呼び出した時に暴走してからどうしたらいいか分からないんだ…」

初対面の女の子相手に不思議と悩みを打ち明けてしまう。

「なるほどね。つまり、化身を呼び出す時の力加減が分からないのね。…二度目に呼び出したときは全力で呼び出したの?」

そんな自分の話をメイアも真剣に話を聞いてくれているのが分かる。

「いや、そのときはちゃんと制御できるように加減したつもりだったんだ。だけど…」

「暴走してしまったのね…。ねえ、一回全力で化身を出してみてくれる?」

少し考える素振りを見せたメイアはそんな提案をしてきた。

「え?けど、力を抑えても暴走するのにそんなことしたら…」

「化身は人の心と気が極限にまで高まった時に現れる力が具現化した存在。無理に押さえ込むより、一度全力で呼び出したほうが良いかもしれない。幸い、ここなら誰にも迷惑をかけることも無いわ。」

「けど、それじゃあもしもの時に君が巻き込まれるかも…」

そんな不安をこぼす翼にメイアは不敵に微笑んでみせ、

「ふっ!!」

足元に転がっていたサッカーボールで凄まじい威力のシュートを背後の木に放った。

 

「もし暴走するようなことがあったら私が押さえ込んであげる。」

そういったメイアの背に化身の影が湧き出る。

「メイア、君は本当に何者なんだ?なんで俺に協力してくれる?」

今のシュート…もしかしてあのベータより…

「私はあなたたちと同じでエルドラドからサッカーを守りたいだけよ。あなたたちとは少し理由は違うかも知れないけどね。それに…」

「?」

「あなたの戦いを見てたら興味がわいたの♪」

「?なんだそりゃ。」

「いいから。さ、やってみて。」

なんだかはぐらかされた。けど、確かにさっきのシュート…おそらく彼女は俺より遥かに強い。なら・・・

「やってみるか!」

 

 

一旦メイアと距離を取り、集中力を高める。

「うおおおおおおお!」

これまでで一番気を高める。

「破壊神デスロス!!」

まず、化身を呼び出すことには成功する。

「まだよ!まだ力を抜いちゃダメ!力を込めながら精神を落ち着かせて。」

メイア言うように力は維持しつつ心と呼吸を落ち着けていく。そして、

「出来た…出来た!」

デスロスを呼び出したまま安定させることが出来た。

メイアの方を向くと少し誇らしげに微笑みかけていた。

「ね、言ったとおりでしょ?」

デスロスを解除し彼女に歩み寄る。

「うん。けどどうして…」

どうして彼女はこんなにもあっさりと…

「あなたは化身は制御するには自分の力で抑え込まないといけないと思い込んでたのよ。さっきも言ったように化身は本来力を極限まで高めるもの。中途半端な力で操ろうとするのは逆効果ってこと。特にあなたの化身は強力だし尚更ってことね。それと」

「それと?」

「一度暴走してしまったことでまた暴走するのを恐れて余計に力が出せなくなっていたのよ。」

「なるほど。確かに俺はこいつを押さえ込むことばかり考えていて力を解放することは考えてなかったかもしれない。」

「ええ。あなた自身の力は化身を操るには十分だった。あとは力の使い方と気持ちの問題だったのよ。」

「そしてここなら誰にも迷惑をかけず、何かあっても君が止めてくれることで安心して力を発揮できたってことか。」

言葉にしてみればシンプルなことだった。

「ええ。おめでとう、これでエルドラドとも戦えるわね。」

「ああ!本当にありがとう。君のおかげだよ。」

けど、きっかけを与えてくれたのはあって間もないメイアだった。不思議な子だと思った。

 

 

「その…良かったら俺たちと一緒に闘ってくれないか?君がいれば…」

メイアが居てくれればとても心強い。そう思いチームに誘うが

「ごめんなさい、それは出来ないの。私はあまり表立って行動はできないの。」

メイアは首を横に振る。

「そうか。分かった。」

無理をいうわけには行かない。未来から来ているんだ。いろいろ事情があるだろう。

「大丈夫。あなたたちならきっと大丈夫よ。今戦っているお仲間さんたちも少しずつ強くなってる。」

「…ああ!…って今戦ってる!?」

聞き捨てならないことが聞こえた。

「ええ、彼らは今、エルドラドと戦ってるわよ。」

気づいてなかったの?とばかりに返してくるメイア。

「なんで早く言ってくれないんだよ!まずい、早く行かなくちゃ!!」

大急ぎで天馬たちの元に向かおうとする翼。

「もう間に合わない気もするけど…」

「分からん!けど、とにかく急がなきゃ!」

「あ、ちょっと待って!」

「何だ?」

「あなたは怖いと思わないの?自分の知らない力をもった未知の敵が相手で。」

「思わないね。未知の出来事なんてこの世界じゃ当たり前だ!それに自分の知らない強いやつとサッカーできるなんてワクワクするだろ?エルドラドのやってることは許せないけど、この気持ちは変わらない!」

そうあっけらかんと言い切る翼。彼からしてみれば、この世界の人の必殺技や身体能力も未知のものばかりだった。今更おじけづくこともがないのは当たり前なのかもしれない。

だが翼の事情を知る由も無いメイアはあっけらかんとした反応に初めて驚いたような顔をする。そんな表情もすぐに笑顔に変わる。

「ありがとう。もう行っていいわよ。バイバイ、また会いましょう、翼♪」

そういってメイアは別れを告げる。

「おう!またな、メイア!」

「あ、お仲間には私のことは内緒にしておいてね!約束よ!」

「了解!本当にありがとう!」

そう言い残して翼は走り去っていった。

 

