【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

123 / 173
深淵を覗けば、深淵も覗いてくる。

シャトルがハイパースペースを抜けて、コリバンの軌道へと出る。

 

コリバンは昔と変わらず、嫌なものを感じる。フォースの暗黒面が、軌道上にいる私にまで伝わってくる。やはり、コリバンはシスの聖地だ。

 

 

「ここに降りるのか?」

「そうだよ。」

 

 

カラスは嫌そうな顔をする。それに対して、ゼブも来るんじゃなかったと口にする。私だって、本当は来たくなかった。

 

渓谷に着陸させて、私達はシス寺院へと向かう。

 

 

「アリス、安全なんだろうな?」

「そもそも、安全なシス寺院ってあるのかな。」

「何だと!?」

 

 

ていうか、私ジェダイだし。シス寺院へ安全に入った覚えがない。モールと入った時も、トラブルになったし。

 

ジェダイである前に、罠がありそう。

 

 

「トラップに気を付けてね。」

「よく生きてこられたものだな……」

「そこはポジティブ精神だよ。」

「俺は神経疑うぜ……」

「ありがとう。」

「褒めてねぇぞ!」

 

 

ようやくシス寺院に辿り着き、カラスとゼブは中を覗き込む。中から吹く冷たい風に、2人は足を止めてしまった。コリバンのシス寺院は、普通の人でも嫌な感じがするらしい。

 

 

「2人は待ってて。もしかしたらすぐに戻ってこないかもしれないけど。」

「おい、冗談だろ?」

「至って真面目に言ってるよ、ゼブ。帝国軍が来るかもしれないから、その時はコムリンクで呼んで。」

「待て!アリス!」

 

 

カラスの呼び止めをスルーして、私は一人で寺院に踏み込む。

 

シス寺院もジェダイ寺院と同じで、目的が変わると中の構造が変わるみたいだった。前々回と変わらず、暗黒面の力が働いている。

 

進むにつれて酷くなる寒気に、思わず身を震わせる。

 

広い空間に出ると、シス卿達が現れた。

 

私を囲い、口々にジェダイが来たと囁く。その様子は生贄でも見たかのように、シス卿の影達は嬉々としていた。彼らは、恐怖を煽っているようにしか見えない。

 

 

『ここへ何しに来た……』

「ダース・プレイガスに会いに来た。」

『我がプレイガスぞ。』

 

 

前に出てきたシスの亡霊がフードが下ろし、素顔が露になる。

 

クローン戦争終盤で来た時と変わらず、私を見下ろす。

 

 

『アリス・レイン、なぜ戻った?』

「ダース・プレイガス、ジャクーにあるシス寺院の情報を教えて。」

『そうか、力を求めるか。』

「違う。私は知識を得たいだけ。」

『お前のことではない。シスの遺物を使おうとする者がいる。』

 

 

すぐにラックスのことだと分かった。

 

やはり、奴はシス寺院の力を使おうとしている。遺物が何であれ、使わせるわけにはいかない。シスの力を使えば、その被害は計り知れない。

 

 

「どうすれば止められる?」

『止める?その必要があるのか?』

「ある。使おうとしている人間は、シディアスの駒。そんな人間に利用されてもいいわけ?」

『だからこそだ。シディアスの考えは読める。レイン、お前はセンチネルのメッセージを拒んだな?』

 

 

衝動的にセンチネルを破壊したことを言われている。プレイガスはその内容を知っているようで、私に遺物と関わる権利はないと拒否された。だけど、私はまだ帰れない。

 

 

「じゃあ、どうしたら教えてくれるの?」

『では、お前の秘密を一つ、ここに置いていけ。』

「秘密?」

『左様。シスの秘術には、対価が必要だ。』

 

 

今回はシス卿達に突き落とされるのではなく、自らの意志で奥に進むように促される。

 

知識を得るには、対価が要る。それが、シスの教えなのだろう。シスにあるのは、力だけなんだ。

 

暗い通路に進み、その奥にある部屋の床にはシスの術式が描かれていた。

 

 

『その中心に座れ。』

「秘密って、何を渡せばいいの?」

『ほんの些細な秘密だ。お前の奥底に眠る、暗黒面のフォースを見せろ。』

「私に危険を冒せと?」

『その危うさが、シスの知識を与える。』

 

 

プレイガスに従うしかなかった。

 

術式の中心に正座し、私はフォースと繋がる。暗黒面のフォースが私に迫り、それを拒まずに受け入れる。軽い瞑想状態から、深層心理へと沈んでいく。

 

意識の底で見えたのは、大昔のジャクーだった。

 

荒廃した町から人々が逃げ惑い、シスの信者が罪なき者達を潰していく。幼い子供も巻き込まれ、無惨にも剣が振り下ろされる。その光景に目を背け、私は恐怖に身を強張らせる。

 

子供の恐怖に感化されたのか、シスの信者が怖ろしく見えた。

 

悲劇に耐えていると、虐殺者の背後にあるものを見つけた。あれは、寺院の遺物だ。目の前にいるシスの信者は、遺物を使って人々を虐殺している。

 

だけど、遺物は一部に過ぎない。

 

その力を知る者は、艦隊すら破壊できる。敵も味方も関係なく、全てを滅ぼす。それ以上だって可能だ。

 

 

『見たか、ジェダイ。』

 

 

その声と独特の呼吸音に、ゆっくり振り向く。

 

 

『ダース・ヴェイダー……?』

 

 

周りの光景はそのままで、悲鳴や怒声が消えた。聴こえるのは、私とヴェイダーの呼吸だけだった。私達の間に、重い空気が流れる。

 

 

『そうだ。レイン、ラックスはその力を知っている。』

『アナキン……?』

『我が名はダース・ヴェイダー。アナキン・スカイウォーカーの暗黒面の意識だ。アリス・レイン、お前はバランスが取れていない。』

 

 

私の前に立つヴェイダーは、間違いなくアナキンだ。ヴェイダーの奥から、アナキンの意識を感じる。意味が分からず、目の前の暗黒卿を見上げる。

 

 

『どういうこと?アナキンは……』

『世話の焼ける親友に、手を貸しに来たんだ。』

『え……?』

 

 

その一言で、私はジャクーからシス寺院に引き戻される。

 

あれは、確かにアナキンの声だった。

 

私は、親友に助けられた。彼はわざわざ暗黒面の力を使って、あの空間に割り込んできた。いや、割り込んでくれたんだ。

 

違和感に身体を見ると、所々煤だらけだった。私は覗いたんじゃなくて、本当にそこにいたらしい。生々しい光景が、まだ脳裏に残っている。

 

危なかった。一人では、恐らく戻れなかった。酷く寒くて、自身の身体を抱き締める。

 

その部屋から出ると、プレイガスが姿を現した。

 

 

「あんた……」

『言ったはずだ。対価を払う、と。ヴェイダーに邪魔されなければ………ククッ…』

 

 

プレイガスは不気味に笑う。

 

 

『知識は手に入っただろう。さぁ、出ていけ!!』

 

 

突風が吹き、私は寺院の外に吹っ飛ばされる。

 

言われなくても、二度と来るもんか。

 

寺院から放り出された私に、ゼブとカラスは慌てて駆け寄ってくる。2人から聞いた話だと、3日も出てこなかったとか。私の体感的には半日だったのに。

 

けど、収穫はあった。

 

ラックスの陰謀を止めなくては。

 

 






あと2、3話でシークエル編に入ります!

ところで、寝違えて首が痛いんですけど、どうしたら治ります?
今日は仕事どころじゃないwww
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。