フォースに導かれ、俺は城の地下に入る。
聴こえてきたのはマスターの悲鳴と、アナキン・スカイウォーカーの声だった。その声は、俺にマスターを救うように言っている。悲鳴を上げるマスターを守れ、と。
地下に入った俺が見つけたのはマズと、逃げていくレイだった。
「アナキン・スカイウォーカーのライトセーバー……」
「そうだよ。あんた何者だい?」
「マズ・カナタ、あんたはアリス・レインに会ったと言った。あんたには俺の秘密を明かそう。」
「秘密……?」
俺はマズに、本名を明かす。“ビリー”は愛称だ。正式名じゃない。
「道理でねぇ……」
「レジスタンスの力が必要だ。」
「ビリー、両親を心の底から愛しているんだね?」
「ああ。」
その瞬間、マスターの苦痛を感じて、俺は膝をつく。
「ビリー!」
「問題ない……」
マスターの苦痛の後に感じたのは、スノークの怒りと、嫌な予感だった。酒場が騒がしくなり、俺とマズは城の外へ出る。
客の視線を追って空を見ると、赤い光がホズニアン星系に迫っていた。
強力なエネルギー光線がホズニアン星系を破壊して、人々の悲鳴と苦痛が俺を襲った。
マスターは、何度もこれを感じていたのか。
「ファースト・オーダーだ!」
フィンが走ってきて、あれはファースト・オーダーの所業だと叫ぶ。
そんなもの、言われなくても分かってる。スノークの笑い声が聴こえるようだ。ファースト・オーダーは、明らかに帝国とは違う。
ふらつく俺に、フィンは気付いて駆け寄ってくる。
「大丈夫か!?」
「……ああ。」
「レイは?」
俺はハッとして、レイを探しに森へ走る。
走る途中、空にTIEファイターが見えた。BB-8を奪いに来たんだ。ドロイドを渡すわけにはいかない。
「レイ!!」
「なぜここに!?」
「ファースト・オーダーが来る。」
現れたファースト・オーダーのトルーパーを撃ち、レイの手を引いて木々の間を走る。レイと2人でトルーパーを撃っていき、走り続けた。トルーパーだけなんてことはあり得ない。
狙いはBB-8だ。
奴がいるはずだ。
「っ!」
気付くのが遅れ、俺とレイは黒マスクの男のフォースに捕まる。初めての暗黒面に、怖ろしくなった。
恐怖を抑えろ、俺。
「小賢しい男だ。ドロイドはどこだ?」
「知らねぇよ。俺もお前に聞きたい。アリス・レインはどこだ?」
「知ったところでどうする?奴は今や何もできない女だ。」
「違う…!」
俺はフォース・プッシュを受け、崖を背に打つ。
レイが詰問されているのを見て、俺はポシェットからライトセーバーを取り出す。二分されていたヒルトを元に戻し、“マスターのライトセーバー”で構えた。カイロ・レンはレイを眠らせて、戦闘態勢に入った俺に向き直る。
「お前のライトセーバーではないな。」
「ああ。これは、マスターのライトセーバーだ。」
「マスターだと…?」
「俺は……アリス・レインの弟子だっ!!」
ライトセーバーを振り被り、レンに切りかかる。俺の一閃は防がれ、強い力で刃を押し返された。感情を抑えながら、攻勢に転じたレンの太刀筋を防いでいく。
上から来る刃を何とか防ぎ、かけられる圧を懸命に耐える。
「訓練が足りぬ未熟者め。」
「っ……悪かったな!自称弟子なんだよ!」
言い返すと、鍔迫り合いのままフォース・プッシュされ、地を転がり落ちていく。受け身を取る余裕すらなく、俺は気絶した。打ち勝てなかったのは、間違いなく経験不足だ。
マスターの言葉が身に滲みる。
『ビリー、経験でしか学べないこともある。』
『もし経験する前に直面したら、どうしたらいい?』
『生き残ることを考えて。生きることは、誰もが持つ権利だから。』
『じゃあ生き残る為に、ジェダイの訓練を付けてくれよ。』
『同じことを言わせないで。嫌だよ。』
マスターは、最後まで訓練を付けてくれなかった。生き残れと言う割には、何も教えてくれない。俺がなんでジェダイになりたいのか、マスターは分かってるはずだ。それなのに………
考えてもマスターに会わない限り、あの人の魂胆が分からない。
しばらくして、探しに来たフィンに起こされた。
レイは拐われ、レンを取り逃してしまった。
「ビリー……」
「フィン、向こうは大丈夫か?」
「ああ。レジスタンスが来たんだ。」
「レジスタンスだと!?」
すぐに城へ向かい、ある人を探す。
ファースト・オーダーが撤退した後、1機のトランスポートが着陸する。レジスタンスの兵員輸送船だ。ハッチが開き、レジスタンスの人達が降りてくる。
俺はソロの後ろから、降りてくる人達を眺める。
「………」
降りてくる人達の最後に、老齢の男と、中年女性が出てきた。白髪混じりの髪を結っている女性は、レジスタンスの将軍、レイア・オーガナ将軍だ。そして老齢の男は、ダンタム・ルード氏だ。
2人は俺とソロを見て、会話を中断する。
「ビリー……」
ルード氏は、俺の無事に安堵する。
「オーガナ将軍」
「ええ、行ってください。」
「感謝する。」
オーガナ将軍が頷き、ルード氏が俺の前に歩み寄る。
怒られると思い、俺は視線を逸らす。
「ビリー、」
「分かってる。言い付けを守らなかった俺が悪いんだ。レンに勝てなかったのも、自業自得だ。」
「………」
俺は抱き締められ、弱々しい抱擁を受け入れる。
「………父さん。」
父親であるダンタム・ルードを、そう呼んだ。あとはマスター、母さんを助けるだけだ。母さんの居場所は、もう分かっている。
マスターは今、一人だ。
俺は、母親を助けたい。
実は最初、とある方に言われて娘を作ろうかと思いました。
しかし、娘だとアリスの子とすぐバレるので、あえて息子にしました。