【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

102 / 173
師としての義務

数日間瞑想して過ごした後、ルークとマスターの下へ戻る。

 

マスターがみっちり訓練したお陰か、ルークはフォースとの繋がりが強くなっていた。さすがはアナキンの子だ。やはり父の才を継いでいる。

 

不穏な空気に、R2の言葉を聞いて沼へ目を向けると、ルークのXウィングが沼に沈んでいた。

 

ルークは項垂れ、大きすぎて持ち上がらないと弱音を吐く。

 

 

「アリス……」

 

 

悲しそうな表情に手を貸したくなるけど、ここは耐えなければならない。

 

 

「ルーク……あれを引き上げないと、帰り道はないよ。」

「無理だ。大きくて、重たいんだ。」

「大きさは関係ない。わしを見ろ。小さいから弱いのか?」

 

 

その言葉に、ルークは口を噤む。

 

マスターの言葉に、間違いはない。フォースには無限の可能性がある。大きさや重さは関係ない。

 

 

「ルーク、私の目を見て。」

「なんだよ!」

「私の目を見て。私がジェダイ・マスターだから、フォースの扱いが簡単だと思ってる?」

「違うのか?」

「全然違う。私がナイトになる前には、あのスターファイターを持ち上げられてた。今のあんたも同じなの。ほら、やって。」

 

 

私の叱咤に、ルークは沼を見る。

 

 

「分かった。やってみるよ。」

「やってみるではなく、やるのじゃ。試しはいらん。」

 

 

マスターに頷き、ルークは手を沼に向ける。

 

フォースを操り、Xウィングは次第に浮いてくる。

 

 

「………!」

 

 

しかしルークの集中力は続かず、Xウィングは再び沈んでいく。

 

 

「やっぱり無理ですよ……」

 

 

未熟な教え子は、上着を着て沼に背を向ける。

 

いくらフォースを使えても、固定概念が抜けなければ意味がない。ルークはそれを分かっていない。フォースに普通の概念は通じないのだから。

 

マスターは、小さな溜め息を吐く。

 

 

「アリス」

「はい、マスター」

「手本を見せてやれ。」

 

 

マスターの指示に従い、沼に意識を向ける。フォースを使って、沈んだXウィングを水底から引き上げる。水面から顔を出したXウィングを陸に降ろし、ルークに笑顔を見せた。

 

スターファイターを引き上げた私に、ルークは唖然としていた。

 

 

「まさか……信じられない!」

「だからできんかったのじゃ。」

「フォースは全てのものに宿る。至るところにね。ルーク、フォースを信じなきゃ、できることもできないよ。」

 

 

そして、次の訓練が始まった。

 

今度の訓練は、片手で逆立ちしたままフォースと繋がる訓練だ。片手のみでバランスを取らなければならず、集中するのは難しいだろう。それをルークにやらせて、辺りの石が浮かび上がる。

 

 

「そう、そのまま集中するのじゃ。」

 

 

そこで、ルークはまた何か見えたようで、ソロとレイアの名前を呟く。集中が切れたルークは、バランスを崩し倒れてしまう。

 

 

「ハンとレイアが……!」

 

 

私を見て、ルークは見たものを話す。

 

見えたのは、ソロとレイアが苦しむ姿。助けを求めていたという。ルークは親しい人達のヴィジョンに、動揺していた。

 

 

「お前が見たのは未来じゃ。」

「未来!?では、起こる前に助けに行かなくては!」

「ルーク、冷静になって。あんたが見たのは、未来の一部に過ぎない。もしこれが罠ならどうするの?」

「罠でもいい。僕は助けに行く。」

 

 

ルークは訓練が終わっていない。それなのに、Xウィングに乗ろうとしていた。オビ=ワンも姿を現し、ルークを止めようと諭す。

 

 

『ルーク、行ってはならん。』

「ハン達が死ぬ!」

「今行けば、彼らが命を懸けた意味がなくなる。それを無にするつもりか?」

「フォースを使って助けます!」

 

