船が寝静まった頃、私は眠れず、貨物室の隅で呆けていた。
腰のライトセーバーを、フォースで手の平で回し、無心になる。
コルサントに帰ったら、私はまずマスターに謝らなければならない。任務とかけ離れたことをした挙句、R7を勝手に連れ出した。
評議会の前に、マスターがなんて言うか……
「アリス……?こんなところで何をしているの?」
一人違うところにいた私を、パドメはわざわざ探しに来たらしい。
「眠れなかっただけです。貴女こそ、女王陛下といなくて良いんですか?」
「この船に敵はいないわ。」
「そうですね。ジェダイもいますし。」
何かあっても、ジェダイが対処するだろう。それが任務であり、義務であり、役目だからだ。
「アリスはとても消極的なのね。」
「へぇ、なぜそう思うんです?」
「ナブーで私達を助けた時、貴女は女王陛下を守るだけだった。マスター・ジンやそのパダワンと違って、ドロイドを相手にしていなかったわ。」
「否定はしません。私は必要な時しか戦いません。」
現実から逃げていることに、変わりはない。
「ナブーが心配ですか?」
「ええ。私の故郷なの。」
パドメは、民を守りたいんだ。
その気持ちには、応えてあげたい。できることならガンレイをボッコボコにして、二度と総督の座に就けないようにする。報復なんて、いくらでも受けて立つ。
ただ、今それをやると、銀河中から嫌われ者としてのレッテルを貼られる。
銀河中に追われる人生なんて嫌だ。
「心中お察しします。」
「貴女は、どの惑星で産まれたの?」
「記録では、オルデランです。」
「記録では……?」
「ジェダイが見つけたフォース感応者は、物心が付く前に聖堂に連れていかれます。なので親も知りませんし、家族がいません。」
これ、まさか自分に該当するとは思わなかった。
生まれ変わったらジェダイなんて、誰が想定するんだって話だよ。
「ジェダイには、制約が多いと聞いているわ。それも、その一つなの?」
「はい。」
「とても悲しいものね。」
「私はそうは思いません。フォースを感じ取れることで、普通では見えないものも見えます。フォースと共にあるんです。」
私がフォースを信じてるなんて、そんなの建前だ。
フォースの意志が、ジェダイを見限るのは分かっている。
生まれ変わる前は、シスの策略だと思っていた。だけど、フォース感応力を持ったことで、それだけじゃないと知った。
「貴女と喋ったお陰で、眠れそうです。おやすみなさい。」
立ち上がって、貨物室を後にしようと背を向ける。
「アリス」
「はい?」
「いえ……やっぱりいいわ。おやすみなさい。」
今度こそ、貨物室から出ていく。
オビ=ワンとの相部屋へ入ると、戻った私の気配に起きてしまった。一言謝罪し、彼の隣の寝台に横になる。
「どこにいたんだ?」
「貨物室。眠れなくてね。」
私の返答に、オビ=ワンは更に話しかけてくる。
「ギャザリングの時と同じだな。」
「何が?」
「クルーシブルでもお前は眠れず、クランの仲間とは離れていた。」
「そこまで憶えてるの?というか、船内を放浪してたことに気付いてたんだ。」
気付かれないように抜け出したのに。なんか腹立つ。イケメンと思ってたけど、違う。私の考えるイケメンじゃない。
「何を考えてたか教えようか?」
「カイバークリスタルのことだろう?」
そうだけど、そうじゃない。確かにクリスタルのことは考えたよ。私が考えたのは別のことだ。
「違うのか?」
「もういい。」
不貞腐れた表情を見られないように、寝返りを打つ。
「寝る。」
「どうしたんだ?」
「うるさい。」
「アリス」
「喧しい。」
「………」
「口を塞ぐぞ。」
「口調がおかしくないか?」
おっと、素が出てしまった。
今の私はジェダイだ。もうちょっと丁寧に身を振らなければ。最高評議会に疑念の目を向けられる前に。
炎が訪れるまで、あと少し。