「ふふ♪本当に面白い人ね♪これからも楽しみだわ。」

彼は果たして自分のこの力を知った時も同じ反応をするだろうか。自分たちの時代で化物や悪魔と言われるこの力を。

「けど、彼ならもしかすると… ふふっ♪」

 

「いた!お~いみんな!」

大急ぎで島の北側に戻ってきた翼はフェイたちの姿を見つけ叫んだ。

「翼、こっちこっち!」

翼に気がついたフェイが手を振り呼ぶ。

「ごめん、特訓に夢中になってて気がつかなかった。」

「ううん、こっちもいきなり始まったから呼びに行けなかったんだ。」

「なるほどな。で、状況は?」

「今のところ厳しいね。みんな化身アームドに意識を割かれて流れを取りきれていないんだ。」

そう言われ試合を見る。確かに攻めに転じたいところで前にできれていない。

徐々にジリ貧になっていく中シュウが立ち上がった。

「ワンダバ!僕と天馬を一つにしてくれ。」

「何!?それはミキシマックスのことか!?」

「君はミキシマックスも知っているの?」

シュウは天馬と自分のミキシマックスを申し出た。化身アームドといいシュウは本当になんで知っている。

「うん。みんなの高まった気持ちを押し上げてやりたいんだ!」

「分かった!!」

そういってワンダバがミキシマックスガンを構える。

 

「天馬!ミキシマックスだ!!」

「え~!お、俺~!?」

ワンダバが叫ぶと同時にシュウのオーラを天馬に注ぎ込む。

「ミキシマックス、コンプリート!!」

ミキシマックスが成功し、そこには髪が黒くなり、シュウの前髪がついた天馬の姿があった。

「シュウ、大丈夫か?」

力を吸い出され、少しふらつき膝をついたシュウに手を貸す。

「うん、大丈夫だよ。」

 

「すごい。力が溢れてくる。行くぞ!」

そういって天馬は動き出しあっというまにレイザを抜き去る。

「僕の力が天馬を引き上げる。守りたいものへの天馬の思いに僕の思いを重ねる。そしてそれが化身アームドの力を呼び起こす。」

続けて天馬はエイナム達も抜き去り、残すはキーパーのみとなった。

「シュウ。俺はこの力に応える!」

「今だ天馬!君自身の力を解放するんだ!」

シュウの言葉に応じ、ミキシマックスを解除する天馬。そして

「魔神ペガサスアーク!アームド!!」

ペガサスアークが天馬の身にまとわれていく。

「ついに出来た!」

ついに化身アームドを成功させた。

「行っけぇぇぇ!!」

そして天馬のシュートがゴールに突き刺さる。

「やったああああ!」

サッカーバトルは俺たちの勝利で終わりA5は速やかに撤退していったのだった。

 

「ありがとう!シュウ!」

「僕は背中を押しただけだよ。」

勝利を喜ぶみんな。

「これで君はまた一つ強くなった!これからの戦いで大きな戦力になるね。

「うん。次はみんなの番です!」

俺が一歩進んだと思ったら天馬は更に先に進んだ。親友として嬉しくもあり、悲しくもある。

「そういえば、翼の方はどうなったの?」

「俺か?俺の方もついに化身を制御できたぜ!」

「ほんとに!?やったーー!」

「どうやって制御できるようになったんだい?」

フェイが訪ねてくる。

「それはその~~…そう!この島の不思議な力のおかげで感覚がつかめたって感じかな!」

メイアとのことは口止めされているのでなんとかはぐらかす。

「なんだそれ?」

「この島の神様のおかげかもな。うん。」

みんなに疑惑の眼差しを向けられるがなんとか押し切る

そんなやり取りをしていると葵の電話に音無先生からの着信が入り、早く戻ってきて欲しいとのことだった。

 

「シュウ!一緒に来てくれないか?俺たちのチームに入って一緒にサッカーを守ってほしい。」

去り際、天馬はシュウに力を貸して欲しいと頼み込む。

「…ごめん。僕は行けない。僕はこの島を守らないといけないんだ。それは、とても大事なことなんだ。」

しかし、シュウは首を縦には振らなかった。何か事情がありそうな雰囲気を醸し出しながら。

「…分かった。」

「ごめんね、天馬。特訓したければいつでもここに来ればいい。そのときは協力するよ」

「うん!」

 

そうして俺たちはゴッドエデンを後にした。

シュウ。あいかわらず不思議なやつだった。

天馬も窓の外を見やりながら物思いにふけっていた。

「いい仲間がいるんだね。」

フェイがそんな天馬に声をかける。

「ああ!」

シュウとの、これまでの皆との出会いや戦いは俺たちの力になっている。

この世界に生まれ変わって、彼らと出会えて本当に良かった。

そして、今回出会った不思議な女の子、メイアとも。

翼の脳裏からは彼女のことが離れずにいた。

 




いかがでしたでしょうか。
ようやく二人を絡ませることが出来た…
ラグナロクの試合を見るにメイアはパーフェクトカスケイドとの戦いを経てミキシマックスしたみんなやムゲン牢獄で修行後のアルファたちよりもワンランクは上の力はあると思う(そもそもラスボスチームのNo.2だし)ので、雷門やプロトコル・オメガよりかなり強いんだろうなと思います。

化身の制御に関してですが、なにごとも一度失敗すると思うように力をだせないということはよくある事でそれは意識の問題ということが多いです。その手の問題はきっかけさえあれば案外簡単に解決したりもするものですがそのきっかけを与えるのが難しいことが多いですね。

それにしてもメイア可愛いし勝手に話し出してくれて助かります。もっと絡ませたいよ~。

次回からは覇者の聖典編ですがその後からが本番なのでさっくり目に行きたいですね。
あと日常パートも挟みたいな。

感想、ご指摘あれば是非お願いします。

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