アンテナにしがみつき、安堵の息を吐く。
どうにか上手くいった。
考えた末に、私は都市の下に回り込むことにしたのだった。
撃ち落とされる直前、ガスを吸わないギリギリの高度で飛び、オートパイロットにしてから窓を開けて、コックピットから飛び出した。Aウィングが撃墜されたのは、アンテナに掴まった直後だった。撃ってきたパイロットは、乗っていた私も死んだと思うだろう。
ライトセーバーでシャッターを強引に開け、中に這い登る。
またインターセプターを没にしてしまった。
「ジェダイ・マスターじゃなくて、クラッシュ・マスターかよって。」
シディアスが見ていたら、絶対大笑いするだろう。あいつのせいでこんな目に遭ってるのに。なんか、腹が立ってきた。私を鑑賞しているのがバレて、ヴェイダーにキレられればいいんだ。
「よいしょー!」
マンホールを押し上げると、男の子2人が私を見ていた。
10代くらいの男の子達で、勉強中らしい。パネルに映った問題集より、私に気がいってしまったようだ。申し訳ない。
「あー、ごめんね。」
「いえ……」
「それ、答え違うよ。」
「え?」
「その単語は知るという意味であって、理解するって意味じゃない。」
男の子はタブを切り替えて調べ、私の説明が本当だと知る。
「もしかして、ライロス語が分かるんですか!?」
「あぁ、うん。邪魔してごめんね。んじゃ!」
「待ってください!」
お邪魔しましたと言って部屋を出ようとすると、男の子達に引き止められる。
「今は出ない方がいいですよ。」
「どうして?」
「帝国軍がいるんです。迷い込んだ貴女が見つかれば、面倒なことになりますよ。」
「こいつの親父、執政官の下で働いてるんだ。」
なんて優しい子達!
だけど、帝国軍に構ってる暇はない。そんな余裕はないが、一刻も早くルークを探し出さなければならない。帝国軍が捌けるのは待てない。
「ここの執政官って誰だっけ?」
「ランド・カルリジアンです。」
「坊や達、抜け道教えてくれない?」
「坊や?」
「あんた、そんな歳でもないだろ。」
おっと、いけない。中身は50歳だから、そういう言い方になってしまった。気を付けないと。
「とにかく、抜け道教えて?」
「簡単です。」
「ここには町を張り巡る地下水道があります。その地下道を抜ければ、町の中心に出られますよ。」
「でも、貴女は一体……」
「えーっと、気にしないでー。ただの通りすがりのお姉さんだから。教えてくれてありがとう。」
お姉さんを強調した?そんなことはない!!
男の子達が教えてくれた地下道に入り、中心部に向かう。フォースを探る前に、案内標識を見つけた。とても親切に、執政局の標識まであった。
なんて優しい町なんだろう。いや、違うか。
執政局の真下に着き、私は上階へと登る。シャッターを開け、中に侵入する。執政官室にいるであろう男を見つけ、ライトセーバーを彼の喉元に添えた。
左腕のアームカフを見た男は、即座に私の正体に気付く。
「あんたは……」
「久しぶり、カルリジアン。」
「なぜここに……?」
「あんたが帝国に従ったと知ってね、遥々来てあげたの。レイア達はどこ?」
最初は優しく言ったが、最後の問いは怒りを込めてしまった。しかし、私の本気は伝わったらしく、カルリジアンは殺す気はないと弁解する。彼はそう言い張るけど、レイア達をどうするか決めるのはカルリジアンではなく、帝国、強いて言えばヴェイダーだ。この男に決定権は無いに等しい。
「待て。俺はまだ何もしていない。」
「まだ、でしょう?どうするの?私と敵対する?」
カルリジアンにはダンタムとの密会で世話になったが、その恩として見逃す気はない。レイア達を危険に曝すなら、恩を仇に変えてやるつもりだ。ダンタムも、止めはしないだろう。
「あんたと敵対はしない。」
「へぇ。じゃあ、行動で証明して。」
「おい、あんたはどこへ行く?」
「小さな探し物を見つけに行く。」
カルリジアンからライトセーバーを離し、執政官室を後にする。
フォースを頼りに走っていると、何かが起きたのを感じた。禍々しいフォースと、か弱いフォースの往来だ。ルークが、ヴェイダーとぶつかっている。
通路を走り、2人がいると思われるカーボン冷凍室に踏み込む。
しかし、既に2人はいなくて、更に奥へ進む。
「っ……」
カーボン冷凍室で、2人の感情が伝わってきた。
ルークには焦りしかなく、対するヴェイダーは手心を加えている。言うまでもなく、ルークは遊ばれているも同然だ。ヴェイダーはいつ本気になるか分からない。
「アナキン……」
“ここにはいない”親友の名を呟く。
ヴィジョンで、パドメはアナキンに善の心が残っていると言った。彼女は、アナキンを信じている。ヴェイダーの手心がその結果だとすれば、まだ希望はある。
それを確かめなくてはならない。
「ようやく再会か、アリス。」
「勘違いしているようだけど、ダース・ヴェイダーに会いに来たんじゃないから。」
「何を言っている?」
「私は“スカイウォーカー”に会いに来たの。」
通気孔の細い通路で、ヴェイダーが振り向く。その後ろには、右腕を切られたルークが通路の端に追い詰められていた。ルークを一瞥した後、ライトセーバーでヴェイダーに切りかかる。一閃は防がれて、その状態のまま、私は口を開く。
「これは挨拶代わりだから。」
私の言葉に、ヴェイダーは嘲笑する。
ライトセーバーが離れ、ヴェイダーは私から距離を取った。前回と違う感情を持った私に、奴は訝しむ。ヴェイダーには到底理解できないだろう。
私は、ライトセーバーを構える。
時は来たり。