ファルコンが拿捕され、俺達は床下に隠れて侵入者に備える。
ガスを充満させようとしていたら、床板を開けられ、ハン・ソロとチューバッカが俺達を見下ろす。
「他の仲間は?パイロットは?」
「私がそう!本当に私達だけ!」
「おい、俺に触んな。」
「ならさっさと上がれ、若造。」
俺達が床下から出ると、ソロは船があった場所を聞いてくる。
「どこでこいつを手に入れた?」
「ニーマ、ジャクーよ。」
レイによれば、アンカー・プラットは名前の知らない奴から盗み、そいつはドゥケインから盗んだという。何かの拍子で手元を離れたらしいが、本来の持ち主に戻って良かった。
「ドゥケインに伝えろ。ミレニアム・ファルコンはハン・ソロが取り戻したとな。」
「貴方ハン・ソロなの!?」
「………昔の話だ。」
「ハン・ソロって、反乱軍将軍の?」
「いいえ、密輸業者よ。」
コックピットへ向かおうとするソロを止め、俺は協力を仰ぐ。
俺の予定に、この人は欠かせない。
「レジスタンスまで一緒に来てくれ、ソロ将軍。」
「お断りだ。」
「あのドロイドは、スカイウォーカーの所在の地図を持っている。」
俺の言葉に、ソロは目を見開く。
「反乱軍で一緒に戦ったはずだ。」
「ああ、そうだ。ルークを知ってる。」
フィンの追及に、ソロは認めた。
聞いていた話と違う。ソロ将軍は勇敢で、頼りになると聞いた。だが、目の前にいる男は現実から逃げている。
「ソロ将軍、アリス・レインを知ってるだろ。」
「ああ、あいつも友人だ。」
「彼女も、助けを必要としている。あんたの助けをな。」
アリス・レインが助けを求めていると聞き、ソロは表情を変える。
それには、大きな理由があった。
「俺の結婚式以来、誰もアリスと会ってないんだ。そのアリスが助けだと?どういうことだ?」
「彼女は今、訳あって動けない。だから俺が来た。」
「アリス・レイン………?」
「ビリー、説明しろ。」
レイとフィンの疑問に、俺は秘密の一つを明かすことにした。
「アリス・レインは、俺のマスターだ。」
「あいつが弟子を取っただと?」
「ああ。自称弟子だ。」
ポシェットからライトセーバーを取り出して、ソロに見せる。あえて二分してあるのは、スノークに気付かれないようにする為だ。今気付かれたら、マスターに危害が及ぶ。
「私、彼女を知ってるわ。」
「え?」
「冗談だろ?」
俺とフィンの驚きに、レイは否定しない。
マスターがレイを知ってるのは分かるが、面識は一方通行なはずだ。
「夢に出てくるの。」
「夢……?」
その時、船が大きく揺れる。
「まさか……ラスターが逃げ出したか。」
「ソロ将軍、冷静に言ってる場合じゃないぞ。」
「その将軍って呼び方はやめろ。」
ソロはファルコンを出てモニター前に走り、追手を確認する。
「グアヴィアン・デス・ギャングだ。クソッ、尾けて来やがった。」
「ラスターって?」
ジャクー育ちのレイは、ラスターを知らないらしい。
俺はラスターを知っている。マスターには、決して操ろうとするなと言われた。そんな忠告聞かなくても、操る気はない。
あのキモいクリーチャーを操るなんて絶対に嫌だ。
「デカくて凶暴。」
「タコみたいなやつだ。」
俺とソロがそう教える。
俺達に床下に入るように指示して、ソロはBB-8を預かってくれると言う。
「ラスターは何体いるんだ?」
「3体だ。」
「はぁ!?」
思わず声が裏返った。
「あのクリーチャーを3体も積んだのか!?」
「いいからさっさと入れ!」
「ちょっ、この堅物め!」
床下に落とされ、板を閉められる。
俺とフィン、レイは床下を這い回る。ちょうどギャングがソロに対面したところで、俺はソロの真下で止まる。興味本位で、少しだけ会話が聞きたかった。
「ビリー!」
小さな声で、レイが俺を急かす。
「2人で行ってくれ。」
レイとフィンは頷き、先へ進む。
聞こえてくる会話に、俺は溜め息を吐く。
ソロは昔ジャバ・ザ・ハットに借金していた。ジャバは死んでチャラになったが、まさかまた借金しているなんて想定してなかった。マスターはソロに失望するだろう。
マスターのことだから、呆れるだけかもしれないが。
『うわあああああああっ』
ギャング達の悲鳴に上を見ると、ゴロツキ共はラスターに喰われていた。ラスターの一体が真上を通り、俺は固まる。下から見ると更にキモい。
「よっこらせ。」
床下から出ると、レイとフィンがラスターに追われていた。
「おい!逃げろよ!」
「逃げるに決まってんだろ!!」
無我夢中で走った。
マスターはこの光景も見えていたのだろうか?
「フィン!」
フィンはラスターの脚に捕まり、引き摺られていく。俺とレイはそれを追う。ここで出し惜しみしていたら、フィンは死ぬ。助ける為だ、仕方ない。
一度だけならいいよな。
意識を集中して、脚の動きを止める。手を突き出し、ラスターの脅威となるように誘引した。ラスターはフィンを放し、逃げ出す。
二度と操るものか、気持ち悪い。
「フィン!大丈夫!?」
「俺は大丈夫だ。ビリー、何をした?」
「秘密だ。ファルコンに急ぐぞ。」
ハンガーに走り、ソロとチューバッカがいるファルコンに駆け込む。
副操縦席にレイが座り、フィンはチューバッカの手当てをする。暴れるウーキーに、俺も加勢して包帯を巻く。だが、チューバッカはなかなか大人しくしてくれない。
手当てに苦戦する俺達に、ソロは声を張り上げる。
「チューイに何かあったらタダじゃ置かないからな!!」
「既に俺達が殺されかけてる!!」
その反論に、チューバッカはフィンを掴み上げる。
「落ち着け!大人しくしないと手当てできねぇだろ!!」
しばらくした後、ファルコンはハイパースペースへ入り、コックピットからソロが出てきた。
ひと段落して、ソロは追われているのかと問う。
レイとフィンに加えて、俺の姿も見られている。追われているのは、俺もだ。ソロの問いに肯定して、手を借りたいと頼む。
マスター、こんな人と付き合いがあったのか。俺には無理だ。精神が擦り減る。マスターの神経を疑うぞこれ。