アナキンの息子であるルークが、ヴェイダーを父さんと呼ぶ。
ルークは、事実を受け入れていた。
だけど、ヴェイダー本人はその名前を否定する。はっきりと、自分はダース・ヴェイダーだと主張した。私は、ヴェイダーの心を読む。
「アナキン」
「アナキン・スカイウォーカーはもうおらぬ。レイン、皇帝陛下はわしと違って情けはかけんぞ。」
「そんなもの望んでない。確かに、あんたには情が残ってるかもね。ベスピンで、ルークを殺さなかったんだから。」
その代わり、捨てられないものを抱えている。ジェダイへの憎しみ、怒り、悲しみを。負の感情を切り捨てない限り、アナキンは戻ってこない。親友は、囚われたままだ。
ヴェイダーはルークのライトセーバーを起動させ、ヒルトを見下ろす。
「我が息子をよく鍛えたようだな、レイン。」
「自慢の弟子だもの。」
「だが、皇帝陛下の前では無意味だ。」
皇帝という言葉に、ルークは反応する。
「僕と一緒に行こう、お父さん。」
「オビ=ワンも、かつて引き戻そうとした。お前達は、暗黒面の強大さを知らないのだ。」
「嘘だ!心のどこかで、分かっているはずだ!僕を殺さないし、親友を皇帝に差し出したりしない!」
「わしに親友など存在せん。」
ヴェイダーは私のライトセーバーを取り出して、ヒルトを眺める。何かに気付いたようで、プラズマの刃を私の眼前に突き付けた。その答えを知るのは、私だけだ。
「どういうことだ?」
「普通のライトセーバーでしょ。」
「わしを甘く見るな。ライトセーバーに何をした?」
「カイバークリスタルを2つ使っただけだよ。」
クリスタルを2つ使い、プラズマの刃を強化しただけだ。ただ、もう一つのクリスタルは私との絆がない。その為、本来の刃の色ではなく、緑に変わっている。
「私のクリスタルと、オビ=ワンのクリスタル。私は戦いに備えていたの。最後の戦いの為にね。」
「そうか……お前はそういう奴だったな。しかし無駄な足掻きだ、レイン。」
エレベーターから出てきたトルーパーが、私の両脇を抱える。私が先に発着場から連れ出され、シャトルの独房に放り込まれた。倒れた拍子に左腕のアームカフが外れて、思わず項垂れてしまった。
扉が閉まり、私はアームカフを前に座り込む。御守りが外れたことで、私の運が尽きたような気がした。後ろ手で拘束されているから拾えず、俯くしかなかった。
抵抗しないとはいえ、装飾品すら拾えないことが苦しい。
シャトルがデス・スターに着き、私は暗い部屋に入れられた。
ドアが閉められた後、感じた寒気に振り返るとホログラムが映った。現れたのは、皇帝であるシディアスだった。その姿に、私は息を飲む。
『アリス、予期していた通りだ。』
「私にも未来は見えている。これが最後だよ、ダース・シディアス。あんたとの長い戦いも、これで終わる。」
『左様。其方は若きスカイウォーカーと共に、余の僕となるのだ。』
「残念だけど、それはないよ。」
表情を変えたシディアスに、私は続ける。
「ルークは私よりも理想のジェダイなんだよ。あんたなんかに従わない。もちろん、私もね。」
はっきりと断言してやった。
ルークやレイア、ダンタムの為にも、従う気はない。
『アリス……術を解きたくば、余に従うしかないのだぞ。解き方は分かっておろう。』
「あんたの魂胆は分かる。シディアス、どれだけ待っても、私は暗黒面に手を出さないから。」
『ところでその首輪、何の為に付けたと思う?』
シディアスが指す先には、私に付けられた首輪がある。
「さぁ?」
『この部屋も、其方の為に作らせたのだ。よく見るといい。』
シディアスに言われて見渡すと、部屋の壁全面に見覚えのある文字が刻まれていた。
“シスの古代文字”
シスの言葉には、力が宿る。この部屋の文字にも力がある。読めないのに、寒気が私を襲う。
『その首輪には、ミディ=クロリアンを抑制する仕掛けがある。これがどういう意味か分かるか?』
「最悪……」
フォースの強さを左右するミディ=クロリアンを休眠状態にさせることで、私はただの人間になる。その状態でこの部屋の力が働けば、私の精神は崩壊する。フォースが使えなければ、暗黒面に抗えない。
道理で寒気がするわけだ。
『従わぬのなら、閉じ込めるしかあるまい。』
「黙っていると思うわけ?」
『その為に、この部屋があるのだ。』
シディアスが何かを唱え、部屋の文字が妖しく光る。
「そんなっ……それだけはやめて……!」
『時間切れだ、アリス。』
奴は、いつかのようにそう言う。
シスの術が発動して、私に幻覚が見え始める。抗うには、暗黒面に手を出すことのみ。暗黒面を拒む私は、成す術がない。幻覚は、私が見たくないものを見せる。
『さて、いつまで正気でいられるかな?』
靄が形を作り、私が愛している人を映し出す。
ダンタムが暗黒面に手を出した私に、ライトセーバーで刺され倒れる。彼を刺した私は笑っていて、反射的に叫んでいた。
「嫌だあああああぁぁっ……!」
私の悲鳴に、幻覚の私が振り向く。
『あんたも分かってるはず。いつかその手で、彼を殺すことになる。自分の為に、必ず手をかける。』
「聞きたくない……!」
幻覚のダンタムは堕ちてしまった私に手を伸ばす。ダークサイドの私はその手を踏み付け、首を切り落としてしまう。
「嫌ぁ……!」
蹲ることしかできず、幻覚だと分かっていても涙が出てくる。幻覚だと認識しているが、今の状況では否定できない。ダンタムを殺すかもしれないという、その恐怖に肩を震わせる。
心が裂けそうだった。
『あんたは弱い。一人の男の為に、力を手放す気?』
「やめて……彼を殺したくない………!」
『自分の未来を見なよ!臆病者!!』
手錠されているせいで耳を塞げず、幻覚に耐えるしかない。
ダンタムを殺す幻覚を何度も見せられる。ライトセーバーで貫き、彼の手を踏み付け、首を落とす。その繰り返し。
すぐそこに、限界が近付こうとしていた。
シークエル編、書くべき?
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いらん、完結しろ。
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伝説のクラッシュ・マスター早よ。
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作者の自由でOK。