数日間瞑想して過ごした後、ルークとマスターの下へ戻る。
マスターがみっちり訓練したお陰か、ルークはフォースとの繋がりが強くなっていた。さすがはアナキンの子だ。やはり父の才を継いでいる。
不穏な空気に、R2の言葉を聞いて沼へ目を向けると、ルークのXウィングが沼に沈んでいた。
ルークは項垂れ、大きすぎて持ち上がらないと弱音を吐く。
「アリス……」
悲しそうな表情に手を貸したくなるけど、ここは耐えなければならない。
「ルーク……あれを引き上げないと、帰り道はないよ。」
「無理だ。大きくて、重たいんだ。」
「大きさは関係ない。わしを見ろ。小さいから弱いのか?」
その言葉に、ルークは口を噤む。
マスターの言葉に、間違いはない。フォースには無限の可能性がある。大きさや重さは関係ない。
「ルーク、私の目を見て。」
「なんだよ!」
「私の目を見て。私がジェダイ・マスターだから、フォースの扱いが簡単だと思ってる?」
「違うのか?」
「全然違う。私がナイトになる前には、あのスターファイターを持ち上げられてた。今のあんたも同じなの。ほら、やって。」
私の叱咤に、ルークは沼を見る。
「分かった。やってみるよ。」
「やってみるではなく、やるのじゃ。試しはいらん。」
マスターに頷き、ルークは手を沼に向ける。
フォースを操り、Xウィングは次第に浮いてくる。
「………!」
しかしルークの集中力は続かず、Xウィングは再び沈んでいく。
「やっぱり無理ですよ……」
未熟な教え子は、上着を着て沼に背を向ける。
いくらフォースを使えても、固定概念が抜けなければ意味がない。ルークはそれを分かっていない。フォースに普通の概念は通じないのだから。
マスターは、小さな溜め息を吐く。
「アリス」
「はい、マスター」
「手本を見せてやれ。」
マスターの指示に従い、沼に意識を向ける。フォースを使って、沈んだXウィングを水底から引き上げる。水面から顔を出したXウィングを陸に降ろし、ルークに笑顔を見せた。
スターファイターを引き上げた私に、ルークは唖然としていた。
「まさか……信じられない!」
「だからできんかったのじゃ。」
「フォースは全てのものに宿る。至るところにね。ルーク、フォースを信じなきゃ、できることもできないよ。」
そして、次の訓練が始まった。
今度の訓練は、片手で逆立ちしたままフォースと繋がる訓練だ。片手のみでバランスを取らなければならず、集中するのは難しいだろう。それをルークにやらせて、辺りの石が浮かび上がる。
「そう、そのまま集中するのじゃ。」
そこで、ルークはまた何か見えたようで、ソロとレイアの名前を呟く。集中が切れたルークは、バランスを崩し倒れてしまう。
「ハンとレイアが……!」
私を見て、ルークは見たものを話す。
見えたのは、ソロとレイアが苦しむ姿。助けを求めていたという。ルークは親しい人達のヴィジョンに、動揺していた。
「お前が見たのは未来じゃ。」
「未来!?では、起こる前に助けに行かなくては!」
「ルーク、冷静になって。あんたが見たのは、未来の一部に過ぎない。もしこれが罠ならどうするの?」
「罠でもいい。僕は助けに行く。」
ルークは訓練が終わっていない。それなのに、Xウィングに乗ろうとしていた。オビ=ワンも姿を現し、ルークを止めようと諭す。
『ルーク、行ってはならん。』
「ハン達が死ぬ!」
「今行けば、彼らが命を懸けた意味がなくなる。それを無にするつもりか?」
「フォースを使って助けます!」
やはりルークは、聞く耳を持たない。こういうところも、父親そっくりだ。仲間が危険だと知れば、助けに向かう。アナキンと同じだ。
止めたいけど、アナキンを見ているようで口にできなかった。
『皇帝は君と、アリスが欲しくて友達を苦しめるのだ。』
「アリスまで……?」
「アリスが黙っていられると思うか?」
「だったら……どうして助けてくれないんだ!」
『今2人が動けば、お前は暗黒面に取り込まれ、ヴェイダーの狙い通りになる。アリスはそれを理解しているのだ。』
「でも、僕は助けに行く。一人だとしても行きます。」
ルークはエンジンを立ち上げ、Xウィングに乗り込む。必ずダゴバに戻ることをマスターに約束して、発っていった。残された私は、Xウィングが小さくなるのを見つめるしかなかった。
本当なら、私は師としてルークを止めなければならなかった。
どうしても、行くなとは言えない。
「アリス、弟子はお前にも似たのぅ。」
「そんなことは……」
『お前があの歳の頃なら、行かぬという選択肢はないだろう?』
「ヴィジョンは無理に変えてはならない。それが鉄則でしょう。」
「いつからルールを守るようになったのじゃ?ん?」
いや、私は最初からルールを守っていない。アナキンと親友になった時点で、ルールを破ったも同然だ。ルークとレイアを守りたいと思うのも、本来ならあってはならない願いだ。
だが、決まりは破ってこそのものだ。
『お前も行くのだな。』
「今のルークじゃ、ヴェイダーに太刀打ちできない。誰かがそれを教えなきゃ。」
「アリス、待て。」
Aウィングに向かおうとすると、マスターに呼び止められる。
「ルード議員の為にも、命を投げ出すでないぞ。」
「承知してます、マスター。」
『アリス、フォースと共にあらんことを。』
「フォースと共に、オビ=ワン。」
マスターの家から離れ、私はAウィングに乗る。エンジンシステムを立ち上げ、離陸した。軌道に出た後、惑星ベスピンの座標を入力する。
瞑想の最中、自らの意志に反してルークを鍛えてきたというイレギュラーのお陰か、いくつかの記憶を思い出せた。
クラウド・シティにはランド・カルリジアンがいて、レイア達はヴェイダーに捕まる。ルークが見たのはその一部だ。未来はまだ定まっていない。
ハイパースペースに入った後、深呼吸する。
訓練はオビ=ワンに頼まれたことだったけど、迷っていたのは最初だけだ。
「運が良ければ……」
間に合う。
フォースに意識を集中して、レイア達の様子を探る。
ソロは拷問され、レイアとチューバッカは檻に閉じ込められている。ヴェイダーの目的はルークだ。ルークを誘き出そうとして、ソロを拷問している。
弟子はまんまとその罠に乗っているわけだ。
「うわぁ、マジで雲。」
ハイパースペースを抜けて、Aウィングはベスピンの軌道へと出た。
雲を抜けると、クラウド・シティの警察隊か帝国軍か分からないけど、後方から攻撃される。
そりゃあ撃たれますよね、ここはもう帝国の指揮下だもん。
レーザー弾を避けつつ、プラットフォームを目指した。帝国軍はさて置き、これがクラウド・シティの警察隊なら撃ち落とすわけにはいかない。落としたくないけど、私だって撃墜されたくない。
その数秒後、敵機が後方に迫り、レーザー弾が撃たれる。
そして、私のAウィングは撃墜されたのだった。
この後は小話を更新します!
安定のネタ回ですw
よろしくお願いします(`・∀・´)