 

やはりルークは、聞く耳を持たない。こういうところも、父親そっくりだ。仲間が危険だと知れば、助けに向かう。アナキンと同じだ。

 

止めたいけど、アナキンを見ているようで口にできなかった。

 

 

『皇帝は君と、アリスが欲しくて友達を苦しめるのだ。』

「アリスまで……?」

「アリスが黙っていられると思うか?」

「だったら……どうして助けてくれないんだ!」

『今2人が動けば、お前は暗黒面に取り込まれ、ヴェイダーの狙い通りになる。アリスはそれを理解しているのだ。』

「でも、僕は助けに行く。一人だとしても行きます。」

 

 

ルークはエンジンを立ち上げ、Xウィングに乗り込む。必ずダゴバに戻ることをマスターに約束して、発っていった。残された私は、Xウィングが小さくなるのを見つめるしかなかった。

 

本当なら、私は師としてルークを止めなければならなかった。

 

どうしても、行くなとは言えない。

 

 

「アリス、弟子はお前にも似たのぅ。」

「そんなことは……」

『お前があの歳の頃なら、行かぬという選択肢はないだろう?』

「ヴィジョンは無理に変えてはならない。それが鉄則でしょう。」

「いつからルールを守るようになったのじゃ?ん?」

 

 

いや、私は最初からルールを守っていない。アナキンと親友になった時点で、ルールを破ったも同然だ。ルークとレイアを守りたいと思うのも、本来ならあってはならない願いだ。

 

だが、決まりは破ってこそのものだ。

 

 

『お前も行くのだな。』

「今のルークじゃ、ヴェイダーに太刀打ちできない。誰かがそれを教えなきゃ。」

「アリス、待て。」

 

 

Aウィングに向かおうとすると、マスターに呼び止められる。

 

 

「ルード議員の為にも、命を投げ出すでないぞ。」

「承知してます、マスター。」

『アリス、フォースと共にあらんことを。』

「フォースと共に、オビ=ワン。」

 

 

マスターの家から離れ、私はAウィングに乗る。エンジンシステムを立ち上げ、離陸した。軌道に出た後、惑星ベスピンの座標を入力する。

 

瞑想の最中、自らの意志に反してルークを鍛えてきたというイレギュラーのお陰か、いくつかの記憶を思い出せた。

 

クラウド・シティにはランド・カルリジアンがいて、レイア達はヴェイダーに捕まる。ルークが見たのはその一部だ。未来はまだ定まっていない。

 

ハイパースペースに入った後、深呼吸する。

 

訓練はオビ=ワンに頼まれたことだったけど、迷っていたのは最初だけだ。

 

 

「運が良ければ……」

 

 

間に合う。

 

フォースに意識を集中して、レイア達の様子を探る。

 

ソロは拷問され、レイアとチューバッカは檻に閉じ込められている。ヴェイダーの目的はルークだ。ルークを誘き出そうとして、ソロを拷問している。

 

弟子はまんまとその罠に乗っているわけだ。

 

 

「うわぁ、マジで雲。」

 

 

ハイパースペースを抜けて、Aウィングはベスピンの軌道へと出た。

 

雲を抜けると、クラウド・シティの警察隊か帝国軍か分からないけど、後方から攻撃される。

 

そりゃあ撃たれますよね、ここはもう帝国の指揮下だもん。

 

レーザー弾を避けつつ、プラットフォームを目指した。帝国軍はさて置き、これがクラウド・シティの警察隊なら撃ち落とすわけにはいかない。落としたくないけど、私だって撃墜されたくない。

 

その数秒後、敵機が後方に迫り、レーザー弾が撃たれる。

 

そして、私のAウィングは撃墜されたのだった。

 

 






この後は小話を更新します!
安定のネタ回ですw
よろしくお願いします(`・∀・´)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。