ダゴバの軌道に出て着陸すると、懐かしいものを感じた。
私の予見だとルークは今、マスター・ヨーダの訓練を受けている。自分もイニシエイトの頃に受けたけど、マスターの訓練は厳しい。せっかくマスターの家から離れた場所に着陸したのに、気になって覗きに来てしまった。
ルークはマスターを背負って、木々の上を跳び渡る。しかし、集中力が途切れて木から落ちてしまった。
笑いを堪えた私を褒めてほしい。
「堪え切れておらんぞ、アリス。そこにいるのは分かっておる、大人しく出でよ。」
「バレてましたか。」
木の根っこを跨ぎ、マスターに頭を下げる。
R2が嬉しそうに電子音を鳴らしてきて、撫でてあげた。
「久しゅうのぅ、アリス。」
「マスターもお元気そうで。」
「アリス、」
「ルーク、独断でルート変更したね?」
「お前も昔はそうじゃったろう。」
「いえ、今もです。」
ルークが訂正する。
そんなことあるわけない、はず。これでも反乱軍の意向には従っている。それくらいは成長しているつもりだ。
「アリス、この子はお前の性も継いでおる。似た者同士じゃぞ。」
「いいえ、マスター。ルークは私より遥かに才があります。」
「ツタミニスを使うお前が言うか。」
「ツタ……え?」
「それは不可抗力です。」
ツタミニスを会得したのは、本当に不本意だ。
「ルーク、一旦飯にしよう。」
持ってきた栄養バーを2人に分け、昼食に入った。
今のところ、ルークは少し忍耐が付いてきている。ただ、感情に左右されなければの話。周りが見えなくなれば、それも意味がなくなる。私は一度忍耐力が欠けて、シスに囚われた。その間違いを、ルークに犯してほしくない。
「アリス、妙な気配がする……」
ルークの視線を追うと、そこには暗闇があった。感じたものに、私は表情を歪めてしまう。それを見たルークは、その正体を問う。
「あれは……?」
「寒気がするじゃろう。」
「はい。何なんですか?」
「あれは、暗黒面の支配域じゃ。」
その闇は、暗黒面のフォースが渦巻いている。ダゴバはフォースで満ちているけど、光明面のフォースだけじゃない。当然、暗黒面のフォースもある。
「入ってみろ。」
マスターの言葉に、ルークは暗闇の中に入っていく。ブラスターとライトセーバーを腰に着けると、マスターはルークを止める。武器は置いていけ、と。
「武器は不要じゃ。」
だが、ルークはそれを無視して暗闇へ進む。
弟子が奥に消え、私は溜め息を吐く。
私には暗闇の意味が分かる。あれは、自身の闇だ。要は、自分の中の暗黒面と向き合うことになる。
「教え子が心配か?」
「心配しない師がいるとでも?」
「その言葉、お前の師にも当て嵌まるのじゃぞ。」
「ええ、存じています。」
何度もマスターの声が聴こえた。私の馬鹿な真似を止めようとしてきた。それを聞かずに、苦痛を受け入れたのは私自身。
デス・スターで拷問を受けたのも、自分のせいだ。
『その苦痛を耐えたから、今のお前がある。』
オビ=ワンの声が聴こえた。
亡き友の声に、マスター・ヨーダも頷く。
「アリス、教えるだけが師ではない。共に乗り越えるのも、師の務めじゃ。我々は、スカイウォーカーに期待を押し付けた。わしも、お前もな。」
マスターの言うスカイウォーカーとは、アナキンのことだ。
アナキンは選ばれし者として、評議会から期待されていた。シスを倒してくれると、そう信じていた。ところが、倒されたのはジェダイ・オーダーだった。
私やオビ=ワンがもっとアナキンに寄り添えていたら、アナキンはここにいたかもしれない。
「お前は、ルード議員の為に暗黒面を拒んだ。だが、スカイウォーカーはアミダラ議員の為に暗黒面を求めた。その違いを理解せよ。」
「はい、マスター。」
その時、ルークが暗闇から戻ってきた。
転がり出てきて、荒い息をする弟子に手を貸す。
中で何かあったのは確実だ。何を見たのかは、本人にしか分からない。その意味も、本人にしか理解できない。
「あの中に、“あいつ”がいた!」
「あれは、あんたの恐怖と怒り。」
「恐怖と怒り?」
「左様。あの闇は、お前が恐れ、怒りを抱いている対象を見せる。恐怖は克服せねばならん。」
ルークは何をすべきか分かったようで、私達に向き直る。
「訓練に戻ります。」
「よくぞ言った、若きスカイウォーカー。」
訓練が再開され、マスターによる指導が再び始まる。
ルークが次に始めたのは、逆立ちしてテレキネシスを使う訓練だ。どんな状況でも、フォースを使える精神力が求められる。その為の訓練だ。
「この訓練、アリスも…?」
「やったよ。最高で6時間逆立ちしたことがある。」
「6時間!?」
「アリスも忍耐が足りんかったのじゃよ。」
「マスター、そんな細かいことまで思い出さないでください。そんな小さいことより、憶えてなきゃいけないことは他にあるでしょう。」
「小さいことも大きいことも憶えとるぞ。アリス、お前のヤンチャもな。」
「やめてくださいってば!」
私の真っ赤な顔に、マスターは笑う。
年寄りって、そういうところまで憶えてるんだよね。私の若い頃の話はやめてくれ。しかも、弟子の前で。
ルークの前じゃなくても、そういうのは黙っててほしい。
「アリスの師が厳しいというのは本当みたいだ。」
「だから厳しいって言ったじゃん。ほら、逆立ち!」
ルークが逆立ちして、フォースを使い始める。R2が浮かび、辺りの石も浮き始める。その状態のまま、浮かせた石を積ませる。
「そのまま続けるのじゃ。」
不安定な石積みの上に更に石を乗せていき、ルークの集中力が上がっていく。
しかし、そこでルークは突然集中力を切らせてしまった。石が崩れ、ルークの身体は倒れる。R2も悲鳴を上げながら落ちた。
「あれは……!」
「どうしたの?」
「あれは、貴女でした、アリス。」
「私?」
「アリスは、皇帝のせいでその姿のままなのか?」
どうやら、私の過去が見えたらしい。見たいと思わなければ、過去は見れない。ルークは、私の過去を知りたがったんだ。
あの恥ずかしい咽せ込み姿を見られたかと思うと、居た堪れない。
「何を見たの?」
「アリスが、緑の煙を浴びているのを見た。あれは何なんだ?」
「シスの秘術じゃ。」
「シス!?そんな……アリス、大丈夫なのか!?」
「私のことは良いから。この呪いのことはもう諦めてるし。自分のことに集中して。」
ルークとマスターから離れ、一人で木の幹に座り込む。
そう、私は呪われている。この頃、外見のことを言われても気にしなくなっていた。だが、これはシスの秘術によるもの。最近、ただの不老とは思えなくなってきた。22年も代償がなく、ずっと老けないはずがない。恐らく、裏に何かあるだろう。
シディアスの狙いが分からない。
無知とは、恐ろしい。
わーい、100話目だー(棒)
何か企画欲しい?
頑張りますよ?