銀河協定が成立して、2年後。
私とダンタムはダントゥインを離れて、ナブーの僻地に移り住んでいた。
レイアとハンの結婚式に参列した後、私はまた去るつもりだった。今回は速攻でレイアに引き止められ、共和国防衛軍、もとい反乱軍から退役する為の条件を出された。それが、共和国に加盟する星に住むこと。
プラス、いつでも連絡取れるように、と。
レイア、よく分かっていらっしゃる。
「また焦がした………」
そして今、料理をしている。
この2年間、まともに作った試しがない。鍋も、いくつ捨てたことか。みんな、なんで焦がさないのか謎だわ。
レシピ通りなのになぁ。
「アリス、少し……なんだこの匂いは…?」
出かけていたダンタムが帰ってきて、焦げ臭さに顔を顰める。
「また焦がしました………なんで焦げるのか謎。」
「余所見しているからだ。」
「余所見?してないよ?ホロネット見ただけ。」
鍋料理の途中で、ちょっと放送を見ただけだ。
「それを余所見と言うんだ。」
「すみませんでした。」
「包丁も大丈夫なのか?」
「包丁?任せて。ライトセーバーで、」
「スカイウォーカーがいなくて良かった。」
「えー?じゃあテレキネシスで、」
「真面目にやってくれ。」
おふざけはこの辺にしよう。因みに、包丁に関しては問題ない。問題は、鍋やフライパンを使う過程だ。
「反乱軍に戻るまで何を食べていたんだ……」
「何って、栄養バーにフルーツ、あとはマイノックとか、」
「やめてくれ。」
マイノックって、トワイレックの好物なんだって。ということは、ヘラやヌーマも食べるのかな?傍から見たらゲテモノ料理だよね。
「よくよく考えたら、あの14年間で料理したことないや。」
「だろうな。」
そもそも、前世だって適当飯ばかりだったのに。なんでチャレンジしようと思ったんだ私。そんなどうでもいいことしか思い出せない。
「手の込んだものは作らなくていい。そういえば、もうすぐ客が来るぞ。」
「客?私達の所在はモスマ議長とレイアしか知らないのに?」
そう、私達の所在はモスマ議長とレイアのみが知る。来客が多いんじゃ、隠遁する意味はないから。それなのに、来客があるなんておかしい。
「ああ。アリスがよく知る人だ。」
心当たりが全くない。レイアやルーク、ハンでもないなら、一体誰なんだろう。悲しいことに、私は友達が少ない。すぐに絞り込めそうなんだけどなぁ。
「全然分からない。レイアじゃないんでしょう?」
「違う。まぁ、会えば分かるだろう。」
鍋をダストボックスに突っ込み、長椅子に座る。
ダンタムは隣に座り、私の顔を覗き込む。暗い顔をしていたようで、心配そうに問われた。ここ1ヶ月、私はずっと考えていた。
「どうしたんだ?」
「シディアスが死んで3年くらい経ったけど、ちゃんと呪い解けてるのかな、って。」
「………」
私の疑問に、ダンタムは口を噤む。
自分では、加齢具合は分からない。25年も不老だと、感覚がおかしくなるし、普通の感性がなくなる。他者に判断してもらうしかない。
「不安なのは分かる。だが、まだ3年しか経っていないんだ。長い目で見よう。」
「うん……」
そこで、ダンタムが思い出したかのように何かを取り出そうとする。
箱を持ち出し、それを私に差し出した。
「何これ?」
「開けてみてくれ。」
言われた通りに、私は箱を開いた。
中に入っていたものに、思わずダンタムを見る。驚く私に彼は優しく微笑んで、中のものを私の手に乗せる。
「これって……!」
「御守りだ。」
3年程前、第二デス・スターへ向かうシャトルで落としたと思っていた。
箱に入っていたのは、ジェダイが追放された時、ダンタムが贈ってくれたアームカフだ。シャトルで落としてから、行方が分からなかったんだ。まさか、戻ってくるなんて思わなかった。
「どこで見つけたの?」
「エンドアにいたトルーパーを調べ上げたら、案の定、懐に入れた者がいた。そのトルーパーに見返りを提示して、返してもらったんだ。2年も掛かってしまったよ。」
「そんなことは……!ありがとう、ダンタム。」
以前と同じように、アームカフを左腕に着ける。
やっぱり、これは御守りだ。
「ところで、見返りって?」
「あぁ、それのことだが、見返りはない。」
「はぁ!?」
「帝国軍に施すわけないだろう。」
「私の感動返して。」
冗談だと言われたけど、冗談に聞こえない。
「あの者には、職を与えてやった。少し酷かもしれないが。」
「酷……?」
「共和国軍の一卒兵に加えた。あの中にいれば、民主主義を理解せざるを得ない。帝国に忠実だった彼にとっては酷だ。」
「うわぁ、荒技だね。」
だけど、トルーパーにとってはその方がいいだろう。元帝国軍兵で世間で迫害されるより、心を入れ替えて共和国に尽くした方が、印象も良い。彼の努力が報われることを祈ろう。
「アリス、そろそろ来客の時間だ。」
「誰だろう……?」
扉をノックされ、ダンタムがドアを開ける。
来訪した人物に、目を見開く。訪ねてきた男性に、私は動けなかった。確かに、私はその男性をよく知っている。
「アリス・レイン、貴女の助けが必要です。」
物語は、まだ続く。
来訪した男性は、終わったはずの物語の続編を描く。
未来は、無数に分岐している。
次からシークエル編に入ります。
皆様、お付き合いありがとうございます(о´∀`о)