アリスが監禁室へ入れられた後、ヴェイダーは皇帝の前にルークを連れてきた。
満足気に笑う皇帝に、ルークは視線を上げる。
皇帝は、ルークに新しい訓練を与えようと言う。新しい訓練、シスの訓練を受けるように、若きスカイウォーカーに迫った。しかし、ルークはそれを受け入れることはなかった。自分のマスターは、アリスだと。
皇帝は反乱軍の攻撃を見抜いていて、大した脅威ではないと吐き捨てる。
「過信は命取りだぞ。」
「お前こそ仲間を、アリスを信じ過ぎている。」
「アリスは偉大なジェダイだ!」
「お前はあの者を見誤っている。アリスは強いが、心は脆い。」
そうなるように仕向けてきたのは自分だと、皇帝は明かした。
「事は全て余の思い描いた通りに進行しておる。アリスも、やがて我が物となるだろう。」
「アリスに何をした!?」
「暗黒面に手を伸ばしやすいようしてやっただけだ。」
「なんだって……!?」
拷問ではない、シディアスはそう言う。しかし、アリスにとっては拷問も同然だ。ルークは考えなくても、そうだと分かっていた。
「お前の友人達も、愚かだ。聖なる月にいるお前の友人達は罠に足を踏み入れた。反乱軍の艦隊も同じだ。シールド発生装置の場所を同盟軍に漏らしたのも余がしたことだ。少人数の攻撃ではどうにもならぬわ。我が精鋭の軍団が手ぐすねを引いて待っておる。気の毒に、お前の友人達が到着する時も偏向シールドはビクともしておらんだろう。」
窓から外を見るように言われて、ルークは反乱艦隊を眺める。遠くにいたと思われていた帝国艦隊が反乱軍を迎撃していて、形勢は不利だった。シールドはまだ解除されておらず、反乱艦隊は地上部隊のシールドの破壊を待たなくてはならなかった。
「いいぞ、お前の怒りを感じる。」
「抵抗しても無駄だ、息子よ。」
「スカイウォーカー、我が物となれ。仲間を救うにはそれしかないのだ。」
ルークは、皇帝に背を向ける。
マスターであるアリスの教えを守り、ルークは必死に怒りを抑えた。
怒りに身を任せれば、皇帝の思い通りになり、アリスも道連れになる。ルークはそれに気付き、怒りを抑えるのだった。アリスと仲間を守る為、若きスカイウォーカーは皇帝の誘惑に耐えた。
「これが欲しかろう?」
皇帝の手に、ルークのライトセーバーがある。感情のままにライトセーバーを手に取ってはならない。それも、アリスの教えだった。
ルークは忠実に、教えを信じていた。
アリスを、マスターを信じていた。
「嫌だ。」
その一言だけ、ルークは言葉にした。
若きスカイウォーカーの返事を聞き、皇帝は溜め息を吐く。
「スカイウォーカー、お前が信じたマスターに会わせてやろう。」
「アリスに……?」
発着場で別れたマスターが、どうなったのか分からなかった。最後に感じたのは、アリスの絶望だったからだ。ルークは、アリスに策があると言ったことを信用していたのだ。
しかし、その信用は儚く消えることとなった。
皇帝が何かを指示すると、インペリアル・ガードが憔悴しきったアリスを連れてきた。アリスは玉座の横の椅子に降ろされ、拘束される。首輪のせいでフォース感応力を失った彼女は、痛みをコントロールできず、意識がないまま四肢を締め付ける錠に呻く。
「アリ、」
ルークは近付こうとするが、ヴェイダーがそれを拒み叶わなかった。
「呼び戻すことは許さん。」
「アリスを返せ!!」
怒りが最高潮に達し、ルークはライトセーバーを引き寄せ、皇帝に切りかかる。その刃をヴェイダーが受け止め、皇帝は父と戦うように命じる。
「あの女を助けたくば、父と戦うのだ。」
アリスに視線を向け、ルークはヒルトを握り締める。
再びヴェイダーに切りかかり、ルークはアリスに教わった通りに“フォームⅤ”で戦う。時折防御の型を混ぜながら、ヴェイダーと刃を交える。
その型を見て、ヴェイダーは口を開く。
「レインの指導だな。」
「そうだ。だが、こうも教わった。ジェダイのライトセーバーは、守り手だと!」
ルークはそう言って身を翻し、アリスの横に降り立つ。ライトセーバーで首輪を壊して、ルークはアリスを庇うように立った。
「馬鹿な真似をしたな、スカイウォーカー。」
「馬鹿な真似だと?」
「左様。今のアリスがどのような状態か、お前には分かっておるだろう。」
そう、アリスは今、皇帝と戦える状態ではない。幻覚に苦しみ、絶望の果てに意識を奪われている。彼女を引き戻すのは、簡単ではない。
「いいや、マスターは強い。」
ルークは否定する。
ベスピンから戻った後も、ルークはアリスの訓練を受けていた。その中で、アリスは弟子が希望だと何度か口にしていた。まるで自分が動けなくなることが、分かっているようだった。アリスは未来を見て、そう言っていたのだ。
「アリスは僕に期待しているが、間違いだ。」
「間違い?アリスが何を違えていると言う?」
「僕もアリスを信じている。」
ルークがそう言った後、アリスを拘束する錠は外れ、彼女はゆっくりと立ち上がる。
その目には、覚悟が込められていた。
────────
首輪が外されたのか、フォース感応力が戻ってきた。
ルークとヴェイダーが戦っていて、ふと弟子の気配を近くに感じた。何も見えず、何も聴こえないが、確かに感じる。だけど、声だけはしっかり聴こえた。
『僕もアリスを信じている。』
可愛い弟子の声に、私の意識は引き戻された。フォースで錠を外して、ゆっくり立ち上がる。私の前には、ルークが立っていた。
視力も戻り、目を開くと、ルークとヴェイダーの戦いの途中だった。
「あんたの負けだよ、皇帝。」
「馬鹿な…其方は絶望に囚われていたはず……!」
「ルークが私を助けてくれた。皇帝……いいえ、ダース・シディアス。」
シスの名を言ってやれば、シディアスは表情を歪ませる。奴は私を動けなくして、支配した気になっていたんだ。だけど、従ってなんかやらない。
ヴェイダーが持つ私のライトセーバーを引き寄せ、ヒルトを手に取る。
「あんたに操られる気はないから。」
「アリス……?」
ルークが何かを感じたようで、不安げな声で呼んできた。
弟子を一瞥した後、私はヒルトを逆手に持ち直す。
私の思惑に気付いたのは、シディアスだけだった。ヴェイダーに私を止めるように命じるが、元親友をフォース・プッシュして離す。誰にも邪魔はさせない。
これが、私の最後の企みだ。
「フォースと共にあらんことを、ルーク・スカイウォーカー。」
「アリスっ!!!」
「よせえええええええ!!!」
私は微笑み、ライトセーバーを起動させる。
刃が私の腹を貫き、その傷は致命傷となった。痛みに耐えきれず膝をつき、身体の自由が利かず階段から落ちていく。床に倒れた私は、ただ天井を呆然と見上げていた。
これがシディアスに対する、唯一の復讐だった。
あぁ、ダンタムにお別れを言えばよかった。
後悔しかない。
シークエル編、書くべき?
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いらん、完結しろ。
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伝説のクラッシュ・マスター早よ。
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作者の自由でOK。