【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

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4ABY〜?ABY
波乱の前兆を見逃すな


エンドアを去って2ヶ月後、私とダンタムはダントゥインにいた。

 

灯台下暗し、私達は誰にも見つからず、静かに過ごすことができている。ジェダイ聖堂にいた頃とはかけ離れた、充実した暮らしに私は満足していた。R7-D4の悪戯を除けば、だけど。

 

そして今、私は正座してダンタムに叱られている最中だ。

 

なんでって、正体不明のドロイドを壊したからだ。

 

帝国軍の残党が、少なからず残っているのは知っている。このドロイドも、残党の誰かが送り込んだものだと思われる。けど、それは反乱軍だけで対処できるはずだと考えていた。

 

ダンタムが怒っているのは、ドロイドを送り込んだ帝国軍残党が誰なのか知りたかったからだった。

 

 

「アリス、君はどうしてすぐに破壊するんだ。」

「たまたまだよ、たまたま。ていうか、何の前触れもなく針で刺されたら、壊したくもなるでしょ。」

 

 

事の発端は、赤い服を着たドロイドが現れて、私の名前を聞かれたからだ。ドロイドの目的を明確化させる為に肯定したら、いきなり手を出すように言われて、針を刺されたんだ。私は驚いて、ライトセーバーでドロイドの頭を切り落としてしまったのだった。

 

その瞬間をダンタムに見られて、こうして正座させられているに至る。

 

 

「刺された後、何もないか?」

「うん、毒じゃないみたい。よーし、ドロイドを解剖しよう。」

「そこは分解だろう。」

 

 

ドロイドのボディをテーブルの上に乗せて、R7-D4にスキャンさせて基盤を探してもらう。しかし基盤は頭部にあるようで、落とした頭もテーブルの上で分解する。頭部を開き、私とダンタムは唖然となる。

 

 

「うわ、何これ。」

「頭部がスクリーンになっている。こんなドロイドを見たのは初めてだ。」

「私もだよ。えぇ…意味が分からない。なんでドロイドが血液検査針を装備してるの?どう見ても医療ドロイドじゃないよこれ。」

 

 

ドロイドの腕も分解すると、針の正体は血液検査針だと判明した。医療ドロイドでもなく、暗殺ドロイドでもない。頭部がスクリーンになっていることが、余計に私達を混乱させた。

 

そこで、R7-D4が最悪なことを告げる。

 

 

「え、何?メモリーが消えてる?嘘だよね?………マジか。」

 

 

嘘じゃないらしい。記録は消されて、誰の指示か分からない。壊すんじゃなかった。

 

 

「反乱軍に連絡するか?」

「しない。ドロイドなんかで、反乱軍の厄介事を増やしたくない。」

「嫌な感じはするのか?」

「今はない。このドロイドが針で刺す前はあったけど。壊したら消えちゃった。」

 

 

今は嫌な予感はしない。ドロイドを壊したのが原因だろう。私の前世の記憶では、このドロイドの正体が分からない。

 

第二デス・スターで自害した後、あの白い空間で怖いくらい記憶を思い出した。なのに、呼び戻された後は元のように朧げな状態に戻っていた。仕方ないといえばそれで終わりだけど。

 

ただ、あのドロイドの姿には既視感があった。どこで見たのかは分からないけど、何かを忘れている。何なのかも思い出せないが、既視感があるということは、思い出せないだけで、私はあのドロイドを知っているということだ。

 

 

「既視感、か。」

 

 

ダンタムに話すと、彼はそう呟いた。

 

 

「君の勘が警鐘を鳴らしていないなら、きっと大丈夫だろう。その内思い出せるはずだ。気長に待とう。」

「そうだね。」

 

 

ドロイドを片付けて、私達は食事の仕度に入る。

 

そうだ、きっと何もない。憶えていないのも、重要じゃないからだ。何も心配することはない。

 

ご飯を食べながら、そう結論付けた。

 

 

その翌日、私は隠れ家から離れ、森の奥にある静かな場所で座っていた。ドロイドの頭を抱え、瞑想してフォースに繋がる。

 

どうしても、何もないことを確かめたかった。

 

 

「我はフォースと共に………」

 

 

辺りの石が浮き始めて、感覚が研ぎ澄まされていく。

 

意識が沈み、私はドロイドの残留思念を探った。だが、いくら探っても何も見えなかった。ドロイドの頭で、私の記憶も探そうとしたが、それも不可能だった。

 

何も見えないのが不安だけど、見えないのは何もないからだと信じたい。

 

 

「アリス」

 

 

ダンタムの声で現実に引き戻され、顔を上げる。

 

周囲の石が落ちた後、私はドロイドの頭を膝から下ろす。その様子に、彼は私のしていたことの予想をつけたらしい。だけど、ダンタムはあえて聞いてきた。

 

 

「何をしていたんだ?」

「ドロイドを見てたの。未来を確かめたくて。」

「何か見たのか?」

「何も。」

 

 

寧ろ見えなかったと言う。

 

ダンタムは隣に座り、優しく肩を抱いてくれる。余程不安な表情をしていたのか、心配させてしまったらしい。彼に心配をかけたことが心苦しかった。

 

 

「大丈夫だ。見えなかったなら、危惧することは何もないということだろう。」

「………そう願うよ。」

「アリス、未来は気の持ち様だ。君が不安を抱けば、未来も不安なものになる。俯いてはダメだ。」

「うん、分かった。」

 

 

きっと考え過ぎだ。

 

皇帝はもう死んだんだ。帝国に結束力があるはずがない。シディアスがいない帝国は、脅威にはならない。

 

この違和感が、気のせいであってほしい。

 

私とダンタムの平穏が続くことを、ひたすら願った。

 

 






どれだけ書くか決めてません←
たぶん数話でシークエルに入りますw
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